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本郷猛(シン・仮面ライダー)

登録日:2025/01/01 Wed 19:30:00
更新日:2025/01/04 Sat 18:41:33NEW!
所要時間:僕ではなく、約 21 分の僕の項目を信じてくれ。





「風の音が聞こえる…なぜ身体の中から風の音がする?」


【概要】


シン・仮面ライダーの主人公にしてバッタの能力を移植された改造人間。
基本的には原典通り秘密結社SHOCKERに拉致され改造手術を受けるが、人の心で組織に反旗を翻す存在。
一方でシン版では大学時代に深い絶望を味わった事により「優しすぎる心」を持ちながら人を守るための「力を望んでおり」、それが大学時代の恩師である緑川博士の目に留まった事で組織と戦う協力者に選ばれることになる。
彼の死後はその娘であるルリ子と共に、2人きりの逃亡者としてSHOCKERとの戦いに身を投じていく。

本作では異形の身体と力を手に入れた本郷が悩み苦しみながらも戦い、その優しさで力を望んでいた理由が徐々に明かされる構成となっている。


「君が望んでいたからだ。"強い力"を」


【本郷猛】


「これがヒトを殺した感覚だよ…父さん」

バッタとのオーグメンテーション手術を受けた、栄光の青年。
原典通りスポーツ万能・頭脳明晰の文武両道。
…ただし、他人との関わりが苦手で、それが災いして定職には就いていない。
その点をルリ子からは「いわゆるコミュ障」と非常に的確かつ手厳しい評価を受けている。
一方、作中では確かに口数こそ少ないながらもルリ子の話にはしっかり耳を傾けて返答し、個性豊かな敵オーグメント達の唱える偏った幸福や挑発にも戦いの中でキッチリ応じている。
辛い過去を経て塞ぎ込みそうなったのか、あるいは以前からそうだったのか定かではないが、諸々を鑑みればいわゆる場面緘黙あたりかもしれない。

他者との関わりこそ苦手なれど、本質的に他者を思いやれる優しさを持った青年。
それは自分の事を埒外に置いてしまう自己犠牲の心でもあるが、あるがままを受け止めて自分の心に従って生きていく。
OMITシーンではその在り方をルリ子からアドラー心理学の共同体感覚の体現*1であると評された。

父親は警察官であり、本郷も幼少期から柔道や剣道などの手解きを受けていた。
以降も「力を望んでいた」ので自主的に体を鍛えており、改造後の強さには素体である本郷自身の身体能力も大きく寄与している。

ライダーだけにバイクを愛し、趣味は一人旅。
旅先では基本的に野宿らしくキャンプもお手のもので、劇中でもその辺の公園で非常に美味そうな食事とコーヒーをルリ子に振る舞っている。
"不便だが面白い"とは本人の弁で、もはや野生児に片足を突っ込んでいるレベル。
30分のテレビ番組が毎週放送されているかのようなライダーカードの世界観では、改造後は山で特訓して落石を投げ返したりしているらしい。この世界にもサッカー選手を改造したオーグがいるのだろうか*2

10代の頃には既にバイクに乗り始めてやんちゃしており、試しに参加した大会で優勝。その場でプロのレーサーを打診されるほどの腕前だとされている*3

改造直後は圧倒的な暴力をもらす我が身に恐怖し、他人に力を振るう事に戸惑っていた。
倒したオーグメントの遺体にもかつては人間であったとして必ず黙礼・黙祷を捧げる。

常人離れした願わざる力は常に本郷の心を苛んでいく。

暴力は好きではない。人を傷つけたくない。
しかし自分が恐怖を抱いたオーグメントの力を、SHOCKERの構成員は容赦無く振るう。
傷つく無辜の人々を放っておくわけにはいかない。
そんな思いが、本郷を奮い立たせる。


