登録日:2024/09/28 Sat 22:21:00
更新日:2024/12/15 Sun 23:28:44
所要時間:約 5 分で読めます
概要
トランスフォーマーの「はじまりの物語」を描く映画で、オプティマスとメガトロン、そして
オートボットと
ディセプティコンがどのように生まれたのかが語られる。
とはいえ、この物語は
G1シリーズや実写版シリーズなど、他シリーズとは描写に矛盾があり、マルチバースの中の「トランスフォーマー/ONEの世界」の始まりが描かれている。
それゆえに必要となる予備知識は少なく、「前作」に当たる作品も存在しないし、せいぜい「トランスフォーマーは金属の体を持つロボット宇宙人である」「正義のリーダー、オプティマス・プライムと悪のリーダー、メガトロンがいる」の2点さえ知っていれば誰でも楽しめる。
それ以外の設定に関しては基本的に劇中で説明される。とはいえもちろん、詳しいファンをニヤリとさせる描写も(初心者を置いてけぼりにしない程度に)あるため、ファンであっても楽しめる、まさに万人向けの映画となっている。
実写版1作目以降、トランスフォーマーの映画というと実写映画となっていたが、今作はサイバトロン星のみで進む(=人間や地球の存在が出てこない)こともあり、3DCGアニメになっているのが特徴。
もちろん、CGに革命をもたらしたTFシリーズということもあり、CGは非常に美麗。ロボットなのに表情豊かな人々やサイバトロン星の美しい景色が、思う存分堪能できるであろう。
設定
サイバトロン星の地下深くにて、TF世界におけるエネルギー源「エネルゴン」の採掘作業に当たっている労働ロボット。とはいえ奴隷のような扱いではなく、普通に休日や娯楽などもあるようだ。
しかし変形に必要な「トランスフォーム・コグ」を持たないことから固有の能力もなく、単純労働以外の仕事が出来ない(少なくとも、そう思われている)。それゆえに一部のコグ持ち=トランスフォーマーから見下されている。
体格についても、コグ持ちのトランスフォーマーより二回りほど小柄。
初めからコグを持たないにしては、胸部にぽっかり穴が空いているのは不自然だが……?
トランスフォーマーが変形に必要な球状のパーツ。
基本的に全てのトランスフォーマーが生まれつき有しているものだが、規格自体は同一なようで他者のコグを移植して自分のものにする事も可能。
過去作でクローズアップされる事はあまり無かったが、本作では非常に重要なキーアイテムとなっている。
サイバトロン星の地下にある都市。サイバトロン星の地上は突然地形が動くなど危険であり、基本的に人々は地下に暮らしている。
アイアコンで開催されているトランスフォーマーのレース。デンライナー自動で伸びるルートや、様々なトラップの中1位を目指す。労働者にとって、アイアコン5000の鑑賞は大きな娯楽となっている。
ちなみに、参加しているトランスフォーマーの名前を見ると、どこかで見たことがあるような名前がちらほら。
ロボット生命体の神であり、サイバトロンは彼が惑星に変形した姿であるとされる。
アメコミなどで語られた設定では宇宙創造にもまつわるとんでもないスケールの存在だが、ここでは割愛。
サイバトロン星を征服しようとした邪悪な宇宙人。かつての大戦でセンチネルプライムにより撃退された。
原典では5つの顔が集まった球体型の宇宙人だったが、今作では植物と軟体生物が合わさったようなデザインとなっている。作中では小型の歩兵と大柄な指揮官の二種類が登場。
また旧作ではトランスフォーマーの創造主とされていたが、今作ではあくまで無関係な異星人である。
キャラクター
メインキャラクター
オライオンパックス
「見せてやろうぜ。俺たちは見た目以上にすごいって!」
CV:クリス・ヘムズワース/
中村悠一
労働者の1人。開幕から書庫に忍び込んで警備員に追い回されるなど
破天荒な行動が目立つ無鉄砲な性格で親友のD-16から呆れられている。
エリータ-1との関係性も含めると、プライム視聴勢なら1話で退場させられたあるオートボットを思い出したはず。
自分達の価値はコグの有無ではないというのが信条だが、「コグがなくても指はトランスフォームするんだぞ(ゴギガゴ・・・)」と言って上司に中指を立てようとしたり結構過激な面も。
中指を立てる行為はち○こを意味するスラングであり、それってつまりTFにも・・・
冒頭で警備員に追い回され列車の屋根に飛び乗った時には乗っていた他の労働者達は「ああ、オライオンパックスだ」「あいつヤバいよな」という反応をしており、どうやら彼の無茶無謀無軌道はいつものことらしい。
無理矢理トランスフォームしようとした結果、D-16が元に戻すのに3日かかったこともあるとか
コグを得た後はちゃんと変形できるようになり、ビークルモードはお馴染みトレーラートラック。バンパーに機銃を装備する他、頑丈な車体を活かしたこれまたお馴染みのひき逃げ突進を繰り出す。
演じている中村は『
トランスフォーマーアドベンチャー』においてスチールジョーを演じていた。そちらはディセプティコンのリーダー格であり、どちらかというとメガトロン寄りなキャラである。
中盤、アルファトライオンからトランスフォームコグと世界の真実を託されたオライオンはそれを元に労働者たちに呼びかけて市民運動による無血革命を志す。
自分の運命を自分で決めたいなら、戦って勝ち取るしかない。今こそ、みんなで立ち上がる時だ。我々のために…自由と正義のために!!
