WO2022097551A1 - 吸収性物品 - Google Patents

Abstract

吸収性物品のずれ下がりを抑制できる吸収性物品を提供する。吸収性物品（１）の前胴回り域（Ｓ１）には、前胴回り域を長手方向（Ｌ）に分割した複数の領域が設けられている。複数の領域は、前胴回り域の前端縁（Ｓ１Ｆ）から前胴回り域の長手方向の全長に対する０～２５％後方に位置する前ウエスト領域（Ｆ１１）と、前胴回り域の前端縁から前胴回り域の長手方向の全長に対する２５～５０％後方に位置する上腹領域（Ｆ１２）と、前胴回り域の前端縁から前胴回り域の長手方向の全長に対する５０～８５％後方に位置する下腹領域（Ｆ１３）と、前胴回り域の前端縁から前胴回り域の長手方向の全長に対する７５～１００％後方に位置する前脚領域（Ｆ１４）と、を有する。下腹領域（Ｆ１３）の幅方向の収縮長さは、前脚領域（Ｆ１４）の幅方向の収縮長さよりも長い。

Description

吸収性物品

　本発明は、使い捨ておむつ等の吸収性物品に関する。

　使い捨ておむつ等の吸収性物品は、身体の腹部及び背部を覆うように装着され、ずれ下がりを抑制するように構成されている（例えば、下記特許文献１）。特許文献１の吸収性物品は、着用者の身体の動きに対して吸収性物品がずれ難いように構成されている。より詳細には、後胴回り域には、第１伸縮部と、第１伸縮部よりも股下側に位置する第２伸縮部が設けられている。第１伸縮部と第２伸縮部は、長手方向に間隔を空けて配置されている。第１伸縮部の伸縮応力及び第２伸縮部の伸縮応力は、第１伸縮部と第２伸縮部の間の領域の伸縮応力よりも大きい。そのため、吸収性物品が着用された状態で、第１伸縮部と第２伸縮部は、身体に密着し、第１伸縮部と第２伸縮部の間の領域は、身体に比較的密着しない。

　例えば、着用者が脚を曲げ伸ばし等で動くと、後胴回り域において股下域側に位置する第２伸縮部が股下側に引っ張られる。また、第２伸縮部の股下側への移動に伴って、第１伸縮部と第２伸縮部の間の領域も股下側に引っ張られる。第１伸縮部と第２伸縮部の間の領域は、伸縮応力が比較的小さく身体に密着していない。よって、着用者の身体の動きによって使い捨ておむつの後胴回り域に長手方向に引っ張られる力が掛かった際に、当該第１伸縮部と第２伸縮部の間の領域が緩衝領域となり、身体の動きによる皮膚の伸縮変化を吸収することができる。そのため、第１伸縮部が股下側にずれることを抑制できる。また、第１伸縮部と第３伸縮部は、連なり、第２伸縮部と第３伸縮部は、連なっている。すなわち、前胴回り域の伸縮部と後胴回り域の伸縮部が、着用者の腰回りを一周覆うように配置されている。よって、第２伸縮部が股下側にずれた場合に、第３伸縮部によって元の位置に引き上げることができる。このようにして、特許文献１の吸収性物品は、ずれを抑制するように構成されている。

特開２０１５－２０２２４６号公報

　吸収性物品のずれ抑制のニーズは大きく、未だ改善の余地がある。特に、着用者の体形に吸収性物品が合っていないと、当該合っていない箇所におけるずれが生じ、着用時に吸収性物品全体のずれが生じるおそれがあった。そこで、吸収性物品のずれ下がりをより抑制できる吸収性物品を提供することを目的とする。

　一態様に係る吸収性物品は、互いに直交する長手方向及び幅方向と、前胴回り域、後胴回り域、及び前記前胴回り域及び前記後胴回り域との間に配置された股下域と、少なくとも股下域に配置された吸収コアと、を有する。前記前胴回り域及び前記後胴回り域には、前記前胴回り域及び前記後胴回り域を長手方向に分割した複数の領域が設けられている。前記複数の領域は、前記前胴回り域の前端縁から前記前胴回り域の前記長手方向の全長に対する０～２５％後方に位置する前ウエスト領域と、前記前胴回り域の前端縁から前記前胴回り域の前記長手方向の全長に対する２５～５０％後方に位置する上腹領域と、前記前胴回り域の前端縁から前記前胴回り域の前記長手方向の全長に対する５０～７５％後方に位置する下腹領域と、前記前胴回り域の前端縁から前記前胴回り域の前記長手方向の全長に対する７５～１００％後方に位置する前脚領域と、を有する。前記下腹領域の前記幅方向の収縮長さは、前記前脚領域の前記幅方向の収縮長さよりも長い。

