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ゲーム機

登録日:2024/11/04 Mon 17:00:00
更新日:2024/12/25 Wed 14:01:45
所要時間:約 6 分で読めます




ゲーム機とは、ビデオゲームをするための専用端末のこと。英語ではVideo Consoleと呼ばれることが多い。コンシューマーゲーム機(一般消費者向けの意)とも呼ばれ、その場合の略称はCS機。

広義にはゲームセンターとかにあるアーケードゲームもゲーム機だが、ここではコインを入れたりせず個人が購入すれば楽しめる機種について説明する。
アーケード駆体を丸ごと買い取るようなマニアックな使い方は想定しないでおく。


●概要

基本的にゲームを行う専用機であり、1980年代以降からパソコンと並行して急速に普及した。
当時のパソコンは仕事などで使用する大人向けの高嶺の花だったのに対して、ゲーム機は子供から大人に至るまで気軽に楽しめる趣味のアイテムとして発展していった。

パソコンなら理論上は一台で殆どのゲームソフトが楽しめるが、そこまでの汎用性を持たせた高性能なパソコンはとんでもなく高価な時代であった。
そこで登場したのが「ワープロやコマンドラインとかいらないからゲームだけやりたい!」と部品や機能をゲーム専用に特化することで、一般家庭でも安価かつ手軽にプレイ環境を提供できるという、極めて画期的な家電である。
今でこそ潤沢な量のデータを扱えるものの、当時は限られたコストや容量のなかでゲームを成立させる必要があり、開発陣の知恵や技術力もかなり試されていたらしい。
ゲームとはいっても、当時のノウハウが今日におけるIT技術の進化にも一役買っていると言える。



●パソコン・スマートフォンと比べたゲーム専用機の特徴

技術の進歩によって個人向けにもある程度のお手頃価格かつ高性能なPCやスマートフォンが普及し、移植版も多数登場。
その世代の上位機種であればゲーム機と遜色ないクオリティでゲームをプレイするにも問題ない時代となっている。

2024年現在ではPCやスマホ向けのコンソールとの同時展開という形態こそ珍しくなくなったが、ゲーム機も汎用端末に活躍の場を奪われた訳ではない。
現代でもゲーム機にはゲーム機独自の強みがあり、昔とはまた違った形で上手く共存しているのだ。

【利点】

安価かつ手軽に安定したプレイ環境が手に入る

システム上でゲームを動かすには一定水準のグラフィック性能が求められる。
そのため快適な動作を目指す場合は相応の性能を確保した端末を用意する必要がある。
また、自分のゲームパッドを用意しない限りは原則マウスとキーボード、もしくはタッチ操作である(こちらに慣れる人も多いが)。
(据え置き型)ゲーム機の場合、PCと比べて部品点数も減り、量産できる分割安で手に入れることができるのが強みとなっていることが多い。*1。もちろん、コントローラーも初めからついてくる。
今では大差ないが、丁寧に扱わないとすぐにエラーを起こしたパソコンと比べて、子供が遊んでも良いように丈夫にしやすいという利点もあった。
昔コントローラーを投げたりカセットをフーフーしていた人は作った人に感謝しよう。

勿論、究極のグラフィック体験を探し求めるとPCには敵わないが、その為に最上位のCPUやらグラフィックボードやらを挙げていくと間違いなく費用がエラいことになる。
パソコン自体の価格は昔より落ち着いたとはいえ、ゲーム向けの高性能なパソコンの場合はグラフィック面が進化した分非常に高くつくのだ。
むしろ最高級グラフィックボード一つ分の予算があれば余裕でゲーム機とソフトが買えるほど。
とりあえず現実的な予算でゲームを普通に遊べればよい人はゲーム機で十分であることが多い。

中にはゲーム配信をしたいと考える人もいるだろうが、その場合はより高い性能のPCが必要になってくるので更に予算が上がる。
ここを欲張りすぎずゲームは専用機に任せた場合、PCは配信作業のみになり負担を減らすことができる。

ガンダムでいうならPC・スマホ→モビルスーツ(汎用性に優れるが、ハイスペックなマシンはそれなりに高額で複雑となる)、ゲーム機→モビルアーマー(一点特化で汎用性を捨ててあるが、その代わりゲームをするだけならコスパと使い勝手がいい)のようなものである。


規格を統一、最適化しやすい

PCとスマートフォンどちらにも言えることだが、全製品が同じ部品や機種を使用しているとは限らないので、開発者はなるべく様々な動作環境で動作を検証する必要がある。
性能的には問題なくてもパーツとの組み合わせやコードとの相性で思わぬ挙動をすることもあり、当然ながら様々な種類・性能の環境の動作検証していくのは非常に骨が折れる作業である。
一方、ゲーム機の場合は検証を行う端末の仕様が絞れるので開発の負担も軽減される。実際、PC版がある作品であっても動作基準はゲーム機にしていることもある。
また所有者が多く販売数が伸びやすいことも開発側にとって重要な利点。当初はPC向けに作ったゲームが、予想以上に人気が出たということでゲーム機に移植されることも多い。