優しすぎる心で、他者に仇なす怪物と化したとはいえ"ヒト"を殺さなければならない苦しみ。
それでも、自分の心の奥底にある願いを信じながら。





「あなたは優しすぎる」
「それが本郷のいいところだ。弱点でもあるがな」









人間の尊厳のために、本郷猛は過酷な戦いの嵐に飛び込んでいく。
たとえ我が身を犠牲としてでも。

「僕は人を守りたいと思う、自分の心を信じる」


【仮面ライダー】


「さすが緑川の最高傑作」
「無傷とは想定外でした"バッタオーグ"」

「違う。僕の名は、"ライダー"」

ルリ子が巻いてくれた赤いマフラーが脳裏を過ぎる。

「"仮面ライダー"と名乗らせてもらう」



本郷猛が緑川グループの昆虫合成型オーグメンテーション手術によって変化した姿。防護服とマスクを着用した上でエネルギーを圧縮変換することにより変身──metamorfose*4する。

緑川博士の遺作にして、プラーナの未来を託した昆虫合成型オーグメントの最高傑作。
最も進化した種である人間と昆虫の掛け合わせが理想的な生物というのが博士の結論であり、人間の好戦的気質をバッタの慎重さが抑えるらしい。
SHOCKER構成員としての名前は「バッタオーグ」だが、組織に反旗を翻した後は仮面を被ったバイク乗り──人類の味方、「仮面ライダー」を名乗るようになる。

基本的には本家と同じで「仮面ライダー」だが、肩を並べて戦う第2の相棒が現れると『第1号』あるいは人間体の名前をつけて「本郷ライダー」と呼ばれる事もある*5

力の源はあらゆる生物や大気中に宿るエネルギーであるプラーナ。緑川博士が「自然環境を破壊せずに人類が生き続ける理想のエネルギー」を目的として研究していた。
バッタオーグの体内にはプラーナの吸収増幅システムが搭載され、圧縮されたプラーナを動力源とする。

変身や戦闘時への活用のみでなく、ライダー自身の生体部品もまたプラーナで維持されている。
使い切ると身体情報が保てなくなり、肉体の消滅を意味する。

普段はマスクをバイク用のフルフェイスヘルメットに偽装し、黒いロングコート(モーターサイクルコート)で首から下の強化服を覆っている。
これは正体を隠す意味もあるが、コート自体ルリ子が手ずから作った特別製であり、銃弾程度なら弾いてしまう特殊金属繊維が編み込まれている。まさに常在戦場の用意周到。
場合によってはコートを着込んだまま戦ったりするが、やはりバッタの持ち味である脚力を活かした空戦機動には邪魔なようで大抵の場合はさっさと脱ぎ捨てられる。
防御力と引き換えに機動力を削ぐ、ある意味ではサナギマンやマスクドフォームのような状態なのかもしれない。

いくら高性能でも呪文を唱えたりポーズを取るだけで強化服が一瞬で現れるようなそんな夢みたいなことはできないので、変身の度に防護服とマスクを装着しておかなければならない。
よって本郷は着脱の手間と不意の敵襲を鑑み、普段は着込んだ防護服の上からコートを羽織り、マスクは偽装ヘルメットの状態で外して活動している。
各種媒体では便宜上この顔出しロングコート状態を変身前の人間体として扱っており、本家よろしくこの状態でも下級構成員(戦闘員)程度なら容易に蹴散らす事ができる。
OMITシーンでは上記の姿のままハチオーグの配下との戦闘シーンも撮影された。

強化服と連動したマスクには闘争本能を刺激する作用があり、自己生存のためなら他者を容赦なく殴り殺せるような精神状態へと誘導する。
当初は本郷を苦しめたが、後に強い意思で克服している。

「人を殺して…なんで僕は平気なんだ?」

首にはルリ子が巻いた赤いマフラー。
風に靡くマフラーはバイク乗りの目印、そしてヒーローといえば赤。
本郷の誰かに寄り添える心、正しく義理と人情を為す、正義の心の証である。

