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リリス(新世紀エヴァンゲリオン)

登録日:2021/04/15 Thu 03:22:51
更新日:2024/11/21 Thu 13:03:30
所要時間:約 5 分で読めます





この星の生命の始まりにして、収束の要ともなる


第2の使徒…リリスよ


リリス(LILITH)とは『新世紀エヴァンゲリオン』に登場する謎の生命体「使徒」の一体。
本項目ではTVアニメ版を主体に、『新劇場版』に登場する「第2の使徒 リリス」についても記載する。

+ 目次

基礎データ

呼称:第2使徒
天使名:リリス
全高:不明*1
体重:不明
象徴:なし
能力:アンチA.Tフィールドの展開・黒い結界の展開


概要

第3新東京市地下のNERV本部の最深部たるターミナルドグマのL.C.Lプラントに磔にされて幽閉されている巨人。
初登場は第拾五話『嘘と沈黙』で、当初は第1使徒アダムと偽装されていた。正体がリリスと発覚するのは弐拾四話『最後のシ者』と物語のかなり最終盤の方で判明する。
磔にされている巨人で、物語中盤からはロンギヌスの槍が刺されている他、顔には『ゼーレの7つの目の仮面』がつけられている。
下半身が切られた様な特異な姿で、切られた様な部分のところからは人の足のようものが無数に生えている他、体液であるL.C.Lが常時流れ出ている。
後に第弐拾弐話『せめて、人間らしく』でアラエル撃破のために零号機がロンギヌスの槍を引き抜いたために、下半身部分が生成されたが、膝周囲の部分に人の足の様な部分や突起が残っている。
名前の由来は最初の人類、アダムの最初の妻リリスから。

+ 正体
その正体は人類たる第18使徒リリンを生み出した始祖。
ぶっちゃけて言うと地球上全ての生命体の母である。
アダムと同じくリリスは 『第一始祖民族』 と呼ばれる生命の起源をばらまく存在の1人で、アダムが『生命の実』を持つのに対してリリスは『知恵の実』を持った存在である。

生命の種が落ちるのは1つの星につき1つのみと決められていたが、リリスは自身が持つ『知恵の実』のみならず『生命の実』を奪い取る事を画策し、『生命の実』を持つアダムに目を付ける。
最初に地球に到着したのはアダムであり、アダムが自分たちの新たなカタチとして15体の使徒を産んだ後、地球にはアダムの持つ『生命の実』を狙いアダムを追ってきたリリスの卵たる『黒き月』を運ぶ天体が衝突。
これを ジャイアントインパクト (ファーストインパクト)と呼び、アダム及び使徒達は活動を停止してしまう。リリスの黒き月は将来、日本の箱根となる場所に落下、リリス自体も地中深くに沈んでしまった。
しかしリリスの体液たるL.C.Lが原始の地球に流出し、原始の海に流れ、化学反応を起こし、『生命のスープ』となる。
そうして海から原始生命が誕生し、絶滅と進化を繰り返した果てに生まれたのが知恵の実の継承者にして地球で最も繁栄した 『人類』 なのである。
人類がA.T.フィールドを失うとL.C.Lへ還元されるが、これは人類がリリスの子であることの証明である。

使徒がリリスに接触してしまうと、サードインパクトが起きるため人類はエヴァンゲリオンを開発、黒き月の上に第3新東京市を建造し、ジオフロントにNERV本部を建設した上でリリスを守っている。

ゲーム『新世紀エヴァンゲリオン2』では黒き月の落下場所は今で言う南極付近とされ、さらに諸々の固有名詞は死海文書を第一始祖民族語から地球語に翻訳したゼーレ(新世紀エヴァンゲリオン)の先祖が己の教義に当てはめて命名したとされており、
死海文書で「アダム」と呼ばれていたのは元々こちらの方で、劇中でアダムと呼ばれている使徒の発見時にプレート移動を計算に入れていなかったために誤解されたことが示唆されている。


主な能力

アンチA.Tフィールド展開

旧劇場版で発動した能力。
アダムとの禁断の融合を果たしたリリスは、魂を持つ者の肉体への帰還をもって完全に復活を遂げ、初号機をトリガーとするサードインパクトの始まりの儀式を始める。
エヴァンゲリオン量産機9機がリリスと共鳴したことで、リリスは巨大なアンチA.Tフィールドを展開し、地球上の全ての生命を自身の体液たるL.C.Lへと還元し、その魂は黒き月へと集められていった。

黒い結界の展開

ANIMAQで発動した能力。
ネルフ本部の地下施設を呑み込む形で展開され他者の侵入を拒んだ。
ANIMAでは周囲の時間を停滞させる事で結界を形成する能力であると解説されている。
因みにコピーである初号機にもこの能力は受け継がれており、サードインパクト発動の0.82秒前である最終号機の時間を停滞させ、同機をヒトの姿に抑え込む役割を果たしている。

