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庵野秀明

登録日:2011/09/27 Tue 20:41:13
更新日:2024/12/03 Tue 13:45:38
所要時間:約 9 分で読めます





そ、そ、そ、そ!


庵野(あんの) 秀明(ひであき)とは、『新世紀エヴァンゲリオン』で日本にその名を轟かせたアニメ&実写監督である。


概要


1960年5月22日生まれ。山口県宇部市出身で、妻は漫画家の安野モヨコ。
別名義としてあんの ひであき、アンノ ヒデアキ、空母そ・そ・そ・そ(由来は後述)がある。

作品に自分の心情を反映させることが多い監督で、『新世紀エヴァンゲリオン』の後半及び『旧劇場版』のストーリー展開はこれに起因するものと言われている。

また、自作にウルトラマンパロを入れ込むほどの特撮好きで、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の同人誌に参加したり、
冬に裸足で下駄を履いて『エヴァ』のアフレコしたり、双璧をなす富野由悠季「見てはいけません!」と公言したものにハマったりと、かなりの変わり者で有名。


来歴


漫画を読んで育った少年時代は、ヤマトやガンダム、ウルトラマンを見ていつしか筋金入りのアニヲタ、特撮ヲタとなり、高校時代の美術部ではリアルなメカ描写を披露するようになる。

高校卒業後は一年間のニート生活を経て大阪芸術大学に進学。
当時は島本和彦、士郎正宗とも同級生だった。

SF研究会で知り合った山賀博之らと自主製作映画グループ『DAICON FILM』に参加、自主製作アニメやウルトラマン愛を実体化した『帰ってきたウルトラマン』の傑作自主製作映画を製作。

正式に宮崎駿の弟子となり、アニメーターとしてのイロハを手取り足取り学ぶ。
原画マンとしては『ナウシカ』の巨神兵が王蟲の群れを焼き払うタイムシートを不満のあまり勝手に書き換えたり、『火垂るの墓』で調べ上げて描いた軍艦を塗りつぶされたり、『マクロス』最終回のモンスターを一歩歩かせた(伝説の一歩)*1ことは有名な話。

ガイナックスの『王立宇宙軍~オネアミスの翼』には演出担当にジョブチェンジして参加し、『トップをねらえ!』で初のシリーズアニメ総監督を担当。
続く『ふしぎの海のナディア』でSFファンの間で知れ渡る存在となり、続く『エヴァ』では一般人にまで名が浸透することになる。

代表作である『新世紀エヴァンゲリオン』は社会現象と言える程に爆発的ヒットした。『エヴァ』を通して庵野秀明という名は富野、押井、宮崎に並ぶ代表的アニメーターに昇格。

その一方でエヴァ後半の濃密な心理描写が物議を醸しだし、製作現場がゴタゴタだっただけあって、大問題となった最終回が大ブーイングを呼んでしまう。

そう、庵野秀明は既にこの時壊れていた。

顧客を「現実に帰れ」と突き放すただでさえヤバい精神状態で製作された『新世紀エヴァンゲリオン劇場版』公開後はふっきれたのか、スパロボでシンジがブライト・ノア修正されるクロスオーバーを提案。

その後、庵野氏はアニメ業を離れ、デジカメを使用した実写映画の監督業に幅を広げるが、どれも今一つ話題にならなかった中、貞本義行の紹介で知り合った漫画家の安野モヨコと2002年に結婚。

かたやオタクに引きずり込もうとし、かたや真人間に戻そうとする良い(?)関係がターニングポイントになったのか、食生活やファッションの改善など、周りから見ても「落ち着いた」と言われるようになり、大分性格も丸くなった。
その様子は嫁=安野モヨコのエッセイコミック「監督不行届」にてネタにされている。


結婚以降

そして、人々が『エヴァ』を過去の作品とみなし始めた頃に『エヴァ』仕切り直しのお知らせを発表。
ご存じの通り、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』である。
この際に新劇場版制作に向けた所信表明文を公開した。何故再び『エヴァ』を作るのか、新たな『ヱヴァ』は何処へ向かおうとしているのかを書き記した文であり、アニヲタwikiまで来ているエヴァオタクならば一度目を通すことをお勧めする。

製作のためにガイナックスを退職し、自身で新しいアニメ制作会社「カラー」(Khara/χαρα、ギリシャ語で『歓喜』の意味。安野モヨコ命名」)を設立。社長に就任。
アクの強かった心理描写は鳴りを潜め、「燃えるロボットアニメ」を重視した、旧作とは一変した展開で「まだまだ現役」であり、彼の心の成長がうかがえる作品となった。
庵野氏のリアルタイム製作志向が如実に出た、大変微笑ましいエピソードである。

『新劇場版:序』ではワンカットのみ原画も務めたが若い世代には敵わないと語っていた。
続く『新劇場版:破』では新キャラクターや新型エヴァも投入され、エンタメ版エヴァと言われるほどに王道に熱い展開を描き興行収入も前作の2倍にまで上り詰めた。

