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仕事が速い人は “これ” を手で書いている。仕事のスピードと質を上げるメモの技術3選

本記事内で使用したノートを至近距離から撮影した画像

「前に打ち合わせで出た話の内容をもう一度確認したいのだけど、どこにメモしたんだっけ」
「書くのが遅いので、相手が話す速さにメモを書く手が追いつかない」

このような状況に陥りがちで、仕事のスピードが上がらない方はいませんか?

デジタルツールの活用もひとつの手ですが、ちょっとしたポイントを押さえるだけで、手書きですばやくメモをとれて、仕事を速く進められるようになります。そのポイントとはなんでしょうか。

今回の記事では、仕事の速い人になるために、メモにとる際に意識するべきポイントを3つご紹介します。

「日付とタイトル」を書く

前の日のメモの下に続けて、次の日もメモをとる――というように、同じページ内に何日分もメモをすることはよくありますよね。このとき、メモの冒頭に日付とタイトルを書くことが、仕事のスピードアップに効果的です。

「3月7日 新企画の件」のような日付とタイトルであれば、書くのは当然だとお考えの方もいるでしょう。筆者もそのひとり。日付とタイトルを書くことのメリットなど、これまで考えたこともありませんでした。

しかし、専門家の説明に納得。『考える人のメモの技術』(ダイヤモンド社)著者で、コクヨ株式会社ワークスタイルコンサルタントの下地寛也氏は、次のように述べます。

日付とタイトルは見返すときの目印になります。結構面倒で忘れてしまいますが、あとで見返すときに検索性に大きな差が出ます。

(引用元:ダイヤモンド・オンライン|頭がいい人のメモは「箇条書き」。では「1行、何文字」で書く? ※太字は編集部が施した)

ノートにメモをとるだけでは、一面文字だらけのメリハリのないページが続いてしまいます。パラパラと見返して必要な情報を探すのはひと苦労でしょう。一方、日付とタイトルを書いておけば、“あとで見返す” とき、目当ての情報をひとめで見つけられます。日付とタイトルを書くだけなので、インデックスラベルを貼ったり、マーカーを引いたりするよりも簡単に、情報を探しやすくなるのです。

なお、「内容が変わるたびに区切りの線を引」くこともポイントだと下地氏。(カギカッコ内引用元:同上)

実際に書くと、次のようなイメージです。区切り線があるだけで、どこに何を書いたかがいっそう見やすくなりますね。

メモに線・日付・タイトルを挿入した具体例

このように、1本の線でレイアウトを変更するだけで、メモの機能性を高めることができるのです。このひと手間で、「見返すときに肝心のメモが見つからない……」ともたもたしているうち仕事が遅くなってしまうという悩みから解放されるなら、試す価値があるのではないでしょうか。

「箇条書き」で書く

商談相手や上司は、必ずしも手短に話してくれるわけではありません。長くて複雑で、しかも早口で話される内容をメモしなければならない場面も。メモを書く手が追いつかなかったり、全部書ききれなくてあとで困ったりしがちな人は、箇条書きを使って、仕事をスピードアップさせませんか?

これもまた、「当然のテクニックだ」と思ってはいても、ちゃんとできている人ばかりではないでしょう。なぜなら、箇条書きでは短く要点を抜き出す必要があるためです。

前出の下地氏は、身につけるべきメモの方法として「短い一行程度の箇条書き」を挙げます。下地氏が語るそのメリットは、次のとおり。

  • 情報を、素早く迷わず書ける
  • 情報の本質を、しっかりつかめる

(カギカッコ内および枠内引用元:同上)

つまり、箇条書きは “書くスピード” と “内容の理解度” の両方を上げることにつながるのです。

ちなみに下地氏は、どんなサイズのノートであれ、「長くてもノートの1行で収まる」程度が好ましいともアドバイスしています(カギカッコ内引用元:同上)。これなら、基準がわかりやすいので、つい長く書いてしまうのを防げますね。スピーディにメモをとれそうです。

以上をふまえて、筆者も「メンタルヘルス」をテーマに、実際にメモしてみました。

メンタルヘルスをテーマに箇条書きでメモをとった例

左側のノートが、スピードを重視し箇条書きでとったメモ。十分な余白を設けたことがポイントです。

そして右側のノートは、箇条書きのメモに補足情報と気づきを書き足したもの。下地氏が、メモをとるときは「3割くらいの余白をつく」り、「あとから気づいたことを書き足せる」ようにするといいとすすめていたので、実際にそれを試してみたのです。(カギカッコ内引用元:同上)

