[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

ミント

登録日:2018/05/18 Fri 20:13:01
更新日:2024/10/09 Wed 15:18:50
所要時間:約 3 分で読めます





ミントとは、シソ科ハッカ属に属する植物の総称。ハーブの一種。

爽やかな香りが特徴で、様々な料理に仕える万能調味料。

特にデザート関連の使い道が非常に多く、例えばチョコミントアイス賛否両論誰もが大好きだろう。

他にもハーブティーに用いることも可能で、とても使い勝手が良い。

だが、このハーブにはもう一つ非常に便利な特徴がある。

それは、 とても栽培が簡単 なことだ。

基本的に一度根付いてしまえばそれ以降は水やりなどで特に管理する必要はない。
肥料も不要で、むしろ与えないほうがよいとまで言われる。
強い香りのおかげで害虫知らずだし、適正温度の幅も広いので豪雪地帯のような環境でなければ大丈夫。
そのため、ハーブ初心者にも非常に手を出しやすいと言えるだろう。

狭い土地でも簡単に栽培できるミント。皆さんも是非自宅で栽培してみてはいかがだろうか?


追記・修正は庭にミントを植えてからお願いします。














































上に書いたことは大体本当である。
ミントは、とても簡単に育てられるし、利用方法も多い便利なハーブである。
だが、「これは楽だ」と思って安易に庭に植えてしまった家庭菜園初心者は思い知ることになるだろう。
その実態が 恐るべきバイオテロ植物 であることに……。

何がヤバイのか?

一言でいうとコイツのヤバさは、 栽培が簡単すぎる ことにある。
「え、それっていいことじゃないの?」と思われるだろう。確かに、ほとんど手を出さなくても勝手に増えてくれるので、一見いいように見える。
そう、 手を出さなくても勝手に増えていくのだ 。というか、 抜いても抜いても際限なく増えていくのである
コイツをうっかり庭に植えようものなら、春に秋に美しい花を咲かせていた花壇も、美味しい作物を食卓に挙げてくれていた家庭菜園も、見る見るうちに繁茂していく緑の海に飲み込まれる羽目になる。
利用方法が多いと言っても所詮はハーブ。一回の料理で使う量もたかだ知れているので、そんな事態に陥ってしまえば有効利用など到底できず、雑草として処理することになる。

その秘密は、地下茎にある。ワルナスビの項目でも触れられている地下茎である。
ミントは地下茎で繁殖するため、地上部をどれだけ引っこ抜こうが いくらでも再生する のだ。
そのため、雑草取りの要領でどれだけ対処しようが無駄になっている。
さらに冬になっても地下茎が越冬するため、地上の草は枯れるが春になるとまた生えてくる。

単体ならば良い香りだが、その強い芳香が仇となり、庭がミントで埋め尽くされる頃には、すっかり鼻はミントの香りで麻痺していることだろう。
さらにその爽やかな香りも、交雑が進むと弱くなったり、消えたり、最悪の場合 悪臭に変わったり していき、利用価値のないただの雑草と化す。

また、ミントの根はその旺盛さから、地表にボコボコ飛び出るほどに伸びまくる。
植木鉢で封印しても、知ったこっちゃねぇとばかりに 縁から脱走する のだ。
それを切り落としても、今度は 植木鉢の底の穴から庭に地下茎を伸ばし、侵略していった という事例を頻繁に見かける。

その強すぎる生命力故に、庭がミントに支配されてしまえば唯一と言っていい対処法は 「強力な除草剤」 のみ。
だが、もちろんそんなことをしてしまえば庭に植えられていた他の植物もまとめて死に絶えることになる。

よって、ミント栽培の際の鉄則は 「絶対にその侵略範囲を広げない」 ことにある。


ミントテロ

「嫌いな奴の庭にミントを植える」という嫌がらせ行為。
直接手を出さず、「ミントを植えるといいらしいですよ」と植えたくなるよう勧めるパターンもある。
流石にこれで逮捕されたという事例はないようだが、下手にやると間違いなくご近所トラブルの種になるので、安易に真似はしないように。


真面目な生態について

……と、ここまで散々脅してきたが、ミントとて究極無敵のバイオ生命体ではなく、条件次第ではあっさり枯れる。

匂いが虫除けになるというのは有名だが、実際はやハエの幼虫に集られ、通りすがりのバッタに囓られ、ダニ、シラミ、アブラムシすらくっつく。
病気にもしっかりかかり、カビ類は悩みの種である。
……まぁ、こうした病害虫に 殺されるより早く増殖して生き残る のがミントでもあるのだが。(※付近の植物は煽りを食らって死ぬ)

水も不要と書いたが、これは庭植えの話で、鉢植えの場合は比較的多くを要求する。
しかし、あまりやりすぎると根腐れしたり、湿気から上記の病気が発生するので、バランス感覚が必要。

また、生育が旺盛すぎるのも考え物で、「根詰まり」といって1~2年もすれば鉢が古い根で満タンになり、土を上手く利用できなくなることからみるみる枯れていく。
その根もしっかりとした太さで、かつ深くまでは張らないために、庭植えしたとしても多少なら手作業でも除去可能だろう。

