テニスの聖地に立つマンションは自然とアートが共存
数々のテニスの国際大会が開かれている有明コロシアム。この競技場を内包する有明テニスの森公園は、文字通り、テニスの聖地だ。16万㎡超の広大な園内には23面のハードコート、16面の人工芝コートなどがあり、誰でも気軽に利用できる。
この公園の真向かいに立つのが今回、紹介する「ブリリア有明スカイタワー」だ。33階建てのタワーの総戸数は1089戸。有明のタワーマンションでは屈指の規模といえるだろう。
湾岸エリアのタワーマンションといえばデザインに特色がある物件が多いが、このマンションもしかり。とりわけ目を見張るのは世界的なデザインオフィス「GLAMOROUS」が手がけた共用空間だ。各所に自然をモチーフとしたデザインが施され、アーティストによる作品が点在。このマンションのためにつくられたものも多く、例えば、レセプションホールの書籍を積み重ねたような陶器製ライトスタンドは「GLAMOROUS」の代表、森田恭通氏自身がデザインしたという。眺めてまわると、ミュージアムにいるようなワクワクした気分になる。
もう一つの特色は緑の豊かさだ。約1万8000㎡に及ぶ敷地は空地率を約60%と広く取っている。足元には芝生の広場があるグランドガーデンや、ハーブを植えたナチュラルガーデンがあり、自然と親しむこともできるのが魅力。
「ガーデンは子どもと遊ぶときに利用しています。広々として気持ちいいですね。あと、このマンションは1階にスーパーが入っていて助かっています。在宅ワークのときも、下に降りれば昼食を調達できます」
こう話すのは管理組合の理事で、イベント・共用施設・広報の役割を担った委員会を担当する渡邊敬太さんだ。
渡邊さんが入居したのは2年前。子どもの誕生を機に、湾岸エリアのマンションを探すなか、初めて降り立った有明に魅了されて購入を決めたという。
「有明は公園が多く、道もごちゃごちゃしていないから住みやすそうと感じました。有明だけで3〜4件のマンションを見学しましたが、このマンションはキッズルームなど共用施設が整っていて、各フロアでゴミ出しができるところも気に入りました」
バーテンダーのいる最上階のバーが住人交流を活性化
豊富な共用施設のなかでも、渡邊さんのお気に入りは33階にあるオールデイラウンジだという。ライブラリーをテーマにした空間にはテーブル席のほかにソファ席などもあり、平日の日中はワークスペースとしても活用されている。
そんな明るく開放的なラウンジは夜になると、雰囲気が一変。都心の夜景が映えるバーカウンターの前にバーテンダーが立ち、流麗な手さばきでビールやウイスキー、カクテルなどをサーブしてくれる。マンションに本格的なバーがあるなんてびっくりだ。
「仕事の後、ここに来てお酒を飲むのが楽しみなんです。週3〜4回は通っていますね。家まで3分だから帰りの足を気にしなくていいし、カウンターで隣り合った人と話が弾むこともよくあり、マンション内に知り合いが増えました」(渡邊さん)
聞けば、こちらのバーはフードメニューも評判で、焼きたてのピザや熱々のパスタでお腹を満たすこともできる。土日はランチ営業もしているので、食事を楽しむ家族の姿も多いそうだ。
個性的な共用施設はほかにもいろいろ。例えば、2階にあるのはホテルライクなプールとジムだ。同じく2階には大型のソファを置いたレセプションホールや、モダンなインテリアのガーデンラウンジ、さらにグランドガーデンを一望できるプライベートテラスもあり、どこでくつろぐか迷いそうだ。
一方、オールデイラウンジと同じ最上階にはバンケットラウンジやゲストルームのオーナーズスイートなどがあり、まさしくラグジュアリー。屋上のスカイテラスも開放されて、都心の絶景を満喫できる。
屋上を使った納涼祭など年間で多数のイベントを開催
管理組合ではこうした共用施設を利用し、数々のイベントを催している。その企画・運営にあたっているのが、渡邊さんが担当するイベント委員会だ。
「正月の餅つき、ハロウィン、クリスマスのほかに、プール教室、ワイン教室、パン教室、マルシェなど、挙げきれないほどのイベントを毎年開いています。バスケットのワールドカップが開かれたときには、オールデイラウンジにプロジェクターを運び込んでお酒を飲みながら観戦するパブリックビューイングを催しました。70人ぐらい集まって盛り上がりましたね。珍しいところではブックオフ出張買取イベントというのもあります。ブックオフの担当者に来てもらい、さまざまなアイテムを対象に買い取りをしてもらうのですが、非常に好評で年3〜4回開いています」
