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ナマケモノ

登録日:2011/07/20 Wed 04:34:48
更新日:2024/11/06 Wed 21:05:11
所要時間:約 9 分で読めます





私の名は『ミユビナマケモノ』年齢13歳。
分布は中南米のアマゾン熱帯雨林であり……交尾はしていない……。
日頃は『木の上でゆっくり過ごす』平和主義で、毎日多くとも8gほどの食事をする。
水は飲まない……排泄は週一程度。


夜には木にしがみつき、必ず18時間は睡眠をとるようにしている……寝る前に外気が冷えていて比例して体温が下がっても、ほとんど朝まで熟睡さ……。
赤ん坊のように、疲労やストレスを残さずに朝目を覚ますんだ。
健康診断では血圧が低過ぎて測定不能と言われたよ。


いいかい? わたしは常に『心身の平穏』を願って生きている動物ということを説明しているのだよ……。


『弱肉強食』にこだわったり、頭をかかえるような『森林伐採』とか、夜もねむれないといった『敵』をつくらない……というのがわたしの自然に対する姿勢であり、それが自分の幸福だということを知っている……。


もっとも闘ったとしたら、わたしは誰にも勝てんがね。










『ナマケモノ』とは、哺乳網異節上目有毛目ナマケモノ亜目の総称のことである。


日本人なら実物を見たことはなくとも、その呼び名を知らない者はいないと言える程有名な動物である。
主に悪い意味で。


◆概要

和名ナマケモノ、漢字表記は「樹懶」。
(らん)”には「怠ける」「ものぐさ」といった意味があるため、まさしく樹の上でほぼ動かないナマケモノを指すにピッタリの字といえる。

英語名は『Sloth(スロウス)』で、意味は怠惰。
キリスト教圏では七つの大罪の一つにも数えられているため、単語だけは知っているヲタク諸氏もいるであろう。
どうやら英語圏の方々もこの生物を怠け者の象徴として見ていた(見ている)らしい。


しかも、かつては彼らを研究する科学者までもが、彼らに罵詈雑言を浴びせ、蔑んだという歴史があるほど。
生物の進化史上、これほど落伍者として叩かれた動物もいないだろう。
しかし近代になり、実際は理に適った(?)、生きるための進化だったということが判明している。

《特徴》

妙に長い両腕と発達した鉤爪が一番の特徴。
これらは生涯のほとんどを木の上で送るために進化したもので、移動などの際には非常に役に立つ。
手足の鉤爪は幹や枝にガッチリひっかかるため、就寝時も落ちる心配は殆どナシ。
樹上で絶命しても落ちてこず、引っ掛かりっぱなしになっていることもあるらしい。

全身には長めの粗い毛が生えている。
あまりに動かないので中が無数の昆虫の住家になってたり、雨期には苔が生えて緑色になったりすることもしばしば。
これは言い換えれば共生と擬態なのだが、やはりどうしても「鈍いから」といったイメージが先行してしまう……。

そして樹上生活に特化したその体は、当然地上には適応していない。
地上に降りた場合二足歩行することは出来ず、這うように移動するもその速度は亀並みである。むしろ亀の方が速い。
お前ホントよく今まで生きてこれたな……。

そんな彼らだが、意外なことに泳ぐことが可能。
これは樹々間の移動や雨期の洪水に対応した生きるための一つの術であり、犬かきに近い姿で水面を進む。
浮力も手伝ってか、その動きは陸上はおろか、樹上よりも僅かに速い。

また、ナマケモノは哺乳類では極めて珍しい変温動物だったりする。
これは爬虫類ではよくみられる大変効率の良い方法で、外気に合わせて体温を変化させることで基礎代謝を抑え、なるべくエネルギーを無駄に消費しないようにしているのである。

○食事は一日8g程度(植物)
常時低い代謝でも消化でき、かつ生命維持に影響がない量。

○心臓
同じサイズの犬と比べても遥かに小さく、代謝を抑(ry、血圧はあまりにも低いので測定不能。

○筋肉
通常の動物の半分(体重4~5㎏のナマケモノの1/4)

