NY商品、原油が小幅続伸 需給のゆがみ改善期待、金は続伸
【NQNニューヨーク=横内理恵】1日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で原油先物相場は小幅に続伸した。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で期近の10月物は前日比0.06ドル高の1バレル47.29ドルで取引を終えた。ハリケーンの影響による原油やガソリン需給のゆがみが改善に向かうとの期待が原油の買いを誘った。ただ原油需給の一時的な緩みは続くとみられ、上値も重かった。
前日に、米政府がガソリン需給逼迫への対応として戦略石油備蓄から原油を放出したと伝わった。ハリケーンの影響で原油を調達できなくなっているルイジアナ州の製油所に戦略石油備蓄から100万バレルを引き渡したという。ガソリン先物相場が下げた一方、原油相場には買い戻しが入った。
もっとも、上値は重かった。大洪水による製油所の一部稼働停止で、引き続き米国全体の石油精製能力は2割近く縮小しているとみられる。浸水や停電が続き、製油所の復旧には時間を要するとの見方も多い。一時的に原油在庫が積み上がり、原油需給が緩むとの見通しが売りを誘った。
この日から期近物となったガソリン先物の10月物は下落した。政府がガソリン価格の高騰を抑える目的で戦略石油備蓄を放出したことで需給ひっ迫観測が和らいだ。前日には9月物が期近物として約2年2カ月ぶりの高値を付けるなど急上昇しており、利益確定売りも出た。ただガソリン需給が締まった状態は続くとの見方から下値も堅かった。ヒーティングオイルは上昇した。
ニューヨーク金先物相場は続伸した。ニューヨーク商品取引所(COMEX)で取引の中心である12月物は前日比8.2ドル高の1トロイオンス1330.4ドルで取引を終えた。8月の米雇用統計で非農業部門雇用者数の前月比の伸びが市場予想を下回り、賃金の伸びも鈍った。米連邦準備理事会(FRB)が利上げを急がず、金市場への資金流入が続くとの見方から買いが入った。
雇用統計発表後に外国為替市場でドルが主要通貨に対し下落すると金買いが膨らみ、一時は1334.5ドルと2016年11月9日以来、約10カ月ぶりの高値を付けた。
銀とプラチナは続伸した。