患者紹介ビジネス禁止へ 厚労省、高齢者施設20カ所で確認
厚生労働省は23日、中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)の総会を開き、民間業者が患者を医師に紹介して仲介代金を取る「患者紹介ビジネス」を禁止する案を示した。省令を改正し、2014年度から医療機関の紹介料支払いを禁ずる方針だ。
紹介ビジネスは、業者が有料老人ホームなど高齢者施設の患者を医師にあっせんする手法。施設を訪問診療した医師が診療報酬から業者へ紹介料を支払ったり、紹介料の一部が施設側に渡ったりするケースもあるという。厚労省は、全国で少なくとも20施設がかかわっていたとの調査結果を公表した。
現行制度では紹介ビジネスは違法ではないが、患者が自由に医療機関を選べず、不要な診療が行われる恐れがあることから、不適切だと厚労省は判断した。14年度の診療報酬改定で、医師には訪問診療の時間や病状を記録して、患者や家族に説明するよう求める。
訪問診療は外来などに比べ診療報酬が高いため、仲介がビジネス化したとみられる。
調査結果は、都道府県などからの報告を基にまとめた。患者の紹介が確認された20施設は、認知症グループホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)など。紹介を受けた診療所は医科で5カ所、歯科で7カ所、仲介業者は3社だった。医療機関が診療報酬の10~15%を紹介料として業者に支払っていた例もみられた。
入居者33人のうち31人が訪問診療を受けていた、低料金で入居できる軽費老人ホームもあった。〔共同〕