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はじまりはビープ音

ドリームキャストのことを中心にゲーム関係の気になったことを書いていくつもりです。

「ストリートファイター6」用の11ボタン型レバーレスコントローラーを作ってみたよ Part1

ルールとして11個までのボタンが許容されているのであれば、そのポテンシャルを最大限活かしたコントローラー作ればいいじゃない、という感じで。

pomegd.hatenablog.com

目的

いくつかレバーレスコントローラーを作ってきていますが、標準的なものに飽きてきたところに、ちょうど「11ボタン」の話も出てきたので、好奇心と探究心で作ってみることにしました。とりあえずの試作品。

pomegd.hatenablog.com

現行のルール

カプコンは、いわゆるCPTルール(CPT精神)と呼ばれるルールを設けており、公式の大会や競技シーンにおいてはそれに準拠したルールのもと展開されています。このCPTルールは都度見直し、改定されるものであり、プレイヤーは当然それに合わせてルールに準拠した形で臨む必要があります。

公式の大会等以外においてはこのルールに縛られる必要はありませんが、公式以外の対戦会等においてもCPTルールを認識したうえで臨んでる人も多いようなので、自作やカスタマイズしている人たちも概ねこのルールに準拠しているようです(肌感)。

そしてこのCPTルールは「ストリートファイター6」の発売(大会開催)に合わせて改定(暫定)が行われました。

sf.esports.capcom.com

言葉の定義や詳細については上記ページを良く読んでいただきたいですが、ざっくり書くと移動行動ボタン4個と攻撃行動ボタン11個がボタンとして使用可能な数です。タイトルにもある「11ボタン」というのはこの攻撃行動ボタンのことを指しています。

なお、CPTルールはあくまでカプコンの開催する大会「Capcom Pro Tour」採用タイトルに向けたルールなので他のタイトルや他社製のタイトルについて適用されるものではありません。大会やタイトルごとにルールが異なるのでご注意を。

設計案

まずはどういう形が良いのか考えてみます。運指やホームポジションは人それぞれだと思うので「最適解は人それぞれ」だと思います。

標準的なレバーレスに3ボタン追加

そもそも普通のレバーレス作りに飽きてきてるのに、それをベースに3個ボタン追加するだけっていうのは作ってて面白くなさそうなのでやりません。また、ボタン同士の間隔がどうしても空いてしまう都合上、単純に指の移動が大変そうなので見送りました。

左手に攻撃行動、右手に移動行動

CPTルールの11ボタンの話題が出る前に、昔はPCの同人格ゲーをキーボードでやってた人も多かったと思うので、移動行動を右手(キーボードのカーソル風)、攻撃行動を左手にしたものを試しに作っていました(完成は11ボタンの話題後だったけど)。

慣れだとは思いますが右手ではなく左手側が思うように動きませんでした。左手側もアケコン配置ではなくキーボード配置だったらまだ操作できたかもしれません。

で、11ボタンの話が出たので、改めて設計を見直してみました。攻撃行動が11ボタンというのを考えるだけで両手が非常に忙しくなるのが想像できます。

右手ならある程度忙しくても器用に動かすことはできるだろうと思って、左手の攻撃行動をそのままにして、右手に新たな役割を追加・整理していったのがこちらです。

攻撃行動をすべて片手に寄せるのではなく、両手で分散させる方法もありかなぁと思って考えてみました。しかし、色々シミュレーションしてみた結果、気が向かなかったのでお蔵入りしました。

キーボードベース

レバーレスの始祖といえるキーボードの配置を踏襲しつつ、移動行動を左手、攻撃行動を右手というレバーレス配置をベースにしたものを考えてみました。

そもそもキーボードは世界で最も多く使われている入力デバイスの一つでもあり、最も使い慣れている入力デバイスの一つでもあります。であれば、それをベースに作ったものが一番使いやすいのではないか、というのは自然な考えかなと思い、設計を考えてみました。

また、ボタンの数が増えるということは指の動きも多くなるということ。そうなると指の移動範囲自体を狭めた方が良いと思い、一つの解としてキーボードベースというのもあながち間違いじゃないと考えてます。