約束しよう、戦えば得るものは大きい。俺について来い!もう誰にも止められない、立ち上がるんだ!心を一つにしよう!!
だが、元凶への復讐に燃えるD-16との間には徐々に溝が出来ていき、遂には彼の攻撃から元凶を庇う形で致命傷を負ってサイバトロン星の奥底へと落ちていったが、そこでその勇気と信念をプライマスとプライム達に認められ、マトリクスを託されて生まれ変わった。
以降、吹き替えでは一人称が「私」に変わっている。
オライオンパックス!大いなる善のためその身を捧げ、プライマスの信頼を勝ち得た!
目覚めよ!オプティマス・プライム。
そしてアイアコンを怒りのままに焼き尽くさんと暴走するD−16、否、メガトロンの前に降り立ち、かつての親友を止めるべく戦いを挑む。
当初はメガトロンの勢いと新しいボディに慣れておらず押されていたものの、徐々に自分の新たな力を理解し始めエナジーアックスを展開すると形勢は一転。
原語版視聴勢なら、中の人ネタとしてソーが思い浮かんだこと間違いなし。
加勢しに来たスタースクリーム、サウンドウェーブ、ショックウェーブらの三人がかりの攻撃も軽くあしらい、最後は両手の武器を撃ちながら突っ込んできたメガトロンを捕らえ、左手のビームガンを捻じ曲げつつエナジーアックスでフュージョンキャノンを真っ二つに切り裂き、そのまま投げ飛ばしてダウンさせた。
だがそれ以上の追い討ちを掛けることはせず、メガトロンが立ち上がるまで待つと悲しさを滲ませつつも、街を破壊した行為への報いとして親衛隊ら共々アイアコンからの追放を宣告。
それはかつての親友へのせめてもの情けであった。
それに従い捨て台詞を残して去っていくメガトロンらを見送る中で、彼と出会った頃を思い出して悲しみに暮れるもエリータとビーに慰められ、改めてアイアコンの再建を決意した時に胸のマトリクスが強く光り輝く。
それを取り出して掲げると、アイアコンの河川にエネルゴンの奔流が溢れ出し、やがてそれはサイバトロンの大地に満ちていく。
同時に大量のトランスフォームコグが現れ、その場にいた労働者ら一人一人に入り込み、トランスフォームの力を与えていった。
こうして沢山の仲間、志を同じくする「オートボット」らと共に、大地を駆けるシーンと「あの台詞」と共に、ONEの物語は一先ずの終わりを迎えるのだった。
「私は、オプティマス・プライム」
D-16
「規則を守っていれば悪いことなんて起きないからな!」
CV:ブライアン・タイリー・ヘンリー/
木村昴
オライオンパックスの親友である労働者。正義感に溢れた真面目な性格で、規則を守れば幸せになれると考えている。
メガトロナスプライムに憧れており、オライオンにもらったメガトロナスのマーク(ディセプティコンのマークそのもの)のシールを肩につけている。
コグを得た後は戦車に変形。
名前の由来は日本における初代メガトロンの玩具の番号から。一部の作品では「メガトロナス」が過去の名前になっていることもあったが、今回はメガトロナスプライムとの混同を避けるためか採用されなかった。
また、コグ無し時は頭部が黒いが、これはG1当時のアメコミが由来。
世界の真実を知らされてなお理想を忘れなかったオライオンとは対照的に、生来の生真面目さの裏返しか元凶を激しく憎むようになり、更にスタースクリームの「強さこそが全て」という価値観に触れてしまった事でどんどん怒りに任せた行動へと走ってゆく。
「アイアコンの再建は処刑から始まってはならない」と説き制止しようとするオライオンとも溝が深くなっていき、とうとう元凶を庇おうとしたオライオンを誤射。
一度は「こんなはずじゃなかった」とパニックになりオライオンを助けようとしたが…
逡巡の末に開いた瞳は赤く染まっており、何とか説得を試みようとするオライオンを邪魔者と見做して友の手を放してしまう。
そのまま元凶を守ろうと立ちはだかる手下らを蹴散らし、最早ロクに動かぬ身体を必死に引きずって逃げようとする元凶を掴み上げるとオォウ雄叫びと共に真っ二つに引き裂き、彼が持っていたメガトロナスプライムのコグを奪って自身に装着。
力だけならプライムと同等のものを手に入れ、スタースクリームをはじめとした親衛隊のメンバーも思想に共感した事でその配下となる。
プライム達の時代は終わりだ!偽の予言者は要らない!!