以上のように、ミントについては笑い話として誇張して語られる部分が多い。ミントより恐ろしい雑草も数多く存在する。
しかし、 庭には決して植えてはならない。
これは本当のことで、ミントの栽培について知ろうとすれば必ず目にする警告である。

栽培するときは、鉢やプランターにするか、土中に鉢やレンガを埋めるなどして、必ず地下茎対策をしよう。
そして交雑や拡散を防ぐため、花は必ず摘み取ろう。


余談

種類

ミントといえば、読者諸兄はスースーとしたメントールの清涼感を思い浮かべることだろう。
しかしこれは 「ペパーミント」 の話で、同じくらい代表的なミントである 「スペアミント」 はメントール感がほとんど無いか、全く無い。
さわやかではあるが、それはペパーミントと比べて優しく、料理やハーブティに使いやすい風味であると言われる。

ただし、スペアミントは日本人にとって少々独特の香りで、好みが分かれるかもしれない。
とりわけ、このミントは 「歯磨き粉」 に多く使われることから、チョコミント(アイス)が「歯磨き粉の味」と呼ばれる原因の一つとなっている。
メントール感を求める人は、間違えてスペアミントを購入しないよう気をつけよう。

他にも「アップルミント」、「パイナップルミント」、「ウォーターミント」、「ペニーロイヤルミント(※非食用)」「ケンタッキーカーネルおじさんミント」、われらが「ニホンハッカ」などなど様々な品種が存在する。
とりあえずは「(ブラック)ペパーミント」といわれる、黒っぽいペパーミントが無難であるが、それぞれ栽培すれば個性溢れる香りが楽しめるだろう。

利用方法

ハーブティー
最も無難な利用法。
沸騰したお湯をたっぷりの葉に注いで待つだけでよい。
多く葉を使えば 目が痛くなるほどの 清涼感を味わえるだろう。
ブレンドティー
他のドリンク(コーヒー紅茶、ジュースなど)に軽く潰して混ぜてみると、変わった風味が楽しめる。
ただし、香料ではなく葉を使うので、市販のミント紅茶などとは少々風味が異なる。
カクテル
モヒート、ミントジュレップなど、ミントの葉を用いたカクテルはいくつか存在する。
「モヒートには必ずスペアミントを使用しなければならない」のような決まりはないので、各々の庭で育てたミントでオリジナルレシピを試してみよう。
オイル、バター、ビネガー
葉のまま、あるいはペースト状にしたものをオリーブオイルなどに漬け込む。
保存が利き、何かに付けたり料理に混ぜたりと利用の幅は広い。
菓子作り
アイスクリームに混ぜるのはもちろん、クッキーやケーキなど様々な菓子に利用できる。
干す
余った分の保存方法。
切った枝を束ねて根元で縛って逆さ吊りにし、風通しのよい日影でパリパリになるまで乾燥させる。
なお、電子レンジを使った時短調理はミントの場合は 臭くなるので不可。
使用するときは生のミントの数分の一の分量*1で使用する。
入浴剤
腐るほど余ったときの最終兵器。
ネットのようなものに入れて使用しよう。
なお、ハッカ油にも言えることだが 熱中症に注意。
風呂上がりに汗をかかずに済むと評判だが、涼しく感じても体温は急上昇*2しているので、長く浸かると危険である。

由来

「ミント」
ギリシャ神話の精霊(ニュンペー)である「メンテー」の名に由来する。
この精霊の愛らしさは、かの冥王ハーデースを魅了するほどだったのだが、それに嫉妬した冥王の妻ペルセポネーに踏み殺され、呪いを受けたメンテーは草に変わってしまったのだった。
なおこの話には異説があり、
  • 妻ではなく妻の母(姑)であるデーメーテールが殺したとする説
  • ペルセポネーがメンテーの境遇に同情し*3、哀れんで、草と変えることでハーデースから隠したとする説
なども広く知られている。
「ペパーミント」
「ペパー」とはコショウのことで、コショウのように刺激的な味わいがあることが由来である。
「スペアミント」
「スペア」とはSpear、つまりのことで、葉が槍のように尖っていることから名付けられた。*4
「ハッカ」
「薄荷」と書き、これは商品のハッカ油を作るために蒸留すると、大量の葉がごく少量の油に変わるので、運ぶのに荷が少なくて済むことから名が付いたと言われている。


追記・修正は庭にミントを植えないようにお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • ミント
  • ハーブ
  • バイオテロ
  • ミントテロ
  • 緑の悪魔
  • 絶対に植えてはいけない
  • 生物兵器
  • 地下茎
  • 植物
  • シソ科
  • 安らぎの緑の大地
  • アニヲタ植物図鑑
  • キンタマハッカ油
  • 薬草
  • 強い!絶対に強い!
  • メンソール

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年10月09日 15:18

*1 紅茶や日本茶の茶葉を想像するとよい

*2 むしろ放熱機能が働かないぶん、通常の風呂上がりの体温よりも高くなる

*3 ペルセポネーはハーデースに半ば拉致されるようにして強引に妻にされた

*4 ただし、他のミントもだいたい尖っているので判別には使えない。ペパーミントの「ブラック」でないものなど、外見的には見分けがつかない