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2012/07/12

マレーシア首相とVisit JapanのFacebookページの類似点

Marketing-Interactive.comの7月6日に、「Japan Picks Digital Lead For Tourism Push」という記事があった。

出典:Marketing-Interactive.com / Japan Picks Digital Lead For Tourism Push

それによると、6月にコンペが行われて博報堂が8月から観光庁の公式Webサイト、Facebookページ、オンライン広告などを担当するようだ。博報堂によるとページに対する「いいね!」は昨年倍増したそうだ。

どんなFacebookページかと言うと下のようになっている。
さて、ここで見てもらいたいFacebookページがある。
これはマレーシアの首相、Najib Razak氏の公式Facebookページだ。

昨年7月、この首相のFacebookページに噛みついていたKent Ong というマーケティングコンサルタントがいる。「A Letter to Datuk Seri Najib on Social Media Marketing」という公開書簡を自身のBlogで公開していた。

出典:Human Website / A Letter to Datuk Seri Najib on Social Media Marketing

何に噛みついていたかと言うと、それは首相のFacebookページに対するファン・ユーザの投稿、ページ投稿に対するファン・ユーザのコメントに対してまったくレスポンスが見られないことだ。

まず初めに、首相にソーシャルメディアマーケティングの基本を知ってもらいたいと始めて、
ソーシャルメディアマーケティングの基本は、コミュニケートすること、エンゲージすることなんだ!
今は会話の時代であり、ブロードキャスティング時代ではないのだから、マレーシア国民はあなたと話し合いたいんだ。
あなたはFacebookのようなソーシャルネットワーキングサイトで国民を無視している。あなたと国民の間にエンゲージメントは全くない。
忙しすぎて時間がないのならFacebookは止めた方がいい。無意味だ。
とこき下ろしている。

全くその通りと一年遅れの拍手を送るしかない。現在、100万人以上のファンを集めている首相のページだが、オバマ大統領・鳩山首相(当時)など諸外国首脳との会談、国際会議出席、外遊実績などが強調されている。しかし、投稿やコメントに対してレスポンスは見えない。彼の言うとおり、ブロードキャスティング=メガフォンマーケティングをしているだけだ。

そこで再度、Visit Japan InternationalのFacebookページをよく見てみると、まず、ファン・ユーザが自由にウォールに投稿できない。
ハイライトをクリックしても、普通なら表示される「他のユーザーの投稿」が表示されない。そう、ファンやユーザが自由にウォールに投稿することはできないのだ。ユーザとのコミュニケーションやエンゲージメントを積極的に受け入れる門戸は閉じられている。

次にページ投稿に対するコメントだが、コメントすべてをチェックしたわけではないが、Visit Japan Internationalからのレスポンスがまったくないように見える。「いいね!」の数より、コメントやシェアを増やすためにもユーザコメントにきちんと対応しなければならないのだが、そういう体制はなく、対応されていないようだ。

Kent Ong に言わせれば、「マレーシア首相のFacebookページよりも対応レベルは低い」としか評価されそうにないのがVisit Japan Internationalのページのようだ。


もうひとつ、Kent Ong が噛みついてる点がある。それはTourism MalaysiaがFacebookのみをコミュニケーションチャネルとしていて、LinkedInを使っていない点だ。彼に言わせれば、
LinkedInに参加しているユーザの多くは決定権者だ。CEO、取締役、ゼネラルマネージャ、人事マネージャ、オーナー達だ。
Tourism Malaysiaは、Cuti-Cuti Malaysia(Visit Japanと同様のキャンペーン)グループをLinkedInに持つべきだ。 そこで、これら決定権者とコミュニケートし、エンゲージすべきだ。
Tourism Malaysiaは、Cuti-Cuti Malaysiaを取上げている人々、マレーシアへの旅行について話している人々を探し、彼らの声を聞き、その中に参加しなければならない。フォーラム、ブログ、Facebook以外のソーシャルネットワーキングサイトでもソリューションを提供しなければならない。
Facebookページをオープンして、ただカスタマーを待つだけというのは止めろ。ソーシャルメディアは彼ら(顧客、旅行者)のためのものであり、Tourism Malaysiaのためのものではないんだ。
これもまったくその通りと拍手を送るしかない。

どこの国でもレガシーメディアを長年使ってきた経験のあるユーザは誤解し続けている。数の論理がどこまでも通用する時代ではなく、ネガ・ポジであれ、清濁併せてモニターし、対応しなければならない時代に入っていることを理解していない。

理解した上で、ステークホルダーに一番近いスペースに参加し、声を聞き、会話しなければならない。参加もせず、聞きもせず、会話しないのであれば、それは自身に対するネガティブキャンペーンにしかならない。

願わくばマインドセットを転換し、Kent Ong の叫びがマレーシア首相やTourism Malaysiaだけではなく、日本のVisit Japan Internationalや博報堂にも伝わることを祈るのみだ。