着いて来い!もう二度と騙されることはない!立てぇーっ!!
我が、名は…メガトロン!!
そして今度は元凶を殺したことで行き場のなくなった怒りをぶつけるかのように、親衛隊らを扇動しながらアイアコンシティをも破壊しようとした。
皆で讃えよう!メガトロンを!!
しかしそこへオプティマス・プライムとして復活したオライオンが出現。
驚愕の表情を浮かべるも今更止まれぬと挑みかかり、当初は優勢に立つもオプティマスが自分の力を理解しだすと追い込まれていき、スタースクリームらの援護も物ともしないオプティマスに対して両手の武器を乱射しながら破れかぶれの突撃を行うが、結局は武器を全て使用不能にされて地に伏せられる事になった。
その後はオプティマスから親衛隊らを連れてアイアコンを去れというせめてもの情けと「お前と未来を作りたかった」という思いの吐露に対して複雑な表情を浮かべるも、プライムを受け継ぐ者となったオプティマスとの決別の意と宣戦布告として「これで終わりじゃないぞ、『プライム』」と言い残して親衛隊らと共に地上へと去っていくのだった。
そしてエンディングでは地上の何処かで、自分と同じメガトロナスの顔を模したマークの焼印を押されていく配下達の姿を見ながら、オプティマスの理想に対抗する為、リーダーを名乗る者の欺瞞には二度と騙されない為…「ディセプティコン」の設立を宣言する。
彼の転落は元々それまで信じてきたもの、努力して築き上げたものが全て裏切られた結果、元々の勤勉さや真面目ぶりが裏返って暴走したものとして描かれており、闇に堕ちていく経緯も壮絶すぎたために感情移入した観客が少なくなかったり、「反転アンチの怖さを見た」「大事件の犯人が昔は優等生だったような感じ」という感想も多く見られた。
エリータ‐1
CV:スカーレット・ヨハンソン/吉岡里帆
「エネルゴンをあと30ユニット採掘したら、私は監督に昇進する!みんな喜んでくれるか!」
オライオンとD-16の上司である女性。真面目に働いていたが、ひょんなことからオライオン達の冒険に巻き込まれる。
男勝りな性格で自分の出世第一のような言動が目立ちはするが、ちゃんと部下のことも見ている。
元ネタとなったG1では初めは「エイリアル」という名前でオライオンパックス→コンボイになると同時に「エリータ-1」となったが、今作では終始エリータ-1である。
あとG1と違ってオライオンとは仕事仲間以上の仲ではないのだが、終盤辺りからオライオンの「姐さん女房」にしか見えない言動が激増したツンデレさん。
ちなみに吹き替えでは訳出されていないが、原語ではオライオン達3人を「あんたと2人のバカな
ゴーボッツを~」と罵っている。
コグを得た後は3輪バイク(所謂トライク)に変形し、エアラクニッドとのキャットファイトも披露してくれる。
演じている吉岡は吹き替え初挑戦。不安視の声が出ることを予測してか、キャスト発表が予告編が公開された後(すなわち先に声のみ聴ける状態)となっていた。実際には好評なのでご安心を。
B-127
「アダ名をつけたいと思っててさ。一番の候補は『ビッグヤバトロン』」
「ただし言い方は『ビィィイッグ、ヤバトロォンヌ…』」
CV: キーガン=マイケル・キー/
木村良平
地下深くで働いていた労働者で、後のバンブルビー
(たぶん)。
最近喋れないキャラ付けにされてきた反動かかなり…いやとんでもなくおしゃべりな性格であり、そのせいでどんな部署に行ってもすぐ追い出されを繰り返した末に誰もいないゴミ処理施設に追いやられていた。自らを「ビッグヤバトロン」と自称する。
そのうるささはショックウェーブ曰く「
気絶している間の方がひどい」らしい。
人がほとんど来ない場所に長くいたためか、廃品を組み立てて「友達」を作り延々話しかけるなど最初からやべー奴の片鱗を見せていた。
挙句、腕から剣が出てきたことに喜んで楽しそうに人斬りや破壊活動に勤しんだかと思いきやD-16が元凶を真っ二つに引き裂いたのにはドン引きするなどの姿から公開後はすっかりサイコパス扱いが定着した。
あまりにヤバい奴なのでこいつはバンブルビーとは別人のビッグヤバトロンなのではないかという声も
コグを得た後はバンブルビー系統でお馴染みスポーツカー風の車に変形。
名前の由来は『
映画バンブルビー』でのバンブルビーの元の名前から。ちなみに中の人も同じ。
演じている木村は近年様々な作品でバンブルビー役を務めている。
労働者・市民
ジャズ
CV: エヴァン・マイケル・リー/
杉田智和
オライオンとD-16の同僚。
鉱山探索中に崩落事故に巻き込まれるが、オライオンの機転で片足を引き換えに生還する。
オォウ…ジャァズ…にならなくてよかった。
元ネタとなったG1ではオプティマス/コンボイの副官であり、日本では「
マイスター」の名前で親しまれていた。
他にも、名前こそ呼ばれなかったがオライオンとD-16の同僚の中には
ホイルジャック、
アイアンハイド、ランボル、ゴング、スプラング&アーシーといったキャラが登場している。
ラチェット
G1ラチェットによく似たコグ無し労働者がチームの中にいるのだが、アイアコン5000の後で「ドクターラチェット」を呼ぶセリフがあり(呼ばれた本人は映らない)、これらが同一人物かどうか地味に議論の的になっている。
一応、コグ無しの方も爆発事故のシーンで片足を失ったジャズを診ているようなので同一人物かもしれない。
採掘以外でもトランスフォームを必ずしも必要としない仕事は許されているのだろうか?
