突然ですが本日、僕は自宅の押し入れにて古いアルバムを見つけました。
幼少期の僕
アルバムには、幼少期の頃の僕の写真がズラリ。
今となってはすっかり成長し、引っ込み思案な爆弾魔のような顔になってしまった僕ですが、
しかし、そんな僕にも天使のように可愛い時期があったのです。
0歳7ヶ月時
特に、この0歳の時の僕なんてのは非常にキュートですよね。
だって見てくださいよこの汚れのない純粋な笑顔! ちょこんと椅子に座っちゃってとてもラブリーですよね!
こんな可愛い子供が産まれたら、僕がたとえライオンでも我が子を崖に落としたりなんかできません。
きっと一日中可愛がり、顔中をキスマークでいっぱいにしてしまうと思います。
天使
俺 「可愛過ぎる・・・この可愛さは法で取り締まるべき。」
俺 「・・・キスしとこ。」
そのあまりの可愛さに、僕が写真にキスをしようとしたその時!
突然写真が強い光を放ったのです。
ピカァ!
俺 「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
!?
俺 「!!?」
突然の閃光を受けた僕がゆっくりと目を開くと、先程まで見ていた写真から僕が消えてしまっていました。
驚いた僕が辺りを見回すと・・・
!!?
「おう。」
なんか、写真から飛び出ていたのです。
〜〜〜〜〜〜〜
幼 「・・・たまらんわ〜、いくら自分自信ゆうてもな、急にキスなんてされたらたまりまへんわ。」
俺 「すいません。」
幼 「そら写真からも飛び出るわ。飛び出すのは母ちゃんの乳だけでええねん。って何言わすねんボケ(笑)」
俺 「・・・・」
なにこいつ。全然可愛くない。うんこに命が宿ったクソ人間みたいな性格してる。
そんでもって何で関西弁なんだよ。お前、江戸川区で生まれてんだろ。
そして幼い自分自身に説教されること1時間。そろそろ我慢も限界に達してきた頃に、幼き僕はこう言いました。
幼 「・・・ほな、案内してもらおか。」
俺 「えっ?」
幼 「『えっ?』やあらへんがな。公園を案内しろや言うてんねん。」
俺 「は?」
・・・幼き頃の僕の言い分はこうです。
現在0歳の自分は正直な話、いつかするであろう『公園デビュー』が不安でたまらない。
公園デビューは人生のスタートラインであるため、失敗は許されないからである。
そこで今回、自分の写真にキスをしようとしたお詫びとして、これから貴様に近所の公園を案内させたいと思う。
そう、公園デビューの予習をするためだ。
そして公園の知識を学んだ自分はやがて公園デビューを成功させ、いつか世界を制する石油王になるだろう。
安心しろ。公園デビューさえ成功すれば貴様の未来は明るい。
・・・
・・・だそうです。何言ってんの?
0歳7カ月にして狂ってやがります。僕の母の母乳には何か変な成分でも入っているのでしょうか。
幼 「嫌とはいわせへんで。」
・・・どうやら、言う事を聞かないと奴は写真に戻ってくれそうにもありません。
と、いうことで、僕は渋々その頼みを了承し、幼き自分を連れて近所の公園へ行く事となりました。
確かによく考えたら、過去の自分の能力を伸ばせば、未来の僕にも良い影響があるはずですからね。
言わば、過去の自分への自己投資です。なんと新しい投資方法でしょうか。
〜〜〜〜〜〜〜
と、いうことで、幼き自分と共に公園へやってきました。
ここは一丁、華麗に公園を案内し、そして彼の公園デビューを成功させてやりましょう。
俺 「これが公園です。」
幼 「これが公園なん!? これが公園なんか!!!!!!?」
俺 「そうです。」
幼 「ギョボオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」
初めて見る公園に、幼き自分は大興奮。聞いたことのない悲鳴をあげながら遊具などを見て回ります。
幼 「なんやこれ!? こないな凶悪動物が公園にいてもええんか!?」
俺 「これは、この上に乗ってユラユラする遊具ですよ。乗ってみてください。」
幼 「こ、こうかいな?」
ああ、椅子のまま乗るんスか。
俺 「どうですか? こっちから見ると世紀末の覇者みたいな感じになってますよ。」
幼 「こらええわ!!!! フォイフォイフォイフォイ!!!!」
とても気に入っていました。何が楽しいんでしょうね。
さあ、次々行きましょう。
幼 「これは何て遊具なんや!? これも揺らすんか!?」