「昔からバイク乗り…"ライダー"には必需品」
「それにヒーローといえば赤なんでしょ?」

「よく知らないけど」

マスクの背部には当初、組織でのコードネームである「BATTA-AUG BAA-O1」と共に、SHOCKERのエンブレムが刻印されていた。
しかしコウモリオーグとの戦いを前にかつての"ヒト"を殺す覚悟を決め、過去の絶望を乗り越え人々のために力を使う決断をてからSHOCKERの鷲ライダーのエンブレムに変わっている。
まるで「バッタオーグ」から「仮面ライダー」となる決意にマスクが呼応したかのように。

【変身システム】


「風を受けて!あとはマスクを!」


大気中に存在する圧縮された他生物のプラーナを、風力を通してベルトの風車と胸部コンバーターラングが吸収。
ベルトのプラーナインバーターによって自らの生体エネルギーに変換されたプラーナは体内の吸収増幅システムで圧縮され全身に漲り、余剰分はベルト左右に据えられた箱型のエナージ・コンバーターに蓄積され、変身や戦闘に圧縮プラーナを用いるという仕組み。

風車ダイナモは主にプラーナ計測器の役割を果たし、回転数は吸収エネルギー量の指標となる。
要するに風は力そのものではなく、プラーナを圧縮変換し強化するための文字通りエナジーコンバートに必要な鎹の役割。
しかし大自然の使者・仮面ライダーとして、風と自然の力を借りて戦う図式は変わらない。



基本的なプロセスは本家の旧1号と同じくサイクロン号の走行と連動。
レバースイッチを回してハンドルを下げるとサイクロンが変形を開始し、それに伴って装着した偽装ヘルメットがマスクに変形して仮面ライダーへと姿を変える。
エネルギー吸収の大部分は胸部コンバーターラングが担うため、最初の変身シーンではバイクの上で仁王立ちとなり、両手を広げて胸に風を受けるようにしている。
どこかの赤い仮面の3番手の立ち乗りバイク変身を彷彿とさせるが、大変危険なので決して良い子はリアルの自転車や単車などで真似してはいけません。

本家同様にバイク走行が必須という訳でもなく、ある程度の風があれば変身(プラーナの圧縮)は可能。高所から飛び降りる風圧でもクリアできる。
その場合マスクやサイクロン号はいつの間にか変形しているが、古来よりのお約束なので深く気にしてはいけない。

変身中のマスクはライダー自身の力を持ってしても外れず、クラッシャー(顎)の上下を両手で引っ張り上げた隙間から辛うじて中が覗ける。
この状態の本郷の素顔は「真っ赤な瞳」にまるで改造の手術跡や昆虫のような筋が無数に浮き出た異形の顔に変貌している。
仮面ライダーもまた、敵対するオーグメントの同族なのだ。


"バッタとの合成オーグメントである本郷猛はベルトの風車と胸のコンバーターラングに風を受ける事により、仮面ライダーへと変身するのだ。"



ベルトの正式名称は「タイフーン(プラーナ強制排出補助機構付初期型)」

その名称が示すようにベルト右側のスイッチには体内とエナージコンバーターに残存した過剰プラーナを強制排除する機能があり、押すと風車周辺の排気口とラングからプラーナを排出して人の姿に戻る(=変身解除する)事ができる。
この際、クラッシャーの下半分が収納され、マスクをヘルメットのように脱ぐ事ができる。(装着時は逆に下顎が展開される)
ちなみに着脱音は日本一の私立探偵のソレ。

これにより無用なプラーナの消耗や闘争本能の昂りも収まるが、変身や戦闘に用いる体内のエネルギーを全て放出するため超人的な身体能力を発揮できなくなる。
再度の変身にはあらためて風を受け、プラーナの圧縮変換を行わなければならない。

よって弱点も本家の仮面ライダーと同じく「風の発生しない密室」
OMITシーンでは体内のプラーナをゼロになるまで強制減圧する罠との合わせ技で絶体絶命となった。

戦闘時に全身に着用しなければなら手間から基本着たきりになるだけで、変身していなければ防護服一式は脱げる。
通常の衣類も(少なくとも上半身は)特に制約もなく着れるので、その場合は普通の人間と遜色ない姿になる。劇中では黒いタンクトップで思い切り素肌と脇の剛毛を晒していた。
下半身に関してはブーツを脱いで踝の上あたりまで素足を出しているが、そこからベルトまではスーツを履いたまま*6
そして改造人間の宿命として生命維持も含んだシステムの根幹であり体の一部でもあるベルトはどうあっても外れない。
劇中でもよく見るとベルトのままパイプ椅子に腰掛けて休息している。

