■今さら聞けないサステナビリティ重要単語:生物多様性■
「生物多様性」(Biodiversity)とは、多種多様な生物種、遺伝子、そして生態系が存在することですが、それが近年、全世界的に脅かされていることが明らかになっています。
そもそもなぜ生物多様性が失われつつあるのでしょうか。主な原因は ①生息地が破壊される②乱獲される③気候変動が進行して被害を受ける ④化学物質などによる汚染が拡大する⑤外来種が導入され増加する─ などです。
これらはいずれも人間活動であり、特に企業活動による影響はほかの原因より圧倒的に大きくなっています。
生態系は木材や水産物など、人間にとって重要な資源を提供します。さらに、森林であれば、二酸化炭素を吸収するとともに酸素を供給し、気候を安定化させ、雨水を貯留し浄化し、風水害から私たちの資産を守るというさまざまなサービスも提供しています。
また、遺伝子の中に刻まれた情報である遺伝子資源は、薬や化粧品、栄養食品など、有用な商品を開発することに役立っています。
最近ではこうした機能「生態系サービス」の経済的価値や、企業活動がそれをどれほど毀損しているかが具体的に計算できるようになり、その大きさが世界のビジネスリーダーに衝撃を与えています。
先進企業は、森林破壊には一切加担しないことを宣言し、認証原材料を使用するなど、自社の操業方法だけでなく、サプライチェーンにおける原材料の採掘や生産の方法を見直し、生物多様性に与える負荷をゼロに、そしてプラスにする挑戦を始めています。
経済活動による生物多様性への影響を科学的に分析し、負荷を与える事業に反対する声明を出したり、政策提言を行う環境NGOも存在感を増しています。
2022年5月には生物多様性条約のCOP15において、2030年に向けた全世界の目標が採択される予定ですが、企業に対する要求はますます明確に、かつ高度になりそうです。
※『CSR検定3級テキスト(2022年版)』の第4章2「生物多様性」から一部引用しています。