『Q』ではメインシャフトとセントラルドグマの間に展開しており、カヲルくん曰く『14年間誰の侵入も許していない』らしい。
シンジとカヲルが搭乗するエヴァ第13号機によって突破された。

劇中での活躍

TVアニメ版

第拾五話『嘘と沈黙』にて初登場。
当初は『NERV本部地下に幽閉されている第1使徒アダム』と偽装されており、ゲンドウといったゼーレ関係者を除いて、ミサトリツコといったNERV幹部らも知らされていなかった。

その正体がリリスであると判明するのは物語の最終盤である第弐拾四話『最後のシ者』であり、最後の使徒であるタブリスが最深部のターミナルドグマへ到達し、巨人を数分見つめたあとに判明する。
何故今まで使徒達はリリスを目指していたのかは劇中では明かされなかったが、ゲーム『新世紀エヴァンゲリオン2』では使徒は始めからアダムではなくリリスとの接触を計っていたとされ、その目的は地球上の全生命のリセットを目指していたため……と解説されているが、同時に特に何も考えずにリリスを目指していた使徒もいると解説されている。
唯一ガギエルのみリリスではなくアダムを狙っていたがこれは自分達の始祖たるアダムの奪還を目指していたため、と解説されている。
サードインパクトを起こせるのは生命の実と知恵の実両方を獲得した者のみであるため、生命の実をもつ使徒は知恵の実をもつリリスと融合してインパクトを起こそうとしていたと思われる。

旧劇場版

第26話『まごころを、君に』にて完全に復活を遂げる。
ターミナルドグマ最深部にてゲンドウの手に移植されていたアダムの肉体を奪いさり、アダムとリリスの禁断の融合を果たして限りなく 『神』 に近い存在へと昇華、初号機シンジをトリガーとしてサードインパクト(人類補完計画)を発動した。
復活した当初、NERV本部では『パターン青』と表示され、使徒かと思われたが、判定は『ヒト』であり、肉体も物理的に何も受け付けないという透けている状態であった。その後さらに巨大化し、宇宙空間へ飛び出るほどの大きさになると、6枚の巨大な羽を広げた。
ゼーレの目論見通り全人類はL.C.Lへと還元され、ひとつの生命体となって新生するはずだったが、リリス(レイ)による問いかけによってシンジのリビドーが復活、補完を否定するとリリスの肉体も瓦解し、肉体を崩壊させながら地球の表面に落ちていった。

漫画版

基本的に旧劇場版、TVアニメ版と設定は変わらず。

エヴァンゲリオンANIMA

全ての量産機が撃破され補完計画が完全に破綻するのと同時に黒い結界を展開、本部施設とその中にいた碇ゲンドウや赤木リツコなどのネルフスタッフを結界に呑み込み眠りについた。

第2の使徒 リリス

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序

終盤の第6の使徒を殲滅する作戦『ヤシマ作戦』の作戦開始直前にシンジがミサトに連れられて来た場所で登場した。
この時、リリスのいる場所がターミナルドグマからセントラルドグマへと名称が逆転変更された。また(「第1の使徒」兼「第13の使徒」の渚カヲルを除くと)唯一新劇場版の使徒の中で名前が付けられている他、仮面も『7つの目の仮面』から使徒のシンボルであるサキエル顔に似た仮面に変わっているなどの細かい設定が変更されている。(ロンギヌスの槍も最初から刺さっている。)

またゼーレによるとリリスと人類は『契約』をしているそう。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

エヴァ初号機とシンジが第10の使徒を殲滅し、ガフの部屋を開いてサードインパクトを起こし始めた直後のカットで登場。
仮面の下の目を光らせて初号機へと呼応している様子が描かれた。

また月面にて『7つの目の仮面』に似た仮面を被った黒い巨人が登場しているが、これがアダム、リリスに似た何かなのかは不明。
この黒い巨人は後にエヴァMark.06の素体となる。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q

なにがあったのか人類の母たるリリスは既に死亡していた。
14年間セントラルドグマとメインシャフトの間に『結界』を張って何者も通さない状態を作り出していた。
また首と胴体は切り離され、顔は第一発令所跡地に放置されている他、胴体は『序』『破』に登場した頃より一回り大きくなっている。
さらにドグマに放置されている骸となった胴体にはエヴァMark.06が融合しており、ロンギヌスの槍が2本刺さっていた。
シンジとカヲルの搭乗するエヴァ第13号機が2本の槍を引き抜いた直後に形象崩壊してしまった。
今回はこれで出番終了である。
仮にも人類を生み出した母たる存在なのにそれでいいのか

シン・エヴァンゲリオン劇場版:||

ミサトのサードインパクトの回想にて登場。
なんと磔にされていた身体を動かしているのが確認できるが、首はエヴァMark.06によって切り落とされていた。
即ちサードインパクトを引き起こしたのはエヴァMark.06及び融合したリリスということだろう。