最初にメモをとる段階で、気づきや補足情報を全部書いていては、メモをとること自体にとても時間がかかってしまいます。ですが、詳細はあとで書こうと決めたことで、最も重要な内容のメモだけは先に完成させることができました。

また、メモした時点ではひらめかなかったことや、あとから知った情報などを、合わせて書き入れられるため、いっそう中身の濃いメモが完成するというメリットもあると感じました。

十分なスペースを残して、箇条書きをする――このテクニックで、仕事の速さも質も上げられますよ。

「頭文字のみ」を書く

研修会やセミナーに参加したとき、難解な専門用語を耳にして戸惑ったことはありませんか? 聞き慣れた用語や話題ならスムーズにメモをとれても、初めて聞く言葉だと、メモをとるときにまごつくことも。

そんなときは、頭文字のみ書き出しましょう。早稲田大学リカレント教育・WASEDA NEO講師で、多くの企業で可視化トレーニングも行なうアートディレクターの日高由美子氏は、「長い単語なら、頭文字を書いて残りは空白」にするようすすめます。(カギカッコ内引用元:ダイヤモンド・オンライン|長いキーワードを瞬時にメモするテクニック

たとえば、アイデア出しに有効な「オズボーンのチェックリスト」というフレームワークに関する研修を受けながら、メモをとるとしましょう。このフレームワークでは、「9つの質問に答えることで、アイデアにつながる」とされています。(カギカッコ内引用元:Schoo|オズボーンのチェックリストとは?使い方や上手に進めるコツを解説|活用事例も

オズボーンのチェックリストについて初めて学んでいる場合、この9つすべてをすばやく書き留められるでしょうか? きっと難しいですよね。

そんなときは、次のように書き留めたい用語のキーワードとして、一文字だけメモするのです。

  • 転用……「て」んよう
  • 応用……「お」おうよう
  • 変更……「へ」んこう
    (以下略)

(参考:同上)

そして、手早く頭文字だけ書き留め、話が終わったらすぐに情報を書き足しましょう。日高氏も、「記憶が残っているうちに補足」するとよいとすすめています。(カギカッコ内引用元:ダイヤモンド・オンライン|長いキーワードを瞬時にメモするテクニック

なお日高氏によれば、「記号」も活用するとよいとのこと。

「減った」「増えた」はー(マイナス)や+(プラス)、「例えば」は「ex.」、「おおよそ」は「≒」、「同じではない」は「≠」などが便利です。

(カギカッコ内および枠内引用元:同上)

たしかに、頭文字だけでは用語と用語のつながりがわからず、どのような関係なのかが思い出しにくいですよね。記号を追加すれば、書き留めた頭文字の意味の補助になりえるのです。

以上を活用すると、どのようなメモになるのでしょう? 筆者が「交流分析」というテーマでメモをとってみました。

「交流分析」をテーマに頭文字でメモをとった例

頭文字と記号だけではまるで暗号のようで、みなさんには筆者が何を書いたのかわかりませんよね。

メモをとり終えたら、すぐさま補足します。青字の部分が、あとで書き足したところです。

頭文字のメモに補足した例

ようやく内容がわかりましたね。頭文字を手がかりに書き足すのは、まるでクロスワードパズルの穴埋めをするような感覚でした。

ここで役に立つと感じたのが、記号です。今回筆者は、記号に以下のような意味をもたせました。

  • 対になるもの:「{」
  • 対照的なもの:「⇔」
  • よい作用のもの/悪い作用のもの:「〇/✕」

用語と用語の関係性をひとつの記号で表したので、とてもわかりやすく、あとでメモを完成させる際スムーズに情報を書き足すことができました。

ただ気になったのは、無地のノートの場合、頭文字だけ書き留めると字の位置が散らばりやすい点。罫線や方眼ノートなら、字の位置をそろえてすばやく書けますよ。みなさんもぜひお試しあれ。

***
“書きすぎない” のがすばやくメモするポイントです。今回紹介したコツのなかには、基本的なものもありましたが、意外と見落としている人も多いかもしれません。仕事のスピードアップのために、いつものメモのとり方にひと工夫してみてくださいね。

【ライタープロフィール】
青野透子

大学では経営学を専攻。科学的に効果のあるメンタル管理方法への理解が深く、マインドセット・対人関係についての執筆が得意。科学(脳科学・心理学)に基づいた勉強法への関心も強く、執筆を通して得たノウハウをもとに、勉強の習慣化に成功している。

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