図１は、本実施形態に係る吸収性物品の模式正面図である。 図２は、本実施形態に係る吸収性物品の展開状態の模式平面図である。 図３は、図１に示すＦ３－Ｆ３に沿った模式断面図である。 図４は、吸収性物品が着用者に装着された状態を模式的に示した図である。

　（１）実施形態の概要
　本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
　一態様に係る吸収性物品は、互いに直交する長手方向及び幅方向と、前胴回り域、後胴回り域、及び前記前胴回り域及び前記後胴回り域との間に配置された股下域と、少なくとも股下域に配置された吸収コアと、を有する。前記前胴回り域及び前記後胴回り域には、前記前胴回り域及び前記後胴回り域を長手方向に分割した複数の領域が設けられている。前記複数の領域は、前記前胴回り域の前端縁から前記前胴回り域の前記長手方向の全長に対する０～２５％後方に位置する前ウエスト領域と、前記前胴回り域の前端縁から前記前胴回り域の前記長手方向の全長に対する２５～５０％後方に位置する上腹領域と、前記前胴回り域の前端縁から前記前胴回り域の前記長手方向の全長に対する５０～７５％後方に位置する下腹領域と、前記前胴回り域の前端縁から前記前胴回り域の前記長手方向の全長に対する７５～１００％後方に位置する前脚領域と、を有する。前記下腹領域の前記幅方向の収縮長さは、前記前脚領域の前記幅方向の収縮長さよりも長い。着用者の体形は、吸収性物品の長手方向において胴回り寸法が変化する。出願人が鋭意研究したところ、着用者の腹部の胴回り寸法は、腹部の下端の凹み付近の胴回り寸法が短く、下端の凹みから股下側に向かって徐々に長くなる。吸収性物品において収縮長さが長い領域は、伸長状態から自然状態に変化する過程で、収縮する長さが長く、収縮による変化が大きい。腹部において胴回り寸法が短い部分（凹み）に当接する下腹領域の収縮長さが長く、凹みよりも膨らむ部分に当接する前脚領域の収縮長さが比較的短いため、吸収性物品自体が身体の凹凸に沿う形状に変形する。身体の凹みに吸収性物品の寸法が短い部分が配置されることで、当該凹みに吸収性物品が引っ掛かり、吸収性物品のずれを抑制できる。

　好ましい態様によれば、前記下腹領域の前記幅方向の収縮長さは、前記上腹領域の前記幅方向の収縮長さよりも長い。着用者の腹部の胴回り寸法は、腹部の下端の凹み付近の胴回り寸法が短く、下端の凹みから上側に向かって徐々に長くなる。本態様によれば、下腹領域の収縮長さが長く、凹みから膨らむ部分に当接する上腹領域及び前脚領域の収ｍｍ縮長さが比較的短いため、吸収性物品自体が身体の凹凸に沿う形状に変形する。身体の凹みに吸収性物品の寸法が短い部分が配置されることで、当該凹みに吸収性物品が引っ掛かり、吸収性物品のずれを抑制できる。

　好ましい態様によれば、前記上腹領域の前記幅方向の収縮長さは、前記前ウエスト領域の前記幅方向の収縮長さよりも長い。着用者の腹部の胴回り寸法は、腹部の下端の凹み付近の胴回り寸法が短く、下端の凹みから上側に向かって徐々に長くなる。本態様によれば、吸収性物品の胴回り寸法は、自然状態で、下腹領域、上腹領域、及び前ウエスト領域の順で長くなる。腹部の膨らみに沿う形状に、吸収性物品自体が変形することで、ずれを抑制できる。

　好ましい態様によれば、前記前ウエスト領域の前記幅方向の前記収縮長さと前記上腹領域の前記幅方向の前記収縮長さの差は、前記上腹領域の前記幅方向の前記収縮長さと前記下腹領域の前記幅方向の前記収縮長さの差よりも小さい。着用者の腹部の胴回り寸法の変化率は、一定でなく、異なっている。より詳細には、着用者の腹側の胴回り寸法の変化率は、Ｆ１２－Ｆ１１＜Ｆ１３－Ｆ１２である。当該態様によれば、吸収性物品の形状が、より身体の形状に合うこととなり、吸収性物品のずれを抑制できる。

　好ましい態様によれば、前記上腹領域の前記幅方向の収縮長さは、前記前脚領域の前記幅方向の収縮長さよりも長い。前脚領域は、足の付け根が配置され、足の動きに追従して動きやすい領域である。本態様によれば、当該前脚領域の収縮長さが比較的短いため、着用状態における前脚領域の幅方向の長さを確保し、足の付け根の動きを阻害せずに装着感を向上できる。