+ ネタバレ注意
また碇ゲンドウが語る死海文書外典にも登場する。スクロール最後に10体の影の前で、12枚の翼を持ち輪っかのような物を掲げている人が中央にいるが、これがリリスである。…本編の姿とあまりに違う?それはそうだが、こちらは紀元前に現実世界で製作された大きなレリーフで「バーニーの浮彫」というリリスを象った物ではないかと言われているレリーフが存在すし、そこからの引用である。
さらに最終盤、ゴルゴダオブジェクトに存在する空想上のエヴァンゲリオンたる、 『エヴァンゲリオン・イマジナリー』 が黒いリリスの姿で登場した他、アディショナルインパクト発動時には旧劇場版のような巨大な綾波レイの姿で登場した。
時代の進歩なのかより鮮明になったCGによって旧劇場版の頃より遥かに不気味な姿になっている。
(しかも腕と頭が胴体から分離して浮いている。)

空白の14年間において人類が進化した姿であるエヴァンゲリオン・インフィニティを全て白い女性のマネキンのような姿に変え、最終的に12枚の羽を広げて全ての人類をエヴァインフィニティに同化させるアディショナルインパクトを完遂する。
最終的にミサトの特攻によってガイウスの槍がシンジへと届けられた為、全てにケリをつけようとするシンジによって補完計画は完遂直前で終わり、エヴァイマジナリーも全てのインフィニティを人の姿に戻して自壊した。


余談

他作品では

大抵のゲーム作品では単なる背景と化している事が多い。
これはスパロボやリリスの設定が掘り下げられたエヴァ2でも変わらない。
厳密に言うと敵という訳ではないので倒すのもなんか違うからだろうが……
数少ない例外としてエヴァのPS2用ゲーム『バトルオーケストラ』のPSP版にてまさかの参戦を果たす。ちなみに性能は 『非常に強いし、どの使徒・エヴァより遥かに強い』 というバケモノ性能。人類の母は強い。さらにいうと自身を磔にしていた赤の十字架をぶん投げる他、巨大な綾波レイ化(完全体)する必殺技が存在する。

槍が刺さっている理由

ロンギヌスの槍が刺さっていた理由はリリスの生命活動を抑制するためである。アダム、リリスといった生命の起源たる存在にはロンギヌスの槍が必ずセットで卵についており、劇中で登場したロンギヌスの槍はアダムのもので、リリスのはファーストインパクトの際にどっかいってしまったらしい。
新劇場版においてはアダム側リリス側関係なく槍が6本あったと明言されているが、こちらもセカンドインパクトにて4本失ってしまった模様。

インパクトでの役割

リリスやアダムといった生命の起源たる存在は、インパクト時において接触した相手が望む世界を新しく作る役割も持つ。
旧劇場版ではリリスがトリガーとなった初号機=シンジが望む世界、つまり人類の補完を否定した世界に作り変えた。*2
新劇場版においてはインパクトの内容が大きく変わっており、望む世界を作るのではなく、世界をコア化する浄化の儀式となっている。
リリスが起こしたのは大地を浄化するサードインパクトだが旧劇と違いその後にフォースインパクトという魂を浄化する儀式がある。

初号機との関係性

エヴァ初号機はリリスの下半身を使って作られたリリスのコピー。
ロンギヌスの槍を失った際のリリスの代わりとして使用される予定であった。旧劇場版では実際にその儀式が行われたのだが、ゲンドウの計画とゼーレの計画が同時進行しているため非常にわかりにくい。
ゲンドウを裏切ってアダムを奪ったレイはリリス本体へ帰還して復活。
ゼーレが用意したエヴァ量産機9体を自身と共鳴、エヴァ初号機をトリガーとしてゼーレの補完計画を実質的に乗っ取ってしまった。


人類との関係性

旧作では 『人類の母』 たる存在であるが、新劇場版においては『生命の始まり』といわれているだけなのと、Qで視聴者の予想の斜め上を突く形で死んでしまったので、その真の役割が不明のまま物語は完結してしまった。

新劇場版にアダムがいない以上、リリスは最初から地球にいた可能性もあり、ゼーレとの『契約』の内容も詳細には分かっていない。しかし死海文書外典がリリスで終わっていることから人類補完計画が『契約』であると予想されている。
「Q/シン」全資料全集の発売が待ち望まれる。


追記・修正はサードインパクトを起こしながらお願いいたします。
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最終更新:2024年11月21日 13:03

*1 完全復活した場合は宇宙空間に飛び出るほどの大きさ。

*2 アダムはデストルドーの実体そのものであるロンギヌスの槍を刺されたことで地球上の全生命体のリセットを行おうとしたので、魂を持った状態のリリスにロンギヌスの槍を刺した場合でも同じことが起きると思われる。