初登場したのは原作366話「サイヤ人たちの修行」。
人造人間を超えるべく
超サイヤ人の更に上を目指そうとする
悟空により、たった1日で1年ぶんの修業ができる場所として明らかにされた。
部屋の特徴
神様が住む神殿の最下層にある施設で、部屋の中には
途方もなく広いまっ白な空間が広がっており、そこに出入口の扉を備えた居住スペースの建物がポツンと建っている。
空間の広さは悟空曰く「地球と同じくらい」で、遠くまで行きすぎたら帰ってこれない可能性まであるのだという。
異次元世界にある部屋なので扉を閉めると外界との繋がりが断たれ、外の情報は気も含めて完全にシャットアウトされる。
基本的に扉を開けている間のみ内部と外部の時間がリンクしており、後述する次元の穴を開けた際もそれが適用される様子。
しかし、魔人ブウ編ではブウといよいよ対決するとなった時にピッコロがテレパシーで中の悟天とトランクスに語り掛けるシーンがあり、後述のルールのように「神殿関係者の連絡ができるよう改良された」とする考察がされている。
最大の特徴は部屋の名前にもある通り、外界と「時」の流れが異なる点。
精神と時の部屋では外界から見て速く時間が進む。
つまり部屋の中から見れば外界の時間経過は自分たちの感じる時間経過よりもゆっくりになるのである。
その差はおよそ365倍で、具体的には部屋内の1日が外では約4分、1週間が約30分、1ヶ月が約2時間。たとえ部屋で1年も過ごしたとしても扉を開けばたった1日しか経っていないわけである。
作中ではこの特性を利用し、部屋の中で長期に渡るトレーニングを重ねて極短期間での劇的なパワーアップを狙うのが主な利用方法となっている。
リスクという訳ではないが、あまり長期に渡って入室していると早く老ける事にも繋がってしまう。
この関係で一部のキャラは実年齢と肉体年齢に大幅なズレが生じている(後述)。
しかし、部屋の中は非常に過酷な環境となっており
- 最高でプラス50℃から最低でマイナス40℃まで変化する気温
- 地上の1/4ほどしかない空気:現実なら常にエベレストの山頂にいるようなもの。とは言え標高だけであれば神様の宮殿自体が雲よりはるかに高く、初めて来た悟空が空気の薄さを感じているため、似たような高さではある。
- 地球の10倍に相当する重力:これは界王星や惑星ベジータ、惑星ズンと同等である
などという殺人的な環境が待ち構えている。
常人ならば最大90℃もの寒暖差で体調を崩すか、薄すぎる空気で酸欠になるか…それ以前に強すぎる重力でペッチャンコに潰れて死んでしまう。
サイヤ人かそれに匹敵する実力者でもないなら入室はやめた方がいい。
実際に作中で入室して修行した事が描写されてるのはサイヤ人達かナメック星人のピッコロのみで、クリリンら地球人達は描写されていない。
補足すると、天津飯らはセル相手に戦えないという理由でパスしており、精神と時の部屋が過酷だから入らなかったわけではなさそうではあるが。
また居住スペースの建物には、生活するにあたって必要最低限となる風呂・トイレ・食料・ベッドが備わっているのみ。
各物資がどこから供給されているのか、または生活排水がどこへ繋がっているのかは不明。
しかも食料に関しては水と粉のような食べ物しかないと来てる。これは水を含ませると固形化し、それを練って食べていた。味はあまり美味しくはないらしい。
環境が環境なので通常の食品は保存が効かないのだろうか。一応、Zのアニメオリジナルでは冷蔵庫が設置されており、内部に大量の食材が保管してあった。
何もない殺風景な光景にただじっとしているだけでも辛い環境、そして質素極まる生活から、肉体面で適応できても「精神」が脆ければ発狂は免れない。
心身共に強靭な真の戦士にこそ入室が許される部屋と言えよう。
ルール
ひたすらだたっ広い部屋だがどういうわけか定員を設けてあり、最大で二人までしか入れない。
人造人間編では
トランクス&
ベジータ、悟空&悟飯が一日毎に入れ替わりで使用していた。
しかし後のブウ編では三人~四人まで同時に入室している場面があり、設定に矛盾が生じてしまっている。