(物理ROMのみ)ゲームソフトの貸出・譲渡・売却ができる

2020年代現在、PC・スマートフォンの場合はほぼダウンロード(販売)のみに限定されているが、ゲーム機はこれに加えてディスク・カートリッジ方式のパッケージ版も提供されることもまだ多い。
そのため、遊び終わったゲームを他人に貸したり・あげたり、別の作品を購入するための原資に充てることができる。
これは消費者だけではなく小売(特に中古販売店)にとっても良い商材となる。



【欠点】

拡張性の低さ

パソコン用のUSB機器やストレージを流用できるようになったのも比較的最近の話。
ゲーム機専用の周辺機器は独自規格が多いためか、比較的高価になりやすくおいそれと買い足すには少し厳しい。
また、本体の拡張性についてはメーカー側の構想ややる気次第…というより、発売時点の性能より先は正直期待できないことが多い。機能面はオンラインアップデートとして拡張される機会も増えているが。
機種によっては特に使い道のないまま残された入力端子だったり、時代を先取りし過ぎた珍妙な周辺機器が作られたりすることもある。

また、PCゲームだと有志が開発したアドオンであるMODを入れて楽しむ人も多いだろう。
Windowsと互換性の高いMicrosoftの『Xbox』シリーズは対応している作品もあるが、それ以外は無い。こう言った部分も楽しみたい人は必然的にPC版が推奨される。
一方でMODとチートは技術的には互いに延長線上に存在するため、チート使用者がPCゲームに比べれば比較的少ないと言う利点でもある。

またFF11ではPS2やXBOX360でもプレイできたのだが、ゲームの拡張が進むにつれてスペック由来のフリーズ等の不具合が発生するようになったため、PS2の修理サポート終了とともにサービス自体も終了するということもあった。


将来的にゲームソフトが遊びにくくなる場合がある

拡張性の低さと似た理由だが、ゲーム機は機種が変わると仕様も大幅に作り変えられることから、ソフトの持ち越しが難しいことが多い。旧作を引き続き遊ぶためにはレトロハードも同時に所持し続ける必要が出てくる。
PCゲームの場合はOSが世代交代したとしても古いゲームが全く動作しなくなるというケースは起こりにくいのだが。
また、ゲーム本体は勿論、据え置き機の場合はテレビが対応しなくなることもある。今はHDMIだが、それ以前のゲームはコンポジット端子(黄、白、赤)と呼ばれるケーブルだったのをご存知だろうか?
最近のテレビはデジタル系の入力しか備えない事が大多数のため、このコンポジット端子が付いていないこともあるので繋げないこともある。
これやRGB21/SCART、S端子による入力をコンバートしてHDMIで出力する装置もあるが、大半のコンバーターは変換遅延が存在するためにアクション系のゲームがプレイし辛いという弱点がある。
またアナログ入力では誤魔化せた垂直同期の微妙な狂いが、このコンバーターが対応しきれなくてそもそも画面が表示できない、表示できても歪む等のトラブルもかなり多い*2
ゲーム機によっては後方互換に対応している例もあるが、それも基本は1世代前までがほとんどで2世代以上となるとごく初期のPlayStation3やXboxシリーズくらいしかない。
過去にはバーチャルコンソールなどの公式エミュレータとも言えるレトロゲーム販売サービスなどもあったが、現在は終了している。*3
近年では過去作のリマスターやリメイクもそれなりに活気づいているものの、当然だが収益の見込める人気作に限られるし、大抵の場合再度購入が必要となる。


(機種専用に)最適化しにくい

上の利点と思いっきり矛盾しているが、近年お約束となった「マルチプラットフォーム」での悩みがこれ。
ハードの垣根を越えて同じゲームのマルチプレイ(所謂クロスプレイ)まで実現したは良いが、クロスプレイでは逆にハードごとの違いを吸収しなければいけないので「特定のハード固有のスペック」を余さず利用して動くゲームが近年では却って開発が難しくなっている。
PS2やPS3のゲームの移植が少ないのは、機種独自の最適化が進み過ぎていて(ゲーム機だけに限らず)現行機の仕様では動作を再現するのが難しいためとされている。


●ゲーム機の種類

大きくゲームセンター等に置かれる大型筐体(アーケード筐体)と個人所有する家庭用の2種類に分かれるが、本項では家庭用を中心に紹介していく。

【据え置き機】

自宅などの建物内に置いて使うゲーム機。任天堂の『ファミリーコンピュータ』『Wii』、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)の『PlayStation』、マイクロソフトのXboxなどが代表的。
単体では使用できずディスプレイやテレビに出力して使う必要がある。

