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エンジェルダウン作戦

登録日:2012/01/28 (土) 15:02:41
更新日:2024/11/14 Thu 02:09:17
所要時間:約 6 分で読めます



『AWACS006より入電!セクション・スリー』
『ポイント1836にアンノウン…アークエンジェルです』

「やはり動いたか…。司令部へ報告……、それとデータベースを直しておけ。」
「あれはもはやアンノウンではない敵(エネミー)だ」


機動戦士ガンダムSEED DESTINY』で展開されたザフトの作戦。
第34話「PHASE-34 悪夢」にて執り行われた。


【概要】

第2次連合・プラント大戦後期、プラント議長ギルバート・デュランダルの下に企画・実行された、アークエンジェル及びフリーダム討伐作戦。

ミネルバ隊とオーブ艦隊の交戦で介入し、その理由や勢力も不明瞭なまま(実際は停戦を呼び掛けており、戦闘中なので多少の攻撃や反撃はあれど積極的な攻勢には出ておらず、裏の思惑もないのだが、信じられるかどうかは別の話である)ザフトに被害を出し続ける彼らを放っておく事はできず、後顧の憂いを絶つ目的で立案されている。
実際、ミネルバに限ってもフリーダムの攻撃によりセイバーザクファントムを失っており、甚大な被害を被っていることは事実であった。

なお、議長はアスランを的確過ぎる話術で説得した件などから考えても彼らがどういう勢力であるか知っているはずであり、行動の真意を十分に理解していたはずだが、
後に明らかとなる計画の最大の障害とも言える存在だったためにこの作戦を推進している。
タリアも同じく彼らのことを理解していたが、正式な作戦ということもあって遂行した。

この作戦の前にギルバート・デュランダル議長は「戦争が終わらない全ての諸悪の根源は常に敵を作り上げ、常に世界に戦争をもたらそうとする、軍需産業複合体、死の商人ロゴスである」と大演説を行っており、世論の支持は絶好調。

シン・アスカらミネルバメンバーは議長が付いている自分達の側が「正義」と疑うこと無く作戦に身を投じることになる…。

作戦の舞台は、西ユーラシア。
作戦に参加した部隊は、ウィラード隊とグラディス隊(ミネルバ隊)。

【作戦の流れ】

どういうことなの!?これは…!


西ユーラシアからオーブへ移動中のアークエンジェルに、ウィラード隊が勧告無しにアークエンジェルへの攻撃を開始。
カガリ・ユラ・アスハをオーブへ送り届ける事を目的にしていたアークエンジェルは
「オーブの機体(ムラサメ)で反撃すれば、それを理由にオーブが不利な立場に追い込まれるかもしれない」というキラ・ヤマトの懸念と
「ムラサメは一機も欠かさずオーブに連れ帰る」意思もあり、フリーダムのみを出撃させた。
また、アークエンジェルもザフト機に直撃弾を当てないという戦いを強いられた。
それでもアークエンジェルに放たれた攻撃はCIWSやフリーダムにより何とかしのぎ、MSもほとんどが無力化される。

後に、タリアが指揮するミネルバがウィラード隊に合流。
それに伴い、作戦をミネルバに任せたウィラード隊は一時後退する。

ベルリンでステラを殺された事からフリーダムに対する憎悪に駆られ、フリーダム撃墜の為に何度もシミュレーションを行っていたシン・アスカインパルスが、フリーダム討伐の為に出撃。

交戦初期は、キラはいつも通りインパルスのメインカメラや武装を破壊して無力化しようとする。
しかしそれを想定していたシンは、機体の頭部や腕部だけを動かしてビームを回避するといった技能を駆使しフリーダムに徐々に肉薄する。
そしてお互いにビームサーベルを使っての接近戦になり、離れたタイミングでインパルスはシールドを投げ、次いでビームライフルを撃つことでビームを反射させ、フリーダムの左肩にダメージを与える。
(インパルスの機動防盾はビームを反射して防ぐものである)
すぐにインパルスは空いた左手で再びビームサーベルを使用するが、ここではキラに軍配が上がりインパルスの頭部と左腕を切り飛ばす。
しかしシンは咄嗟にインパルスを分離させ、チェストフライヤーとフォースシルエットを質量弾としてフリーダムに叩きつけコアスプレンダーの機関砲で爆破するという荒業でダメージを与えつつ、新しいチェストフライヤー・フォースシルエットと合体する事で全快の状態で再度フリーダムに挑む。


