ルールを学び別犬のように成長したトイプー きょうだいも増えてシニア期を迎える
今や子犬育てに悩む多くの飼い主がやってくるUG DOGSアトラスタワー中目黒店(以下UG)。店長の高橋信行さんが子犬を1週間預かりトレーニングをする「社会化お泊まり」を始めて3年目のこと、群れの中で遊んでルールを学び「別犬」のように落ち着いたトイプードルの男の子がいた。その後、UGで仲良くなった「きょうだい」がやってきて……。シニアになった犬たちと家族が過ごす現在の日々とは?
激アツ店長こと高橋信行さん、中目黒の駅前で叫ぶ。
「ともに重ねてきた時間がいとおしい。年齢の変化も受け入れて」
幼なじみから家族へ
UGではかつて、群れの中で育て、社会化をした子犬を販売していた。そうして群れの新メンバーとなったのが、トイプードルの「さんご」。小さくて、でも強くて元気な女の子だ。トリミングなどで通っていたルゥくんとは月齢が少し違う幼なじみのような関係になり、仲良く遊ぶように。
「ルゥくんもさんごも超イケイケで、似たもの同士。一緒に遊び、疲れたら一緒のベッドでお昼寝。本当にかわいかったなぁ」。店長は当時を思い出し、目尻を下げる。
そんな中、お母さんは多頭飼いを考え始めていた。「仕事が忙しく、どうしてもお留守番の時間が多くなってしまう。また、社会化お泊まりでずいぶん落ち着きましたが、まだまだルゥは遊びたい盛り。もう1匹いたらルゥも寂しくないし、楽しいかな、って」
その話に、店長は「さんご、どうですか?」。それからお母さんはルゥくんとUG
に来るたびに2匹の様子を見て、悩み、考えた。そして4カ月後、トライアルを経て、さんごちゃん改め「モモ」と名付けられた女の子は、名実ともにルゥくんの新たな家族としてお迎えされた。お母さんはこう語る。
「店長も私も同郷出身で、その名産である桃から『モモ』と名付けました。UGと、店長とのご縁でやってきた大切な子なので」
多頭飼いで広がった世界
モモちゃんがおうちに来るなり、激しいワンプロがスタート! あまりの激しさに、お母さんは思わず店長に映像を送って相談すると、「楽しそう! ルゥくんはこれを求めていたんですよ」。店長はこう話す。
「ルゥくんは激しく遊ぶタイプ。おとなしい子では相手ができない。モモちゃんぐらい気が強く、やり合うぐらいの子犬がちょうどよかったのです」
ルゥくん、モモちゃんのかわいい姿を残そうと、お母さんは一眼レフに挑戦。どんどん腕を上げ、SNSでも楽しむように。そのSNSを通じて知り合った仲間と風景の美しい場所などに撮影旅に出かけるようになった。
「ルゥとモモがいるから、新しい趣味もできて、友達も増えて、お出かけもできて……。本当に世界が広がりました」
UGではかわいい添い寝姿を見せていた2匹だったが、「家族」になった途端、少し違う関係性になったという。
「ルゥは一人時間が必要な子。ほっといてほしいときに、モモがちょっかいを出すと怒ります。モモは気が強くおてんばで、ルゥに怒られたところで引きません」
一度、同じキャリーバッグに入れて電車移動していたとき、モモちゃんがゴソゴソと動いたことにルゥくんの機嫌が悪くなり、大騒ぎになったことが。慌てて電車を降り、UGまで歩いて行ったという。以来、キャリーバッグは別々に。「SNSでよく見るような、ピッタリくっついたり、一緒に寝たりといった仲良しきょうだいとはいきませんね」とお母さんは笑う。
「多頭飼いは相性が大事で、合わなければ飼い主さんは悩むと思います。でも、それこそSNSで見るような仲良しでなくても、それぞれの距離感、関係性でうまく暮らしていけるのであればそれでいい。モモちゃんと同じUG出身の子犬たちーールルくん家に行った桜ちゃん、熊吾朗くんと小春ちゃん家に行った櫻士朗くん、すずらんちゃんと楓くんのお家に行ったジーニーくんなどーーも、それぞれの形の『きょうだい』『家族』になって、みんな幸せに暮らしています」
