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ジャック・マー、清華大卒業式で語った「運に恵まれる人の思考と習慣」

ジャック・マーの言葉

VCG/VCG via Getty Images

アリババグループは2014年9月、NY市場に上場した。史上最大のIPOは、世界に中国企業と市場の成長ぶりを知らしめ、大株主だったソフトバンクグループにも巨額の富をもたらした。

その数カ月前の6月29日、創業者のジャック・マー氏は清華大学経済管理学院(経済・経営学部に相当)の卒業式に登壇した。中国のトップ大学である北京、清華両大学でスピーチを行うこと自体が、世界で成功したことの証明とも言えるが、無名大学卒業のマー氏は、優秀な頭脳を持つ学生たちを称えながらも、「努力をやめれば、私の母校の学生たちに抜かれる」と警告することも忘れなかった。


こんにちは。

まず皆さん、卒業おめでとうございます。清華大学は、中国で最も素晴らしい大学の1つですが、私の心の中で、中国で最高の大学は母校の杭州師範大学です。 学校で学んだ知識だけでは不十分で、社会で学ぶ知識は尽きることがありません。 杭州師範大学が私に与えてくれたのは、学び、知識を習得する能力でした。今日、皆さんは明るい顔をしています。30年後も初心を忘れず、今日のような笑顔でいられて、成功と言えます。

今日はここで、私の思いと経験を話しましょう。私の大学入試は成功とは言えないものでした。数年にわたって受験しました。1年目の数学が1点、本当です。2年目が19点、3年目は89点。ですが一度も諦めませんでした。

皆さんに注意と助言をさせてください。まず注意。あなたが今日受け取った卒業証明書はただ1枚の紙にすぎません。それはご両親が過去4年、あるいは6年、8年間かけてあなたのためにたくさんの学費を支払ったことを証明する、ただの学費の通知書です。あなたたちがたくさんの学費を支払い、数多くの模擬試験に大量の時間を費やしたことが示されているだけです。単なる模擬試験ですよ。

次に助言。清華大学を卒業したあなたは、杭州師範大学の学生を称賛してください。杭州師範大学を卒業した人は、自分自身を称賛してください。この社会は常に変化に満ち、常に奇跡に満ちているからです。

心配することは正常、しないのが異常

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清華大学の2020年6月の卒業式

REUTERS

人生は今がどんなに成功していても、最終的に死んだ時にしか勝ったか負けたか分かりません。私たちはまだ始まったばかりだと思います。ここにいる多くの方々は卒業後のさまざまなことを心配しているでしょう。経済学や経営学を勉強してきた自分は、上司になれるのか、良い上司や良い会社を見つけられるのかと心配しているでしょう。

実際、私も毎日心配しています。創業当初は、会社は生き残ることができるのか、その後は会社が大きく成長できるのか、その後も会社が倒れるのことを心配してきました。今は、今まで以上に心配しています。私たちはいつも心配していますが、心配することは正常で、心配しないことは異常だと考えています。

ジャック・マー語録

だから、皆さんに提案したいです、それも本心から。過去30年間、私は毎日心配してきました、全力で頑張っていないのではないか、災難を見極められなかったのではないか、良い機会をつかめなかったのではないか。ただ、1つだけは心配しなくてもいいことがあります。誰もが確実に悲しみ、理不尽、不満、そして不運を経験します。心配しなくても、間違いなく経験します。その時が来たら「いつか来ると分かっていた」と考えましょう。

今はいろいろと絡み合った、疑惑と不信感に満ちた時代のように見えます。 この世界には、あらゆる機会が欠けているようにも、さまざまな機会があるようにも思えます。若者ができないことはないようにも思えるし、若者は何もできないようにも思えます。

もつれて絡み合った時代ですが、一方でそれは変革なのです。このような変革の時代に社会に出る皆さん、おめでとう。 変革がなければ、アリババは存在しません。アリババとジャック・マーが今あるのは、過去30年間の中国の変化のおかげです。

30年後の若者は必ず私たちを超える

私の思いを言わせてください。今後30年間で、中国はさらに大きな変化と大きな機会を生み出すでしょう。私の業界のことを言えば、世界はITからDT(Data Technology)に移行しています。この2つは言葉だけでなく、考え方、文化、社会が大きく違います。