シン「逃がさないと言ったろ!アンタは俺が討つんだ!!今日!ここでッ!!」
キラ「くっ!」

一方ミネルバのグラディス艦長は、アークエンジェル艦長マリュー・ラミアスに対し、投降勧告を行う。
しかし、マリューは「本艦にはまだ仕事があります」として、投降を拒否。
アークエンジェルとミネルバは、本格的な戦闘に突入する。更に一連の流れを見ていたウィラード隊が痺れを切らし、再度攻撃を開始する。

何度武装を破壊しても復活するインパルスに追い詰められ、キラは徐々に余裕を無くしていく。
更にシンはインパルスを一時的に分離させ、ビームサーベルによる横一閃を回避。
直後にフリーダムに強烈な一撃を加え、左翼を破壊する。
更にビームライフルを失ったキラは撤退を選択するも、左翼を失って機動力が低下していることもあり追撃してくるインパルスを振り切れず、ソードシルエットを呼び出したインパルスにフラッシュエッジを投擲され、シールドで受けたがバランスを崩して海面まで追いつめられる。

一方ミネルバから逃れる為に、アークエンジェルは海中への逃走を計る。
武装の都合で水中戦を行えないミネルバは確実にアークエンジェルを倒す為、陽電子砲タンホイザーで攻撃。

アークエンジェル同様に海中への撤退をしようとしたキラはアークエンジェルにタンホイザーが命中したことに気を取られた一瞬の隙を突かれ、インパルスによるエクスカリバーの攻撃を許してしまう。

インパルスのエクスカリバーのレーザー刃が限界まで出力を上げて先端の実体刃まで伸び、フリーダムのシールドと腹部のPS装甲を貫いた(小説では肩から腰までを切り裂いた)。フリーダムも最後の抵抗とばかりにビームサーベルを突き立てたが、頭部を損壊させるだけに至っている。
その直後、タンホイザーの余波による大規模な水蒸気爆発に二機は巻き込まれてしまう。

黒煙の中に残されていたのは、爆発に巻き込まれ大破同然の姿でフェイズシフトダウンし佇むインパルスの姿だけだった。



アスラン「キラァァァァァァァァァァァァッ!!」




こうして、エンジェルダウン作戦は成功した……







かに思われた。






ミネルバが放ったタンホイザーはアークエンジェルのエンジンに命中したかに思えたが、直撃はしておらず第一エンジンを切り離して爆発させた事で沈没したと思わせて逃亡していた。

フリーダムもコクピットを含むボディのみは無事であり、キラが咄嗟にNJCと核エンジンを停止したため、核爆発もなくカガリのストライクルージュによって保護、キラもなんとか一命を取り留めた。*1

結局、ミネルバは戦闘に勝利してフリーダムを撃破、AAへの損害も与えたものの、作戦自体は失敗した。 


【作戦後】

AWACSディンによる現場検証で、船の体積に対して残骸が少なすぎる事から、アークエンジェルを轟沈できていないのでは?と推測されていた。

一方フリーダムを撃墜した功績を認められたシンは、デュランダル議長から新型MSZGMF-X42Sデスティニーを与えられている。
(後にオペレーション・ラグナロクでの功績から、FAITHの称号も与えられる。しかし、こちらについては作戦の指揮決定権など多大な権力に対して、シン・アスカの性格や能力が考慮されておらず、議長の思惑が前面に出ていた称号授与だったのでタリアは懐疑的に見ていた)

