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強欲で貪欲な壺(遊戯王OCG)

登録日:2024/10/19 Sat 10:00:42
更新日:2024/10/27 Sun 14:43:59
所要時間:約 4 分で読めます




《強欲で貪欲な壺》とは、遊戯王OCGのカードである。
2016年4月9日発売の第9期パック「ザ・ダーク・イリュージョン」が初出。

カードテキスト

《強欲で貪欲な壺》
通常魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1):自分のデッキの上からカード10枚を裏側表示で除外して発動できる。
自分はデッキから2枚ドローする。

概要

強欲な壺》に代表される「壺」シリーズの1枚。
強欲で謙虚な壺》(通称:強謙)から始まった「合体壺」シリーズの1枚であり、「強貪」「ゴードン」とも呼ばれる。

その名の通り、《強欲な壺》と《貪欲な壺》が合体した気色悪く悍ましい「壺」が描かれている。

手札・フィールド上のコストや条件なく2枚ドローができる。
しかも後の時代に登場した「壺」と異なりドローに関する制約もなく、高速でデッキを回すことができる。
たった一つの「条件」さえ呑めれば、《強欲な壺》と遜色ない使用感で回転に貢献してくれる。

しかし《強欲な壺》が禁止カードの状況下でこんな甘い話があるわけがない。
発動するためには「デッキの上から10枚を裏側表示で除外する」コストを要求される。
当たり前だがドローには「デッキから欲しいカードを引く」目的があり、肝心要の目的をコストで除外する危険がついて回る
いくら大事なカードを3枚詰んでいようとも、その3枚すべてが10枚除外に含まれサヨナラされれば元も子もない。

裏除外されたカードは再利用手段に乏しく、また裏向きで除外されてしまうので「除外された」効果のトリガーにもできない。
そのため裏側表示で除外とは、一部例外を除き「そのデュエル中隔離された」状態になる。

また「除外してからドローする」順番なので、デッキや墓地のカードをデッキトップに置く効果とも相性が悪い。
本来デッキの一番上に任意のカードを置く効果は、次にドロー効果を発動することで確実に手札に「握る」ことができる。
しかしこのカードの場合はデッキトップに置いたカード諸共裏除外してしまうので、この手管が使えない。

尤も、「何が除外されるか発動するまで自分も分からない」は時として思いもよらない天賦にもなるのだが
インスペクト・ボーダー(遊戯王OCG)の「余談」を参照)。


採用デッキ事情

「自分のデッキから10枚裏側で除外する」というコストをどう捉えるかで、このカードの評価は変わってくる。
どのデッキにも「キーカード」なるものは存在するが、それを裏側除外されるリスクをどう捉えるか。

まず相性が「絶対的に悪い」デッキは、「特定のカードを失うと戦力がガタ落ち/消失」する型。
典型例は【エクゾディア】【ウィジャ盤】であり、これらは勝利に必要なパーツを1枚でも裏側除外した瞬間に勝利が断絶される。
同類としては、勝ち筋を一つに絞っている【終焉のカウントダウン】なども該当。
またテーマのピン挿しが多めのデッキでは、各ピンが除外された際に行動の選択肢が大きく狭まるため、こちらも相性が良くない。
こちらの具体例は【剣闘獣】【メメント】などが該当する。
「特定のカードが無いと機能しない」という点では、いわゆるファンデッキや魅せコンボデッキなども該当するだろう。

そしてそうでないデッキでは「対策と割り切り」の元で採用される実例が多い。
というのは、2枚ドローという見返りを高く評価し「デッキを回すことが大事」とする考えに基づく。

以下の表は、「初期手札5枚から《強欲で貪欲な壺》を発動し、残りのデッキ35枚の中にある特定のカードが裏側除外される確率」を示す。
デッキ内枚数 全て裏側除外される確率
1枚積み 28.6%
2枚積み 7.6%
3枚積み 1.8%
つまり大事なカードを3積みしていれば、そのカードがすべて裏側除外される確率は僅か1.8%。
しかも「初期手札に該当カード(及びそれをサーチできるカード)を握った場合」を鑑みれば、さらにこの確率は低くなる。
大抵のカードは1ターンに1度しか効果を使えないため、2枚消えても1枚残っていれば回せるとして使用することはできる。

