美味いとは聞きつつも、スルーし続けていた静岡駅の駅弁「鯛めし」。「元祖鯛めし」は東海軒が1897年から販売し続けているレジェンド級の駅弁で、鯛そぼろがメインだ。
私はそぼろ系の弁当に良いイメージがないので、「鯛めし」も積極的に食べる気にはならなかった。しかし、やはり何事も試してみるべきだろう。ということで、先日ついに「鯛めし」を食べてみることにしたのだ。
・そぼろ
そぼろと言えば色々ある。牛、豚、鶏等の肉を使ったものや、鮭などの魚を使ったもの。私は素材が何であっても、そぼろがメインの弁当……つまり「そぼろ弁当」に該当するものを買わなくなって久しい。
理由は、世の「そぼろ弁当」には武器のはずの そぼろが往々にしてケチくさい量しか入ってないイメージがあるからだ……!
例えば鶏そぼろが食べたくて「鶏そぼろ弁当」を買ってみれば、そぼろは極めて少量しか入っておらず、その実態は “白米弁当のそぼろ添え” みたいな。今までの人生におけるそういう経験の積み重ねが、私をアンチ そぼろ弁当派に変えた。
こっちとしては そぼろ率99%でも構わないくらいの気分なのに、肝心のそぼろは情けない量で、ただ白米を食べている時間の方が長くなるような、悪の「そぼろ弁当」の仕業である。
ということで「鯛めし」も、どうせ鯛そぼろはちょっとしか入ってないんじゃないかと疑ってしまい、手を出さずにいたわけだ。
・特製
まあしかし、今日は久しぶりに静岡駅に来ている。目の前には東海軒の売店があり、「鯛めし」が売られている。ほう、「特製鯛めし」というのもあるのか。
「元祖鯛めし」は明治時代から支持されている。よく考えれば、微妙な仕様ならそんなに長生きはできないはずだ。ここはひとつ食べてみるか……!
ということで「特製鯛めし」をゲット。1150円だった。新幹線は混んでいたので、家で食べることに。
今日は11月12日なので、消費期限はその日の23時までっぽい。
裏はこんな感じ。
縛っている紐は飾りではなく、ガチに機能しているものだ。
紐をほどき、蓋を開けると……おぉ、これは……!
鯛そぼろがめっちゃたっぷり入ってる!!
凄いぞ! 鯛の切り身が鯛そぼろにめり込んでいる。これぞ そぼろ弁当のあるべき姿。そぼろはたっぷりでないといけない。
サイドの煮ものも良い感じ。後で食べたのだが、フキがじゅわじゅわで美味しかった。
そぼろ層はしっかり厚く、甘くて香ばしく、とても美味い!! この味が嫌いな人はいないだろう。どこにもマイナスなポイントが無い素晴らしい仕様だ。
食べ進めても、最後の最後まで鯛そぼろが足りないという状態にならない。ご飯そのものにも鯛そぼろのフレーバーがしみ込んでおり、ご飯+鯛そぼろではなく、感覚的には全て鯛そぼろな味わいで神だ!
さすがは130年の歴史を持つレジェンド。私の憂いは完全に杞憂だった。他のあらゆる そぼろ弁当が裏切っても、東海軒の鯛そぼろは裏切らない。
参考リンク:東海軒
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.
▼甘い鯛そぼろに漬物がよく合う。