脱硫
SOx排出量を抑制するため,重油からの脱硫(重油脱硫),排出ガスからの脱硫(排煙脱硫)が行われており,ほかに,両者の中間にあたるガス化脱硫があります。(1)重油からの脱硫には,高温高圧にした重油に水素を吹き込み,触媒を用いて硫黄分を硫化水素(H2S)の形で取り出す方法,軽油をとった残油を減圧蒸溜し,溜出油を水素化脱硫して減圧残油とまぜる方法等があります。
(2)排ガスからの脱硫には,排ガスを石灰乳で洗浄する方法,硫黄酸化物を活性炭などの表面に吸着させて,硫酸あるいは硫安として回収する方法,石灰石粉末などを吹き込んで硫酸塩として回収する方法等があります。
(3)ガス化脱硫は,重油をボイラーの前炉に噴射して空気不足の状態で部分的に燃焼させ,高温の熱ガスで残りの油を分解させる方法です。その時できたH2Sを生石灰(CaO)または炭酸カルシウム(CaCO3)と反応させて,硫黄分をCaSの形で分離します。
脱硫
【英】: desulfurization
硫黄化合物を含んだ物質から硫黄分を除去する操作を脱硫という。原油には一般に硫黄化合物が必ずといってよいほど含まれている。その量は原油の産地によって異なるが、0.1 ~ 4 重量%程度である。したがって、原油から蒸留により分離された各留分にも硫黄化合物は存在し、重質留分ほど多いのが一般的である。石油中に含まれている硫黄化合物は硫化水素、メルカプタン、硫化物、二硫化物、チオフェン類などであり、これら以外に構造不明の化合物が相当含まれていて、沸点が高くなるほど複雑な構造となっている。石油中に硫黄化合物が存在すると、悪臭の発生、触媒被毒などの要因になるばかりでなく、硫黄化合物の燃焼生成物である亜硫酸ガスが大気汚染物質の一つであるため、石油の脱硫は今や石油精製業の大きな使命となっている。石油の脱硫は LPG 、ガソリンから重油、潤滑油に至る広い範囲に適用される。脱硫法としては、アルカリ洗浄法、溶剤脱硫法、接触脱硫法、ガス化脱硫法などがあり、各油種によりそれぞれ適応した脱硫法を採用するが、近年、水素気流中で水素化処理による接触脱硫法が発達し、ガソリン、灯・軽油、重油および潤滑油の各油種にわたって広く適用され、脱硫法の主流を成している。 |
脱硫
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/23 21:44 UTC 版)
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脱硫(だつりゅう、英語:desulfurization)とは、石油工業やガス工業において、原料、製品に含まれている、有害作用[1]を持つ硫黄分を除去することをいう。
概説
石油精製などにおける大型の脱硫設備として、水素化脱硫装置や各種触媒やアミン吸収を用いたプロセスが一般的である。さらに触媒による吸着によってppmレベルまで硫黄分を低減することを高深度脱硫、超深度脱硫などと呼ぶ。 燃料として使う場合、硫黄分を含んでいると燃焼時に硫黄酸化物を発生させ、機器部品の腐食や公害の原因となる。ガソリンエンジンなどの場合には硫黄分が多いと加鉛効果の低下がみられる。このため航空部門や船舶部門では排出ガス規制が進んでおり、超低硫黄軽油を含む低硫黄燃料の開発によって大気汚染物質の対策を行おうとしている。
SOx対応
影響
脱硫工程は、大気中に有害な硫黄酸化物(SOx)を放出させない点でも重要である。SOxは石油や石炭などの硫黄分が含まれる化石燃料が燃焼されたときに発生し、ぜんそくや酸性雨などに繋がる大気汚染の原因となる[2]。
対策
- 燃料
- まず燃料中の硫黄分を低減することが第一の対策である。石油の場合、低硫黄の原油の輸入、原油脱硫(燃料として使用する前の原油から化学的なプロセスにより硫黄を除去する方法)などが挙げられる。石炭についても、高硫黄の石炭から低硫黄の石炭への転換、燃焼前の石炭からの硫黄分の除去が行われた[3]。
- 脱硫設備
- 硫黄酸化物を減らすための技術としては、水素化脱硫、高煙突化、重油脱硫、排煙脱硫などがある[4][5]。石油の脱硫方法としては、悪臭の原因となるメルカプタンを酸化させ、においがしない二硫化物にするスイートニングがアルカリ処理と合わせる方法が古くから行われており、近頃ではほとんどすべてを除去する水素化脱硫が普及している。接触改質装置の前処理として、触媒毒となる硫黄化合物、窒素化合物、金属分の除去のためにも適用される。なお重質油の水素化脱硫法には、減圧軽油の間接脱硫法と残油の直接脱硫法がある[5]。
歴史
日本において排煙脱硫装置の本格的な開発が始まったのは、公害問題が顕在化し始めた1960年代前半からで、大型火力発電所向けの排煙脱硫装置の開発が中心であった。現在、日本では排煙脱硫設備の設置も行き渡っているが、今後は中国や東南アジア地域でのニーズが拡大することが確実と見られている[7]。
関連項目
脚注
- ^ 重油や軽油に含まれる硫黄分は、炭素と共に噴射ポンプの金属部品にとって潤滑剤として働き、有用でもあった。
- ^ http://words.ecogate.jp/archives/2007/01/sox.html
- ^ http://tenbou.nies.go.jp/science/description/detail.php?id=32
- ^ “環境用語集:「硫黄酸化物」”. www.eic.or.jp. 一般財団法人環境イノベーション情報機構. 2020年4月29日閲覧。
- ^ a b “環境用語集:「重油脱硫」”. www.eic.or.jp. 一般財団法人環境イノベーション情報機構. 2020年4月29日閲覧。
- ^ “平成17年度地球温暖化防止活動環境大臣表彰・表彰式の開催について”. JXTGエネルギー. 2020年4月29日閲覧。
- ^ http://tenbou.nies.go.jp/science/description/detail.php?id=32
脱硫
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/13 10:11 UTC 版)
NiCl2/NaBH4系は、チオアミドやチオエーテル、チオエステル、チオール、スルフィドを脱硫する。有機スルフィド、ジスルフィド、チオール、スルホキシドはNiCl2/NaBH4によって炭化水素へと還元される。フェノチアジンのジフェニルアミンへの還元を以下に示す。 Ni2Bはチオアセタールの切断にも用いることができる。Ni2Bは非自然発火性で、空気中で安定、多くの場合高収率を与えるため、環状チオアセタールの除去においてラネーニッケルの安全な代替品として提案されている。Ni2Bによって触媒される脱硫は立体配置を保持したまま起こることが同位体標識によって証明されている。
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