特に昨今の大量展開を得意とするデッキでは、デッキから必要なリソースを続々確保する動きが標準になっている。
具体的には「デッキから特殊召喚」と「手札から特殊召喚・発動できるカードをデッキからサーチ」する効果を連鎖的に発動し、物量確保を成している。
そこで予め必要なカードをサーチ・リクルートした後に《強欲で貪欲な壺》を発動すれば、リスクを減らすことはできる。
例えばピン挿ししたカード1枚を先にサーチ・リクルートしてから発動することで"28.6%"を回避できるといった具合。
そういう意味では、「10枚のカードを裏側除外」というリスクは見た目よりは小さく見えてくるだろう。

もしくは大事な初動カードを握れなかった際に「このまま負けるよりはマシ」として賭けに出るという使い方にもなる。
裏側除外された自分のカードはいつでも確認できるものの、残りのデッキリソースで最大限の盤面を築けるよう思考を巡らせる必要はあり、やや難易度は高め。

その上で、三積みしたキーカードがすべて消える"1.8%"を引いたら「勝ち目が無くなる」デッキ。
あるいはピン挿ししたカードが何種類かあったり、サーチ手段が十分ではなく"28.6%"を引く恐れがあるデッキ。
その場合は確かに《強欲で貪欲な壺》を控え、別の手段を採用した方が賢明かもしてない。

なお「デッキの特定のカードをサーチ・リクルート」するテーマの話をしたが、
それとは別に「サーチよりもドローで手札を稼ぎ、引いたカードをそのまま使って勝負する」型のデッキでもよく使用される。
具体的には【メタビート】【フルバーン】が該当し、手札の枚数を増やせるドローソースは裏除外のコストがあれど歓迎される。

採用デッキの選定基準として、ちょっとした実例【十二獣】を取り上げる。
このデッキと《強欲で貪欲な壺》の相性は、当初は「最悪」だったがその後「良好」に至るという逆転現象が起きている。

まず登場当初の【十二獣】では「相性の悪いカード」として扱われていた。
理由は同デッキの大量展開に欠かせない《十二獣モルモラット》であり、1枚でも失えば盤面形成能力がダダ下がりしてしまう。
ところが【十二獣】に規制がかかった後では、混合先にもよるが普通に選択肢の一つとなっている。
具体的には《十二獣モルモラット》が制限カードになったことで「デッキから《十二獣モルモラット》を特殊召喚」がそもそもできなくなり、
またEXデッキからの展開が中心になった分メインデッキが削られることの損失が少し減ったことに起因する。


なおここまでは裏側除外したカードはそれっきりになる、いわば「普通のデッキ」の話だが、
ここの点で少し話が違ってくる型が存在する。

1つは「裏側除外したカードを再利用できる」カード。
《雷劫龍-サンダー・ドラゴン》
特殊召喚・効果モンスター
星8/闇属性/雷族/攻2800/守 0
このカードは通常召喚できない。
自分の墓地から光属性と闇属性のモンスターを1体ずつ除外した場合に特殊召喚できる。
(1):1ターンに1度、モンスターの効果が手札で発動した場合に発動する。
このカードの攻撃力はターン終了時まで300アップする。
(2):このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した時、自分の墓地からカード1枚を除外して発動できる。
デッキから雷族モンスター1体を手札に加える。
(3):相手エンドフェイズに、除外されている自分のカード1枚を対象として発動できる。
そのカードをデッキの一番上または一番下に戻す。

