記憶力が上がる音楽や文具・ツール、文字の色・形があるのをご存じだろうか。記憶力日本チャンピオンかつ、世界記憶力グランドマスターの青木健さんは「どの色で書かれると記憶力が高まるかを調査した複数の実験では心を落ち着かせる効果のある色が最もいいという結果が出た」という――。

※本稿は、青木健『東大式記憶力超大全』(総合法令出版)の一部を再編集したものです。

楽譜
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記憶力が上がる音楽

普段勉強をするとき、どのような環境で行っているでしょうか? 図書館のような静かなところで勉強する人もいれば、カフェの少しガヤガヤした中で勉強する人、家で音楽を聴きながら勉強する人もいるでしょう。

覚えるということにおいては、どのような環境が「最適」なのでしょうか?

もし何か特定の音楽を聞くと記憶力が高まるのであれば、試したいという人もいると思います。心理学や認知科学の研究で有名なものとして、「モーツァルト効果」というものがあります。1993年にカリフォルニア大学のラウチャー氏による実験で、モーツァルトの「2台のピアノのためのソナタニ長調」を学生に聴かせたところ、癒やし系の音楽や無音だったときと比べて、記憶力の知能テストのスコアが高くなったという結果が発表されました。

これは音楽を聴きながらではなく、音楽を聴いた直後10〜15分間程度に効果があり、長くは続かないというものでした。その後、ラットなどの動物や、他の音楽家の曲でも実験が行われました。「他のクラシック系の音楽でも効果がある」という肯定的な説から、「音楽を聴いたことにより脳が覚醒しただけ」という否定的な説までさまざまです。

ただし、モーツァルトを聴いて記憶力が悪くなるということはないようですし、ポジティブな気分で何かを覚えるのは良いことです。モーツァルトの「2台のピアノのためのソナタニ長調」を聴き、良い曲だと感じたのであれば、勉強前に聴いてみるのはいかがでしょうか。

学習系のセミナーや商品などでは、このモーツァルト効果を拡大解釈し誇大広告気味に使用しているものもあるようなので、ご注意ください。

POINT 「2台のピアノのためのソナタニ長調」を聴くと10〜15分程度に効果があるといわれている