ミサイル発射のたび安倍政権の支持率が上がり、ついに5割前後まで回復。私から見たらとんだ猿芝居でも、テレビしか見ない世代には頼れる首相に映るようです。(『三宅雪子の「こわいものしらず」』三宅雪子)
※本記事は有料メルマガ『三宅雪子の「こわいものしらず」』2017年9月22日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:三宅雪子(みやけ ゆきこ)
元衆議院議員。玉川学園女子短大、共立女子大学を卒業。テレビ局勤務を経て、2009年群馬4区で民主党から立候補し、比例復活当選。現在は、執筆やネット配信、福祉や介護のアドバイザーなどをしながら政治活動を行っている。
「安倍内閣は素晴らしい」弱者の痛みを知るはずの彼女がなぜ?
支持率50%まで回復、誰が支持している?
安倍政権の支持率がまた5割前後まで回復しました。私の周囲には、自民党支持者、ましてや安倍さんを評価している人がまったくいないので、今までずっと「いったいどんな人が支持しているんだろう」と謎でした。
ところがいたんです。やはり支持する人が。それがもっとも安倍政権で痛みを受けているはずの介護関係(ヘルパーさん65歳)の方だったので驚きました。
「え? 安倍さんのどこを評価しているんですか?」
「外交よ!素晴らしいわ。今までの内閣で一番でないかしら」
ぎょぎょぎょぎょです。
「特に外交のどこが?」
「北朝鮮への対応ね。完璧だと思うわ!」
「…」
驚きを禁じ得ませんが、こうした意見はこの1人だけではないのです。別の日に話した男性も同意見でした。私の周囲以外、国民が総洗脳されてしまっているのでしょうか。もっと多くの人の意見を聞いてみたいと思います。
ミサイル発射のたびに支持率が上がる
しかし、ミサイルが発射される → 騒ぎ煽る → 大袈裟な会見 → 支持率が上がる…といったスキームも、なんとなくわかってきました。
私たちから見たら、とんだ猿芝居のあの勇ましい態度ですが、テレビしか見ない世代には頼りがいがあると映るようです。その危機とやらがあるとしたら、安倍首相本人が招いたものなのですが、テレビではそんな解説をしません。ですから「北朝鮮に喧嘩を売られて、毅然と立ち向かう我が国の力強いリーダー」と思ってしまうんでしょうね。頭が痛くなります。
そもそも、この争いはアメリカと北朝鮮の争いであり、日本はお呼びでないというところから説明しないとダメそうですが、そうした説明をテレビではしませんから、ミサイルが発射されるたびに支持率は上がるわけなんですね。
シンプルに、普通に考えることの大切さ
普通に考えたら、それほどの危機であれば、とてもとても選挙などできるはずがありません。この点を不思議に思う人はどれほどいるのでしょうか。
しかも、選挙を決め、後付けで理由を探している始末です。教育・子育て支援といっても、それに反対している野党はいませんから、争点にはなりません。選挙は与野党が何かで対立したとき、国民の信を問うためのものです。
3ヶ月臨時国会から逃げまわり、議論もなにもせずにいきなり解散(らしい)だというのですから、呆れます。明らかに加計学園の追求から逃れるため。「我が逃走」と揶揄されるわけです。国民、有権者がまず、印象操作に惑わされないようにしないといけません。