この作戦からアスランはデュランダル議長に対して一層不信感が増し、
後に議長とレイの会話によって議長の本音をある程度知ったこととアスラン自身を取り巻く状況の変化が決定打となり、Z.A.F.T.脱走に繋がる事になる。


【作戦結果】

ザフト視点で見ると、フリーダムを撃墜した一方でアークエンジェルは撃沈できず、ラクス・クライン及びキラ・ヤマトを排除するという議長の思惑も達成される事は無かった。
特にフリーダムのパイロットを仕損じた点は大きく、後に後継機での復活という事態を招いた事を考えれば、作戦目標はほとんど達成できなかったと言える。

キラ陣営の視点で見ると、フリーダムを失った事は痛手となった半面、アークエンジェルは身代わりにした第一エンジン以外ほぼ損失無く、「カガリをオーブへ送り届ける」・「オーブ介入への口実を与えない」という目標は達成している。

キラとフリーダムが墜とされるという衝撃的な光景の一方、全体の結果を見れば目標を達成したキラ陣営の勝利であり、ザフト側は実質的な敗北と言えるだろう。


【余談】


  • アスランは、フリーダムを撃墜したことをネタに挑発してきたシンに対して「キラはお前を殺そうとはしていなかった!」と言ってシンをブン殴っており、二人の間にできた溝はもはや修復不可能なまでに深くなってしまった。
    気持ちは分かるが、この作戦については度々のやらかしとは違って命令通りなのでシンに責任があるとは言えない。

    とはいえ、嘗ての戦友と分かっていて、戦闘後に明らかな悪意を込めて挑発したシンも反省すべきである。アスランもシンが上からの命令に従っただけということは知っていたのだから、余計な挑発をしなければ、仕方の無い事だと我慢できた可能性は十分ある。

    ちなみにアスラン側もFAITHとして議長が復隊させた表向きの(アスランが同意した)理由も要約すると「なるべく戦争を回避させよう」「ザフトと他勢力を繋ぐ架け橋になってくれ」の様なものなので、無用な争いや殺戮をやめさせるためにこう発言したこともおかしいものではなく、私情だけで話していたわけではない。「キラもアークエンジェルも敵じゃないんだ!」と言ったこともその延長である。

  • これ以降の劇中で、シンとキラの戦闘で明確に決着の付く場面は無い。よって二人の力量を図る上では、「乗機の撃墜」という分かりやすい決着のついた本作戦が引き合いに出される事がある。
    ただしウィラード隊及び母艦ミネルバから十全にサポートを受け、フリーダム撃破に集中できたシンに対し、ムラサメ隊の援護を受けられず、撤退するアークエンジェルを庇いながら戦うしかなかったキラとでは、条件にかなりの差がある事は考慮すべきだろう。また、互いに機体を乗り換えた後の描写を見ればシンはキラに遅れを取っており、キラがその気なら明確に撃墜していた場面が二度ある(小説では描写が掘り下げられており、撃墜出来たにも拘わらず、それをしなかった為に自身が侮られている、手を抜かれてるとシンは怒りを抱いている)。

  • 漫画の高山版ではベルリン戦でキラがデストロイを撃墜した直後、シンがその場で怒りのままにキラに襲い掛かった所をデュランダル議長から後追い的に戦闘許可が出されるという形で実施された。
    最終的にキラがビームサーベルでエクスカリバーを割いたため、ギリギリでコクピットへの直撃を免れた。
    なお、アスランはミネルバに緊急着陸したボロボロのバビに乗って戦いを止めようとした。
    その事もあってか一部Gジェネシリーズのバビはやたらかっこいい戦闘シーンが与えられている。

  • フリーダムを撃墜したエクスカリバーによる串刺しは非常にカッコ良く、ゲームではほぼ確実にフォースインパルスの必殺技として登場することが多い。
    まぁ、おかげでソードインパルスが割りを食うんですけどね…。
    • ちなみに本放送ではビームが先端まで掛かっていないが、ラミネート装甲製のシールドはまだしもPS装甲を貫けるのはおかしいと思ったためか、スペシャルエディションではビームが先端まで出ているように改変された。
      これは『本来ならレーザー刃なので不可能だが、PS装甲を貫く絵的な説得力が欲しい』とのことで敢えて付け足した演出。
    • 小説版でも原作の串刺しに対してこちらは「エクスカリバーによる袈裟斬り」に変更され、PS装甲云々が無関係になっている。

