Xeon 5600とXeon 7500番台が発表され、各社から続々と搭載のサーバーが発表された。先んじて技術をアピールしたIBM、Itaniumから乗り換えた富士通、オープン化戦略を突き詰めたデルなどを中心に、まずは前半戦の動向を見ていこう。
サーバー向け新Xeon登場のインパクト
3月、サーバー・ワークステーション向けのXeon 5600番台、そして7500番台が立て続けに発表された。Xeon 5600番台では最大6コア、Xeon 7500番台では最大8コアに対応し、パフォーマンスは飛躍的に向上した。特にインテルが「史上最大」を謳うXeon 7500番台は、2005年のサーバーであれば20台分に相当する能力を持つほか、信頼性向上機能を大幅に強化。メモリ容量の向上や消費電力の削減も図られ、まさにハイエンドサーバーの世界を大きく変える存在に躍り出た。
プロセッサーの詳細は各記事をご覧いただくとして、注目したいのは、「メモリ」と「クラウド向けサーバー」、そして「Itanium」という3つのキーワードである。
搭載メモリに関してはIBMに軍配
最初のキーワードのメモリに関しては、やはりCPUの進化と搭載メモリの量に大きなギャップが現れてきたという課題がベースになっている。サーバーの仮想化が一般的になっている現在、CPUがいくら速くても、搭載メモリが少ないと、サーバーとしての利用価値は落ちてしまうというわけだ。IBMによると、2000年からのプロセッサーの進化が57.5倍なのに対して、搭載可能なメモリ容量は32倍にとどまる。このギャップが仮想化の普及に歯止めをかけている一因だという。
こうした問題点を軸に発表された新サーバーだけに、3TBのメモリを搭載できるeX5のサーバーは、さすがIBMと呼べるかなり強烈な個性を持っている。なんといってもNehalem-EXのインターコネクトであるQPIを外付けのメモリ装置に直結しまうのだ。こんな荒技を目の前にすると、正直いって他社のIAサーバーはかすむ。Xeon 7500番台を搭載するサーバーでは、512GB程度のメモリ容量が限界だからだ。
とはいえ、実は大容量メモリに関しては、昨年発表されたシスコのUCSのほうがいち早く実装していた。UCSのサーバーでは専用ASICの搭載により、2ソケットサーバーでありながら、従来の2倍にあたる384GBのメモリを搭載することが可能になっていた。専業のサーバーメーカーより先にこうした技術をいち早く搭載できるシスコは、やはりサーバー市場のプレイヤーとして侮れない存在。そんな同社も先日第2世代のUCSを発表し、処理能力に磨きをかけている。
クラウド向けサーバーの定義とは?
次のキーワードは、やはりクラウド向けサーバーであろう。具体的にいえば、サーバーをクラスタ化し、演算能力を高めた巨大計算機としてのサーバーである。各サーバーは大型コンピュータを構成するノードとして扱われ、スケールアウトにより、拡張性と信頼性を確保するわけだ。具体的には、富士通の「PRIMERGY CX1000」とデルの「PowerEdge Cシリーズ」を指す。前述のCisco UCSも、このジャンルに入るかもしれない。
当初はクラウド向けサーバーと聞いて、また流行言葉に載ったのかと思ったが、製品の内容を見たり、担当者の話を聞くと、こうしたジャンルはありかなと思った。私も過去にいくつかのデータセンターに取材に行ったが、さくらインターネットをはじめ、メーカー製のサーバーは実は思いのほか多くない。各社ともホワイトボックスのサーバーを大量に導入していたりする。事業者の方に話を聞くと、用途とコストで見合う製品がないとのことだ。
一方で、フルカスタマイズのサーバーを製造するDell DCSでの経験をCシリーズの担当者に聞くと、やはりクラウド事業者でのサーバーのニーズは、一般企業とかなり違うことがわかる。こうした意味で、クラウド向けを謳うサーバーは今後も続々投入されていくことになるだろう。
そしてItaniumの行方は?
最後にItaniumの行方を取り上げないわけにはいかないだろう。ご存じのとおり、Itaniumはx86と異なるIA-64アーキテクチャのCPUで、2月にTukwilaというコード名で知られていたクアッドコアの「Itanium 9300」が発表されたばかりだ。
しかし、3月31日に発表された富士通の基幹系のハイエンドIAサーバーである「PRIMEQUEST 1000」では、採用CPUをItaniumからXeon 7500に移行。発表会でも、今後Itanium採用の製品の予定がないことが明言された。さらに、マイクロソフトもItaniumのサポート打ち切りを表明。Windows Server 2008 R2がItaniumをサポートする最後のバージョンとなる。
両者がItanium対応から手を引いた理由は、もちろんXeon 7500の登場がある。パフォーマンスやコア数に焦点の当たりがちなXeon 7500だが、今までItaniumがリードしてきたRAS(Reliability:信頼性、Availability:可用性、Serviceability:保守性)の分野で十分な機能を兼ね備えてきた。このことが、ハイエンドコンピュータ分野でのItaniumの優位性を失わせたわけだ。ということで、ほとんどのサーバーベンダーが「ジーク!Xeon!」な状態で、ItaniumはメインフレームやUNIXサーバーなど、かなり限定的な分野の採用のみにとどまってしまった。今後、どうなるのか注目したいところだ。
以上、新Xeonサーバーの前半戦について概観してきた。今後、製品投入が予想されるHPやNECの新製品についても、こうしたキーワードを軸に見てみると、面白いだろう。
初出時、「Nehalem-EXといわれていたXeon 5600とXeon 7500番台が発表され」とありましたが、Nehalem-EXはXeon 7500番台のコード名で、Xeon 5600番台のコード名は「Westmere-EP」でした。お詫びして、修正します。本文は修正済みです。(2010年4月13日)
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