　好ましい態様によれば、前記下腹領域の前記幅方向の収縮長さは、前記前胴回り域のいずれの領域の収縮長さよりも長い。本態様によれば、腹部において胴回り寸法が短い部分（凹み）に当接する下腹領域の収縮長さが長く、当該凹みに吸収性物品が引っ掛かり易く、吸収性物品のずれを抑制できる。

　好ましい態様によれば、前記複数の領域は、前記後胴回り域の後端縁から前記後胴回り域の前記長手方向の全長に対する０～２５％前方に位置する後ウエスト領域と、前記後胴回り域の後端縁から前記後胴回り域の前記長手方向の全長に対する２５～５０％前方に位置する上背領域と、前記後胴回り域の後端縁から前記後胴回り域の前記長手方向の全長に対する５０～７５％前方に位置する下背領域と、前記後胴回り域の後端縁から前記後胴回り域の前記長手方向の全長に対する７５～１００％前方に位置する後脚領域と、を有する。前記上背領域の前記幅方向の収縮長さは、前記後ウエスト領域の前記幅方向の収縮長さよりも長い。着用者の背部においては、臀部の膨らみよりも上側に離れるにしたがって胴回り寸法が短くなる。上背領域は、臀部の膨らみの頂点よりも上側の部分にあたり、後ウエスト領域は、ウエスト（胴の一番細い部分）近傍に当たる。胴回り寸法の変化は、臀部の膨らみの頂点から上側に向かって徐々に少なくなり、ウエスト近傍では、ほぼ身体の外側への膨らみが少なくフラットな形状である。上背領域の収縮長さが後ウエスト領域の収縮長さよりも長いため、背部において臀部の膨らみから上側に向けて、吸収性物品自体が身体の凹凸に沿う形状に変形し、吸収性物品のずれを抑制できる。また、上背領域の収縮長さが比較的長いため、着用時に上背領域の胴回り寸法が短くなり、臀部の膨らみの上側の窪みにフィットし、吸収性物品のずれを抑制できる。また、ウエスト近傍のフラットな形状の部分に当たる後ウエスト領域の収縮長さが短く、着用時におけるウエスト周りの胴回り寸法を確保できる。よって、後ウエスト領域が収縮によって股下側へずれ下がることを抑制できる。

　好ましい態様によれば、前記上背領域の前記幅方向の収縮長さは、前記下背領域の前記幅方向の収縮長さよりも長い。下背領域は、臀部の膨らみの頂点を覆うように配置される。下背領域の幅方向の長さを確保することができ、臀部の膨らみを押圧し過ぎずに装着感を向上できる。また、臀部の膨らみの頂点の上側に位置する上背領域の幅方向の長さを短くすることで、臀部の膨らみの頂点よりも上側の窪みに吸収性物品が引っ掛かり、吸収性物品のずれ下がりを抑制できる。すなわち、背部において臀部の膨らみから上側に向けて、吸収性物品自体が身体の凹凸に沿う形状に変形し、吸収性物品のずれを抑制できる。

　好ましい態様によれば、前記後脚領域の前記幅方向の収縮長さは、前記下背領域の前記幅方向の収縮長さよも短い。本態様によれば、後脚領域の収縮長さが短く、股下域側に向かって後胴回り域の幅方向の長さを確保することができる。そのため、吸収コアが縮むことを抑制し、体液の吸収性能を確保できる。加えて、吸収コアが縮むことを抑制することで、吸収コアに意図しない皺が発生することを抑制し、意図しない皺が股下域側に連続することに起因して体液の吸収性能が低下することを抑制できる。後脚領域の収縮長さが比較的短いため、着用状態における後脚領域の幅方向の長さを確保し、足の付け根の動きを阻害せずに装着感を向上できる。

　好ましい態様によれば、上背領域の前記収縮長さと前記下背領域の前記収縮長さの差は、前記上背領域の前記収縮長さと前記後ウエスト領域の前記収縮長さの差よりも大きい。下背領域が配置される臀部の膨らみの頂点から上背領域が配置される膨らみの上側に向けては、胴回り寸法の変化率が高く、特に屈曲時の胴回り寸法の変化率が高い。本態様によれば、上背領域の収縮長さと下背領域の収縮長さの差が大きく、身体の形状により沿い易くなる。

　好ましい態様によれば、前記後ウエスト領域の収縮長さは、前記下背領域の収縮長さよりも長い。後ウエスト領域が当てられるウエスト近傍の胴回り寸法は、下背領域が当てられる臀部の膨らみ部分の胴回り寸法よりも短い。本態様によれば、吸収性物品自体が身体の凹凸に沿う形状に変形することで、身体の膨らみに吸収性物品が密着しすぎずに、当該凹みに吸収性物品が引っ掛かり、吸収性物品のずれを抑制できる。

