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マスメディア化する「LINE」、集客効果はSNS・メール以上

(徳力基彦)

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今年1月に全世界で1億ユーザーを突破し、ますます注目度が高まっている「LINE」の勢いが止まらない。2月26日には、LINEを展開するNHNジャパンがフィンランドの携帯大手ノキアと提携したと発表。ノキア製の低価格スマートフォン(スマホ)に3月からLINEをあらかじめ組み込む。NHNジャパンは同日、ロシアのゲームメーカーとの提携も発表している。

LINEは世界で1億、国内でも4000万を超えるといわれるユーザー数はもちろんのこと、驚くのは1日に1回は何らかのかたちでLINEを使うデーリーアクティブユーザーが、国内でも50%を超えているという点だ。読者の方も胸に手を当てて考えてみていただきたいが、これだけ多くの人が毎日使うサービスというのは一般にはメールサービスぐらいしか無いのではないだろうか。

《ポイント》
(1)LINEは携帯メールを確実に置き換え始めている。
(2)LINEの効果は「ソーシャル」より「マスメディア」に近い。
(3)月額5250円から利用できるLINE@の成功事例に注目。

一般的にゲームサイトなどのウェブサービスは、会員数を華々しくうたっていても、実際にサイトに頻繁に来るユーザーは会員数の1割程度ということも珍しくない。だがこの数値は利用者にとってLINEがメールに代わるコミュニケーションツールになっていることをうかがわせる。

メディアでは無料通話アプリと紹介されることが多いが、実際はスマートフォン(スマホ)メッセンジャーと言う方が正しいだろう。いわゆるガラケーと呼ばれる携帯電話における携帯メールの位置づけを、スマホにおいてはLINEのようなメッセンジャーアプリが奪いつつあるのだ。

マーケティングの世界においてLINEは新しいサービスであるため、フェイスブックやツイッターなどのソーシャルメディアと比較されることも多い。ただマーケティングにおけるLINE企業アカウントの役割は、ソーシャルメディアよりはメルマガに近い。

フェイスブックページやツイッターの投稿は、利用者に投稿ごとに直接通知が送られることは基本的にない。LINEの企業アカウントの投稿は友人からのメッセージと同様にスマホに通知が表示される。そのためLINEメッセージの開封率は60%を超え、そのメッセージから誘導されるページの訪問率は25%を超えるというデータもある。パソコンのメルマガの開封率から考えると、ありえないような高い数値を誇っている。

 LINEを活用してユーザーにクーポンを配信しているローソンでは、600万を超えるユーザーにメッセージを送信した結果、実際の店舗にユーザーが誘導されるという手応えを得ているようだ。その分かりやすい効果から、LINEは「マスメディア」と捉えるべきだという声も聞かれる。

一方で数百万単位のユーザーを集めることができるLINEの公式アカウントは、料金体系も月額800万円からとマスメディア並みに高い。

さらに通常のメルマガなら自社の会員向けのため、送信回数は自社で自由に設定できるが、LINEは送信回数にも制限がある。自社運営のメルマガと言うよりは有料のメール広告と言うべきで、料金体系的にもマスメディアの広告枠に近いかもしれない。

そんな中で、その公式アカウントの廉価版のメニューとして注目されるのが月額5250円から利用できるLINE@だ。こちらは実際に店舗を持っている飲食店や店舗などに制限されるが、1万人までの購読者に対して無制限にメッセージを送ることが可能で、中小企業向けのメニューともいえる。

理論的にはローソンが実施している時間を意識したクーポン送信などは、個人経営の飲食店や店舗でも再現が可能なはず。そうした事例が増えてくると、現在は月額800万円が支払える大企業向けとみられているLINEの企業活用に、新たな可能性が見えてくるはずだし、すでに自力で数千人の登録を集めている企業が出ているようだ。

もちろん、並行してLINEユーザー同士のトラブルや、企業活用が増えることによる効果の低減が発生するのは間違いないが、しばらくLINEの話題を目にする日は続きそうだ。

[日経MJ2013年3月1日付]

 「ECの波頭」は最新のEC事情を、専門家が読み解きます。執筆は、D4DR社長の藤元健太郎氏、通販コンサルタントの村山らむね氏、デジタルハリウッド大学教授の三淵啓自氏、アジャイルメディア・ネットワーク社長の徳力基彦氏が持ち回りで担当します。

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