中国神話(ちゅうごくしんわ)とは、中国に伝わる神話である。主に漢民族に伝わるものを指すが、広義には中国に住む少数民族の伝説や中国人が神にしようとした人間・概念の話も含まれる。 伝説や歴史や宗教の集合体で、口伝、寓話、儀式、舞踏、戯曲、書物などの形で残されている。古国時代(伝説時代)とも呼ばれる夏朝以前の歴史の一部を伝えるものでもある。主に伝わっているのは、黄河の下流域にある黄河文明・中原の歴史と神話であるが、黄河文明以外の中国文明である長江文明、遼河文明、少数民族などにも異なる神話が残っており、狩猟地域では狩猟の神、農耕地域では農耕の神が祀られ、神話によっては狩猟生活から農耕へ移行したことを伝えるものもあるなど文化ごとの歴史的特色がみられる。 中国文化学者の伊藤清司は「神話の不毛な国」と述べている。紙を発明して歴史や政治の記録資料が豊富な中国で神話の資料や遺産が少ないのは極めて不思議なことだが、当時の知識人の熱量が神話より当時の政治・戦争情勢などの問題を解決する方に向いていたことによるとしている。とは言っても、古典資料としては、『山海経』、『水経注』、『書経』、『』、『史記』、『礼記』、『楚辞』、『呂氏春秋』、『国語』、『春秋左氏伝』、『淮南子』などで体系的ではないにしろ、漢民族の神話を見ることができる。