クロミア
CV:ジニー・チャン/田村睦心
アイアコン5000の選手で、劇中の優勝者。
…なのだが、ゴール後にドアップで映るその顔はどこからどう見てもミラージュ(リジェ)であり、しかもG1クロミアそっくりのコグ無し労働者がいてデザイン画にもクロミアと書いてある。
トドメに海外ではオライオン・D-16・ミラージュの3体セットが発売されているので恐らく途中までミラージュとして想定されていたものと思われる。
…が、さらにややこしいことにG1リジェそっくりのコグ無しもいたりする。
一応、公式の見解はこのレーサーが「クロミア」であり他は他人の空似ということらしい。
ダークウィング
CV: アイザック・C・シングルトン・Jr/
稲田徹
労働者を管理するトランスフォーマー。変形できない労働者を見下している。
アイアコン5000の出場者でもある。
名前の元ネタはパワーマスターの航空攻撃兵。日本では『
超神マスターフォース』にてゴッドマスターの「ハイドラー」として登場。実はこれ以外では『シャッタード・グラス』でしか再登場していなかったりする。
KDQ-11とKDQ-12
CV: スティーヴン・ブルーム、ジェイソン・コノピソス=アルバレス/長谷川雅紀、渡辺隆
データの記録庫を守るトランスフォーマーのタッグ。日本語版ではお笑い芸人の「錦鯉」がCVを務めている。不安視されやすいタレント吹き替えながら、エリータ-1同様好評である。
二人ともダークウイングと同型なので初見だと勘違いするかも。
アイアコン政府
センチネル・プライム
「友人諸君。アイアコンシティの諸君!エネルゴンを絶やさぬよう、全力で働く我らが救世主、労働者の諸君!君たちサイコー!」
邪悪なるクインテッサ星人の侵略でプライム達が斃される中、ただ1人生き残り単身彼らを撃退したとされる英雄。
現在では行方知れずとなってしまったマトリクス探索のため、長期的にアイアコンを留守にして危険な地上世界へと遠征に出ている模様で、オライオンやD-16をはじめとした労働者達にも広く尊敬されている。
リーダーとしてのカリスマ性の高さに加え、アイアコン5000などでは自ら開催の音頭をとるエンターテイナーでもある。
玩具ではジェット機に変形するが作中ではビークルモードは披露しておらず、ロボットモードのまま高い飛行能力を発揮している。
「だからこの手で殺した後、奴のコグを奪ったんだ。」
大方の予想通りその実態は英雄どころか、裏切り者。
しかもサイバトロンを明け渡した売国奴すら生ぬるい売星奴かつ卑劣極まりない詐欺師、そして意図的な階級制度の生みの親という、
実写版が霞むほどにして、その彼が真っ先に始末するであろう最低最悪の外道だった。オライオンやD-16の項で述べた「元凶」とは何を隠そうコイツのことである。
元々彼は13人のプライム達の補佐官だったが、何時まで経ってもクインテッサ星人との戦争を終わらせられない主君達を見限り、事もあろうにクインテッサ星人と共謀してプライム達を謀殺したのだ。
しかし彼にも誤算があった。メガトロナス・プライムからはコグを、ゼータ・プライムからはリーダーの証であるマトリクスを簒奪するも、その極悪非道さに己がプライマスに見限られ、サイバトロニアンらの命の源たるエネルゴン、その源泉であるマトリクスは手にした途端に塵になって消えてしまう。これによってかつてサイバトロンを潤していたエネルゴンは枯渇し、地下の鉱脈に僅かに残るだけとなってしまった。また、劇中では終ぞビークルモードを披露しなかったが、これは恐らくコグからも抵抗されていたからだろう。残当
こうして長きに渡る戦争を終結へと導き、自らはアイアコンの頂点に君臨したのである。
……終戦の英雄たる「プライム」を僭称し、真の支配者に枯れゆくだけのエネルゴンを献上し続ける傀儡として。
当然クインテッサ星人にとってはエネルゴンを集めるだけの道具に過ぎず、彼らの前ではプライムとは程遠い小物のような振る舞いを見せた。
序盤で市民や労働者たちに見せていた気さくな人柄も仮面に過ぎず、その本性は権力欲に凝り固まった俗物であり、内心では労働者たちを使い捨ての労働力として侮蔑していた。
その証拠に、クインテッサ星人から上納するエネルゴンが少ないことを咎められると「シフトを3倍にして誰も休ませるな」などという指令を出している。