これに関しては「
デンデが
ドラゴンボールのパワーアップと同じ要領で部屋を改良したのでは?」との説がファンの間で有力視されていた。
実際にゲーム『
ドラゴンボールZ KAKAROT』ではこの説が取り入れられ、
セル撃破から少し経った頃に「強敵が次々と現れているからまた部屋を使う機会もあるかもしれない」と考えたデンデによって部屋の定員を増やす調整が行われた、という補完がなされている。
- 生涯で利用できる日数は外の世界の時間で48時間(部屋内での約2年間)まで
それ以上滞在すると出口の扉が消滅し、死ぬまで二度と出ることが出来なくなる。
ただし、ドラゴンボールなどの効力で蘇生した人物の場合はそれまでの時間累積はリセットされる。
一応、
次元に穴を開けられるような戦闘力ならば扉を無視して外界に出る事が可能である。
また、後年の『
ドラゴンボール超』では悟空とベジータが48時間を超えても部屋を出入りしているが、
原作にないアニメ独自の描写かつ『Z』での描写でもないという事もあってか『KAKAROT』でも特に補完されていない。
『超』の頃には二人とも単独で次元を突き破れる戦闘力に達しているため、時間超過も承知で穴を開けて出てきているのか、或いはデンデが改良してくれたのかもしれない。
ルールというよりは設計の話だが、出入りのためには複雑に入り組んだ神様の神殿の中を歩き回らなくてはいけない。
作中では悪ブウを歩かせて時間を稼いだが、わざと遠回りしていた事が示唆されているため、他に手っ取り早い道がある可能性が高い。
当然出る時もそのドアを出るしかないが、ドア自体は簡単に破壊可能であり、万一ドアが壊れてしまえば前述の「自力で次元に穴を開ける」でもしない限り、中にいる者は二度と外には出られなくなる。
ただその場合、神殿側の扉がどうなっているかは描写されておらず、神殿の扉も破損しているのか、はたまた扉は無事でまた別の部屋が作り出されるのかは不明である。
また、ドラゴンボールで呼び戻す、あるいは中に入るなど、神龍への願いでどの程度干渉できるのかも描写がないため不明。
このように破壊された後で不明な部分が多いためか、原作最終回のその後を描いた『
ドラゴンボールGT』では部屋自体が描かれていない。
地球以外の部屋
漫画版『
ドラゴンボール超』では、なんと
地球以外の惑星でも精神と時の部屋が登場している。
これによって地球独自の施設というわけではない事が判明したが、同時に各惑星に点在する部屋の謎と異質性がより深まる事にもなった。
『銀河パトロール ジャコ』において、銀河パトロールはわずかな操作であっても
時間のコントロールは重罪
として
違反者の抹殺も考慮に入れて取り締まっている。
これら各地の部屋を認知していないのか、それともこの部屋については取り締まりの対象外なのかは不明。
悟空に
星喰いのモロへの対抗手段を身に付けさせるべく、銀河パトロールのメルスが修業の場として用意した精神と時の部屋。
無人の惑星に小さめのピラミッドのような神殿が建っており、部屋の中の建物は地球のものと同じ作りだがやや簡素な作りになっている。
こちらの部屋は部屋での3日間が外界での1日に相当する。つまり時間差3倍と、地球ほど効率は良くない。
それでも時間短縮には有効であり、悟空とメルスは2ヵ月しか猶予がない中で数ヶ月もの間修業できた。
前述の通りメルスはいちおう銀河パトロールに籍を置くエリート隊員だが、この部屋を使うことを逡巡するとか後で罰を受けたとかいう描写はない。
違反にならない条件があるのかもしれないし、より大きな危機を打開するための用法として許されたのかもしれない。
フリーザ軍による惑星侵略の過程で、とある星にて発見された精神と時の部屋。フリーザは「異次元世界」と呼んでいた。
台詞でしか触れられていないので詳細は不明だが、外界の数ヶ月で10年間も滞在している事から時の流れの差はメルス部屋の3倍を優に超えると思われる。
主な入室者
作中で初めて部屋の存在に触れた人物。
実は神様の下で修業していた少年期~青年期の頃にも部屋に入った事があり、その時はあまりの過酷さから気が狂いそうになって1ヶ月で退室したらしい。