○長い睡眠、鈍い動作
消化を助け、代謝を(ry(筋肉が少ないためはやく動けない)

など、生命維持の出来る最低ラインまで無駄を削ぎ落とした結果、イメージされるあの姿に進化したのである。
ξ(`・ω・´ミミ)怠け者?合理主義だと言ってもらいたい。


ちなみに、彼らはこのギリギリの生き方をするための変温動物なのが災いして満腹なのに餓死するという矛盾した死を迎えることがある。


日向ぼっこしないと動けなくなる爬虫類のように、ナマケモノも自力で体温を上げることができず、昼間の日光浴が必要不可欠。
なのだが雨期などで日照不足が続くと体力(代謝機能)がどんどん低下し、胃の中の植物を消化吸収することが出来ずに飢え死にするのだ。合理主義(笑)。
逆に一度体温が上がった場合も問題があり、体温が下がるまで動けなくなる。もちろん体温を下がらない場合は熱中症に、この間に天敵に狙われてもアウト。
怠けているというより、激しい運動したりして急激な変化が起きると死ぬのである。
(彡ミ´・ω・`)、……ギリギリでいつも生きていたいから……。


《天敵》

陸上ではジャガーやピューマ等の肉食獣。
彼らもある程度なら木登りが可能なので、一度見つかり噛み付かれようものなら些細な抵抗も虚しく引きずり降ろされ、餌食となる。


ならば高いところは安全か?
否、には「空の王者」オウギワシという捕食者が。
詳細は該当項目を参照してほしいが、彼らに限らず大型ワシは急速突進でナマケモノを文字通り鷲掴みにし、巣にお持ち帰りする。
これがかなり強烈な一撃で、華奢なナマケモノはほぼ即死してしまう。
ワシにしてみればナマケモノは木に成る肉でしかなく、彼らの餌の1/3はナマケモノが占めているのだ。


さらに水中にはアナコンダがいる場合があり、引きずり込まれて締め上げられ絶命するケースも……。


これらはナマケモノで動画検索すると観ることが出来る。
ただし観てもやめたげてよお!といいたくなること必至。だがそれは進化の結果であり、自然の摂理なのである。


◆分類

現在は2科5種が存在し、アマゾン熱帯雨林に生息している。
どれもナマケモノではあるのだが、祖先は別々であったらしい(後述)。


◇ミユビナマケモノ科

体長  ……50~60cm
体重  ……4~5kg
寿命  ……20年(野生)、20~40年(飼育下)
睡眠時間……約18~20時間
食事量 ……一日8g程度(植物)

その名の通り爪が3本あるナマケモノで、連想される「鈍くて怠けたやつ」とはこの科のことである。
ポケモンでいうとナマケロのモデル。
種類はノドチャミユビナマケモノ、ノドジロミユビナマケモノ、タテガミナマケモノの3種。

ノドチャとノドジロは区別しにくいが、名前の通り喉の色、そしてクマ模様の長さで判別できる(長いのが前者、頬辺りで細くきれているのが後者)。
タテガミは鬣があり、ノドチャ、ノドジロに比べサイズが一回り小さい(40~50cm)。

またそれぞれ短い尾が生え、頚骨が9つあるのも特徴である。
通常、哺乳類の頚骨は7つ。9つになったのはその場を動かずとも周りの葉っぱを食べられるように、独自の進化を遂げたものと考えられる。
これにより首の可動域は270゚に。無表情な頭だけが真後ろを向く様子は少々不気味である。


そしてこの種は食べる葉が個体ごとに違い(1/90種)、それぞれ好みの味を持つということが近年判明した。
これは母親が子供に自分と同じ葉を食べさせ覚えさせており、極力縄張り争いを生まないようにしていると考えられている。
なんという平和主義&おふくろの味。