レースの後でオライオンとD-16を褒めた直後にダークウイングが来たのも十中八九事前に呼んでおいたからだろう。彼が二人を地下深くのゴミ処理施設に追放したのは見下している労働者にレースの邪魔をされたとして屈辱を味わった事が動機とはいえ、センチネルがオライオンとD-16を捜索する気はないとも見越してた様子。実際にセンチネルも「2人はレース中の負傷が原因で死んだ」と嘘を流布していた。
挙句の果てに、普通のトランスフォーマーとしてきちんとコグを持って生まれていた存在だったはずの労働者達から、エネルゴン採掘の労働力兼市民の不満を逸らすためのスケープゴートとして、彼らが起動する前にコグを抜き取っていたのである。
「真実?生まれてすぐにコグを取ったことか?クインテッサ星人に貢いで贅沢三昧したことか?どうでもいい!」
「なぜなら真実は!私が、創る、もの!だからだ!!」
最終的にはエアラクニッドの記憶回路から抽出された一連の悪事の記録がアイアコンシティ放送局の臨時放送として流された結果、その本性が市民たちに露呈。そして労働者たちは一斉に怒りの声を上げてエネルゴンの採掘を放棄したのだった。
その後辿った末路はD-16の項に示した通りだが、結果として我欲のままに行ったその所業は多くのトランスフォーマーの人生を狂わせ、オライオンとD-16の友情の決裂及び我々が知る終わりなき争いへと繋がることとなった。そのため観客からは、
「史上最低のセンチネル」の烙印を押されている。
それと同時に、「曲がりなりにも故郷や種族の存続を第一に考えて行動した実写版が遥かにマシ」と実写版を再評価しつつ、「単に嫌な奴だったルネチンセは全然良かった」とアニメイテッド版に高評価をつけるようになったファンが増えたとか増えてないとか。
ただ、センチネルが主君に失望したのはプライム達が負け戦を重ねてなおいつまでも戦い続けようとしたからであり、考え方は違えど平和を望んだのはむしろセンチネルの方だったはずである。
それでもなおプライマスが彼を認めなかったのは、「自分さえよければどうでもいい」というその性根はもちろんのことだが、種族の命の源であるエネルゴンや生まれ故郷のサイバトロンを平気で犠牲にするような手段を取ったことが、その逆鱗に触れたからかもしれない。
エアラクニッド
センチネルの腹心で、ドローンのようなティルトローターヘリに変形する。
陰気で冷徹な性格であり、センチネルの命令で諜報活動や汚れ仕事を担っている。
背中の蜘蛛脚のようなパーツはヘリモードのローターが変形したもので、ロボットモードでは武器にもなる。また頭の裏は開閉可能で開くとびっしりと複眼がついておりかなり不気味だが、この状態だと前方の視界が無くなってしまうという弱点がある。
名有りのキャラの中で珍しくG1由来ではない。
演じている柚木は元ネタである
プライム版のエアラクニッド、さらにその元ネタであるブラックアラクニア(ブラックウィドー)も複数の作品で演じていた。
ただし語尾の「~ッシャ」は無く、独特のボイスエフェクトもあってだいぶ印象が異なる。
他がG1やアメコミ出典のキャラが多い中で、まさかのプライムからのチョイスに驚いた人は多いはず。
センチネルとエアラクニッドが近い関係、というのはアニメイテッドのセンチネルと
ブラックアラクニア(エアラクニッドと共通点が多い)が元ネタか。
トラッカー
アイアコンの治安維持を担う量産型トランスフォーマー。『プライム』でいうところのビーコンに相当する本作の雑兵枠。
全員全く同じ姿をしており個性も無いが、種別としては銀色の一般兵「シルバートラッカー」、センチネル直属の金色の護衛「ゴールドトラッカー」、そしてエアラクニッドの指揮する黒い「デストラッカー」の3タイプが存在する。
13人のプライム
アルファトライオン
「君たちもいずれ戦う時が来る。プライマスは君らに使命を与える。」
最初の13人のプライムの1人である伝説の存在。ライオンのような獣に変形する。既に朽ちており、パーツの多くが欠損しているほかボディのあちこちを苔が覆っている。
幸い仮死状態にあり、B-127からエネルゴンを分けられた事で復活。オライオンら4人にトランスフォーム・コグを与え、トランスフォーマーにするという活躍を見せた。
ゼータプライム
プライム達のリーダー。マトリクスの保持者だった。
IDWのアメコミやゲーム『War For Cybertron』ではセンチネルプライムとオプティマスプライムの間の司令官として登場していたが、まさかの出世である。
メガトロナスプライム
D-16が敬愛するプライム。「史上最高のプライム」と呼ばれている。
過去作ではザ・フォールンの正体である裏切者とされることが多かったが、今作では・・・?
