エボラ熱、米で初の感染者 西アフリカから入国の成人
【ワシントン=川合智之】米疾病対策センター(CDC)は9月30日、エボラ出血熱の感染者が米国内で初めて見つかったと発表した。感染者は西アフリカのリベリアから米国に入国した成人の男性という。米国ではこれまでリベリアで感染した支援関係者4人が帰国して治療を受けていた。西アフリカ以外の第三国で感染が広がる恐れもある。
CDCによると、患者の男性はリベリアを19日に出国し、20日に米国に到着した。その数日後に症状が出たため、28日からテキサス州ダラスの病院で隔離されているという。CDCは患者を別の治療施設に移送する必要があるかどうか判断する。米メディアは患者が医療関係者ではないと伝えている。
患者は現地でエボラウイルスに感染し、潜伏期間中に親族を訪ねて米国に入国したという。エボラ熱の感染地域は西アフリカのリベリア、ギニア、シエラレオネが中心。潜伏期間は2~21日で、通常は1週間ほどで発熱や頭痛、下痢などの症状が出る。有効な治療法はなく、致死率は最大で90%。患者の体液などに触れると感染するが、空気感染はしない。CDCのフリーデン所長は航空機で患者と乗り合わせた乗員・乗客が感染する可能性は「ゼロだ」と断言した。
世界保健機関(WHO)によると、9月23日時点の死者は3091人、感染者数は疑いのある人も含め6574人に上る。未受診者が多数いるとみられ、CDCは来年1月に感染者が140万人に達する可能性があるとの試算を公表している。