先行き不透明感が色濃い東京市場にあって、建設株が意外なほどの底堅さを見せている。足元の業績と株価推移がともに好調な建設株をいくつか挙げておきたい。(『 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 』田嶋智太郎)
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プロフィール:田嶋智太郎(たじま ともたろう)
慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て転身。転身後の一時期は大学教諭として「経営学概論」「生活情報論」を担当。過去30年余り、主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、地域金融機関改革、引いては個人の資産形成、資産運用まで幅広い範囲を分析研究。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等において、累計3,000回超の講師を務めてきた。これまでに数々のテレビ番組へのレギュラー出演を経て、現在はマーケット・経済専門チャンネル『日経CNBC』のレギュラー・コメンテーターを務める。主な著書に『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)などがある。
マネーの逃避先として注目度を高める建設関連株
先行き不透明感が色濃い東京市場にあって、建設株が意外なほどの底堅さを見せている。日本株のプロ投資家が注目するのは粗利益率の改善などの変身ぶり。世界的な半導体株安の流れからレーザーテックや東京エレクトロンなどの株価が振るわないなか、半導体株からのマネーの退避先として建設株に注目する向きが増えているようにも思われる。
10月16日付の日経電子版では「その根底にあるのは『変身だ』」と指摘されている。市場では、人手不足という日本の構造的要因が建設株の「変身」を後押しするとの期待も高まっている。「中野サンプラザ」跡地の再開発が暗礁に乗り上げた事例しかりで、いま建設事業者は人手不足で供給能力が限られてしまっており、結果、採算のとれない案件の受注は減る傾向にあるという点に期待する向きもある模様。
もちろん、高度経済成長期に整備された社会インフラの老朽化に伴って、改修および再開発の需要が高まっていることや、政府主導で「防災・減災・国土強靭化」のための政策対応が進められていることなども建設事業者のビジネスチャンスを広げることに貢献している。
以下に、足元の業績と株価推移がともに好調な建設株を幾つか挙げておきたい。
大林組<1802>
昨年、英シルチェスター・インターナショナル・インベスターズから配当強化などの株主提案を受けた。大林組は株主提案には反対したものの、今年3月に自己資本利益率(ROE)の目標を「26年度までに10%以上」に引き上げるなどの改革に着手。DOE=5%程度の方針を掲げ、足元の配当利回りは4.2%台と魅力の水準にある。
足元は、手持ち工事が順調に進むほか、前期に買収した米国の水インフラ企業の寄与で増収基調が続く。建築工事の利益率が改善し、増益基調も強まっている。
25年3月期は、売上高が前期比7.9増の2兆5100億円、営業利益は同17.2%増の930億円、純利益は同15.9%増の870億円を見込んでいる。
7月19日に年初来高値を更新し、その後は調整含みながら、足元で1,800〜1,900円処でのレンジを形成しており、同レンジを上放れてくると、そこから上値余地が大きく広がるものと期待される。10月15日、みずほ証券は投資判断を「中立」から「買い」に格上げ、目標株価も1,120円から2,400円にまで引き上げた。
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