2012/07/11

オーディエンス、ステークホルダーが出てくる米海軍のソーシャルメディアハンドブック

2010年10月に米海軍のソーシャルメディアハンドブックが公開されている。
海軍少将で広報部長を務めるDennis J. Moynihanが、「Open Letter from the Chief of Information」として巻頭に一文を寄せている。
今は、海軍のリーダーになるために、エキサイティングでダイナミック、そしてチャレンジしなければならない時だ。直面する無数の課題の中に、この2~3年の間に劇的に変化したコミュニケーションの仕組みそのものがある。ソーシャルメディア・プラットフォームとテクノロジーが急激に成長し、コミュニケーション環境をフラット化し、民主化して、我々自身はそれをようやく理解し始めている。
効果的なコミュニケーションは、常にユニットとミッションの成功に貢献してきた。今日の多接続環境で、オーディエンスと会話し、エンゲージすることは不可欠だ。最近起きたミリントンでの洪水時、基地司令官と彼のスタッフは、被害状況や対応を探るアプローチの一環としてソーシャルメディアを効果的に使い、洪水対応を成功裏に導いた。ハイチにおいても、統合作戦時、参加部隊司令官は部隊及び隊員とのコミュニケーションにソーシャルメディアを利用した。
ソーシャルメディアは、我々がリーチしたいと考えるステークホルダー、以前であれば困難であったステークホルダーを含めて、関連し、調整され、特化した情報を伝達する効果的なチャネルだ。電話、Fax、email、Webサイトなど、他の通信技術の出現と同じように、我々はこれらツールを安全、効果的に利用するよう注意を払わなければならないし、隊員やその家族も同じように教育しなければならない。
一般企業と変わることなく、オーディエンスとかステークホルダー、リーチといった文字が顔を出すことに驚く。

日本でもソーシャルメディアハンドブックを社員に配布している企業は多い。ボヤ騒ぎや炎上を防止するための「べからず集」になる部分を否定するつもりはないが、ソーシャルメディアツールを使ってリーチする、アプローチするオーディエンスやステークホルダーに対する記述、説明がどこまでされているのかに非常に興味がある。

米海軍は、「コミュニケーション環境をフラット化し、民主化して、我々自身はそれをようやく理解し始めている」と書いているように、以前からの一方的なコミュニケーションではなく、オープン、対等、双方向のコミュニケーションプラットフォームへ変異したことを理解している。

それが国や人種を越えた普遍的な変異だとすると、広報・マーケティング・営業がソーシャルメディアを使うためには、以前とは真逆のコミュニケーションを行わなければならない。単にソーシャルメディアを使って以前同様の広報や販促を行うことはソーシャルメディアを活用することにはならない。

だからこそ、社員に持たせるソーシャルメディアハンドブックに興味がある。

そして、この普遍的な変異を前提に書かれたハンドブックがどれほど日本にあるのかにも興味がある。

2012/07/05

やはり日本のミュージアムはガラミューか?

世界のミュージアムのうちすでにモバイル対応しているのはどれぐらいいるのか?今後2年間で何をやろうと検討しているのか?

そんなデータを教えてくれる調査レポートが上っている。

それにしても、日本のミュージアムは世界の潮流から大きく引き離されていると思わざるを得ない。これは、日本の企業・団体・グループ・ユーザすべてにも言えることかもしれない。
出典:マサダ ミュージアムとモバイルサービス

2012/07/03

インドネシアのTwitter、Facebook事情

約2億4000万人の人口を抱えるインドネシアのインターネットユーザ数は2011年に8,474万人、2012年には1億人を越え、2015年には1.6億人に伸びると予想されている。
そのインドネシアは、Twitterユーザ数で世界5位(約2,000万人)。
なお、WebベースのTwitter利用は12%にとどまり、モバイルが87%を占めている。それも当然だろう、2010年で2.2億台、普及率は91.7%にも達しているのだから。特に2009年から2010年にかけての急増がただものではない。6,000万台、24%ポイントも増加している。この急増がモバイルベースのTwitter利用に拍車をかけたようだ。
Facebookユーザ数でも世界4位(約4,380万人)につけている。
このボリュームはキャリアのひとつが5,000ルピアでSMSを経由してFacebook使い放題というサービスを開始したことも一因だろう。

そして、インドネシアで最もFacebookファンを抱えているのは、民放TV局RCTIのDahsyatという番組だ。
2月にAKB48がインドネシアでコンサートをやった時、その予告をしていたDahsyatのファン数は650万人を超えている。トップ5はTV局・番組、セレブが占めている。以降を見てもECサイト、メディア、ミュージックバンド、スポーツクラブなど、消費者・生活者・利用者・ファンたちと向き合っている企業・団体・グループのページが並んでいる。
なお、インドネシアのFacebookはSNSとしてではなく、主にメッセージサービスとして使われているとよく聞くが、Dahsyatの投稿に対して数千のLikeや、千以上のコメントが付いているのを見ると変わってきたように思える。

さて、日本語のFacebookページを見ると、FacebookJapanの460万人、パーゴルフの350万人、FacebookNaviの307万人、SatisfactionGuaranteedの216万人、FacebookMarketingの168万人が上位5ページ。それ以降、ヒットコンサルティングの144万人、BadLandの94万人、ユニクロの83万人、無印良品の78万人、サッカー日本代表の76万人、AUの73万人、神様予報!の73万人、ANAの72万人といったページが続いている。

ま、B2CとB2Bページが混在しているのが日本、B2Cページが中心になっているのがインドネシアのFacebookページだと言えないこともない。また、マーケティング関連ページは上位にひとつもないのがインドネシアだとも言える。

とにかく、消費者・生活者・利用者・ファンたちとのコミュニケーションチャネルとしてFacebookが機能しているのは間違いない。この意味でインドネシアは日本よりも数段進んだB2Cコミュニケーションが行われているように見える。

日本国内市場の先行きに暗雲が垂れこめる現在、中国やアジア諸国に製造拠点、販路を求める企業が後を絶たない。例えば、日本より一歩も二歩も進んだソーシャルメディアコミュニケーションが行われているインドネシアという市場を検討する場合、こういったTwitterやFacebookの現状把握、現地及び日本本社からのソーシャルメディアマーケティング戦略もお忘れにならないようお薦めする。