因みにルリ子の台詞からして防護服は洗えるらしく、劇中でも上半身のレザー生地と手袋・ブーツがハンガーで干されている。
……洗濯機にでも突っ込んだのだろうか。
そして胸部装甲は洗えるのか否か。


【能力】


本郷の優れた身体能力がバッタとのオーグメンテーション手術による身体強化で更に底上げされており、頑強にして俊敏。

鉄を握りしめる握力で握りしめた拳に強化筋肉と人工骨の強度を加えて繰り出すパンチは分厚いコンクリートの壁も障子紙のようにブチ抜き、防護服を切り裂く特別製の刀も肉体には傷をつけられない。
腕全体に力をこめると、まるで岩石の盾のような硬さとなって外敵から身を守る。

「あらら…貫けぬか」

当初はマスクの作用により力の抑えがきかず下級構成員を文字通り血祭りに上げる凄惨な戦闘シーンが大スクリーンに展開されたが、システムについての知識と本郷の最大の武器である「誰かを思いやる優しさを忘れない強い心」によって制御下におけるようになった。
この心こそが、本郷を仮面ライダーたらしめる重要な資質である。


等身大サイズでバッタのように動き回り、跳躍力は66m30。???「わしには届かんよバッタくぅん!」
通常の人体でも腕の数倍となる脚力にバッタの脚力を重ねて跳ね上がる渾身のジャンプから繰り出す飛び蹴りは同胞たるオーグメントをも撃滅する必殺の一撃。

背中のコンバーターウイングは光り輝き、翅の形状をしたプラーナを放出する。
これは実際に翅の役割を果たし、飛び上がった空中での姿勢制御を担う。
これにより跳び上がった上空で急制動をかけつつ人間サイズの相手のドテっ腹に飛び蹴りをブチ当てるといった無茶が可能になる。*7
これは同様に翅を持つ生物とのオーグメントにも使える芸当だが、無翅の生物の上に非緑川製のオーグメントには当然できず、例えば空中戦に持ち込まれると「圧倒的に…不利ィィ!!」となる。

近接戦闘に特化し過ぎて徒手空拳しか出来ない事が短所と言えなくもないが、ジャンプ力を中心としたその身体強度と機動力の前には瑣末事である。

昆虫の複眼を発展させたピンク色のC・アイは双眼鏡・顕微鏡レベルで遠くの物体の姿を捉え、高速で動く相手も探知可能。


緑川博士の最高傑作ではあるが、後発の改良を受けた同型オーグメントには筋肉量の差からパワーで劣る。
しかし筋肉の分だけ体重はこちらが軽量であり、バッタ型の持ち味であるジャンプ力で勝る本郷は空中戦法と創意工夫で難局を打破する。

ライダーカードの世界観では40以上の技を持つとされる「技の1号」*8
中にはルリ子が協力して開発した技もあり、元々人の話をしっかり聞く本郷は助言も参考にし、日々のトレーニングで新たな技を次々に開発しているらしい。まさかのルリ子おやっさんポジ

これら超人的な能力の行使にはプラーナが不可欠だが、変身時の急速圧縮のみならず平常時から大気中に圧縮された他生物のプラーナを生体エネルギーに変換して吸い続けている。
これは本郷の意思に関わらず自動的に発生し、疲労や空腹とは無縁で例えば左脚をへし折られるようなダメージでも短時間で治癒してしまう。
緑川博士は当初これを他者を傷つけずに死を克服する理想のシステムとして研究していたが、不死の肉体のために人類全てが活用しても結局は有限であるプラーナの奪い合いになり生命は絶滅する結果になってしまい、最後の成果として本郷にシステムを与えた。