俺 「これはトーテムポールですよ。遊具じゃありません。」
幼 「ほな何で、遊具でもないもんが公園にあるんやろか?」
俺 「そう言われれば・・・。あ、記念写真でも撮るためですかね?」
幼 「そうなん? ほんなら早速撮りまひょ。」
記念写真
撮りました。
なんか、戦場に次なる刺客を送り込むラスボスみたいな感じになりましたが大丈夫でしょうか。
「ほう、ソドムがやられましたか。・・・出て来なさいガモンダさん、出番ですよ。」とか言いそうですよね。
0歳にしてラスボスの貫録を持っているとは・・・将来有望ですね。僕ですけど。
さあ、記念写真も済ませたところで、次は砂場にでも行きましょうか。
砂場
砂場に来ました。
幼 「何なん!? 何なん、この一面の砂は!!!?」
俺 「ここは砂場です。この砂で遊ぶんですよ。」
幼 「砂で遊ぶ!? 無茶言いはりますわ。」
俺 「とりあえず、椅子から降りてみてはいかがですか?」
幼 「せやな。何事も体験やさかい・・・ってああっ!!」
俺 「あぶない!!!」
幼 「これ、どうなっとるん?」
俺 「なんか、新種の野菜みたいになってます。」
幼 「アホか! はよ助けんかい!!」
俺 「いっけね!」
・・・このようなアクシデントもありましたが、僕等はだんだんと打ち解け合えるようになってきていました。
やはり同一人物だからなのでしょうか。彼とは気が合いそうです。
ということで、その後も僕等は公園で楽しく遊びました。
キャッキャ
ブランコで遊んだり、
キャッキャ
お花畑で遊んだり、
キャッキャ
マナーについて学んだりもしました。
滑り台
そしてその中でも、幼き頃の僕がハマっていたのが滑り台でした。
幼 「これは何なん?」
俺 「これは滑り台。上から下に滑る遊具です。」
幼 「滑るだけ? なんやそれ。・・・そないなことして楽しい訳無いやんか。」
ヒャッホォオオオオオオオ!!!!
オラアアアァアアアアアアアア!!!!
ッベ
ギョギョギョギョギョ!!!!
ヒャッホォオオオオオオオ!!!!
オラアアアァアアアアアアアア!!!!!
ッベ
ギョッギョッギョギョギョ
見ての通り、とても楽しそうでした。
そして、子供というのは一度ハマる物を見つけると、延々とやり続けてしまうもの。
0歳7カ月で下手な関西弁を話し、二足歩行までこなす幼き頃の僕もそれは例外ではなかったようです。
そんな幼き頃の僕は、日が暮れるまで何度も何度も滑り台を滑り続けました。
それはもう、工場生産されているように滑っていました。
〜そして夕方〜
日も落ちてきて暗くなってまいりました。夜になると寒くなるのでそろそろ帰ることにしましょう。
俺 「あのー、ちょっと来てください。」
幼 「何やねん。別の遊具のとこに行くんか?」
俺 「いえ、もう帰りましょう。」
幼 「嫌や。」
即答でした。
しかし、「家に帰るまでが遠足」という言葉があるように、公園デビューも家に帰るまでが大切です。
幼き自分のためにも、僕は心を鬼にして説得します。
俺 「夜になると暗くなる上に寒くなるので、一つも良い事ありませんよ。帰りましょう。」
ぐわあああ
幼 「嫌や!! 嫌や!! 嫌や!! 嫌や!! 嫌やーーーーー!」
俺 「だめです。帰りましょう。立派な公園デビューをしたいのでしょう?」
幼 「そうやけど・・・そうやけど・・・」
俺 「ここでかっこよく帰れば、女の子からモテモテでおっぱい揉み放題だと思いますけどね。」
幼 「とっとと帰ろう。早く。」
聞きわけの良い子で大変助かります。
〜〜〜〜〜〜〜
さあ、家に帰るといよいよお別れの時です。
俺 「今日は公園デビューの予習になりましたか?」
幼 「ほんま助かったわ。おおきに。」
俺 「あ、滑り台にハマり過ぎると、ズボンのケツの部分が破けるから注意してください。」
幼 「なるほど。気ぃつけるわ。」
俺 「それじゃ、さようなら。」
幼 「ほな、さいなら〜。」
そう言うと、幼き頃の僕はアルバムに潜り込みました。
ページの隙間から一瞬だけ光が漏れ、そしてすぐに消えます。
俺 「・・・・・・」
ページを開くと。欠けていた部分は元通りになっていました。
今回、彼と一緒に公園で遊んでわかったことが2つ程あります。
1つ目は、彼ならばきっと、素敵な公園デビューをするということ。
そして2つ目は、僕は彼とは二度と会う事はない、ということです。
・・・しかし、悲しくはありません。
それは何故か。
それは、素敵な思い出が増えたからです。
おわり