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【再掲】「10月7日」以後の中東(5)ネタニヤフ首相の「バイデン落選運動」と米・イスラエル関係

執筆者:池内恵 2024年12月15日
エリア: 中東 北米
※2024年6月15日公開の記事を再掲します

 10月7日以降のガザ紛争の展開によって、パレスチナ問題が「イスラエル問題」に転化した、と昨日掲載のこの欄に記した。

 それと同時に、イスラエルの内政・外交があまりにも米国の内政・外交と直結しているため、ガザ紛争の帰趨に影響を及ぼす要因が、結局のところ「米・イスラエル関係」に集約されてしまうという側面がある。米国の中東での影響力の大きさ、あるいは中東一般というよりは、イスラエルとの政治的関係の深さと、しばしばなりふり構わない肩入れにより、中東問題が「米国問題」あるいは「米・イスラエル関係問題」となってしまう傾向があり、これは今回のガザ紛争で一層あからさまになった。

 イスラエル・パレスチナ問題においては、パレスチナ側の事情や、アラブ諸国・中東諸国の動きが、当面は二次的な要因にしかなり得ず、もっぱらイスラエルの内政事情や、イスラエルと米国の内政と外交が綯い交ぜになった骨がらみの関係が、決定的要因となる。

 米・イスラエルの二国間関係は、「特別な関係」と呼ばれる数多くの米国の友好国との二国間関係の中でも特殊であり、異様である。両国の政権は強固な二国間関係を表明し続け、実際に政治・経済・軍事・情報に密接な、分かち難い「相互乗り入れ」のような関係を結んでいるが、分かち難いが故に、しばしば相互に内政干渉を行い、摩擦の火花を散らす。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
池内恵(いけうちさとし) 東京大学先端科学技術研究センター グローバルセキュリティ・宗教分野教授。1973年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より東京大学先端科学技術研究センター准教授、2018年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、『【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』 (新潮選書)、 本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』(同)などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。
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