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シリア政変、その後の中東世界に何が起こるか

Foresight World Watcher's 5 Tips

シリア内戦の「勝者」とされるトルコもいくつかの懸念を抱え込むのは避けられない[スピーチを行う「シャーム解放機構」(HTS)のジャウラニ指導者=2024年12月8日](C)AFP=時事

 今週もお疲れ様でした。12月8日に反体制派が首都ダマスカスを制圧し、バッシャール・アル=アサド大統領はロシアに亡命、2011年以来続くシリア内戦に終止符が打たれました。50万人以上が殺害され、家を失った人は1300万超、国外に逃れた難民は約620万人とされています。

 凄惨な統治を行った独裁政権の終焉ですが、シリアの内戦には複数の大国ほか様々な勢力が関与してきました。この政変の「勝者」とされるトルコ、反政府勢力を支援しながらもトルコとは利害の不一致があったアメリカ、アサド政権を支援してきたロシア、イラン。レバノンの親イラン武装組織ヒズボラにイランから送られる武器・弾薬はシリアを経由していますし、イスラエルはそのヒズボラのシリア領内の拠点を攻撃します。アラブ世界の中心部とも称されるシリア情勢の流動化は、新たな混乱の導火線に火をつけかねません。

 韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領については、本日、二度目の弾劾訴追案が可決されました。大統領は職務停止、憲法裁判所が180日以内に罷免の是非を判断します。尹大統領に対しては手厳しい記事・論考が目立ちますが、尹氏が野党を“親北朝鮮”と非難したのに対抗する形で野党が唱えた“日本の協力者”との大統領批判が、韓国社会の反日感情に新たなうねりを生み出さなかいかも気になるところです。

 フォーサイト編集部が熟読したい海外メディア記事5本、皆様もよろしければご一緒に。

The Day After Assad【Natasha Hall, Joost Hiltermann/Foreign Affairs/12月9日付】

「12月6日、ロシアは軍と外交官を本国に召還し、基地からの撤退を開始した。選択肢が限られてきたイランも、アサドのために戦うのは無駄だと認識し、同盟民兵組織を撤退させた。東部では、クルド人が主導するシリア民主軍(SDF)とアラブ人が主導する軍事評議会が、政権軍と協定を結び、[略]イランとイラクからの政権への補給路を断ち切った。反体制派がダマスカスに近づくと、残っていたロシア軍、イラン軍、政権軍も北東部の各地から撤退した」

 シリアの政変について、さまざまな記事や論考が出てきた。アサド政権の抵抗が予想外に弱く事態の進行が非常に急だったこと、次の政権の体制が不透明であること、これまでの内戦に関わってきた国や勢力が多いことなどから、分析や予測には明快なものが少ない。

 そんななかで米「フォーリン・アフェアーズ(FA)」誌サイトの「アサド去りし直後」(12月9日付)は、内戦の歴史から政権の崩壊、そして今後の見通しまでをコンパクトに伝えてくれる論考だ。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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