　好ましい態様によれば、前記上背領域の前記幅方向の収縮長さは、前記後胴回り域のいずれの領域の収縮長さよりも長い。本態様によれば、臀部の膨らみの上側に当てられる上背領域の胴回り寸法を短くすることで、後胴回り域が股下側に引っ張られても、上背領域が臀部の膨らみの上側に引っ掛かり、ずれ下がりを抑制できる。

　好ましい態様によれば、前記後胴回り域において最も長い収縮長さと最も短い収縮長さの差は、前記前胴回り域において最も長い収縮長さと最も短い収縮長さの差よりも大きい。背側は、腹側よりも、着用者の脚の曲げ伸ばし等の動作時に伸び縮みし易い。吸収性物品自体の形状が身体の凹凸に対してずれていると、動作時に吸収性物品がよりずれ易くなる。本態様によれば、身体の凹凸に沿う形状を吸収性物品が実現することにより、動作時の吸収性物品の追従性が高くなり、ずれを抑制できる。

　好ましい態様によれば、前記後ウエスト領域の前記幅方向の引張り応力は、前記上背領域の前記引張り応力よりも高い。本態様によれば、後ウエスト領域は、上背領域と比較して、引張り応力が高く、身体に対する着圧が高くなりやすい。また、後ウエスト領域は、上背領域と比較して、収縮長さが短く、収縮量が少なく、身体に対する位置をキープし易い。後ウエスト領域のずれが少なく、その着圧が高いため、着用者の動作時に背側のウエスト開口と着用者との隙間が生じることを抑制できる。

　（２）吸収性物品の全体概略構成
　以下、図面を参照して、実施形態に係る吸収性物品について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。図１は、本実施形態に係る吸収性物品の模式正面図である。図２は、本実施形態に係る吸収性物品の展開状態の模式平面図である。図２は、後述するサイド接合部の接合を解除した状態において吸収性物品１を皺が形成されない状態まで伸長させた伸長状態を示している。図３は、図２におけるＦ３－Ｆ３線に沿った吸収性物品の模式断面図である。なお、説明の便宜上、図示が省略されている部材がある。また、説明の便宜上、各部材が厚さ方向において離間していたとしても、実際の製品では厚さ方向に接していることがある。

　吸収性物品１は、例えば、パンツ型の使い捨ておむつ、テープ型の使い捨ておむつ、又はショーツ型の生理用ナプキンなどである。実施形態の吸収性物品１は、パンツ型の使い捨ておむつである。図１に示すように、吸収性物品１は、長手方向Ｌ及び長手方向Ｌに直交する幅方向Ｗを有する。長手方向Ｌは、身体前側と身体後側とに延びる方向である。吸収性物品１は、長手方向Ｌと幅方向Ｗの両方の直交する厚さ方向Ｔを有する。厚さ方向Ｔは、着用者側に向かう肌面側Ｔ１と、肌面側と反対側の非肌面側Ｔ２と、に延びる。

　吸収性物品１は、着用者の腹側に配置される前胴回り域Ｓ１と、着用者の背側に配置される後胴回り域Ｓ２と、着用者の股下に配置され、前胴回り域Ｓ１及び後胴回り域の間に配置された股下域Ｓ３と、を有する。図１に示すように、吸収性物品１は、前胴回り域Ｓ１の外側部と、後胴回り域Ｓ２の外側部を接合するサイド接合部１６を有してよい。図１に示すように、サイド接合部１６が形成された状態で、吸収性物品１には、着用者の胴が通されるウエスト開口部１７と、着用者の脚がそれぞれ挿入される一対の脚回り開口部１８と、が形成される。ウエスト開口部１７は、前胴回り域Ｓ１の前端縁Ｓ１Ｆと、後胴回り域Ｓ２の後端縁Ｓ２Ｒとによって規定されていてよい。

　パンツ型の吸収性物品１においては、股下域Ｓ３は、長手方向Ｌにおけるサイド接合部１６の内端縁により規定されてよい。前胴回り域Ｓ１と股下域Ｓ３との境界は、前胴回り域Ｓ１におけるサイド接合部１６の後端縁１６Ｒによって規定されてよい。後胴回り域Ｓ２と股下域Ｓ３との境界は、後胴回り域Ｓ２におけるサイド接合部１６の前端縁１６Ｆによって規定されてよい。なお、股下域Ｓ３は、脚回り開口部１８が設けられた領域により規定されてもよい。脚回り開口部１８は、吸収性物品１の外側縁から幅方向Ｗの内側に凹む部分である。前胴回り域Ｓ１と股下域Ｓ３との境界は、脚回り開口部１８の前端縁によって規定されてよい。後胴回り域Ｓ２と股下域Ｓ３との境界は、脚回り開口部１８の後端縁によって規定されてよい。