だが、『新劇場版:Q』では作風が一変。再び多くのファンを困惑させた。
ただ特撮ファンらしく、ヤマト轟天号、マイティジャックにスカイホエールオマージュで空中戦艦(ご丁寧にピアノ線付き)を登場させている。
作中に描かれている「エヴァに乗れ」「エヴァには乗るな」の相反する葛藤は監督自身のエヴァ制作に対する葛藤を下にしたという。
今作の後、鬱病を患ったらしく、1年間はアニメ制作からは遠のいていた。

それからは、師匠である宮崎駿監督の新作『風立ちぬ』で主人公役の声優を務めたり、
『宇宙戦艦ヤマト』のリメイク作品である『宇宙戦艦ヤマト2199』でOPコンテを、「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」では久しぶりに原画を描いたりもした。
また、ニコニコ動画を経営するドワンゴとの合同企画で、若手アニメーター育成のための短編アニメ集『日本アニメ(ーター)見本市』のプロデュースも行った。

2012年には“特撮博物館”という往年の特撮技術を再現、紹介した企画の主催を務め、
その企画の中で上記のナウシカに登場した巨神兵(原作版の方)の姿を特撮で表現した短編『巨神兵東京に現わる』を製作している。
また、その縁で交流がある樋口真嗣の監督作品「ローレライ」「日本沈没」にもチョイ役(離艦する兵士、日本から逃げ出す政治家の家族)で出ていたり、
ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』のメイキング『GAMERA1999』の監督も務めた(もっとも、恣意的な編集だったためガメラ3の現場からはよく思われていなかったらしい)。

さらに2015年には前年に話題を呼んだモンスター・バース版ゴジラに触発される形で復活の決まった、
日本では12年近く途絶えていた国産ゴジラシリーズの新作の総監督に抜擢され、久しぶりに本格的な特撮映画に携わることとなった。
タイトルは『シン・ゴジラ』とし、脚本も自身が担当、特技監督には『巨神兵東京に現わる』の時と同じく樋口真嗣を据えて製作が進められた。
当初は上記の「庵野の実写作品は飛ばない」というイメージとエヴァQの件もあって「まともなものが出来ないのではないか」と不安視されていたが、
いざ蓋を開けてみれば至ってポジティブで熱い王道ストーリーとインパクトのある特撮演出が映える正統派の怪獣映画として仕上がっており、
興行的にも歴代ゴジラシリーズで最大の記録を残し、評価的にも申し分のない結果を出すなど、今までほとんど顧みられていなかった実写というカテゴリーにおいても改めて自身の名を轟かせてみせた。

新劇場版エヴァはどうした?…という声もあるが、『シン・ゴジラ』を終えた2017年、いよいよ新劇場版完結編シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』の製作に着手した。
事前告知なしの特報の公開、スタジオカラー公式Twitterにおいて打ち合わせ開始の明言、特報2や冒頭10分の先行公開などこれまでとは打って変わって
続々と情報が出されており公開日も2020年6月27日を予定しているとの発表があった。
しかし、新型コロナウイルスによって公開日が2回延期され、2021年3月8日に正式に公開。
『シン・エヴァ』においては2時間半という長尺を使いこなしエヴァンゲリオンの終幕を成し遂げた。
前作「Q」が暗すぎたことや、そもそもエヴァの終わりがテレビ版も旧劇場版も賛否分かれる終劇だったこともありファンからは不安視されていたものの、蓋を開けてみれば綺麗な終劇がそこにあった。「Q」の補完も成され、主人公の精神的成長も描かれ、過去2回の終わり方とは違う希望を持てるエンディングを描けたのは、監督自身の成長あってのことだろう。
第3村におけるシンジが絶望から立ち直る過程は庵野監督自身の鬱病からの回復過程を再現したものだという。
最終的な興行収入は100億円という大台を突破した。これは庵野秀明監督作品において最大の記録である。
間にゴジラなどを挟み10年近く期間が空いたシン・エヴァだが、この事情は後に『Q』上映以降しばらくの間、ガイナックスの杜撰な管理と経営のせいで散逸してしまっていた資料や版権の回収に追われていた事や、そのガイナックスが版権使用料を滞納していたため訴訟沙汰になった事(庵野が所属するカラー側が勝訴している)等が絡んで、続きを製作したくてもできない状況に陥っていた事が明かされている。
この件で庵野は完全にガイナックスと縁が切れたようで、2019年に当時のガイナックス社長による未成年淫行事件が起きた際「『エヴァ』の製作会社であるガイナックス」と報道したメディアに対して強く抗議している。(現在のガイナックスは名前のみが残っている状況であり、『エヴァ』を作っていたクリエイターは所属していない)

2022年にはウルトラマンの映画作品『シン・ウルトラマン』が公開。総監修・企画・脚本として参加した。
『シン・ゴジラ』とは違い完全オリジナルのストーリーではなく大まかに元となる話を選抜した上で作られているが、しっかりと庵野節は発揮されている。
監督こそやっていないが、かなり細かな点まで関わっており、ウルトラマンや怪獣のモーションアクターまでやっている。