人造人間編では時間的制約と長期の修業を一挙に解決できる施設として発案し、ベジータやトランクスを誘って味方側の強化を図りつつ、自身も
超サイヤ人の壁を超えるべく息子の悟飯と共に入室。
実戦や瞑想を経て超サイヤ人の第二段階、そして第三段階への変身に成功したが、諸々の欠点からこの路線での強化は取り止めて超サイヤ人を平常状態で慣らす方向に変更し、部屋での修業も10ヶ月半ほどで中断した。
何もしなくて負担が掛かる部屋の過酷さについて触れており、「ムリに鍛えてもただつらいだけ、そんなのは修業じゃねえ」という、亀仙流の教えを思わせる台詞は地味に名言である。
『超』の破壊神シャンパ編では更にベジータと共に3年間修業し、銀河パトロール囚人編でも三倍速の部屋に数ヵ月ほど籠っていた。
悟空はラディッツ戦の後に1年間、人造人間編からブウ編までの7年間の計8年間死亡していたため、部屋で過ごした年月を考慮すると実年齢より4歳ほど若い事になる。
超サイヤ人の先を模索していた時に悟空からの誘いを受け、息子のトランクスと共に入室。
2ヶ月ほどで超サイヤ人の壁は超えられたのだが、それでも納得がいかなかったらしく1年間めいいっぱい修業し、結果的に17号を吸収した第二形態のセルが手も足も出ない程にパワーアップした。
セルゲーム前にも一人で入って時間制限ギリギリまで修業を重ねたのだが、それでも悟空を超える事は叶わなかった。
『超』では破壊神シャンパ編にて3年間入室し、未来トランクス編でも日数は不明だが使用している。
毎回部屋ごと扉を破壊して出て行くので、宇宙サバイバル編ではミスター・ポポに「今度壊したら出禁」と言われた…のだが、やっぱり壊していた。
ベジータは悟空と異なり2回の死亡期間がごく短いため、最低でも実年齢より五歳以上老けている事になる。
老化現象が非常に遅いサイヤ人とはいえ、もともと悟空より年長な上に長期連載であることも加わり、流石に老いが心配になってくる乱用具合である…。
父のベジータと共に入室。
部屋から出てきた際には髪と背が伸びており、
ブルマと読者を驚かせた。「純血のサイヤ人は髪型が変化しない」との設定が明かされたのもちょうどこの時である。
父親と同様に超サイヤ人の壁を超え、更にトランクスはその先の境地にたどり着いたらしく、プライドの高いベジータを傷付けないために敢えて隠していたのだが…
セルゲーム前にも一人で入室し、セルジュニアと戦闘が成立するくらいには強くなっている。
父の悟空と共に入室。
当初は超サイヤ人にもなれなかったのだが、イメージトレーニングや「怒り」のコントロールを経て無事覚醒した。
その後も超サイヤ人を平常状態に慣らして第四段階に至り、本人も自覚はしていなかったがこの時点で実力は悟空を超えており、当時のZ戦士では最強の実力を得た。
悟飯もトランクスのように修行中にかなり髪が伸びていたが、悟空が定期的に散髪してくれていたようで修行を終えた時はむしろ入室した時より短くなっていた。
ここでの修業が
未来悟飯との明暗を分け、後の超サイヤ人2への覚醒に繋がっている。
なお、入室したのは9歳の頃で上述の通り10ヶ月半ほどこの部屋を使っているが、7年後には16歳と表記されていた。
使用期間が短かったため年齢が加算されなかったのか、それとも戸籍上の年齢で高校に入学しており肉体的にはクラスメート達より1歳上なのかは不明である。
セルゲームの九日前に入室し、修業の末に悟空をして「レベルそのものが上がった」と称賛する程に強くなったのだが、同時にそれでもセルには通用しない事を指摘されている。
ブウ編でも悟天とトランクスを入室させ、悪ブウの案内ついでに自身も部屋へ入って戦いを見届けた。
チビ達でも敵わないと判断すると、最終手段として
外界に繋がる扉を破壊して自分たち諸共ブウを
封印しようとしたのだが…
ちなみにゲーム「舞空烈戦」のピッコロのIFストーリーでは、ブウを魔封波で小瓶に封印してさらに精神と時の部屋に安置するという二重の封印処置を行っている。
確かに