新たな企画も続々と誕生し、昨年9月には屋上のスカイテラスでビアガーデンを含む納涼祭を開催。スーパーボールすくいや射的といった子ども向けのゲームもあり、300人近い参加があったそうだ。
「それまでビアガーデンは2階のガーデンラウンジやテラスで開いていたのですが、屋上は初めて。まだ暑くて大汗をかきながら運営して、冷えたビールが最高でした(笑)」
これらのイベントで担当理事7名とともに活躍するのが、有志の住人たちだ。現在、10名が委員に名を連ね、企画から運営までを担っている。
聞けば、渡邊さんももともとは有志でイベント委員に参加。その縁で翌年、理事にスカウトされたのだとか。
イベントに加え、サークル活動の支援も始まっている。その第1号がランニングサークルだ。
「メンバーは目下30人ほどで、僕も参加しています。定期的に集まってみんなでランニングをするのですが、楽しいですよ。この前はテニスの森公園のランニングコースを使い、10㎞、 5㎞、 3㎞とそれぞれのスキルに合わせた距離で走りました」
居住者からサークルを立ち上げたいという希望があったら、審査をした上で活動支援を増やしていく予定だという。
役員は全員立候補。活気と笑顔が溢れる理事会に
渡邊さんの担当には共用施設委員会もあり、こちらでは共用施設の利用率の向上を担っている。
「キッズルームに置く遊具の選定や、あまり使われていない施設の利用料の見直しなどを行っています。オールデイラウンジのバーについても、全戸アンケートをしたところ料理の種類を増やしてほしいという要望が多かったので、メニューを見直しているところです。また、お子さんが利用できる時間も20時までとしていたのですが、アンケートの声から21時までに延長しました」
もう一つの広報委員はイベント告知と報告が中心。そのために居住者専用のLINE公式アカウントをつくり、現在、約950名の登録があるという。また、イベントの報告はホームページでも行われ、こちらは居住者以外も閲覧可能だ。
委員会はこのほかに、「修繕」と「植栽」がある。例えば、1年前に行われた植栽管理業者の変更は植栽委員会を中心に実施。きめ細かい管理が行われるようになり、芝生の緑が蘇ったそうだ。
「夏の猛暑でほかの建物の植栽はダメージを受けていましたが、うちのマンションは樹木も芝生も無事でした。せっかくハーブガーデンがあるので、摘んで料理をつくるイベントを開こうかという案も出ています」
もちろん、竣工から13年経た現在も共用部の美観が保たれているのは、修繕委員会による適切な補修・改修があってこそ。デザイン性の高いマンションだけに、補修をする際に同じクオリティを維持するのは並大抵のことではないだろう。
さらに、防災については災害協力隊が組織され、理事を中心にその任務を遂行。年2回の防災訓練とともに、防災関係の備品の整備や、防災マニュアルの更新も進められている。
こうしたマンション内の活動に加えて、有明エリアでは7つのタワーマンションによる「有明マンション連合自治会」も組織されている。地域の結束を固めて、より暮らしやすい街にしていこうと立ち上げられた団体だ。
毎年9月には有明まつりが行われ、このマンションでもバーの運営会社に協力してもらいながら屋台を出しているそう。
理事会の活動は多岐にわたり、想像するだけで忙しそうだが、2年任期の改選はほとんどが立候補。特にこの2年間は定員以上の立候補があり、逆に抽選になっているというのである。
「『理事って大変だよね』と言われる風潮をなくし、みんながやりたいと思える理事会にしていきたいと思っています。実際、今の理事会はそれぞれがやりたいことを自由に言える雰囲気があってすごく楽しい。2年じゃ足りないと思うほどです。一緒に楽しめる仲間を増やそうとバーでも勧誘しています(笑)」
活気があり笑顔の溢れる理事会のもと、大規模修繕の準備も着々と進められている。リフレッシュした建物で、このマンションの輝きはさらに増していくことだろう。