アルケミストプライム
一行にコグを移植された一人。
アマルガマスプライム
リージ・マキシモ
マイクロナスプライム
一行にコグを移植された一人。
ミニコン(マイクロン)の始祖とされることが多いが、今作では普通の体躯。作中にミニコンも見られない。
ネクサスプライム
合体戦士の始祖とされることが多いが詳細不明。
オニキスプライム
一行にコグを移植された一人。
プライマプライム
一行にコグを移植された一人。
クインタスプライム
今作ではクインテッサ星人との関わりは不明。
ソラスプライム
過去作同様ハンマーを携えている。女性型TFの始祖かは不明。
ベクタープライム
過去に『トランスフォーマー ギャラクシーフォース』でも登場した。
親衛隊
かつてプライム達の親衛隊だった者達。伝説の戦士として知られている。
だが、現在では何者かによってアイアコンを追放されて長く宇宙船の残骸に潜伏しつつ「敵」へのゲリラ攻撃を繰り返している。
荒くれ物の集団だが、潜伏生活でこうなったのか元々こうだったのかは不明。
スタースクリーム
CV: スティーヴ・ブシェミ/佐藤せつじ
「みんなで力を合わせるなんざ、御伽噺だよな。強い奴が勝つ。世界を変えるのは、強ぇロボット。だよな!!」
かつての親衛隊をまとめるリーダー。ジェット戦闘機に変形する。
「重要なのは強さだけ」というシンプルな行動原理の持ち主だが、それゆえに空中戦においては高い能力を誇る。
これまでの作品ではずっと二番手だったスタースクリームだが、本作では
(厳密にはディセプティコンのではないが)メガトロンより以前に組織を率いていた先代リーダーという衝撃の設定での登場となった。
ただG1でもメガトロンより年上と窺える描写もあるので、実はそこまで唐突でもなかったり。
演じている佐藤は『
ウォーフォーサイバトロントリロジー』や『
トランスフォーマー アーススパーク』においてもスタースクリームを演じていた。
今作でも少しとはいえ、隙をついてアドリブを披露している様子。
映画後半に差し掛かった頃、デストラッカーの追撃から逃れて来たオライオン達を捕えるシーンで初登場。
当初は4人をセンチネルのスパイではないかと疑って掛かり、B-127が黙らないのでその流れで自分達がセンチネルの裏切りとプライム達の死を目撃した事、そして口封じを恐れてアイアコンから逃れて来た事を語る。
力を合わせてセンチネルを倒そうというオライオンの誘いも突っぱねるが、D-16から「壊れた宇宙船でビクついてるお山の大将」と罵られた事に激昂。そのままの勢いで決闘に臨む。
当初は親衛隊としての戦闘経験と飛行能力で優位に立つが、怒りのままに拳を振るうD-16に気圧され、遂には地面に引きずり倒された挙句喉を潰されかけて敗北。この際音声システムを損傷し、お馴染みの甲高い声色になっていた。
直前までの居丈高な態度を翻して命乞いする情けないいつもの姿に、多くのファンが安堵の息を漏らしたとか。
あと勝負も着いていないうちから親衛隊達がD-16コールを始めたり、「根性無しのリーダー」呼ばわりに誰も反論しなかったりする辺り、元々人望無かった疑惑が浮上。
結局なし崩し的にD-16を暫定リーダーに据えた直後エアラクニッドに奇襲されてアイアコンへ連行されたりと紆余曲折あるも、乗り込んで来たオライオンとエリータ達によって救助され、彼らと共にトラッカー軍団との戦闘に突入。衰えない空中戦能力を見せつける。
……ここまでは味方と呼べたのだが、混乱の渦中でD-16がセンチネルを公衆の面前で抹殺。力と覚悟を示したD-16改めメガトロンを正式に自分達の新しいリーダーと認め、共にアイアコンの破壊活動を開始する。
最終的にオライオンが復活したオプティマスに敗れアイアコンから追放されるも、それは終わりではなく、両翼にメガトロナスのマークを刻んだディセプティコン航空参謀としての新たな始まりとなるのだった。
なおサウンドウェーブは胸に、ショックウェーブは両肩にマークを刻んでおり、こうして『ONE』におけるディセプティコン三幹部の誕生と相成った。
サウンドウェーブ
CV:ジョン・ベイリー/山本格→上田燿司
親衛隊の幹部。薄型の偵察機に変形する。
電気インパルスによる金属を破壊する音波で攻撃し、またブレインスキャンで相手の発言が嘘か本当かを判別する能力も持つ。
寡黙な性格で、喋っても無機的に淡々としか喋らない。
特徴的なエフェクトボイスは本作でも健在。
何らかの理由で吹き替え版の声優が交代されており、後任の上田は本作でゼータプライム役としても参加している。なお、山本は『アーススパーク』で、上田は『