海の底に電子ジャーごと沈めても300年後に回収されてしまうこの世界の地球上において、封印物を安置する場所としてはこれほど最適な場所もないだろう。
……が、平行世界からやってきたゴテンクスが精神と時の部屋に出てきてしまい、こっちのピッコロが制止するのも聞かずに小瓶を開けてしまったため結局封印が解けた。
その後、ゴテンクスの協力でピッコロ単独では不可能だったブウの完全消滅を達成できたため、ピッコロ的にも結果オーライという結論を出している。
悪ブウにまだ勝てないと悟ったピッコロの判断で、少しでも長く修業して強くなるために二人まとめて入室した。
チチを殺された悟天の怒りもあってか、たった1週間の修業で
ゴテンクスにフュージョンすれば
超サイヤ人3に変身できる程パワーアップしたのだが、持続時間の短さと慢心もあってぶっつけ本番で本人曰く「軽いジョーク」「かわいいうそ」の出し惜しみをしてしまい、ピッコロに「ゴテンクスでは勝てない」と勘違いさせている。
信じてブルマを託したトランクスが盛大にやらかしてブルマを殺されたベジータの心境やいかに…
自分と戦えるヤツを求めて神殿に侵入し、ピッコロに誘導される形で入室した。何気に初めて修業以外の目的で部屋に入ったキャラでもある。
当初はゴテンクスと戦っていたのだが、扉を破壊したピッコロから二度とお菓子を食べられない現実を突きつけられると激高し、なんと雄叫びで次元に穴を開けてしまった。本人も「あれ?」が第一声だったので、意図してではなく偶然な模様。
これ幸いとばかりに外界に脱出したが、直後により大きな穴を開けた超サイヤ人3のゴテンクスも登場して第2ラウンドを繰り広げた。
なお、何も無い部屋の中のはずなのにゴテンクスとゴーストのやり取りを待ってる間にどこから取り出したのかクリームソーダを飲みながら自動車雑誌を読んで暇潰しをしていたが、これに関してはギャグ描写なのでツッコミは禁止かもしれない。
一応、変化前のデブブウは人間を変異させたキャンディーを持ち歩いていたので、引き続き持っていたそれを更に変化させたとすれば矛盾は生じない。
悟空と共に三倍速の部屋に入室し、稽古をつける中でモロに勝つためのある術を伝授した。
部屋の中ではほとんど寝ない上に飲み食いもしない生活スタイルを送っており、悟空に
その正体を薄々勘付かせている。
征服した惑星の一つで外界と時の流れが異なる部屋をたまたま発見し、いつまでもサイヤ人に遅れを取っていられなかったフリーザは
実質10年間ものトレーニングを決行する。
わずか4ヶ月のトレーニングでゴールデンフリーザへと急成長したバケモノがそれだけ修業して強くならないはずもなく、新たに
身勝手の極意、我儘の極意をも超越した
ブラックフリーザの変身を身に付けた。
更には「外界と隔絶した異次元世界」という部屋の性質が幸いし、ちょうど部屋に籠っていた頃にドラゴンボールで叶えられた「宇宙一の戦士になりたい」という願いの対象からも外れており、宇宙一となったガスに強さで上回られる事なく逆に瞬殺している。
10年もかけてトレーニングに励んだため、悟空やベジータのように実年齢と肉体年齢がかなり異なっている。
フリーザの場合は人造人間編序盤から
復活の「F」までの15年間(と「F」から
力の大会までの数ヵ月)死亡しており、実年齢より五歳ほど若い事になる。
余談
- 原作でこの部屋が登場したのは一番初めに記載した通り366話であり、うるう年ではあるが部屋での一年間の日数と話数で合致している。
まったくの偶然なのか、はたまた精神と時の部屋の登場に合わせて当時の鳥山先生と編集が狙ったのだろうか…?
- 老界王神はピッコロがブウを招き入れたところを遠隔視能力で見ており、「時の異次元世界へ招いて戦っている」と語った事から老界王神にとっては既知の概念である模様。
時間の流れを管理する役目の時の界王神が老界王神と年齢が近いことを考えると、ベテランの界王神であれば時間の流れが通常と違う世界の存在は珍しくないのかもしれない。
???「むすっ…ふんだ!…どうせ私は何も知りませんよ…」
追記・修正は
所要時間を365倍で数えてからお願いします。