　なお、本明細書における外側部とは、幅方向Ｗにおける外縁を含む幅方向Ｗに一定の範囲を占める部分であり、外側縁とは、幅方向Ｗにおける外縁である。本明細書における内側部とは、幅方向Ｗにおける内縁を含む幅方向Ｗに一定の範囲を占める部分であり、内側縁とは、幅方向Ｗにおける内縁である。また、本明細書における前端部及び後端部は、長手方向Ｌにおける縁を含む長手方向Ｌに一定の範囲を占める部分であり、前端縁及び後端縁は、長手方向Ｌにおける縁である。外端部は、前端部及び後端部を含んでおり、外端縁は、前端縁及び後端縁を含んでいる。

　吸収性物品１は、吸収性本体２０及び外装体５０を有してよい。吸収性本体２０は、外装体５０とは別体として構成されていてよい。吸収性本体２０は、少なくとも股下域Ｓ３に配置されている。吸収性本体２０は、股下域Ｓ３から少なくとも前胴回り域Ｓ１へ長手方向Ｌに延びてもよいし、前胴回り域Ｓ１、後胴回り域Ｓ２及び股下域Ｓ３にわたって延びてもよい。吸収性本体２０は、前胴回り域Ｓ１及び後胴回り域Ｓ２において、外装体５０と厚さ方向Ｔに重なっている。外装体５０は、前胴回り域Ｓ１と後胴回り域Ｓ２に少なくとも配置される。吸収性本体２０は、吸収体３０、表面シート４１、裏面シート４２、サイドシート４７を有してよい。吸収体３０は、吸収材料を含む吸収コア３１を少なくとも有する。吸収材料は、例えば粉砕パルプもしくは高吸収性ポリマー（ＳＡＰ）、又はこれらの混合物を含んでいてよい。吸収コア３１は、少なくとも股下域Ｓ３に配置されており、前胴回り域Ｓ１から後胴回り域Ｓ２にわたって延びていてもよい。吸収体３０は、吸収コア３１を覆うコアラップ３２を有してよい。コアラップ３２は、例えば、ティッシュ又は不織布によって構成されていてよい。

　吸収体３０は、周囲よりも吸収材料の坪量が低い低坪量部ＬＲを有してよい。本実施形態では、低坪量部ＬＲには、厚さ方向Ｔにおいて吸収コア３１が配置されずコアラップ３２が配置されている。従って、低坪量部ＬＲの吸収材料の坪量は０である。なお、吸収材料の坪量が０とは、実質的に０であればよく、低坪量部ＬＲには、吸収コア３１が実質的に存在しなければよい。低坪量部ＬＲには、周囲の吸収コア３１の一部が流入することで存在してもよい。

　表面シート４１は、吸収体３０よりも肌面側Ｔ１に位置する。表面シート４１の少なくとも一部（例えば、サイドシート４７によって覆われていない部分）は、吸収性物品において最も肌面側Ｔ１に配置され、着用者の肌に当接する。表面シート４１は、液透過性を有していればよく、例えば、不織布によって構成されていてよい。裏面シート４２は、吸収体３０よりも非肌面側Ｔ２に位置する。裏面シート４２は、液不透過性を有していればよく、例えば、フィルムによって構成されてよい。サイドシート４７は、吸収コア３１の幅方向Ｗの中心よりも幅方向Ｗの外側に配置される。サイドシート４７は、表面シートの肌面側Ｔ１に配置されてよい。サイドシート４７は、例えば、不織布によって構成されていてよい。

　外装体５０は、吸収性本体２０よりも非肌面側Ｔ２に配置されてよい。外装体５０は、複数のシート部材により構成されてよい。複数のシート材は、例えば不織布により構成されてよい。前胴回り域Ｓ１の外装体と後胴回り域Ｓ２の外装体は、長手方向Ｌに離間してよい。外装体５０は、前胴回り域Ｓ１及び後胴回り域Ｓ２において幅方向Ｗに伸長した状態で配置されているウエスト弾性部材５５を有してよい。ウエスト弾性部材５５は、幅方向Ｗに延びている糸状又は紐状の弾性部材によって構成されてもよいし、シート状の弾性部材によって構成されてよい。