2000年代に入るとDVD・BDの再生機能が搭載される物が出始め、ゲームをしない層にも購入されるようになった。
また動画配信サービスなどにも対応することでストリーミングメディアプレーヤーの機能を持つ進化も起きている。

○任天堂

○SIE

○Microsoft

○SEGA

○その他


【プラグアンドプレイ機】

据え置き機の中では簡易的な作りのゲーム内蔵モデル。*5
「テレビに繋いで直ぐにプレイ」の謳い文句通り、映像出力のケーブルを繋いだあとは電源をオンにするだけでゲームが遊べる。
近年では電源もUSB供給である事が多く電源コンセントを占領する手間すらも省かれている事も。
その特性上、一部のアーケードゲームのような体感ゲーム機が多い。
近年流行している復刻版ミニゲーム機もこのプラグアンドプレイに入る。
あとなぜか項目が建っている威力棒Viiとか。



【携帯機】

ディスプレイと本体の機能が一体化したタイプの小型のゲーム機。スペックこそ同世代の据え置き機には及ばないが、電源さえ確保できれば場所を選ばず遊べるのが最大の強み。
『ゲームボーイ』『ニンテンドーDS』『PlayStationPortable』などが代表的。
こちらもビデオゲーム黎明期から様々な商品が展開されていたが、1989年に任天堂から通信機能に対応したゲームボーイが登場し現在の形が確立した。
初期の頃はディスプレイの費用と電池持ちの問題から白黒液晶機も一般的に使われていた。カラー機が普及したのは1990年代後半以降である。*6

2000年代半ばになると多機能化が進行。デジタルメディアプレーヤー機能を始め、無線LANを活用したインターネット接続に対応した。
ウェブブラウザも搭載したことからブラウジングマシンとしても活用できるようになり、今のスマートフォンに近い使い方もされていた。
この時代に小中学生だった人の中では学校外だと、これが初のインターネット端末だった人も少なくないだろう。

2010年代に入ると、より多機能で汎用性の高いスマートフォンと市場がぶつかり合うようになる。
結果としてSIEは撤退、任天堂は据え置き機と統合したハイブリット機路線に移行し、純粋な専用機としての携帯ゲーム機はその役割を終えることとなった。
一方でスマホの技術を転用して、中華メーカーを中心にAndroidやWindowsなどとの互換性を持ったOSを搭載したゲーム機が作られるようになり、お気に入りのゲームを気軽に持ち運べる媒体として一定の人気を獲得している。

○任天堂

○SIE

○その他


【電子ゲーム機】

LSIゲームとも呼ばれる。任天堂の『ゲーム&ウオッチ』やバンダイの『たまごっち』等が代表例。
手の平サイズの特に小型なゲーム機であり、ゲームは内蔵式でソフト交換は出来ない、基本的に背景の壁紙を除いてモノクロ液晶と簡易的な作りであり、ジャンルもアクションやパズルなどが主。
70~90年代が最盛期であり、たまごっちブームの際は似たような育成ゲームが大量に発売された事もあった。
現在は技術が進み、カラー液晶のものも見られている…が、その分値段も高くなっており、レトロ需要狙いのコレクションアイテム化も進んでいる。

〇任天堂
  • ゲーム&ウォッチ

〇バンダイ



【ハイブリッド機】

名前通り据え置き機と携帯機を合体させた物。『Nintendo Switch』が代表的…と言うより、2024年現在Switchしか存在しない。
携帯機のように単体で使用することができ、大画面で遊びたい時はディスプレイに出力できる万能型。
これのPC版と言っても良い『Steam Deck』などのモバイルゲーミングPCも多数の企業から発売されている。



【VR機】

仮想現実(VR)に対応した物。その性質上ヘッドマウントディスプレイとなる。ゲーム以外の機能も豊富であり、ゲーム機に含まないことも多い。





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最終更新:2024年12月25日 14:01

*1 事実、初代ファミコンは1万円台の価格でありながら当時のPC機やSG-1000などの競合機を上回るグラフィック性能をウリとしていた。

*2 特に解像度をシーンごとに切り替える事もあるゲームに顕著。

*3 代わりに『Nintendo Switch Online』といった加入期間内は遊び放題のサブスクリプション形式へと移行している。

*4 PlayStation Vitaから液晶とコントローラーを排して据え置き機として再設計したもの。

*5 と言っても、発売当初のゲーム機はソフト交換式ではない内臓モデルが当たり前だったので先祖返りと言えるか。

*6 90年代前半でもゲームギアやPCエンジンGTなどのカラー液晶機器は存在していたが、高額商品である事や電池の持ちが悪い事もあり、あまり普及しなかった。

*7 Nintendo Switch自体は下記のハイブリット機だが、本機は画面出力非対応であり事実上の携帯機となる。