2000万円以下でも上昇率の高いエリアがある
それでは、比較的リーズナブルな価格帯で手に入るエリアに、資産価値の向上が期待できるエリアがないのかといえば、決してそんなことはない。図表1をご覧いただきたい。これは、47都道府県の1年前との価格騰落率のベスト10をグラフにしているが、トップは東京都の17.6%で、70m2換算価格が7009万円になっている。やはり東京都が断然強いわけだが、2位以下には意外な県が入っている。
上昇率の2位には徳島県が16.2%で入り、3位には香川県が10.5%で続いている。どちらも価格帯は1000万円台の前半だから、まだまだ年収の少ない若い世代でも十分に手が届く価格帯ではないだろうか。
さらに、4位の佐賀県も70m2換算価格が1528万円で、上昇率は8.9%となっていて、5位の岐阜県も1610万円で、7.8%の上昇率だ。
徳島県、香川県の2県は、大都市圏からあまりに遠く、購入は現実的ではないと見られてきたが、コロナ禍を経て、テレワークが当たり前になってきた現在では、地方への移住や二拠点居住も珍しいことではなくなりつつある。
先進的な企業のなかには、テレワークを前提に地方への移住を認めた上で、稀に出社が必要なときには、飛行機代や新幹線代を出す企業も登場している。そうした企業への転職や地元企業への転職などをはかりながらマンションを取得し、将来的な値上がりを期待するのも現実的な選択肢になりつつある。
10年前と比較し上昇率が60~70%台の注目県
1年前との騰落率では、この先どうなるのかやや不安なので、中長期的な視点からみてみたいという人もいるだろう。そこで、10年前との騰落率の上位をみてみよう。
図表2にあるように、騰落率のトップはやはり東京都の77.0%だった。長い目でみても、やはり東京都は強いことが、改めて認識されるが、2位以下には、比較的リーズナブルな価格帯の県が少なくない。
2位に入ったのは福井県の75.2%で、3位は沖縄県の65.7%、4位が石川県の61.6%、5位が群馬県の59.9%となっている。
3位の沖縄県は温暖な気候などから地元の人たちだけではなく、東京圏、大阪圏などの人たちや海外からの購入も増えているため、大都市圏価格になっていて、70m2換算価格は3499万円とやや高めになっている。それに対して、2位の福井県は1641万円、4位の石川県は1520万円で、5位の群馬県は1202万円だ。これなら、十分に購入が可能になるという人が多いのではないだろうか。