年齢を重ねた愛犬との暮らし
月日は流れ、ルゥくん、モモちゃんとも9歳に。「これまでもモモが膵炎(すいえん)を起こして大変だったことなどもありましたが、最近は病院にお世話になることも増えてきました。ルゥのブドウ膜炎がなかなか治らず眼科に通ったり……」と、お母さんの心配は絶えない。
さらに「ルゥが少し気難しくなったような気がして」とお母さん。「3、4年前は穏やかで落ち着いていたのですが、最近は特に苦手な腰のあたりを急に触られると、私にもガッと歯を当てることが。かもうとしているというよりは、嫌なことに反射的に反応している、という感じです」
抱っこしていて急におろそうとする時なども同様に怒ることがある。お母さんはルゥくんが驚かないよう、急な動きをせず、自分もゆらゆらと体を動かし「おろすよー」と声をかけ、そっとおろしているという。
店長はこう語る。
「健康面の心配が増えるのはもちろん、年齢を重ねた犬が気難しくなったり敏感になったりはよくあること。人間もそうですよね。飼い主さんにとってはショックかもしれませんが、子犬育てのとき同様、なぜそういう行動をするのかを冷静に考えることが大事です」
単なる年齢的なことなのか。もしかしたら病気など体調不良からくることもあるかもしれない。そうしたリスクを除いた上で、店長はこう話す。
「ときどきシニア犬を預かり、中には驚くほど変化する子もいます。しかし、基本は年齢が上がれば上がるほど行動を変えるのは難しい。子犬だって月齢6カ月を過ぎると時間がかかります。特にシニア以降の子の場合は、受け入れるべきは受け入れ、ルゥくんモモちゃんのお母さんがそうしているように、嫌なことを上手に回避してあげる対処法を見つけていく。それこそが、犬と暮らすということだと思います」
子犬時代がかわいいのは当たり前。しかし年齢を重ねたかわいらしさ、いとおしさはどんどん増していく。犬と暮らしたことのある人なら誰しもそう感じているに違いない。
ルゥくんとモモちゃんは、今も定期的にUGへトリミングに通っている。
「実は一度もほかのサロンに行ったことがないんです。なんてったってトリマーさんはルゥの初恋の人でいまだにラブラブだし、ルゥ、モモの性格も体調もよくわかっているのでなんでも相談できます。ルゥ、モモだけでなく、私もとても癒やされていて……。感謝しかありません。店長は相変わらず私にはビシビシ厳しめですが(笑)、ルゥとモモのことはとてもかわいがってくれる。初めての子犬育てで右も左もわからず混乱していた私が、犬たちを育ててこられたのはUGがあったから。これまでもこれからも、UGはわが家にとってかけがえのない存在です」
お母さんはそう言って笑った。
「ルゥくん、モモちゃんはじめ、社会化お泊まりの初期メンバーはシニアと言われる年齢になりました。それでもずっと通い続けてくれる子が多く、みんな家族のような存在です。そして、ルゥくんは今でも子犬の相手を上手にしてくれる頼もしい兄貴分です。モモちゃんは女子っぽく冷た目で見ていて、それがまたかわいい!」と店長は目を細めた。
先輩から子犬へ、その子犬が成長して先輩となり、また次の子犬へーー。バトンはUGの群れに受け継がれていく。
- UG DOGS アトラスタワー中目黒店
- 住所:東京都目黒区上目黒1-26-1 中目黒アトラスタワー106
TEL:03-5708-5592
営業時間:11:00~20:00(年中無休)
公式サイト:https://anm.ugpet.jp/ - 店長ブログ:https://www.ugpet.com/blog/anm/
※カウンセリングは電話、対面とも要予約。HPや高橋さんのブログをチェックした上で問い合わせを。UGでは基本的に保護犬を預かる活動はしていません。
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