鴻海、ノキアの携帯買収 グループ会社通じ380億円
【台北=伊原健作】台湾の電子機器の受託製造サービス(EMS)世界最大手、鴻海(ホンハイ)精密工業は18日、グループ会社を通じ、ノキアの従来型携帯電話事業を買収すると発表した。買収額は3億5千万ドル(約380億円)。鴻海は4月にシャープの買収を決めたばかりで、M&A(合併・買収)によるブランドビジネスの取り込みを加速している。
ノキア(フィンランド)は2014年に携帯電話事業を米マイクロソフトに売却した。鴻海は今回、中国で携帯電話の受託製造を手掛ける富智康集団(FIHモバイル)を通じ、マイクロソフトから事業の一部を買収する形を採る。契約にはスマートフォン(スマホ)事業は含まれていない。
ノキアブランドの従来型携帯電話はインドやインドネシア、中東などの新興市場で展開している。昨年発表した新製品は1台55ドルの低価格が武器で、鴻海は成長性があると判断したとみられる。
鴻海は16年1~3月期の連結純利益が前年同期比9%減の275億台湾ドル(約920億円)と、2四半期連続の最終減益となった。大口顧客である米アップルのスマホの販売不振が足かせで、成長に向け新たな収益源を模索している。
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