誰かを守るため戦う本郷の力は、皮肉にも誰かの生命がなければ行使できない。


・必殺技
言わずと知れた仮面ライダーの必殺技にして連続前方宙返りで勢いをつけた飛び蹴り。
本家の特徴であるカット割を多用した前宙返りの連発をワンカットのCGで表現した結果、もはや前宙というよりローリングアタックような勢いになっている。

相手や戦局によっては翅形プラーナで空中で軌道修正したり、サイクロン号を利用した二段ジャンプで高さを稼いだり、全身できりもみ回転しながら突撃するなどバリエーション豊か。
威力も凄まじく地面に当たれば地震の如く辺りを揺るがし小さなクレーターを穿つ程。

このほか、ライダーカードではパンチ、チョップ、ライダー返しなど、本家でもお馴染みの必殺技の名前が記されている。

【サイクロン号】

ご存知、仮面ライダーを支える鋼鉄の愛馬。
バッタオーグと連動する改造オートバイ。

SHOCKER科学陣によって制作され、当然緑川博士も設計に携わっている。
自身もバイク乗りだった事で凄いマシンを作ると張り切っていた。
そして同じくバイクを愛する本郷に似合うと思い、変身システムと連動させて授けている。

最高時速は500㎞に達し、30mの大ジャンプはビルの谷間や断崖絶壁をひとっ飛び。
ジェット噴射により火を噴く6本の可動式マフラーを下に向ければ短時間の飛翔が可能で、その状態から足場にする二段ジャンプでライダー単体の跳躍力を超えた高度へ到達可能。

本家と同じくベルト左側のスイッチで呼び出しが可能で、どんなに離れていても最高速で瞬く間に駆けつける。
歩いている本郷の後ろをチョコチョコとついてくるシーンが非常に愛らしいと評判。*9


撮影にあたってのベース車はホンダのCB650R。
オリジナルを踏襲して前傾姿勢で跨るレース用の車体だが、当時に比べるとより効率化・小型軽量化が進んでおり、選定は難航したようである。

原典の特徴を抑えつつ全体的にシャープになっているが、印象的な変更点として前面の目のようなライトが2つから4つに増えている。
これは当時のサイクロン号は前輪が大きいためカウルとの隙間が殆どなく、2つ目でもバランスの良い配置となるが、カウルが小さい本作の車両で踏襲すると上目寄りで下手すると族車に見える可能性を考慮したため。
つまりライトを2段の4つ目にしてカウルの空きスペースを詰めることが目的で、アッチの方の赤い第2号とは特に因果関係はない。

【常用サイクロン号】


要するに変形前のサイクロン号で、通常のオートバイに偽装された形態。
この状態でも恐るべき馬力と加速性能を誇り、わずか数秒で最高時速350kmに到達する。

レバースイッチを回してハンドルを変形後の位置まで下げる事でカウルの展開とマフラーの拡張変形が始まり、車体がフルカウルで覆われた本来のサイクロン号へと移行する。
そこから更に加速して体に風を受けると、仮面ライダーへと変身するのだ。

本家では時代柄フェードイン映像などで対応していた変形シークエンスが、最新のCG技術を駆使してヌルヌルとトランスフォームする様は圧巻の一言。本作を印象付ける序盤の名シーンである。

ベース車は同じくホンダのCB250R。
変形後のサイクロン号も含めてこちらの車体の画像をベースにPC上で描き込んでデザインされた。

なんぞこの名前、と思われるかもしれないが、本家『仮面ライダー』でも変形前のサイクロン号が便宜上「常用サイクロン」と呼ばれており、実質的には俗称を公式作品が逆輸入した形となる。



【他作品・他媒体での活躍】


【真の安らぎはこの世になく】

本編の2年前となる大学時代にインターンで緑川博士を手伝っていた。
優秀な学生として注目を集めていたが、直後に父を失い、メンタルは最悪の時期である。
この時に味わった絶望と守るための力を欲している事を博士に話し、それが後の戦いの切っ掛けとなる。

映画本編のパートでの活躍は基本的にそのままだが、要所要所で台詞やモノローグが増えており、本郷の考えや人物像が補完されている。

【SD シン・仮面ライダー 乱舞】


仮面ライダー本郷猛はオーグメントである。
彼を手術したショッカーは人類の幸福のために作られた秘密結社である。
偏った考えの幸福に心の自由などない。
仮面ライダーは人間の自由のためにショッカーと戦うのだ!

