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窓から逃走してしまった愛猫 野良猫時代に通っていた“実家”に帰省か?

後輩が来てから外に出たがらなくなり、性格も丸くなったもんた(Kさん提供)

「大切なペットが脱走した!もう戻ってこないのでは……」そう感じている方に知ってほしい。逃げた犬や猫の帰還ストーリーと、経験者に聞く保護のアドバイスです。

(末尾に写真特集があります)

補助鍵をつけ忘れた

ケガをして勝手口から入ってきたところを保護されたもんた。もともとKさん宅の庭によく現れていたという(Kさん提供)

【逃げたペットについて】
名前:もんた
性別:オス
種類:ミックス猫(サバ白)
年齢:脱走時推定7歳(現在推定8歳)
いなくなった状況:家の2階の窓の補助鍵をつけ忘れ、22時から翌朝5時の間に自ら開けて脱走

 Kさんは、夫と義両親、サバ白の猫「もんた」の4人と1匹で暮らしていた。もんたは、ケガをしてKさんの家に入ってきたところを一家に引き取られ、家族にかわいがられて育った元野良猫。キャットタワーから外を眺めるのが日課で、隙あらば外に出たがっていたという。

 そんなもんたが事件を起こしたのが、保護されてから3カ月後の2023年の夏のこと。

「日ごろから脱走対策には気を使っているつもりだったのですが、その日はサッシにはめるタイプの補助鍵の取り付けが甘く、鍵もしていなかったため、窓が最大まで開く状態になったまま一晩を過ごしたんです」とKさん。

もんたが脱走した2階の窓。いつもは開きすぎないようにサッシにつけていた補助鍵をつけ忘れていた(Kさん提供)

 朝起きると、家の中の様子がいつもと違うことに気がついた。

「昨晩寝る前にもんたの姿を見かけたきり、どこを探してもいないんです。ふと気がついて2階の窓を見にいくと、少しだけ開けていたはずの窓の隙間が大きく開いていて、窓枠には猫の足跡が。慌てて窓を開けて確認すると、ベランダの手すりにもんたの抜け毛が落ちていました」

 もんたが脱走したことに気づいたKさんは、背筋が凍ったと言う。

「昨晩もんたを見かけたのが22時ごろ。脱走に気づいたのが朝5時だったので、脱走から7時間近くたっている可能性がありました。『どうしよう!』とパニックになりましたが、夫はすでに出社していて義父母はまだ寝ていたので、私ひとりで泣きながら庭を探しました」

猫友達からの情報

体の大きなもんた(Kさん提供)

【いなくなった時にしたこと】
・近所の捜索
・猫友達への情報共有
・保護団体に連絡し、捕獲器をレンタル
・警察、保健所への届け出

 朝の出社前の時間、長い時間捜索することもできず、Kさんは一度捜索をストップした。

「出社時間までにできることをしようと、まずは、近所の猫友達に状況を共有しました。それから、警察と保健所に届けを出して、その朝は泣く泣く出社しましたね。当時は、『あの時補助鍵をチェックしていれば』『せめてもっと早く気づいていれば』と自分を責める言葉しか浮かびませんでした」

 その日の仕事終わり、知り合いの保護猫団体から捕獲器を借りて帰宅したKさんに、良い知らせが届いた。

「朝連絡していた猫友達の1人が、近所の家から『もんたが来ていた』と連絡をもらったと言うのです。詳しく話を聞くと、もんたが野良猫時代にお世話をしてくれていたもんたの“実家”に現れていたようで、昔のようにごはんをもらい、家に上がって昼寝までして帰ったのだそう。野良猫時代のことを覚えていたのかもしれませんね。知らせを受けてすぐ、保護猫団体から借りてきたばかりの捕獲器をこの近所の家へもっていき、設置させてもらいました」

 その日は、捕獲器の設置を済ませて帰宅し、もんたが入ることを家族全員で祈った。

「あの夜のことはよく覚えています、もんたは元野良猫だから、ほんとうは外で自由に生きていきたかったんだろうか?と、家族で考えてしまい、家猫にしてしまったことを申し訳なく思っていました。冷静に考えてみれば、いつどうなるかわからない過酷な暮らしなんですけどね」

 捕獲器を置いた家から連絡があったのは、翌朝のことだった。

「早朝に電話をいただき、もんたが現れたのでごはんで誘導して、家の中に閉じ込めたと教えてくれました。捕獲器には入らなかったようです」

 知らせを聞いてすぐ、Kさんはキャリーバッグと洗濯ネットを携えてもんたを迎えに行った。

「もんたは捕獲したお宅の脱衣所に隔離してもらっていて、私の顔を見るとシャーシャー言いながら逃げ回りました。隙を見てバスタオルをかぶせると静かになったので、ようやく確保できましたね」

“実家”で捕獲

【今回の脱走から学んだこと】
・近所に猫友達がいると、情報共有が早く、スムーズな捕獲につながる
・脱走対策は2重、3重を心がける
・猫によっては、遊び相手ができると外に行きたがることがなくなる

 帰宅したもんたは家族の心配をよそに、その日は1日中「野良猫モード」だったとKさん。

「いつももんたが過ごしている部屋でキャリーから出したら、キャットタワーのてっぺんに駆け上がっていき、こちらを見てシャーシャー威嚇してきました。せっかく楽しんでいたのに!と怒っているようで、ほっとした反面、申し訳ない気持ちになりましたね」

 脱走から丸2日という短時間でもんたを捕獲できたのは、日ごろから築いていた猫友達のネットワークのおかげだとKさんは振り返る。

「猫を飼っている方は猫がいそうな場所の見当がつくので効率よく探せるし、見慣れない猫を見つけたという時の情報共有も早いので、もんたの居場所をつかむのも早かったのだと思います」

 Kさんはこの事件の反省を生かし、もんたの脱走対策を見直したと言う。

「もう2度とこんなことが起きてほしくないので、窓の鍵チェックを徹底し、換気の際は網戸1枚にしないよう、ワイヤーのネットを買って内側から取り付けました」

 また、元野良猫のもんたの旺盛な好奇心を満たすため、一家は相談して、もんたの兄弟を迎えることにした。

もんたと仲良くしてくれる、やさしい性格の後輩猫を迎えた(Kさん提供)

「脱走するまでは1匹で寂しかったと思いますが、いまは3匹の後輩ができて、指導係までしてくれています。もんたはすっかり穏やかになって、外に出たがることもなく甘えてくれるようになりました。太り過ぎには気をつけて、穏やかに末永く一緒に暮らしていきたいですね」

【前の回】預かった猫が隙間から脱走 ペット探しを依頼するも悪質で失敗、自分たちで探す!

原田さつき
広告制作会社でコピーライターとして勤務したのち、フリーランスライターに。SEO記事や取材記事、コピーライティング案件など幅広く活動。動物好きの家庭で育ち、これまで2匹の犬、5匹の猫と暮らした。1児と保護猫の母。猫のための家を建てるのが夢。

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この連載について
迷子のペットが帰ってくるまで
「大切なペットが脱走した! もう戻ってこないのでは……」そう感じている方に知ってほしい、逃げた犬や猫の帰還ストーリーと経験者に聞いたお話です。
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