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「第2のLINE」か 国産アプリ「CocoPPa」世界でヒット

6月に利用者1000万の大台突破へ

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ネット広告のユナイテッドが開発したスマートフォン(スマホ)の無料アプリ「CocoPPa(ココッパ)」が世界中で人気を集めている。米アップルの「iPhone(アイフォーン)」対応で、画面のアイコンや壁紙を自由自在に変更できるのが特徴だ。膨大な素材を用いて自分仕様に画面をデザイン可能なことに加え、アイコン作者と利用者が気軽にふれあえる独自のSNS(交流サイト)機能が斬新だとして支持を集める。

提供からわずか10カ月で800万人がダウンロード。そのうち47%が米国からだ。ゲーム以外で海外ヒットする国産アプリは珍しく、欧米やアジアの利用者との絆を作りたい企業も提携を検討するなどネット業界での注目度が急上昇している。

iPhoneに続き「アンドロイド」版を追加投入

「6月に1000万達成はほぼ確実。年内に3000万ダウンロード達成も視野に入ってきた」。手嶋浩己取締役の鼻息は荒い。ユナイテッドは29日、米グーグルのスマホOS(基本ソフト)「アンドロイド」対応のCocoPPaを投入した。iPhoneで一定の成功を収めたとみて、利用者の増加ペースを加速させるためにアンドロイド版の投入に踏み切った。

米調査会社のIDCによると、2013年1~3月期だけでスマホは世界で2億1620万台が出荷され、このうちアップルのシェアは17.3%(3740万台)。残りの大半がアンドロイド搭載機であり、潜在需要は少なくないとみている。

CocoPPa人気を支えるのは10代女性だ。利用者全体の実に9割に及ぶ。彼女らがカスタマイズした画面を眺めると、例えばSNS「フェイスブック」のアイコンはヒョウ柄で、動画投稿「ユーチューブ」はハートマークをあしらったかわいらしいもの。背景も花柄模様やインスタントカメラ写真風など華やかで、アップルのオリジナルの無機質な画面とはずいぶん違う印象に仕上がっている。使い手が変わればできあがりも十人十色だ。

「スマホの画面を自分らしく飾って"デコ"りたい。趣味趣向を色濃く反映でき自己表現しやすい点が彼女らの心に刺さったのでは」。ヒットの原動力を手嶋取締役はこう分析する。実は似たアプリがほかになかったわけではない。ただCocoPPaの場合、用意する素材数が断トツに多いのだ。現時点でアイコンは約190万、壁紙は約20万種類に及ぶ。無限に近い組み合わせを楽しめる幅の広さの点で従来アプリと大きく差異化を図った。

なぜこれほど膨大な素材を用意できたのか。その秘密は利用者自身がアイコンなどを作成して投稿できる機能にある。今どきの「10代女子」にとって写真などをスマホで加工するのはお手の物。写真編集ソフトを駆使して既存のアイコン画像を取り込み、あっというまに自分流にアレンジしてしまう。3月にはより高度な加工をしたいという声に応えて、パソコンでアイコンなどを編集して投稿可能なサービスを開始し、より質の高い素材が集まるようになった。

アイコンで現在ダウンロード数トップの作者は日本人の女子中学生。世界各国の200万人が愛用中だ。CocoPPaが工夫したのは、SNS(交流サイト)機能を用意したこと。作者らは自分のページをもつことができ、自作のアイコンや壁紙を紹介できる。素材ごとにダウンロードしてくれたほかの利用者がメッセージを書き込めることから、「あなたのアイコンが大好き!」「ありがとう」など画面を通じて作者と利用者の間で活発な交流が日々図られている。人気の高い作者にはファンがつき、それがモチベーションとなりまた新たな素材作りのきっかけを生み出している。

SNS機能で作者と利用者が国境超えて交流

便利なのは米グーグルの自動翻訳サービスとの連携だ。SNS中の各メッセージには翻訳ボタンが用意してあり、簡単な操作で英語を日本語などに変換できるのだ。結果として、国境を越えて気軽に心を通せられるこれまでにないSNS文化が10代女子を夢中にさせている。

アプリが世界的にヒットしたかどうかの指針の1つに、「1000万ダウンロード」がある。ゲームやカメラ関連では国産アプリでも達成したものがあったが、それ以外のジャンルではごくわずかだ。ようやく高い壁を超え世界的に大ヒットしたのは無料電話・チャットアプリ「LINE(ライン)」ぐらいである。LINEが1000万ダウンロードを達成したのは開始から6カ月目だったが、CocoPPaが同規模を達成するのにかかりそうな時間は11カ月と長い。

ただここに来てCocoPPaは1週間に100万人増えることがあるなど、急速に利用者の裾野を広げつつある。ネット業界の関係者の間からは利用者1億人越えの可能性もあるとして「第2のLINE」と期待する声も漏れ聞こえる。

調査会社の米アップアニーによると、3月の1カ月でゲームを除くアプリの世界ダウンロードランキングでCocoPPaは9位に入った。10位以内のほかの顔ぶれは米グーグルや米アップルなどの著名アプリばかりなだけに存在が際立つ。

3月に世界9位に、画像共有サービスで火が付く

海外で大々的な販促活動をしたわけではないのに、利用者の半数を米国で集めることができた珍しい存在のCocoPPa。その理由についてユナイテッドは写真共有サービスのインスタグラムやピンタレストなどの普及が英語圏で著しいことが影響したのではと分析する。「美しい写真をネットで自慢し合うことが根付いており、その共有の輪を通じてCocoPPa利用者が自分のオリジナル画面を次々投稿しシェアされていったようだ」(手嶋取締役)。

あのかっこいい画面はCocoPPaというアプリを使えば作れるんだ――。そんな口コミがネットで伝染し人気に火が付いたというわけだ。「なんでも"デコ"って楽しもうとするのは、都市部に住む10代女子の世界共通の価値観。ピッタリはまったのも大きかった」(手嶋取締役)。

ユナイテッドは今秋をめどに大幅な機能強化を図る計画。より作者と利用者が交流を深められるようにするほか、ほかの企業との協業も積極的に進めていく。

LINEが築き上げた1億5000万人が使う巨大な交流基盤の上では、日本人クリエーターの作品がスタンプとして海外へ輸出されるなど新たなコンテンツ流通も始まった。このままCocoPPaが成長していけば、すでに日本人女子中学生が活躍するように一般の消費者が世界とつながる発信の場に"化ける"可能性も否定できない。日本の文化を世界に発信する政府の「クールジャパン」戦略はこれまで苦戦してきたが、民が消費者と手を携えて世界の扉をたたけば事態を打開できるかもしれない。

(電子報道部 高田学也)

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