　本実施の形態の吸収性物品１は、吸収性物品１のずれ下がりを抑制できるように構成されている。次いで、吸収性物品１のずれ下がりを抑制する構成について詳細に説明する。前胴回り域Ｓ１及び後胴回り域Ｓ２には、前胴回り域Ｓ１及び後胴回り域Ｓ２を長手方向Ｌに分割した複数の領域が設けられている。各領域は、それぞれ適切な収縮長さとなるように構成されている。収縮長さの違いによって各領域が異なる態様で変形し、吸収性物品１がずれ下がり難く構成されている。複数の領域は、前胴回り域Ｓ１の前端縁Ｓ１Ｆから前胴回り域Ｓ１の長手方向Ｌの全長に対する０～２５％後方に位置する前ウエスト領域Ｆ１１と、前胴回り域Ｓ１の前端縁Ｓ１Ｆから前胴回り域Ｓ１の長手方向Ｌの全長に対する２５～５０％後方に位置する上腹領域Ｆ１２と、前胴回り域Ｓ１の前端縁Ｓ１Ｆから前胴回り域Ｓ１の長手方向Ｌの全長に対する５０～７５％後方に位置する下腹領域Ｆ１３と、前胴回り域Ｓ１の前端縁Ｓ１Ｆから前胴回り域Ｓ１の長手方向Ｌの全長に対する７５～１００％後方に位置する前脚領域Ｆ１４と、後胴回り域Ｓ２の後端縁Ｓ２Ｒから後胴回り域Ｓ２の長手方向Ｌの全長に対する０～２５％前方に位置する後ウエスト領域Ｒ１１と、後胴回り域Ｓ２の後端縁Ｓ２Ｒから後胴回り域Ｓ２の長手方向Ｌの全長に対する２５～５０％前方に位置する上背領域Ｒ１２と、後胴回り域Ｓ２の後端縁から後胴回り域Ｓ２の長手方向Ｌの全長に対する５０～７５％前方に位置する下背領域Ｒ１３と、後胴回り域Ｓ２の後端縁から後胴回り域Ｓ２の長手方向Ｌの全長に対する７５～１００％前方に位置する後脚領域Ｒ１４と、を有する。

　収縮長さにおける各領域は、吸収性物品１全体の領域（外装体５０と吸収性本体２０を合わせた領域）である。各領域の幅方向Ｗの収縮長さの測定は、以下の方法によって得ることができる。吸収性物品１を、温度２３℃±２℃、湿度５０％±５％の環境下で２時間放置した後に、吸収性物品１を皺が見えなくなるまで伸長させた状態で、前胴回り域Ｓ１及び後胴回り域Ｓ２の領域の境界に印を付すとともに、各領域の幅方向Ｗの長さを測定する。サイド接合部を有する吸収性物品にあっては、各領域の幅方向Ｗの長さは、サイド接合部の内側縁間の長さとする。領域内で幅方向の長さが変化する場合には、最も長い部分の長さと最も短い部分の長さの平均値を用いる。次いで、サイド接合部１６を有する吸収性物品１は、サイド接合部１６を引き裂いて、前胴回り域Ｓ１と後胴回り域Ｓ２を分離する。前胴回り域Ｓ１及び後胴回り域Ｓ２に吸収性本体２０が接合されている場合には、接合を解除せずに、領域毎に切断し、試験片を得る。台の上に試験片をのせて６０分放置し、試験片を自然状態とする。次いで、試験片の上に５ｍｍのアクリル板を乗せて、台とアクリル板によって試験片を挟み、試験片の幅方向の長さを測定する。試験片が湾曲する場合には、ソフトメジャーを湾曲させて測定する。なお、吸収体が領域に配置されている場合には、吸収体の厚みによって、台とアクリル板によって試験片を挟み難いため、吸収体が３ｍｍ以上の場合には、吸収体を除去して測定する。収縮長さは、以下の（式１）によって算出できる。
（式１）　収縮長さ＝伸長状態の長さ―自然状態の長さ（単位：ｍｍ）

　実施例１及び実施例２にかかる吸収性物品１にて得られた収縮長さの測定データを表１に示す。

　図４は、吸収性物品１が着用者に装着された状態を模式的に示した図である。図４は、立った状態における側面側の装着状態を示した図である。着用者の身体のラインを一点鎖線ＢＬで示す。図４に示すように、着用者の体形は、腹側と背側で異なり、吸収性物品１の長手方向Ｌにおいて胴回り寸法が変化する。出願人が鋭意研究したところ、着用者の腹部の胴回り寸法は、腹部の下端の凹み付近の胴回り寸法が短く、下端の凹みから股下側に向かって徐々に長くなる。吸収性物品１において収縮長さが長い領域は、伸長状態から自然状態（装着補助者等が幅方向に引張り力を除去した状態）に変化する過程で、収縮する長さが長く、収縮による変化が大きい。そのため、吸収性物品１において収縮長さが長い領域は、着用状態において胴回りに沿う寸法が短くなり、身体の凹んでいる部分に対してフィットし易い。本実施の形態の吸収性物品１において、下腹領域Ｆ１３の幅方向Ｗの収縮長さは、前脚領域Ｆ１４の幅方向Ｗの収縮長さよりも長い。すなわち、収縮長さの関係は、Ｆ１３＞Ｆ１４を満たす。腹部において胴回り寸法が短い部分（凹み）に当接する下腹領域Ｆ１３の収縮長さが長く、凹みよりも膨らむ部分に当接する前脚領域Ｆ１４の収縮長さが比較的短いため、吸収性物品１自体が身体の凹凸に沿う形状に変形する。身体の凹みに吸収性物品１の寸法が短い部分が配置されることで、当該凹みに吸収性物品１が引っ掛かり、吸収性物品１のずれを抑制できる。

