ソシオネクストの株価は、現在暴落しています。2024年4月の高値から見ると、2025年2月現在では60%以上の下落です。そのため「ソシオネクストの株価が大きく下落しているけどなぜなんだろう」と不安に思っている方が多いようです。そこで今回はつばめ投資顧問が、ソシオネクストの株価が暴落している理由について解説します。また、ソシオネクストの将来性など今後の見通しについても紹介します。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)
プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。
ソシオネクストはどんな会社?
ソシオネクストは、特定の製品を動かすために必要なSoC(システム・オン・チップ)というオーダーメイドの半導体チップを作っている会社です。
ソシオネクスト<6526> 日足(SBI証券提供)
半導体チップとは、以下のようなものです。
出典元:京セラ「半導体(IC)パッケージとは」
ソシオネクストの特徴として挙げられるのは、設計に特化しているので工場を持っていないことです。
そのためオーダーメイドのチップを設計し、生産を委託してSoC(システム・オン・チップ)を製造しています。
ここでは、ソシオネクストが作っているSoC(システム・オン・チップ)についても解説します。
<SoC(システム・オン・チップ)とは>
SoC(システム・オン・チップ)とは、画像の右側のように1つの基盤に必要に応じたチップを組み合わせて、左側のように1つのチップにまとめて様々な機能をもつ高性能なチップを作ることです。
たとえば、インテルのCPUやエヌビディアのGPUなどを組み合わせて、用途に合わせてカスタマイズするイメージです。
近年では技術が進歩して、半導体の微細化に限界が見えてきています。
そのため、いまは様々なチップを組み合わせて高性能なチップを作る潮流があります。
ソシオネクストは、その技術を持っている会社です。
<SoC(システム・オン・チップ)はどんな場面で活躍するのか>
SoC(システム・オン・チップ)が活躍する、具体的な場面を見ていきましょう。
特定の製品を製造するとき、半導体に求められる性能はそれぞれ違います。
たとえば、8Kテレビを製造するならどんな環境でも美しく見せられる機能として自動で明るさを調整させるための半導体が必要です。
このように、製品それぞれの機能に合ったチップが必要になるときSoC(システム・オン・チップ)が活躍します。
他にも、自動運転技術やデータセンターなどでSoC(システム・オン・チップ)が必要とされています。
お客様の要望に対して、適切なチップを設計しているのがソシオネクストです。
<SoC(システム・オン・チップ)のメリット>
SoC(システム・オン・チップ)のメリットは、コストを下げられることにあります。
たとえば、最適な設計ができるのでオーバースペックな半導体を載せることが減ります。
また、部品数を少なくしたり消費電力を抑えたりすることも可能です。
このように、ソシオネクストはチップを設計することで様々なニーズに応えています。
ソシオネクストの強み
ソシオネクストは、自動車向けのSoC(システム・オン・チップ)を作ることに強みがあります。
なぜなら、ソシオネクストは画像認識と通信技術を得意分野としているからです。
たとえば前の車との車間距離を画像で認識し、通信技術を合わせた事故防止システムを自動運転に実装させていく技術を持っています。
ソシオネクストは元々、パナソニックと富士通の半導体設計部門が統合してできた会社です。
パナソニックは通信技術やチップの設計、富士通は画像認識が得意です。
現在、社会では自動運転が期待されていますが、ソシオネクストはそれを実現するために適切な強みを持ち寄ってできた会社だといえるでしょう。
他にも、自動車向けSoC(システム・オン・チップ)は量産された車にも搭載されています。
たとえば制限速度を標識から認識し、カーナビが表示してくれるなど様々なところで実装されています。
ちなみに、ソシオネクストの顧客は大手自動車メーカーが多いです。