ビットコインの供給上限である2100万BTCは、基本的には変更できない仕組みになっている。これには次の理由がある。
1. ビットコインのプロトコルに組み込まれている
ビットコインの供給上限は、ビットコインの設計において最初から定義されている。
この上限は、マイニング報酬の減少(半減期)や、総供給量が予測可能であることを基盤にしている。
このルールを変更するには、ビットコインのコード自体を変更する必要がある。
2. 分散型ネットワークで運用されている
ビットコインは中央集権的な管理者が存在しないため、ルールを変更するには、ネットワークの大多数(ノードやマイナー)が変更に同意する必要がある。
このことから、変更を支持するノードやマイナーの大多数の同意があれば、技術的にはビットコインのコードを変更して供給上限を変更することは可能。
しかし、供給上限を変更することは、インフレ懸念やセキュリティリスクが生じるなど、ビットコインの信頼性が損なわれる可能性がある。そのため、供給上限変更に反発する勢力が現れる可能性がある。
もし、供給上限を変更することに大多数が賛成した場合、新しいルールが採用され、供給上限が変更される。しかし、供給上限変更に反発する勢力(少数派)が元のルールを維持したい場合、ネットワークが分裂(フォーク)する可能性が高まる。
もし、ビットコインが分裂したら
もし、ビットコインの供給上限の変更が賛成多数で同意され、少数派が元のルールを維持したいと反発した場合、ネットワークが分裂(フォーク)する。
分裂すると、1つのチェーンが「新ルール」と「旧ルール」という2つに分岐する形で運用されることになる。
それぞれのチェーンは、フォーク時点までの履歴を共有しているが、それ以降は互いに独立して運営される。
多数派が、新しいルール(供給上限変更)をチェーンを採用し、少数派は元のルール(供給上限2100万BTC)を維持したチェーンを続ける。
この場合、少数派はサトシ・ナカモトが構築した「オリジナル」のルールを保持していると言える。
ブロックチェーン分裂のメカニズム
1 フォーク前の状態
すべてのノードとマイナーは、同じルールと同じブロックチェーンの履歴を共有している。
2 新しいルールの導入
ある時点で、一部のノードやマイナーが新しいルール(供給上限の変更)を採用する。
多数派は、新しいルールに基づいてブロックを生成する。
少数派は元のルールに従ってブロックを生成し続ける。
3 チェーンの分裂
この結果、ブロックチェーンが物理的に2つの異なるチェーンに途中から分岐する。
プログラム変更
ビットコインの最大供給量を変更するためには、プログラム(ビットコインのソフトウェア)のコードを変更する必要があるが、供給量変更に反対する派には影響しない。
その理由は、どのソフトウェアバージョンを使用するかを自由に選択できるため、反対派がその変更をしたバージョンを採用しない限り、元のプログラムをそのまま使用し続けることができるから。
ビットコインは仮想通貨におけるメジャーコインとして、その信頼性がその価値を支えている。そのため、分裂が発生するとビットコインに対する信頼性や価値の低下、セキュリティリスク、市場の混乱など、非常に大きな影響を及ぼす可能性がある。
そのため、ネットワークの安定性と全体の合意が非常に重要であり、ルール変更に関しては広範な合意が求められる。