　下腹領域Ｆ１３の幅方向Ｗの収縮長さは、上腹領域Ｆ１２の幅方向Ｗの収縮長さよりも長くてよい。すなわち、収縮長さの関係は、Ｆ１３＞Ｆ１２を満たしてよい。着用者の腹部の胴回り寸法は、腹部の下端の凹み付近の胴回り寸法が短く、下端の凹みから上側に向かって徐々に長くなる。下腹領域Ｆ１３の収縮長さが長く、凹みから膨らむ部分に当接する上腹領域Ｆ１２及び前脚領域Ｆ１４の収縮長さが比較的短いため、吸収性物品１自体が身体の凹凸に沿う形状に変形する。吸収性物品１の寸法が短い部分が身体の凹みに配置されることで、当該凹みに吸収性物品１が引っ掛かり、吸収性物品１のずれを抑制できる。また、仮に、上腹領域Ｆ１２の収縮長さが下腹領域Ｆ１３の収縮長さよりも長いと、上腹領域Ｆ１２によって膨らむ部分を圧迫してしまったり上腹領域Ｆ１２が腹の凹み側にずれたりする不具合が生じるおそれがある。しかし、身体の形状に吸収性物品１が沿うことにより、当該不具合を抑制できる。

　上腹領域Ｆ１２の幅方向Ｗの収縮長さは、前ウエスト領域Ｆ１１の幅方向Ｗの収縮長さよりも長くてよい。すなわち、収縮長さの関係は、Ｆ１２＞Ｆ１１を満たしてよい。着用者の腹部の胴回り寸法は、腹部の下端の凹み付近の胴回り寸法が短く、下端の凹みから上側に向かって徐々に長くなる。自然状態における吸収性物品１の胴回り寸法は、下腹領域Ｆ１３、上腹領域Ｆ１２、及び前ウエスト領域Ｆ１１の順で長くなる。腹部の膨らみに沿う形状に、吸収性物品１自体が変形することで、ずれを抑制できる。また、前ウエスト領域Ｆ１１が配置されるへその近傍は、足の曲げ伸ばし時等に動きやすい部分である。動きやすい部分を覆う領域の収縮長さを短くすることで、吸収性物品１が身体に密着して身体の動きに吸収性物品１が追従し過ぎることによる吸収性物品１の移動を抑制し、吸収性物品１のたくれを抑制できる。

　前ウエスト領域Ｆ１１の幅方向Ｗの収縮長さと上腹領域Ｆ１２の幅方向Ｗの収縮長さの差は、上腹領域Ｆ１２の幅方向Ｗの収縮長さと下腹領域Ｆ１３の幅方向Ｗの収縮長さの差よりも小さくてよい。すなわち、収縮長さの関係は、Ｆ１２－Ｆ１１＜Ｆ１３－Ｆ１２を満たしてよい。着用者の腹部の胴回り寸法の変化率は、一定でなく、異なっている。より詳細には、着用者の腹側の胴回り寸法の変化率は、Ｆ１２－Ｆ１１＜Ｆ１３－Ｆ１２である。当該態様によれば、吸収性物品の形状が、より身体の形状に合うこととなり、吸収性物品のずれを抑制できる。

　上腹領域Ｆ１２の幅方向Ｗの収縮長さは、前脚領域Ｆ１４の幅方向Ｗの収縮長さよりも長くてよい。すなわち、収縮長さの関係は、Ｆ１２＞Ｆ１４を満たしてよい。前脚領域Ｆ１４は、足の付け根が配置され、足の動きに追従して動きやすい領域である。前脚領域Ｆ１４の収縮長さを比較的短くすることにより、着用状態における前脚領域Ｆ１４の幅方向の長さを確保し、足の付け根の動きを阻害せずに装着感を向上できる。好適には、前脚領域Ｆ１４の幅方向Ｗの収縮長さは、前胴回り域Ｓ１のいずれの領域の収縮長さよりも短くてよい。すなわち、収縮長さの関係は、Ｆ１４＜Ｆ１１、Ｆ１４＜Ｆ１２、Ｆ１４＜Ｆ１３を満たしてよい。前脚領域Ｆ１４の幅方向Ｗの収縮長さが短いため、足の動きを阻害せず、装着感をより向上できる。

