とにかく列車で北へ行きたい!「イギリス最北の駅」を目指したら“異例の方法”で行く羽目に 悪い予感が的中〈前編〉
2019年の夏、3度目の渡英ではイギリスの鉄道をとことん乗りつぶしました。現地で最北を目指そうと決め、スコットランドのハイランド地方にある最北駅へと向かったのですが……。前編では、その往路の模様をお伝えします。
この記事の目次
・コロナ禍前の夏、イギリス最北の駅を目指す
・車内販売もある“近郊形”車両
・なんと車両故障… 代替手段は?
・バスは内陸の丘陵地帯を行く
・イメージと違った最北の駅
【画像枚数】全25点
コロナ禍前の夏、イギリス最北の駅を目指す
鉄道に乗って旅を楽しむ。これほど楽しい時間はありません。私は鉄道の空撮がライフワークで、特殊な世界で撮影していますが、列車に乗って撮影するという初心も忘れぬよう心がけ、乗り鉄旅が一番安らぎます。ただちょっと問題なのは、私の鉄道旅はトラブルがつきものなのです。
イギリス最北の駅へ訪れた際も、案の定何かありました。
2019年7月、自身3度目の渡英は空撮ではなく、鉄道と航空機撮影の旅となりました。ロンドンで合流した友人達とケンブリッジ(Cambridge)でいったん別れ、さてどこへ行こうか――それならば最北の路線「ファー・ノースライン」を堪能しながら、イギリス最北駅サーソー(Thurso)とウィック(Wick)へ目指そう。この路線はインヴァネス(Inverness)駅からハイランド地方の北海と丘陵地帯に沿って北上し、途中で東側の街ウィックと北端の街サーソーへと分岐しています。
気ままな一人旅、スコットランドへ向けて移動を始めました。こういう時に便利なのがフリーパスで、イギリス全土の鉄道をカバーするブリットレイルパスを使用しての旅となります。
なおこのルポの内容は2019年当時のことで、コロナ禍を挟んだ現在の状況は、車両運用や運行システムなど変化していると思われます。1ポンド約200円もする円安の現在では、とてもではありませんがフラッと訪れて状況確認できるほど気軽ではなく、もう少し落ち着いたら訪れたいものです。もっとも、2019年当時でも夏のハイシーズンだったために、安宿ですら1万円越えの場所もありましたが……。
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Writer: 吉永陽一(写真作家)
1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。