今、ほとんどの人はITの観点から世界を見ています。ITは自分が中心です。自分が管理しやすくするためにあります。DTは他者が中心です。他者を強化し、他者をサポートします。DTは、他者が成功した場合のみ自分が成功できるという考え方です。DTシフトは考え方や技術に大きな変化をもたらすでしょう。

変化の時代は若者の時代だと言いたいです。もちろん、トラブルも増えますが、本日ここで出会った方々の70%、80%がアリババの社員になってくれれば、私はそんなに心配せずに済みます。今後30年間、私は皆さんを追跡したいですね。あなたたちは世界を変え、機会をつかむでしょう。もつれ合う、変化の時代は若者にとっての機会です。

ビジネスはどんどん難しくなっていると言われますが、ビジネスはそもそも簡単ではありません。今、若者はIT業界が既にアリババ、テンセント、バイドゥに握られていると悩んでいます。私たちが創業した時もチャンスは既にIBM、シスコ、マイクロソフトに奪われたと感じました。30年後の中国企業は今よりも良く、今よりも大きくなると信じてください。

ジャック・マー語録

30年後には豊める人が増えるでしょう、カルチャーはより多彩になるでしょう、30年後の若者は必ず私たちを超えるでしょう。これは世界の変化です。

分からないことは恥ずべきことではない

変化の時代において、私自身の経験を皆さんと分かち合いたいと強く思います。私は起業から30年間、一貫して3つのこと守ってきました。この3つが皆さんにとって役立つかどうか考えていただきたいです。それは理想主義、責任感、そして前向きな楽観主義です。

私は未来を信じています。誰かが私を超えることができると信じています。実際私は数学が苦手で、経営を勉強したことはなく、会計も分かりません。今も財務諸表を読めません。これは事実ですが、恥ずかしいとは思いません。分からないことを恥じる必要はなく、分からないのに分かっているふりをすることが恥ずかしいのです。

使い方が分からないので、私は(ECサイトの)淘宝(タオバオ)で買い物をしたことはなく、(モバイル決済アプリの)アリペイ(支付宝)も使っていません。でも、アリペイの良し悪しはいつも耳に入るようにしています。使いすぎると自社製品を守りたくなるので、使わないようにしています。分からないからいつも眠れないほど会社や自分のことを心配しています。私が眠れないことで、社員は眠れます。

ジャック・マー語録

『ザ・チャイニーズパートナー』という映画を見ました。とても良い映画ですが、大きな問題があります。それは主人公がよく泣くことです。実際、起業家は泣くものではなく、他者を泣かせるものです。ですから、私たちは常に未来、若者、そして他者を信じています。私が他者を信じなければ、アリババはプログラムを書けません。私が他者を信じなければ、アリババの市場は今のようには大きくなっていないでしょう。

責任とは正しいことを勇気をもって実行すること

第2に、責任感を持ってください。今、アリペイは大きな論争を呼んでいます。実際、2004年にアリペイとアリファイナンス(現在のアント・グループ)を始めようとしたとき、いつかこのような事態に遭うと分かっていたし、悩んでいました。

その後ダボス会議で、多くの政治家や起業家が責任とは何かについて話しているのを聞きました。責任とは社会の発展にとって正しく有益だと思うことを、勇気を持って実行することです。その会議の後、私は会社に電話し、「すぐにアリペイとアリファイナンスを始めてください。問題が起きたら、私が責任を持って解決します」と言ったのを覚えています。

昨年初め、アリファイナンスの社内会議で、中国の金融を革新することに代償を払わないといけないなら、私が払うと全社員に言いました。社会を改善し、金融を活性化し、業界に貢献し、着実にイノベーションを起こすという希望を本当に持っていれば、皆さんは間違いなくますます強くなります。希望を持つことによって社会のシステムはよりはっきりした輪郭を見せてくれます。

今の社会は理想主義と責任感が足りないから、それらが一層必要です。個人、社会のニーズのあるなし以上に、最も足りないものが、最も貴重な資源になるのです。他者がやりたくなくて、最もニーズのあることをすれば、成功できます。

今の社会はとても大きいと言われています。淘宝では毎日何千万回の取引があり、何千万人が荷物を知らない人に送り、見知らぬ配達員に預けています。これは以前では考えられないことです。 今の若者はさまざまな方法、技術的な方法を利用して「信用」が存在すると示しています。

ジャック・マー語録

今日は残酷、明日はもっと残酷、明後日は美しい

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