星野源、米津玄師、Number_i、Ado、Creepy Nuts、乃紫……注目新譜6作をレビュー
毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回は星野源「Eureka」、米津玄師「BOW AND ARROW」、Number_i「GOD_i」、Ado「エルフ」、Creepy Nuts「doppelgänger」、乃紫「バレンタイン決戦」の6作品をピックアップした。(編集部)
星野源「Eureka」
この春、『POP VIRUS』(2018 年)以来となるニューアルバムのリリースを控えている星野源から、2025年最初の新曲「Eureka」が届けられた。ドラマ『まどか26歳、研修医やってます!』(TBS系)主題歌に起用されたこの曲の背骨になっているのは、石若駿によるドラム&シェイカー、そして、星野のベースライン。ジャズ〜ソウルを中心としたルーツミュージックを色濃く反映しながら美しくも切ない音像を描き出し、櫻田泰啓のピアノ、長岡亮介のギタープレイとともに奥深いインタープレイが実現している。きわめてシンプルな構成ながら、何度聴いてもハッとするような発見が。その在り方はそのまま、“見つけた!”という喜びを表す曲名に結びついている。希望がなかなか見えない世界において、我々はどんな発見ができるのか? そんな想いに導かれる歌詞も素晴らしい。(森)
米津玄師「BOW AND ARROW」
アニメ『メダリスト』(テレビ朝日系)オープニング主題歌。フィギュアスケートに挑むアスリートたちの物語なので、いわゆるスポーツ根性的な熱さとは似て非なる華やかさが欲しいと思っていたら、まさにドンピシャな楽曲が来た。氷上を舞うしなやかな筋肉、加速するスピード感、一気に跳躍するジャンプの美しさといったものが、メロディ、ビート、歌詞が合わさることにより完璧に表現されているのでは。アニメ尺となる前半1分半にだけ時計の針の音に似たビート音が入っているのも、競技時間が厳しく定められたこのスポーツへの敬意なのだろう。まずはアニメ作品とのマッチングが本当に素晴らしい。フル尺では微妙なアレンジの違いを味わいたい。(石井)
Number_i「GOD_i」
岸優太のプロデュースによる新曲「GOD_i」は、Number_iの“らしさ”と新しさが同時に感じられる楽曲だ。まず印象的なのは、楽曲のストラクチャー。渦を巻くようなシンセと3人のボーカルから始まり、クワイア的なコーラスを伴ったトラックへと移行。緻密な構築美と遊び心に溢れたビート、意外性に満ちたサウンドエフェクトをちりばめながら、壮大さと鋭さを内包した楽曲へと結びつけている。〈本音ぶちまけれなきゃ/誰のための音楽だ?〉など、音楽シーンへの確固たるスタンスを感じさせるリリックも刺激的。常に変化を繰り返し、期待に応えながら予想を裏切り続ける3人の新たな到達点と称すべき楽曲だろう。(森)