さらに彼らは糞をしに食べた葉の樹の根元まで降りる。「上からしろよww襲われたいのか? wwww」等と思うかもしれないが、これにもちゃんと意味がある。
あまり知られていないことだが、アマゾン熱帯雨林は見かけに反して異常なまでに土壌が弱い。
これは高層樹が地表付近までの日光を遮ること、落葉等は蟻が巣に持ち帰ったり洪水で流れてしまうことで、土に蓄積されることが少ないためである。
このことを知ってか知らずか、彼らは根元に穴を掘って糞を埋め、得た養分の50%を還元しているのだ。
賢いなさすがナマケモノかしこい


◇フタユビナマケモノ科

体長  ……60~70cm
体重   ……5~8kg
寿命  ……20年(野生)、20~40年(飼育下)
睡眠時間……約18~20時間
食事量 ……一日数十g程度(植物、果実)

爪が2本のナマケモノ。(タテガミもだが)夜行性。

フタユビナマケモノとホフマンナマケモノの2種がいるが、両者は非常に似ているため現地ではレントゲンにて頚骨の数を調べ判別している。
(フタユビが7個、ホフマンは6個。何故減ったしホフマン)

ミユビと違って尾がなく、特徴的な鼻(筋)をしている。
また体格も体重もあり、歯も僅かに発達しているので果実を食べることができる。
そして気性が荒く、動作も素早い。つまりヤルキモノのモデル。

その他の生態は基本的に同じだが、食性等の関係から日本の動物園で飼育されているのは上野のホフマンを除き、全てフタユビナマケモノである。


◇絶滅した仲間たち

ナマケモノの絶滅種としては、「オオナマケモノ」(よく考えたらすごい和名だな)の名でも知られるメガテリウムが有名であろう。
しかも体長5m以上体重3tという超巨体だったとのこと。
ポケモンに例えるとケッキングのモデルにあたる。進化ェ……。
また、ミロドン・スケリドテリウムなどもいる。
彼らは現生のナマケモノとは違い極めて大型で陸上生活をしていた。

……というよりは、そもそもナマケモノの仲間は地上生の大型動物なのが基本であり、現在生き残っている樹上生活組のほうが例外のようである。
また現在生き残っているミユビナマケモノとフタユビナマケモノは、科レベルで違うことからもわかるように、
地上生のナマケモノからそれぞれ独立に進化した種だとされている(つまりこの二種はナマケモノ類の中ではかなり遠縁)。
メインストリームが滅んだ後、変に特殊化したものだけが生き残る。
マンガやゲーム、コンピュータの世界でよくあることは、生物の進化でもよくあるのだ。


◆ナマケモノをモチーフにしたキャラ

  • ナマケロ、ヤルキモノ、ケッキングポケットモンスター
  • スロースオルフェノク(仮面ライダー555
  • ナマケモノ、フタユビナマケモノ、ミユビナマケモノ(けものフレンズ
  • フラッシュ、プリシラ(ズートピア
    • 共に免許センター勤務で実は恋人関係。なお、同センターには他にも多くのナマケモノが窓口勤務している。
  • ヒステリックアオミドロ(鬼灯の冷徹
    • メンバー全員がミユビナマケモノで構成されたインディーズバンド。
      メンバーはデトリタス(Vo.&Gt.)、マリンスノー(Gt.)、ベントス(Ba.)、ライブロック(Dr.)
      ナマケモノらしからぬ高等テクニックの持ち主で、烏頭や甜瓜などファンも多い。


◆余談

〇コアラが非常に似た生態だが、学術的に見ると関係性はない。
むしろ姉妹群の有毛目アリクイ、皮甲目のアルマジロの方が近い。進化の収斂性というやつだろう。

〇タテガミナマケモノはレッドリストに登録されている。伐採・乱獲ダメ、ゼッタイ。



追記・修正?
体力消費するしめーんどーくせー。

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最終更新:2024年11月06日 21:05