2023年には『シン・仮面ライダー』の監督・脚本・コンセプトデザイン・モーションアクターを務めた。
アクション映画としてのカッコ良さと独特なカメラアングルが合わさり非常に見応えがある。こちらも一度見ればすぐに作品世界に引き込まるだろう。
こちらも『シン・ウルトラマン』同様に原作からストーリーを抜粋して作られているのだが、様々なところに萬画版仮面ライダーのネタも混ぜられており庵野氏の愛情が発揮されている。
後に発売されたBlu-Lay・DVD版では特典映像として「シン・仮面ライダー 各話フォーマット版」が収録されており、本作が全4話に再編集されている。単に30分程で区切るのではなく、OP・アイキャッチ・ED・そして次回予告と実際のテレビ版さながらに熱意を込めて作られており、中には「庵野が本当にやりたかったのはこれだろ」とまで言う人も居るほど。


作品一覧


監督作品

シリーズアニメ


劇場用アニメ


実写映画


その他参加作品


俳優/声優活動

  • ミユミユ(フリクリ)
  • 監督(茶の味)
  • 旅館経営者(恋の門)
  • 山賀教授の娘婿(日本沈没)
  • 客(さくらん)
  • 松原医師(クワイエットルームへようこそ)
  • 堀越二郎(風立ちぬ)
  • 岸辺野宗二郎(ラストレター)


余談


  • 本人は肉類の食材が食べられない所謂菜食主義者(ベジタリアン)
    ただしキノコとかもダメだしスナック菓子やインスタントラーメンが好き……と本人も認めるように偏食に近く、かなり極端に偏った食生活を送っていたらしい。好物はサッポロポテトバーベQ味とパルム
    安野モヨコと結婚した後は彼女なりの説得によって食べられる野菜も増えてきた模様。なんとズッキーニを食べられるようになった。
    彼のこの菜食志向はナディアとレイのキャラ設定にも取り入れられている。

  • 過去に日産ティーダのCMに庵野監督本人が出演しており、奥さんのお陰かオシャレでダンディーなおじ様になっている。
    興味がある方は調べてみてはどうだろうか。

  • 少女革命ウテナ』監督の幾原邦彦とは親しい友人の仲であり、よく『セーラームーン』の製作アシスト*3をしたり、
    劇場版の声優として参加していた緒方恵美女史を見て次作の主役、碇シンジ役に決めたという逸話がある。
    加えて、渚カヲルのモデルは幾原監督であると公言している。

  • 同じくアニメ監督・演出家の出渕裕とも盟友同士で、ラーゼフォンの際には和気藹々とした座談会を行ったり、宇宙戦艦ヤマト2199のカットを手伝ったりしている。逆にシン・仮面ライダーでは出渕氏がデザインに参加している。同作ではスーツアクターを一切使わず役者がそのまま戦うことを重要視したため、多数の特撮作品でデザインを手掛けた実績があるとして召喚されマスクデザインを手掛けた。

  • 大学が同期である漫画家・島本和彦とも付き合いは長く、お互いにプロになってからも島本作品のアニメ化の際に演出を担当したり、宇宙戦艦ヤマト2199の感想を電話で語り合ったり、シン・ゴジラの公開時にはあまりの感動にヒートアップした島本の様子がTwitter上で評判を呼んだ挙句、庵野・島本を招いた応援実況上映会が実施されたりしていた。

なお大学在籍時のお互いの様子について島本曰く庵野は「突然隣のやつの首を絞めてショッカーのアジトを聞き出そうとする変人」であり、庵野曰く手塚*4は「体育の授業中に『俺はヒーローになるんだあああああああああ!!!』『俺に…俺にもう一度チャンスをくれえええええええええ!!!』と叫び出す変人」であったという。つまりどっちもどっち。
    • 関連するかは不明だが『ヱヴァ序』にて体育の時間に「たのむ〜俺にもう一度……」というセリフが叫ぶガヤがいる。

  • ナディアのグランディス一味が『タイムボカンシリーズ』における三悪の変形版になったのは自身のアイディアだという。
    また、ハンソンの口癖「そ、そ、そ、そ」は庵野の口癖であり、同じく主人公ナディアの性格は当時の性格の反映で、
    ナディアが冷たかったりワガママに描かれているのは、恋して振られた時の、自身の女性観を元にしたためとの事である。
    他にも南の島編での暴走ぶりも「周りから見た庵野監督」をモチーフにしていた。
    『エヴァ』七話でロッカーを蹴りまくるミサトは、『ナディア』製作中の庵野監督自身をモデルにしているらしい。
    キングについては当初は「実は宇宙人」との設定が構想にあり、最終回ではキングの着ぐるみを脱いで正体を現す予定だったが、周囲の反対で没になった。

  • アニメや特撮以外ではテンポのいい話作りで有名な岡本喜八の映画作品に強い影響を受けていると言われている。庵野作品群では場所のテロップなどをよく見るが、これは岡本氏の影響と考察されている。


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最終更新:2024年12月03日 13:45

*1 静止画の予定だった。

*2 企画、脚本、コンセプトデザイン、モーションアクター(一部)等も兼任。

*3 ウラヌス、ネプチューンの変身シーンの演出とか

*4 島本和彦の本名。