トランスフォーマー サイバーバース』でそれぞれサウンドウェーブを演じていた。
ショックウェーブ
CV:ジェイソン・コノピソス=アルバレス/
星野貴紀
親衛隊の幹部。機首に砲身を備えた攻撃機に変形する。
荒っぽくて短気だが武器に明るい技術者でもあり、実験的な武器ショックスティックを操る。
エリータに顔面パンチでノックアウトされて以降彼女に頭が上がらなくなった。
ショックウェーブ(レーザーウェーブ)というと理知的で論理主義的なキャラとして描かれる事が多いが、本作では珍しく
スパリンレーザーウェーブを彷彿とさせる暴力的な言動が多く見られる。
他の親衛隊のメンバーの大半はスカイワープ(黒)やサンダークラッカー(空色)、ノヴァストーム(黄色)、ダージ(青いトンガリ頭)、スリップストリーム(紫の女性型)など、旧作のジェットロン(シーカーズ)で占められている。
玩具
『ビースト覚醒』の時と違ってなぜか玩具展開がやや小出しで、2024年10月現在3シリーズ+4商品が展開されている。
スタジオシリーズは公開後に順次発売予定(海外では先行して発売済み)。
変形に加え劇中再現度や可動性も重視した定番シリーズ。
胸のコグの有無を再現できるようになっており、コグがある状態で胸のコグを押すとビークルモードへ瞬間変形する簡易変形シリーズ。
変形に加え、台座にセットし指で操作することで、回転しながら武器を振り回してバトルさせることができるシリーズ。
『ビースト覚醒』に次いで今回も登場した国内限定のフラッグシップモデルで、リーダークラス相当と大型ゆえの高い再現性や可動性、マスクのオンオフ切り替え、肩のエナジーキャノン展開、マトリクス収納など、様々なギミックを持つONEのオプティマスの決定版。
同サイズのメガトロンを望む声も多い。
トイザらス限定で発売されたオプティマス。デラックスクラスやブレイブコマンダー同様、マトリクスの収納が可能。
実は足首のみ以前BRICs各国向けに展開された「サイバーコマンダー」のオプティマスのものをそのまま流用。それ以外は別物なので姿や変形パターンは大きく変わっている。
変形はもちろん、間接可動と発光ギミックを備えたバンブルビー。デラックスクラスと比べて変形は簡単になっており、劇中再現度はそこそこ。
- アルティメットパワーチェンジ オプティマスプライム
3段変形、ライト・サウンドギミック、マトリクスなど様々なギミックを備えたオプティマスの大型商品。ビークルからオライオンパックスに変形し、オプティマスプライムにパワーアップ、さらにスイングアクションによってアルティメットパワーモードにも変形する。サウンドギミックはモードごとに異なる。
追記・修正はトランスフォーム・コグを得て変形可能になってからお願いします。
- ↑3 マトリクス欲しさにプライムたちを殺したら、手に入るはずだったマトリクスが消滅して(センチネル視点では)もうエネルゴンを湧き出させる手段が永遠に無くなってしまいました・・・なんて、口が裂けても言えるわけないからね。自己弁護のウソを重ねた結果、取り返しのつかないところまで現在進行形で堕ちて行ってるっていう印象。 -- 名無しさん (2024-11-03 20:01:33)
- このセンチネルはそりゃオオゥされても仕方ないわな… -- 名無しさん (2024-11-04 12:07:13)
- メガトロンはリンチだけ、オプティマスはリンチを容認していたらまだ決別しなかったのかな -- 名無しさん (2024-11-05 22:26:29)
- ↑問題を先延ばしにして、本編以上に被害が大きくなったとき結局に決裂するか、共犯者として二人でセンチネルぐらいに堕ちるかしかないでしょうね。可哀そうだがプライムが高潔なまま変革させるためには、メガトロンが汚れ役を担うのは必要だった。 -- 名無しさん (2024-11-07 15:14:43)
- 2010と違ってクインテッサは創造主じゃなくて、あくまで無関係な異星人の侵略者って認識で良いのかな -- 名無しさん (2024-11-12 23:13:55)
- それでいいと思う。サイバトロニアンはプライマスから生まれたって明言されてるし -- 名無しさん (2024-11-12 23:18:44)
- クインテッサとトランスフォーマーが無関係だとすると、クインタス・プライムがよく分からない存在になるなあ… -- 名無しさん (2024-11-13 21:07:42)
- 単発作品になるのかシリーズ物になるのか気になる所 -- 名無しさん (2024-11-14 19:38:26)
