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『奈良旅行記 ~正倉院展、平城宮跡~』AI94さんの日記

AI94のレストランガイド

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AI94 (女性・東京都) 認証済

日記詳細

朝食を朝一の7時にお願いし、ホテル1階のカフェで済ませ、正倉院展が開催されている奈良国立博物館へ向かいます。

到着したのはちょうど開館の8時頃でしたが既に多くの方が入口に並んでいました!
コインロッカーはあるようでしたが場所が離れていたのでそのまま入場することに。

以下印象に残ったものを列記します。

入場してすぐのところに九条刺納樹皮色袈裟が展示され、これは聖武天皇の遺品を大仏に献納した際の目録、国家珍宝帳の筆頭を飾る袈裟で、天皇として初めて出家した聖武天皇の篤い信仰を象徴する至宝。
各色の絹を刺し子縫いで綴じてあり、かなり大きく、全体的に茶色がかっているものの、黄、緑、ペールグリーン等当時の色合いを彷彿とさせます。
様々な色の絹の小片を白糸で刺し子縫いにしてあり、僧が修行の一環としてぼろ切れをつなぎ合わせて1枚の布にして着た「糞掃衣(ふんぞうえ)」に基づいています。

御袈裟幞袷は、聖武天皇遺愛の袈裟を包んでいたもの(風呂敷)。
袈裟が納められていた御袈裟箱は、紙製、麻布、黒漆を重ねて作られたもの。

白牙尺は象牙の物差しで、厚みがあり、一尺、一寸、一分が正確に刻まれています。

犀の角で作られた犀角杯は、褐色に白が入り混じる色調からインド犀の角を用いているそう。

楓蘇芳染螺鈿槽琵琶はペルシャ(イラン)起源とされる四弦の琵琶で、背面と側面に螺鈿装飾、皮製のばち受けがあり、白象の上で奏楽する人々の模様が描かれ、8世紀唐代の絵画の水準を伝える名品。
尺八は指孔が現代のものより1つ多い。
驚いたのは、これら琵琶と尺八の音を録音したものが展示室に繰り返し流されていたこと。共に8世紀のお品ですよ!

腰から下に襴(らん)という薄い裂(きれ)が付いた唐古楽安君子半臂
襟の裏に墨書きがあり、「安君子(安公子?)という楽曲のための衣装だったとのこと。

斑犀把漆鞘黄金葛形珠玉荘刀子は金細工が施された正倉院の中でも大型の刀子。
木簡に書かれた文字を削りきる小刀でもありアクセサリーでもあったそう。

花弁型、やや重い鉛ガラス製、色違いのガラス玉を巻きつけて縞模様にしたもの等、かって東大寺堂内の装飾品として使用された雑色瑠璃

平螺鈿背円鏡は今展の中でも一番観たかった宝物の一つで、背面を螺鈿で豪華に飾ってあり、現存する螺鈿背鏡の中で最大級のものだそう。
大小の花文様はヤコウガイ、赤色の琥珀が填め込まれ、文様の隙間には赤、緑、白のトルコ石を砕いた煌びやかな装飾が施されています。
文様の優美さと装飾の組み合わせの繊細さはもう溜息もので、その場で何時間も観続けていたいくらいでした。
肉眼で見ることが難しい細かい細工もわかるよう拡大写真が壁に掛けられていたのは良かったです。

銀平脱鏡箱は銀の薄板で摂り、草花の文様を表した逸品。
緻密な線刻で、収められていた鏡は見つかっていないそう。

中国から来朝した鑑真によってもたらされた最新の唐代図像を投影した漆金銀絵仏龕扉

葛形裁文金銅帖角金具は銅板に唐草文様をすかし彫りした飾金具で、「く」の字型に折り曲げられており厨子や仏像の台座など八角形の器物の隅を飾ったもの。

仏への捧げものをとりまとめたとみられる碧地金銀絵箱
金泥、銀泥、インコ、草花、蝶が描かれ、裏に書かれた文字から東大寺千手堂(現存せず)に奉納されたと考えられているそう。

