ドアにぶら下がるほど満員の“只見線”が現れる! ミャンマーを走る日本の車両たち 軍事政権前の光景【後編】
クーデターやコロナ禍より前の2018年3月、私はミャンマーへ、日本からの譲渡車両に会いに行きました。後編では、ヤンゴン環状線の車内や人々の営みを紹介します。運よくキハ40形がやって来たのです。
この記事の目次
・あふれんばかりの客を乗せた“只見線”に驚愕
・ヘロヘロの線路 にぎやかなキハ40形の車内
・軍のクーデターにより再び渡航困難に
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前編を読む
あふれんばかりの客を乗せた“只見線”に驚愕
ヤンゴン中央駅。「久留里線」と表示したキハ38形が去り、今度はキハ11形が到着です。夕焼けになって来た頃、キハ40形を連ねた4両編成が西から到着しました。形式はキハ38形と同じ「RBE.25」。ミャンマー国鉄の形式は、車体形状で分類するわけではないようですね。車体色はJR東日本の東北地域本社色と呼ばれた緑と白のカラーで、只見線で走っていた色です。回送方向幕を掲げたまま、ドアにぶら下がるほど人があふれた状態で走ってきました。
その姿を目の当たりにして、いやこれは凄いなと、またもや感動のシャッターを切ります。ホーム端でひたすら列車を撮る姿は奇異に見られますが、咎められないのは本当で、人々は笑顔を見せていました。すずなりの人を乗せて到着する“只見線”……。このキハ40形の前職は長閑な山間部を走っていただけに、そのギャップに驚いてしまいます。
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Writer: 吉永陽一(写真作家)
1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。