フィリピンのマルコス元大統領、英雄墓地に埋葬へ
【マニラ=遠藤淳】フィリピンの最高裁は8日、長年独裁政権を敷いたマルコス元大統領の遺体を国立英雄墓地に埋葬することを認める決定を下した。英雄墓地への埋葬はドゥテルテ大統領が方針を打ち出し、反対派が差し止めを求めて提訴するなど、国を二分する議論となっていた。
マルコス氏は1965年に大統領に就任。政情不安を理由に戒厳令を布告し、新憲法を制定して強権体制を築いた。反政府活動に携わった多くの人が行方不明になったとされる。86年の「ピープルパワー革命」で米国に亡命し89年に死去した。遺体は防腐処理され、保存されている。近く英雄墓地に移される見通し。
弾圧された人々らが英雄墓地への埋葬に反対して抗議活動を展開する一方、マルコス氏の出身地のルソン島北部などでは根強い人気を誇り、埋葬を支持する人も多かった。ドゥテルテ氏は父親がマルコス政権で閣僚を一時務めるなどマルコス一族と親しくしている。