SD頭身の可愛らしい姿で、本家の菊池サウンドを絶妙にパロった色んな意味で危険なBGMを背に自販機やATMをポチポチしながら戦う。
アイテムのハンバーカーやラーメンを食べると回復やステータス上昇はするのだがその度に「味がしない…」と本編の設定*13を反映した人の心の無い台詞がプレイヤーの心を抉ってくる。

基本的に本編の展開をなぞるが、操作キャラである都合から道中は(一文字が加わる終盤まで)本郷が1人で担うため、場面説明を兼ねてシーン間の本郷の心情を語る台詞が少し増えており、人物像を掴みやすい。
ルリ子も登場はするのだがいわゆるオペレーターキャラで現場には出てこないので、劇中では彼女が活躍するシーンも本郷が肩代わりする超ワンオペ進行である。

性能としては防御寄りのオールラウンダータイプで、攻撃性能の高い一文字と差別化している。
黒コートは更に防御を上げる代わりに攻撃能力を下げてしまい、キャストオフしてからが本番。やらしい意味ではない
ゲームの都合上、自力で思いっきり高くジャンプする程度の風力で変身する。新1号っぽいポーズも取るため、ほぼ変身ポーズシステム。


ゲーム冒頭では本編で割愛された、改造直後の手術台で目覚めるシーンなどが僅かに描かれている。

【しん・仮面ライダーだゾ】

劇場公開と同時にまさかの春日部の有名な5歳児とコラボ。
まるで週30分番組のテレビシリーズのように一文字とルリ子の3人で各地をバイクで旅しながらSHOCKERと戦っている。本編の展開も鑑みて真の安らぎがある幸せな世界とか言われたりする

どこかの893幼稚園の先生が改造された怖顔オーグ十面鬼ゴルゴス梅オーグと新怪人・クモ先輩のパクリ雲オーグによる幼稚園バス占領に敢然と立ち向かうダブルライダーの活躍。

本編の悩み苦しみはどこ吹く風で、真顔でシュールな行動に出る天然ボケの自由人。
走行中のバスにサイクロン号で乗り付けてせっせとチェーンで止めたり、バスの上でおっとっと。

「バスから落ちたら危ない…お待たせ、僕は本郷猛」

一文字も一緒になってボケるので、きれいなおねいさんルリ子がいないと話が進まない。何オーグだっけ?雲オーグだよ!!

最後は結婚式を襲うSHOCKERの新怪人・ゲバオーグ*14出現の連絡を受け、サイクロン号で去っていく。
どうやらひと段落したらスイス支部を叩き潰しにいく予定らしい。

余談だが本家のショッカーは幼稚園バスの襲撃作戦は行なっていない。あしからず。





【終盤の展開】



【余談】


  • 当初は時代の変化に合わせ、人間の体が遺伝子レベルでバッタのクリーチャーに変容するデザインも提案されたが、庵野監督のヒーロー・仮面ライダーへの深い愛情から、基本的なデザインをはほぼ崩さない真っ向勝負の姿となった。まさに「変わらないモノ、変えたくないモノ」である。
    • 旧1号(桜島1号)や旧2号を踏襲したレザー製のぴっちりしたアクションスーツはデザインこそ素晴らしいが機能性がまるでなく、着るだけで体力を奪われるらしい。

  • TVドラマ版や萬画版のエッセンスは含みつつ、その人物像は従来の本郷猛とはベクトルが異なる。これは庵野監督の「自分の中での強すぎる藤岡弘のイメージを消化しきれず、別のキャラクターとしての本郷を作らざるを得なかった」という考えから。
    • 大凡の特撮ヒーローが "お約束"としてわざわざ説明しない「悪とはいえ人を傷つける」ことに葛藤し、「ヒーローだから倒して良い、ヒーローだから強い」という"当たり前”に待ったをかけ「仮面ライダーを人間に戻す」ことをイメージして演じられている。

