連載:エンタメトップランナーの楽屋(第14回)
“推し”ロバートと仕事をする夢を叶うも…メモ少年がFIREBUG代表取締役・佐藤に語った“クリエイターとしての苦悩”とは
100社以上のタレント事務所やインフルエンサー企業とのパートナーシップを基に、データ・ドリブンでキャスティングやコンテンツ企画、メディアプランを通じたソリューションを提供しているFIREBUG代表取締役・佐藤詳悟による連載『エンタメトップランナーの楽屋』。
第14回は、芸人・ロバートの熱狂的なファンとして、15年彼らを追いかけた末、現在は名古屋テレビ放送(メ~テレ)のディレクターとして、『秋山歌謡祭』などを手掛けるメモ少年こと篠田直哉。ロバート本人にも学生時代から“認知”されており、2022年に公開された秋山との初対談動画は1000万回超再生され、大バズりした。
「好きを仕事に」を実現した篠田は、いま自身の仕事についてどう考えているのか。ロバートのマネージャーも担当し、『クリエーターズ・ファイル』などコンテンツ開発にも携わった佐藤に語った、クリエイターとしての葛藤とは。
ロバートと共に歩んだ数奇な人生
佐藤:僕は篠田さんと会ったことあるのかな? 無限大(ヨシモト∞ホール)でやっていた「ロバート企画」とかには来てたんでしたっけ?
篠田:はい! 行ってました。
佐藤:あの企画の立ち上げ、僕がやってたんですよね、マネージャーのときに。
篠田:そうなんですね。いつ頃ロバートさんのマネージャーになったんでしょう?
佐藤:2007〜2011年くらいだった気がします。
篠田:じゃあ、知らずのうちに会っていたかもしれないですね。2007年にDVDをレンタルしたのをきっかけに好きになって、2010年、中学生の時に初めてロバートさんに“メモ少年”として認識していただいたので。
佐藤:すごいよなぁ。それで仕事してるんですもんね。僕のことは、もともとロバートのマネージャーだったとは知らなかったんですよね?
篠田:そうですね。この連載の記事を見て、知りました。
佐藤:ところで、ロバートが好きというところから、彼らと一緒に仕事がしたいと思ったのは、なんでだったのですか? もともとは“推し”ってことですもんね?
篠田:そうです! ファンでした。2010年8月9日、夏休みに渋谷で「ロバート企画」をやってたのを観に行ったんです。そのときにメモを取っているのを見られて「なにメモ取ってんの?」と言われて。それで「ライブは録画、録音ができないので、話したことを1時間ずっと記録してるんです」と答えたんですよ。すると、秋山さんが「そんだけメモ取って記録してくれてるんだったら、もうマネージャーとかやってくれよ」みたいにボケで言ってくれて。「あ、ロバートのマネージャーになれば、一緒に仕事ができるんだ!」と本気で思ったんですよね。そこから大学3年生まで、ずっと吉本興業に就職したいと考え、東京の大学に行きました。ロバートさんの担当になるために、東京の吉本に配属されたかったので。
佐藤:そうなんですね。じゃあ、ロバート企画で秋山さんに声をかけられなかったら、人生変わってた可能性があるんですか?
篠田:ありますね。いまもロバートのライブをたまに観に行く普通のファンだった可能性はありましたね。
佐藤:すごい。でも、結果としていまマネージャーじゃなくて、テレビの仕事をしているわけだけど、それはなぜですか?
篠田:ちょうど就職活動が始まるときに、ロバートさんを大学の学祭に呼ばせていただいたんです。「ロバート企画を学祭でやりたい」という無茶苦茶なお願いをして。そのときにマネジメントというよりも、一緒に作る方がおもしろいのかもしれないと思ったんですよね。それを秋山さんに出待ちのときに話したら、真剣に返してくれたことがあって。
佐藤:なんて言われたんですか?
篠田:「俺らの下についてマネージャーとしていろいろ動いてくれるのも面白いけど、俺らを使う側の立場になってくれる方が、もしかしたらメモ少年がいまやりたいことはできるかもしれないよ」と言ってもらえたんです。
佐藤:面白いですね。
篠田:その当時ですら、10年以上面識があったので親心に近かったんじゃないかと思います。
篠田:そういう経緯でマネージャーを選択肢に残しつつ、テレビ業界を先に受けました。名古屋の放送局に内定を貰ったので、いまに至ります。
佐藤:名古屋とは縁もゆかりもなかったんですか?
篠田:なかったですね。ただ、『アクセる★ビリー!』(名古屋テレビ放送)とか『ザキロバ!アシュラのススメ』(名古屋テレビ放送)とかロバートさんと関係値の深い番組が多くて、一緒にやらせていただけるんじゃないかと思って受けました。決まったときに、番組は終わってしまったんですけどね。
佐藤:それで、モチベーションは下がらなかったですか?
篠田:自分のやりたい企画ができるまで、5年も10年もかかる業界ってイメージがあったので、そこはあまり気にしなかったです。視聴者としては悲しかったんですけど、これから頑張るぞみたいな感じでした。