密陀彩絵箱は、黒漆地に鮮やかな色使いで花、鳥、雲を描いた後にかわと油を使用して仕上げてある珍しい例。

蘇芳地金銀絵形方几は仏への捧げものを載せた台で、青・赤で彩られた四隅の脚が美しいです。
周囲、側面、脚に繊細な模様があり、華麗な造形、装飾が施されています。

刻彫梧桐金銀絵花形合子は宝相華(ほうそうげ)をかたどった蓋つき容器で、彩色を抑え素朴さを活かしてあります。
底裏に‘戒壇’の墨書銘があり戒壇院に伝来した品で、鑑真ゆかりの地でもあることから本品の制作にも関与した可能性も。

紫檀小架は、基台に紫檀材質、柱前後に上下名一対の象牙製のかぎ型を付けた架け台で、基台天板にアオウミガメの甲羅が貼られています。

僧侶が教えを説く際に持つ仏具である斑犀如意は、犀の角を成形し、石部は宝石をはめた花形金具。

東大寺別当の良弁、称徳天皇に重用された道鏡の署名がある正倉院古文書正集 第七巻

緑と白のうわぐすりで虎の子模様の磁皿

青斑石鼈合子はスッポン型の蓋と花円形の容器で、眼に琥珀が填め込まれ甲羅に逆向きの北斗七星が描かれています。

麻布を3枚継ぎ合せ周囲にひだを作った布天蓋に対応する天蓋は確認されておらず、正倉院には綿、綾(あや)を用いた豪華な天蓋が多く、麻布製は珍しいそう。

錦道場幡は、聖武天皇一周忌齋会の場を飾った幡(はた)で、極めて大型だったことがわかります。
赤地鴛鴦唐草文錦大幡脚端飾は同じく聖武天皇一周忌齋会に用いられた長大な幡脚の下端を飾ったもので、錦、鴛鴦、植物が表現され、幡が風になびいたとき舞い上がり過ぎないよう重しとしたもの。

花文を組み合わせ構成された文様が織り合わされている絹製の白綾帳

行政の基礎となる台帳である正倉院古文書正集 第二十巻
人口の変動を調査するための帳簿、正倉院塵芥文書 第三十二巻
職印の勤務業績、逼迫した財政状態がわかる続修正倉院古文書別集 第一巻
亡き父母のため光明皇后が写経させた一切経のうちの一巻で、約20年かけて6,500~7,000近く書経された度諸仏境界智光厳経


至極の品々が散りばめられた素晴らしい展示でした!
学生時代に学んだ歴史上の人物が実際に使用し、目にした品々、貴重な文書等を1,200年を超えた今もなお当時の状態に近い形で観ることができたのは感動物としか言いようがありません。
中国、朝鮮を経てもたらされた優れた技術、仏教、文化への当時の人々の篤い想いが伝わって来て、こちらも胸が熱くなりました。


【正倉院展あれこれ】

正倉院はもと東大寺の正倉で奈良時代の741年から750年ごろにかけて建立された校倉造りの建築で、北倉、中倉、南倉の3部屋に分かれている(北倉、南倉は校倉造り、中倉のみ板倉造り、寄棟本瓦葺き、高床式)。
本来「正倉」とは穀物などを収納する倉をいうが、東大寺の正倉院には奈良時代より宝物が納められ天皇の封(勅封)や東大寺の管理のもと開閉は厳しく制限された。

正倉院宝物とは、①756年以降5回にわたり光明皇后によって東大寺の大仏に献納された聖武天皇の遺愛品、②東大寺での法要にまつわる品々(752年大仏開眼会含む、供養具、伎楽の装束や楽器類、後続や貴族からの件納品)、③造東大寺司(東大寺の造営に当たった期間)に関連する品々(加工材料、工具、作業者の衣服、写経所で業務遂行のために作成された文書)から成る。
出土したものではないため保存状態がすこぶる良いのが特徴。

