注目の判決が言い渡されました。妻を殺害した罪に問われている元長野県議の丸山大輔被告の裁判。長野地方裁判所は「被告人が犯人であるという認定に合理的な疑いは残らない」として、懲役19年の実刑判決を言い渡しました。一方、丸山被告は「意外な判決でショックを受けている」と弁護団に話しているということです。弁護側は年内に控訴する意向を示しました。
23日昼過ぎの長野地方裁判所(長野市)。注目の判決とあり、傍聴希望者は337人に上りました。
2021年9月に長野県塩尻市の自宅兼酒蔵で、妻・希美さんの首を何らかの方法で圧迫し、殺害した罪に問われていた元県議の丸山大輔被告(50)。
10月の初公判では、「妻を殺害したのは私ではありません」と起訴内容を否認し、無罪を主張していました。
裁判の争点は、被告が犯人であるかどうかの「犯人性」。犯行を裏付ける直接的な証拠がない中、被告の車が映ったとされる防犯カメラの画像など間接的な証拠をもとに4つのテーマに分けて審理が進められてきました。
検察側は「被告が犯人でないと合理的説明がつかず、犯人でないことはあり得ない」などとして懲役20年を求刑。
一方、弁護側は「直接的な証拠はなく、被告が犯人であることを証明できていない」などとして、改めて無罪を主張。
最後に丸山被告は、「私が希美を殺すわけがない」などと話し、裁判は11月26日に結審しました。
迎えた12月23日の判決。
丸山被告は黒いスーツ姿で入廷し、落ち着いた様子で裁判長を見つめていました。
そしてー。
坂田正史裁判長:
「主文、被告人を懲役19年に処する」
長野地裁の坂田正史裁判長は、「被告人が犯人であるという認定に合理的な疑いは残らない」として事実関係を認定。
「不倫女性と復縁したいという思いを募らせ、被害者の殺害に及んだもので、その行為は冷酷かつ凶悪な犯行として相当厳しい非難に値する。かなり長期の刑を選択するよりほかない」などとして懲役19年の実刑判決を言い渡しました。
丸山被告は、弁護人の隣に座り、しきりに汗をぬぐいながら判決理由を聞いていました。
懲役19年の有罪判決。裁判所はどういう点を認定したのでしょうか。
裁判は、間接的な証拠をもとに4つのテーマに分けて進められてきました。
一つ目の「被告の所在・移動の状況」では、防犯カメラに映っていた不審車両について、被告の車であるとする検察側の解析結果を「信用できない部分もあるが、複数の時刻・地点において被告の車の可能性が高い」などとしました。
二つ目の「動機」では、「不倫相手と復縁交際したいという思いを相当強くしていた被告が、妻の殺害という行為を次第に思案し、場当たり的にそのような考えを思い立ってもおかしくなかった」としました。
三つ目の「現場の状況と痕跡」では、金庫以外に物色の痕跡がないこと、被害者に逃走・抵抗の跡がないことなどから「物取り犯の犯行に見せかけて、被害者と相当近い人物の犯行である」としました。
四つ目の「事件前後の被告の言動」では、パソコンにUSBを差したまま7時間半にわたって操作しなかったことを「議員会館にいたとする意図的な工作であった蓋然性が高い」としました。
いずれも検察側の主張を認めた形となりました。
長野地検の次席検事は「間接証拠が適切に総合評価され、検察官の主張が受け入れられたものと理解しており、長期間の審理に携わった裁判員の皆様に敬意を表する」とコメントとしました。
一方、裁判後に弁護側が会見を行い、「様々な点で疑問が残る判決」として年内に控訴を申し立てる意向を示しました。
丸山被告は「意外な判決でショックを受けている」と弁護団に語ったということです。