  • 演ずる池松壮亮はオーディション当時は上海におり、コロナ禍の隔離期間もあってオンライン形式となったが、「違う本郷猛になってくれるのではないか」と、ビビッとくるものがあったらしい。
    • そんな池松氏のクランクイン前の最初の所信表明が「この世界の再生には仮面ライダーが必要だと信じて、どんな困難が待ち受けていようと、最後まで、地球のために闘ってきます」…仮面ライダーとして選ばれたのも、むべなるかな。そして宣言通り2年に渡る撮影を闘い抜いた。

  • 特徴的な黒いコートは劇中の役割通り防護服を隠す役割と「寒風吹き荒ぶ外界に襟を立てながら歩いていく」巨大な力に立ち向かうダークヒーローとしてのイメージ。

  • 第2号に左足をへし折られて一時線線を離脱し、その間に一文字が戦うという構図は、本家『仮面ライダー』の藤岡氏の怪我に伴って2号編が始まる流れを彷彿とさせる。
    • ちなみに池松氏も(右足かつ致命的な骨折ではないが)ライダーの中の人を兼任したハードな撮影で本当に足(靭帯)を負傷してしまい、負傷直後の一部イベントには松葉杖で出席している。




「同胞たるSHOCKERのオーグを全て倒してあんたはどうする」

「もう同じ仲間はいない。たった1人だ」

「そうなれば人間たちの感謝は恐怖に変わる」

「守ったはずの人間に殺され、プラーナの情報目当てに解体されるのがオチだ」


「あんたの居場所はなくなるぞ」


「…元々、ひとりが楽なバイク好きだ。孤独には慣れてる」


「そんなとこまで俺と同類かよ。まぁ、ひとりが楽ってとこは別だがな」

「それに…今は仲間がいる」

「…だな。ありがとうよ、これで心スッキリだ」
*15






「さてと、追求・修正だ。やるぞ本郷!」
「ああやろう。一文字!」

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最終更新:2025年01月04日 18:41

*1 自己受容、他者貢献、他者信頼。

*2 報告書によれば原発を狙ってバーリヤに弾き返された事件は発生しているらしい

*3 原典の本郷猛の夢が"グランプリレーサー"

*4 メタモルフォース。ポルトガル語で変身・変化・変貌などを意味する。本作で仮面ライダーが最初に変身するシーンでのBGMのタイトル

*5 この辺りの名称の機微は全て本家の変遷と同様である。旧1号・2号編ではそれぞれ1人だったため「仮面ライダー」、15話では一文字が「本郷ライダーに助けられ」と回想し、桜島1号として本郷が復帰した際には「仮面ライダー第1号」となっている

*6 これが"脱げない"のか"脱いでいない"だけなのかは不明である

*7 要するに、原典でのカット割を駆使した凄まじい空中殺法に対して視覚的な解答を提示したという事である

*8 本家の新1号も技の1号の根拠として「48の技」を持つという設定がある

*9 ちなみにこれには特撮ではなくホンダの持つ本物の自立追従技術が使われている。

*10 いわゆる爆風変身のオマージュ

*11 横転事故が起きるまでは自らスーツを着て乗車していた藤岡弘、氏曰く「マフラーの重さで自然とウィリー走行しており、いつか事故を起こすのではと感じていた」ほどであった

*12 ちなみに本作でも似たような事故が起こってしまったらしい

*13 活動エネルギーは全てプラーナで賄うため、食事を必要としない。よって改造過程で味覚もオミットされたものと思われる

*14 映画本編に登場したオーグが本家の8話までの怪人で、ラストに出現報告だけされたコブラオーグが9話と10話。その次の11話がゲバコンドル

*15 SDシン・仮面ライダーでの会話より。一文字側の問いかけはBlu-ray特典のOMITシーンで去り行く本郷への独り言として収録されている