- 本日デジタル先行配信開始! -- 名無しさん (2024-11-20 21:03:50)
- スタスク達が「プライムの敵」に従うの、力こそが全ての価値観だからみすみすセンチネルにハメられたプライム達を見限ってたのかな -- 名無しさん (2024-11-20 23:42:45)
- コグパワーチェンジってコレ観た後だと人の心ない玩具だわ -- 名無しさん (2024-11-22 00:02:41)
- オライオンから手を離してセンチネルに憎しみの目を向けるDはもうね・・・「お前さえ居なければこんな事にならなかった」っていう表情なのが -- 名無しさん (2024-11-23 14:59:16)
- TELASAでも配信始まって感無量 -- 名無しさん (2024-11-27 19:17:22)
- ユーチューブで購入して見たけど…今回のセンチネル、この項目では収まらないと思う。実写版のやつみたいに個別項目にしたほうが良いんじゃない? -- 名無しさん (2024-11-28 10:18:11)
- ビーストコンボイの言葉を借りるなら「宇宙の面汚し、トランスフォーマーの恥」はこのセンチネルも入る -- 名無しさん (2024-11-29 00:16:32)
- この項目に限ったことじゃないが、黒背景系とか黄色とか、所々文字が見づらいのはなんとかならないだろうか -- 名無しさん (2024-11-29 17:11:36)
- 単体作品じゃないなら、この後サイバトロン荒廃まで戦争が続く→地球で最終決戦って感じになるのかな。もし地球篇やるとしてもアニメにして欲しいところ -- 名無しさん (2024-11-29 17:15:19)
- この調子だとモブだったG1センチネルプライムもいろいろやらかした戦犯と後付け設定されそう -- 名無しさん (2024-11-29 17:26:19)
- 三部作になるなら地球も出るらしいが、なんでいつも地球を巻き込むんだこの種族は… -- 名無しさん (2024-11-29 18:39:14)
- センチネル(前哨兵)が悪い方向で文字通りに「クインテッサの尖兵」になり果ててた映画 -- 名無しさん (2024-11-29 21:38:17)
- マジで作品の出来に比べて、玩具展開が終わってる。メ -- 名無しさん (2024-11-30 02:12:31)
- ログ化を提案します。 -- 名無しさん (2024-12-05 10:11:03)
- 3部作らしいから本格的に商品展開し始めるのは2作目あたりからだろうな 1作目の評価も上場だし TVシリーズもやりそう -- 名無しさん (2024-12-07 20:31:10)
- 次回作だと 労働者から成り上がったミックスマスター達ビルドロンとか出そうだよな。あと労働者を見下していたダークウイングは多分周りから見限られてディセプティコン入りへと成り下がりそうだけど -- 名無しさん (2024-12-08 19:36:03)
- センチネルの記述について、本記事で「劇中でビークルモードを披露しなかったのは、メガトロナスのコグに抵抗されていたから」「レースの後でオライオンとDのところにダークウイングが来たのは、センチネルに事前に呼んでおいたから」と記載がありますが、こちらの2つの情報について公式で言及されてい等のソースはありますか? どちらもファンの間でよく議論される&様々な解釈が見受けられる事項なので興味があります。自分でも調べているのですが、個人の解釈の域を得ない情報しか見つからず……ご存じの方がいらしたら教えて下さい。 -- 名無しさん (2024-12-11 16:57:10)
- ログ化しました。 -- (名無しさん) 2024-12-13 07:43:34
- 用はセンチネルの離反の理由が主君らの不甲斐なさに失望したからとマイクロン伝説のスラストに近いかも無惨な最後を遂げたというのも共通してる -- (名無しさん) 2024-12-13 23:08:17
- どんどん暴力的になっていくディーに戸惑ってるオライオンの表情が良い -- (名無しさん) 2024-12-14 17:32:35
- 映像だとディセプティコンに合流したのは親衛隊だけだったように見えるけど、他にもプライムに失望した市民や労働者も混ざってそうな気する -- (名無しさん) 2024-12-22 17:01:47
- アニメイテッドのセンチネルは真っ当な道に進んでいってほしい -- (名無しさん) 2024-12-22 17:13:24
最終更新:2024年12月15日 23:28