《原初の種》
通常魔法(制限カード)
「カオス・ソルジャー -開闢の使者-」または「混沌帝龍 -終焉の使者-」が
フィールド上に存在する場合に発動する事ができる。
ゲームから除外された自分のカード2枚を自分の手札に加える。
例えばこの《雷劫龍-サンダー・ドラゴン》の(3)効果や《原初の種》が該当する。
「ゲームから除外されたカード」という指定であれば、裏側除外されたカードも参照できる。
このためこれらの効果を使えば、裏側除外された任意の自分カードを手札に加えたりデッキリソースの回復に充てることができる。
なお「除外されたモンスターカード」などの「除外+何かの指定」をしている効果の場合は、裏側除外されたカードには触れることができない。

もう1つは「大量の除外を活かす」デッキ。
紅蓮魔獣 ダ・イーザ》を用いる【叢雲ダイーザ】がそれで、《機巧蛇-叢雲遠呂智》等と共に除外枚数を稼いで攻撃力を確保する狙い。
《強欲で貪欲な壺》一回で10枚のカードを裏側除外するため、言い換えると《紅蓮魔獣 ダ・イーザ》の攻撃力を4000アップさせたことになる。
また、裏側除外を活用する【ネムレリア】ではドローしつつ、《夢見るネムレリア》の除外効果の補強が可能なのでリスクよりもメリットが勝るため、必須カードとなっている。
他に「大量の除外」を活かす例として、《魂吸収》で大量のライフ回復を行ったり、そこから《No.43 魂魄傀儡鬼ソウル・マリオネッター》の効果に繋がるなどもある。
ただし例によってこれらコンボのキーカード自体が除外されてしまわないように注意。

変わったところでは、《精霊の鏡》とのコンボが考案されている。
相手が《強欲で貪欲な壺》を発動した時に自分が《精霊の鏡》をチェーンして発動することで
自分は2枚ドローしつつ相手はデッキを10枚失って終わりという状態になる。
とはいえ相手が《強欲で貪欲な壺》を使うこと、かつ自分が都合よく《精霊の鏡》をセットしている条件ありきなのでネタに近い。
《強欲で貪欲な壺》のメジャーなカウンター手段は、一定の汎用性を持つ《灰流うらら》になる。

注意事項

このカードを使用するにあたっての注意事項を以下に掲載する。

デッキ破壊
《強欲で貪欲な壺》は見方を変えると「自分のデッキの枚数を12枚減らす」効果になるため、【デッキ破壊】の勝利条件を緩くしてしまう。
特に危険なカードは《No.89 電脳獣ディアブロシス》であり、裏側除外されたカードの枚数だけ相手のデッキを裏側除外してしまう。
そしてあちらは自前でカードを裏側除外する効果を持っているため、デッキデス能力は特に高くなっている。
「相手のデッキ枚数」が「相手の裏側除外されたカード枚数」を下回る場合はそもそも発動できないが、そこまで来た時点で相当追い詰められているため暢気にしていられない。

・裏側表示で除外したカードの管理
これは《強欲で貪欲な壺》というより、カードを裏側除外するにあたっての注意事項になる。
裏側除外した自分のカードは確認できるが、コスト・効果でカードを裏側除外する場合、それぞれ「何の効果で除外されたカードか」が分かるように仕分けないといけない。
より具体的には、
「この束は一度目の《強欲で貪欲な壺》のコストで裏側除外したカードで……」
「この束は《機巧蛇-叢雲遠呂智》の(1)効果で裏側除外したカードで……」
「この束は《機巧蛇-叢雲遠呂智》の(2)効果で裏側除外したカードで……」
「この束は相手の《拮抗勝負》で裏側除外させられたカードで……」
この様にどのカードが何時何の効果・コストで裏側除外されたものなのかを別々に置いて管理しないといけない。

これには以下の通り適切な理由がある。
1.他の「一定期間だけ裏側除外するカード」との兼ね合い
例えば《タイムカプセル》はデッキの任意のカードを裏側除外し、2ターン後にそれを手札に加える効果を持つ。
ここで裏側除外したカードの管理を曖昧にすると、どれが《タイムカプセル》で除外したカードが不明になってしまう。
露悪的に解釈すれば《強欲で貪欲な壺》で裏側除外したはずのカードを《タイムカプセル》の効果と偽って手札に加えるなどの不正行為も可能にしてしまう。

