昨年来,代々木公園周辺など国内での感染事例が発生したデング熱。もちろん日本だけの問題ではなく,世界保健機関によると世界人口の約半数が感染の危険にさらされている。ワクチンも治療法もないこの病気を抑える方法はウイルスを媒介するネッタイシマカの駆除しかないとされてきたが,新たな可能性が開けてきた。ボルバキアという自然界によく見られる細菌を使ってデング熱と闘うプロジェクトが進んでいる。この共生細菌はデングウイルスを媒介する蚊の体内でウイルスの複製を阻止する。実験室でネッタイシマカにボルバキアを感染させて野に放ち,野生の蚊にボルバキアを広めてデング熱を媒介できなくする作戦だ。
著者
Scott O’Neill
オーストラリアにあるモナシュ大学の理学部長で,ボルバキアに関する国際共同研究「デング熱撲滅プログラム」のリーダー。
原題名
The Dengue Stopper(SCIENTIFIC AMERICAN June 2015)
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デング熱/ボルバキア/ネッタイシマカ/デング熱撲滅プログラム