というわけで、今回はこのキーボードベースの配置で設計していくことにしました。

キーボードベースのメリット・デメリット

作る前にメリット・デメリットを考えてみました。メリットはそのまま活かすとして、逆にデメリットは少しでもその要素を減らして設計できたら良いかなと思います。

メリット
  • ボタンの間隔を詰めることができる
  • キーボードのパーツがそのまま使える
    • 主にスイッチやキャップ
  • バイスとしてはキーボードではないのでPCでも1P,2Pで同時に使える
    • PCで使う際はキーボードの場合、複数接続しても1Pとしてしか認識されないらしい
  • 自作アケコンやレバーレスより圧倒的市場規模が大きい自作キーボードのノウハウがある
  • アケコンや通常のレバーレスと比べて更にコンパクトサイズにできる
デメリット
  • 現行の格ゲーでキーボード勢の情報が少ないので最適解がわからない
    • そもそもスト6専用の11ボタンなので事前情報がほぼゼロ
  • 1個のボタンにおいて押せる範囲が狭くなる
    • 間隔を詰めるのとトレードオフ
    • ピアノ押しが難しい
    • 別のボタンを押す可能性が高くなる
  • 意識的に導入の敷居がちょっと高い
    • 長年アケコンやゲーセンで円形のボタン使ってたので

基板設計

今回コントローラー基板はPGA2040(RP2040搭載)を使用。アケコン・レバーレス自作勢にもすっかりお馴染みのGP2040-CE(GP2040の後継)で作ります。

pomegd.hatenablog.com

OLEDも使用しますが、ボタンLEDは今回は見送りました。

キーの配置・マッピング

手元のキーボードであれこれ試してボタンの配置を調整。

ボタンの配置と合わせてマッピング(割当)も検討。あとからでもどうにでもできるので、指の動く範囲を考えながら暫定的に以下のようにしてみました。

赤字は割当決めたところ。黒字は同時押し系で設定予定のところ。まぁ赤字のところも設定で自由に変えられるけど(GP2040の良いところ)。

LeftとUpはボタン2個分の大きさのキーキャップを使用。Leftは左手薬指が融通利きにくくブレやすいため、また、Upについては左右どちらの手でも押せるようにと大きめのサイズにしてみました。スタビライザーも取り付けるのでキャップの端を押しても反応しづらいということにはならないようにしてあります。

UpとK1を両隣にしたのは右手親指だけで同時押しを可能にするためです。通常のレバーレス配置では恐らく右手親指と人差し指を使うと思いますが、わざわざ2本の指を使う必要もないと判断しました。別のボタンを押す可能性が高くなるというデメリットを活かす形です。UpとK2同時押しできなないじゃん!ってなるので検討の余地あります。

キースイッチ・キーキャップ

当初、使用するキースイッチをロープロファイルと通常の高さのもの両方を使えるように考えてみましたが、スタビライザーが共存できないことと、キャップ構造の違いによりキー同士間の隙間がネックになりました。

キースイッチ自体の間隔はどちらも同じですが、汎用的なキーキャップを使用する場合、通常の高さの方が押せる範囲が狭くなり溝の間隔が空いているため、キーをなぞるように指を移動することができません(指が1個1個引っかかる感じ)。

また、ロープロファイルの方がストロークが短いということもあって、もともと通常の高さのキースイッチは優先度低めでした。ということで今回はロープロファイルのみにしました。一応Kailh choc v1/v2、Cherry MX lowprofileを取付可能な基板に仕上げてますが、スタビライザーとキャップの組み合わせにより実質Kailh choc v1用となります。

キーキャップはカラーバリエーションの多いMBKにしようと思いましたが、Chocfox CFXの方が手触りすべすべなのでこちらを選びました。と思っていましたが、メインで使ってたのはChocfoxではなくMCC-profile POMでした。ただ、MCC~は1uサイズしかないようなので、1uはMCC、2uはChocfoxにしてあります。

主な使用部品

動作確認・完成

これまでアクリルを重ねる形でケースの代わりにしていましたが、3DCADを使って簡易的なケースを作れる程度にはなったので今回は3Dプリンタでケースを作りました。

サイズはボタンキャップ部分含めて200.0mm x 94.0mm x 16.7mm。裏側はネジ部分が飛び出さないように調整済み。

天板はカスタマイズできるようにアクリルを使用。イラストは以前自分のレバーレス用に描いていただいた「まご山つく蔵」さん @mago_oowarawa によるもの。模様の方はフリー素材。

使ってみた感想

もちろん慣れていない配置になっているので、いきなりこれで上手く使いこなせるかと言われると難しいです。また、押し間違いはあるものの、それはあくまで配置が変わったことによるものでボタン間隔は苦には感じません。

ただ、やはりキーの配置位置やマッピングについては使う人によって合う合わないはありそうです。

意外といけるかもしれないと思い、別バージョンも作ってみることに。

――――― Part2へ続く

pomegd.hatenablog.com