宝物の件数は約9,000件で、うち95%は奈良時代の日本で作成されたと考えられているが、中国・唐、朝鮮半島・新羅、ササン朝ペルシャ、東南アジアからの品も見ることができる。

正倉院では毎年秋に勅封が解かれ宝物の点検が行われる。
出陳宝物の選定は宝物の全体像が分かるように配慮しつつ、最新の研究成果を反映した品や話題性のある品が選ばれている。
正倉院展は昭和21年に第1回が奈良帝室博物館で開催され、その後東京で行われた3回(昭和24年、34年、56年)を除き、毎年奈良で開催されている。


正倉院展の後同じ敷地内にあるなら仏像館を見学(正倉院展のチケットで見学可能。前回じっくり観たので今回はささっと)。
入口ホールに金峯山寺仁王門の修理完成までの期間展示されている金剛力士立像が凛々しく立っていました。

すべて見終わって外に出ると12時も回っていて、屋外休憩所では特別弁当の販売も行っていました(正倉院展開催中の約2週間どれほど多くの人が訪れるのか想像に余りありますね)。

午後は近鉄奈良駅近くから出ているぐるっとバス 大宮通りルートで平城京跡(正式には‘平城京跡歴史公園’)へ(10月末~11月中旬は土日祝ダイヤで毎時4本、運賃100円なのはありがたいです!)。
朱雀門ひろばで下車し、復原遣唐使船を左に見過ごし、天平つどい館のインフォメーションで地図をいただき情報入手。
巨大だと思っていたものの、予想以上の広さでどうなることやら・・・。

まず平城京のすべてが効率よく展示されているという平城京いざない館へ。
新しい建物内には平城京の歴史、あらまし、当時の様子、出土品等がわかりやすく展示され、近隣からと思われる子供たちや学生が訪れていました。

綺麗な朱塗りの朱雀門を通り向け、近鉄奈良線の踏切を渡ると広大な敷地の向こうに大極門が見えてきます。
踏切付近にはススキ?の穂が風になびき秋らしい光景が広がっていました。
大極門隣りのデッキから平城京を見渡すと、道がまっすぐ通っていることを確認することができました。

さらに北方向へ進むと第一次大極殿が建っていて、内部を見学後、遺構展示館へ。
一般道に出て東方向に説明された通りに歩いて行ったのですがそれらしい建物もサインもなかなか確認できず(ガードレールもなく車がかなりの速度で行き過ぎる。。。)、運良くこちらに歩いてきた人に訊いて行きつけました。(ホッ)
遺構展示館では、発掘調査で検出された遺構そのものや建物模型が展示されていてとても興味深かったです。

園内を斜めに歩き(方向感覚無くすほど広い。。。!)元来た踏切、朱雀門と戻って天平みはらし館へ。
館内のVRシアターで上映されていた映像3本の内2本弱を鑑賞。
アニメと実写版があり共に奈良時代の天皇家や遣唐使にまつわる内容でとてもわかりやすく、楽しく鑑賞できました(時間さえ許せば3本全て観たかったです)。
平城京いざない館もそうでしたが、こういう形だと子供たちも気軽に歴史に触れることができて良いですね(入館料無料でもあり、個人的にもっと多くの人に訪れていただきたい場所です)。

朱雀門ひろば前からの最終のぐるっとバス16.52に乗って近鉄奈良駅へ戻りました。

もう少し時間があればインフォメーションで教えていただいた東院庭園や遣唐使船を見たり、それぞれの施設をゆっくり回れたと思いますがいやはや時間切れ。。。
それでも訪れてみたかった場所に来ることができ、且つ早歩きすると汗ばむくらいの好天に恵まれて言うことなしです!

明日は今まで行ったことのない場所への挑戦が待っています・・・。
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