2.相手が効果の対象選択に影響が出る
自分だけでなく、「相手の裏側除外されたカードに触れる効果」もいくつか存在する(ex.《PSYフレームロード・Ω》(2)効果)。
その際に裏側除外の管理を疎かにしていると、相手の立場では不都合が生じる。
つまり一口に裏側除外といっても「メインデッキのカードなのか・EXデッキのカードなのか」「自分が知っているカード(ex.《変則ギア》)なのか、《強欲で貪欲な壺》で除外した自分が知らないカードなのか」という差異が存在する。
デッキに戻したり墓地に戻すにしても、「あれは自分が除外したやつだから戻したくないな」など判断基準が働くので、疎かにされると使用そのものに支障が出る。
フェアなゲームを行うにあたり、こうした管理は欠かしてはならない。


制限動向

その時々の流行によるが、概ねの期間は環境デッキの多くが採用することになっていた。
そのため2021年10月1日の制限改定で準制限カードに指定される。
この時期は【相剣】【電脳堺】などの環境デッキが好んで使用していたため、それへの対処になる。

とはいえそもそも一度に12枚もデッキのカードを減らす都合、通常の40枚デッキで3積みしても効果を使い切ることはできない。
どちらかというと「何が何でもドローしたい手札消費の荒いデッキが《強欲で貪欲な壺》を握れる確率が減る」
あるいは「《強欲で貪欲な壺》のコストで別の《強欲で貪欲な壺》を除外できず、デッキのカードが巻き込まれる確率が上がる」という影響になる。

余談

Magic the Gatheringでは、「デモコン理論」なるものが存在する。
これは大まかに説明すると「デッキのカードを20枚残してゲームに勝った場合、
その20枚は有っても無くてもゲーム進行は変わらないから、コストとして処分しても全く影響無いよね」という理屈である。
昨今の遊戯王とはルールの違い、特に「サーチ、リクルート効果が飛び交う」点から安易に当てはめることはできない。
しかしデッキのカードを10枚隔離しても勝てるデッキには、これに近しい話が当てはるのは事実であろう。
あるいはサーチとリクルートが跋扈しているからこそ「残りのカードをコストで処分する」状況を作りやすいとも言える。

アニメ版遊戯王のドーマ編では、似た効果を持つ通常魔法《運命の宝札》を城之内が使用している。
そちらは「サイコロを1回降り、出た目の数だけドロー、その後に出た目の数だけデッキの上からカードを表側表示で除外する」効果。
ドロー枚数の期待値が3.5枚と多いうえに、表側除外を戦術に組み込んだテーマでは手札増強と除外肥やしを兼ねた強力なカードと言える。
そうでなくとも「表側」除外であれば再利用方法はいくらでもあるため、《強欲で貪欲な壺》より遥かにリスクが低い
1/6の確率でドロー枚数が下回る分《強欲で貪欲な壺》の完全な上位互換とは言えないが、大概な「インチキ効果」といえよう。

ちなみにこのカード、効果面で《貪欲な壺》の要素は全く見受けられない。
むしろ「デッキリソースを増やせるが回りくどい条件を持つ《貪欲な壺》」に対して
「いつでも即座に発動できるがデッキリソースを犠牲にする《強欲で貪欲な壺》」と見事に正反対になっている。
「強欲」「貪欲」と類義語を並べたカード名は「10枚のカードを裏側除外で蹴落としてでも2枚ドローする」欲深さを表している。

遊戯王OCGストラクチャーズでも壺カード大好きな「壺獅寺玲央」が【R-ACE】で使用。
2枚ドローでキーカードを引くも、そのデメリットで「R-ACE」魔法罠カードが全部吹っ飛び効果が発動できなくなるという、メリット、デメリット双方が大きく現れた試合となった。





追記・修正はデッキのカードを全て裏側表示で除外してからお願いします。


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最終更新:2024年10月27日 14:43