  • スパロボZでは、エンジェルダウン作戦後、ステラを殺された憎しみからフリーダムを撃墜した事を、シンが深く後悔している描写がされている。

  • スパロボLでは、作戦そのものは実行に移されたものの、ベルリンでのステラ救出でシンをキラ(フリーダム)が助力してくれた事もあって、レイ以外の誰一人としてやる気がなく、説得する方向になった。
    だがラクスがAAにいたので自分の存在、そして暗殺未遂事件を公表し、交渉は決裂。仕方なくインパルスはフリーダムと対決することになった。
    しかし、戦闘開始直後に現れたイクサー2率いるクトゥルフが攻撃を開始。それをいち早く察知したキラはシン(インパルス)を庇い、『共通の敵(クトゥルフ)を討つ』という目的の下、インパルスとフリーダム、ミネルバとアークエンジェルは共闘することになる。ちなみに油断しているとフリーダムがイクサー2に普通に落とされる上、このステージで落とされようが落とされまいが、以後二度と登場しない。
    戦闘終了後、再び一触即発の状態となるが、タリアとマリューが示し合わせてアークエンジェルを偽装撃墜。
    デュランダルにはアークエンジェルを破壊したと報告するも、後にレイが密告したため、結局デュランダルにその真相がバレてしまった。
    しかしデュランダルはアークエンジェルを敢えて見逃し、彼らの動向を見守ることに決める。
    …というか、終盤で判明するのだが実はデュランダルも協力者であったセントラルから指示を受けて渋々やる羽目になったという原作と大きく異なる事情があったため、
    ミネルバがアークエンジェルを破壊したように偽装してくれたのは、デュランダルとしても本心では願ったりかなったりだった模様。

  • この作戦を収録した話の放送後、シンを演じる声優の鈴村健一さんが所属する事務所に一部のキラ好きの女性ファンから抗議の手紙が送られてきた。送った当人達はどう思っていたか知らないが、第三者から見れば八つ当たり以外の何物でもない。
    当時のアニメ誌でもシンに対する非難の声が殺到したのは言うまでもなく、更にこれがきっかけとなりシンの評価と人気はがた落ちしてしまったという。
    • 鈴村氏はこの件に関して「視聴者の皆様がこの作品を通じて、シンというキャラクターについて真剣に議論を交わして下さっているというのは、担当声優として役者冥利に尽きる」としながらも、一部のファンが安易にシンの悪口を言う事に関しては苦言を呈していた。

  • 他方、最小限の動きだけで攻撃を躱す身のこなしやインパルスの特性を最大限活かしたり盾をリフレクターインコムの様に使うトリッキーな戦術を披露し、
    作中最強格のキラを追い詰めたシンの戦い方は人気も高く『SEED』シリーズ全体を通しての屈指のベストバウトに挙げる声も多い。
    因みにこの時の戦闘でフリーダムがやむを得ずインパルスのコックピットを狙ったと言われるが、実際には狙っておらず、監督によればデュエル戦のバンクだったようで、キラの狙いはあくまでコックピット以外の部位破壊を目的としていたが、シンがそれを読み回避したとの事。

  • 第二次ヤキン・ドゥーエ戦を終結に導き、続く第二次連合・プラント大戦でも連合、ザフト双方を圧倒したフリーダムを撃破したことにより、後日談に当たる劇場版によると、この作戦の功績により、シンはザフト内外の軍事界隈では『フリーダムキラー』として有名人になっているそうな。


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最終更新:2024年11月14日 02:09

*1 ちなみに核爆発のリスクが回避されたことで、結果的に爆心地に居たシンも助かっている。