ソロス氏のヘッジファンド、円安で10億ドルの利益
【ニューヨーク=伴百江】米投資家が為替相場の円安に賭けて巨額の利益を得たことが明らかになった。米ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると著名投資家のジョージ・ソロス氏率いるヘッジファンドが昨年11月以降、円の下落を見込んだ取引で約10億ドルの利益を得たと報じた。デイビッド・アインホーン氏率いるグリーンライト・キャピタルやダニエル・ローブ氏、カイル・バス氏など著名ヘッジファンドの投資家も円安に賭ける取引で利益を確保したという。
これらの投資家は安倍政権誕生の直前から円安を見込んだ取引を加速させた。オプション取引などのデリバティブ(金融派生商品)を通じて円売りポジションを取る手法などを利用しているという。ヘッジファンドによる円売りと安倍政権誕生が為替市場の円安に拍車をかけたとみられている。
ソロス氏は1990年代に英ポンド売りで巨額の利益を得たことで知られる。当時は英中央銀行の政策に反対してポンド売りをしかけたが、今回のヘッジファンドによる円売りは日銀によるデフレ対策の成功に賭けている点が対照的だ。
ただ、短期取引のプロであるヘッジファンドは一定の利益を確保したら反対売買に出るのも速い。それだけに円安傾向に乗じてこれから円を売る投資家は遅きに失する可能性もある。