　下腹領域Ｆ１３の幅方向Ｗの収縮長さは、前胴回り域Ｓ１のいずれの領域の収縮長さよりも長くてよい。すなわち、収縮長さの関係は、Ｆ１３＞Ｆ１１、Ｆ１３＞Ｆ１２、Ｆ１３＞Ｆ１４を満たしてよい。着用者の腹部の胴回り寸法は、腹部の下端の凹み付近の胴回り寸法が最も短い。腹部において胴回り寸法が短い部分（凹み）に当接する下腹領域Ｆ１３の収縮長さが長く、当該凹みに吸収性物品が引っ掛かり易く、ずれを抑制できる。

　着用者の背部においては、臀部の膨らみよりも上側に離れるにしたがって胴回り寸法が短くなる。臀部の膨らみの頂点は、下背領域Ｒ１３によって覆われる。上背領域Ｒ１２及び後ウエスト領域Ｒ１１によって覆う部分は、下背領域Ｒ１３によって覆う部分よりも凹んでいる。上背領域Ｒ１２の幅方向Ｗの収縮長さは、下背領域Ｒ１３の幅方向の収縮長さよりも長くてよい。すなわち、収縮長さの関係は、Ｒ１２＞Ｒ１３を満たしてよい。下背領域Ｒ１３は、臀部の膨らみの頂点を覆うように配置される。下背領域Ｒ１３の幅方向Ｗの長さを確保することができ、臀部の膨らみを押圧し過ぎずに装着感を向上できる。また、臀部の膨らみの頂点の上側に位置する上背領域Ｒ１２の自然状態の幅方向Ｗの長さを短くすることで、臀部の膨らみの頂点よりも上側の部分に吸収性物品１が引っ掛かり、吸収性物品１のずれ下がりを抑制できる。すなわち、背部において臀部の膨らみから上側に向けて、吸収性物品１自体が身体の凹凸に沿う形状に変形し、吸収性物品１のずれを抑制できる。また、下背領域Ｒ１３が配置される臀部の頂点近傍は、足の曲げ伸ばし時等に動きやすい部分である。動きやすい部分を覆う領域の収縮長さを短くすることで、身体の動きに吸収性物品が追従し過ぎることによる吸収性物品の移動を抑制し、吸収性物品のたくれを抑制できる。加えて、下背領域Ｒ１３は、排出された便に対向して配置される。仮に下背領域Ｒ１３の収縮長さが長いと、便が体に密着し、装着感が悪化するおそれがある。しかし、下背領域Ｒ１３は、比較的収縮長さが短く、身体に密着しない。よって、排出された便を体に密着させずに収容し続けることができ、装着感の悪化を抑制できる。

　上背領域Ｒ１２の幅方向の収縮長さは、後ウエスト領域Ｒ１１の幅方向の収縮長さよりも長くてよい。すなわち、収縮長さの関係は、Ｒ１２＞Ｒ１１を満たしてよい。着用者の背部においては、臀部の膨らみよりも上側に離れるにしたがって胴回り寸法が短くなる。上背領域Ｒ１２は、臀部の膨らみの頂点よりも上側の部分にあたり、後ウエスト領域Ｒ１１は、ウエスト（胴の一番細い部分）近傍に当たる。胴回り寸法の変化は、臀部の膨らみの頂点から上側に向かって徐々に少なくなり、ウエスト近傍では、ほぼ身体の外側への膨らみが少なくフラットな形状である。上背領域Ｒ１２の収縮長さが後ウエスト領域Ｒ１１の収縮長さよりも長いため、背部において臀部の膨らみから上側に向けて、吸収性物品１自体が身体の凹凸に沿う形状に変形し、吸収性物品１のずれを抑制できる。また、上背領域Ｒ１２の収縮長さが比較的長いため、着用時に上背領域の胴回り寸法が短くなり、臀部の膨らみの上側の窪みにフィットし、吸収性物品のずれを抑制できる。また、ウエスト近傍のフラットな形状の部分に当たる後ウエスト領域の収縮長さが短く、着用時におけるウエスト周りの胴回り寸法を確保できる。よって、後ウエスト領域が収縮によって股下側へずれ下がることを抑制できる。

　後脚領域Ｒ１４の幅方向の収縮長さは、下背領域Ｒ１３の幅方向の収縮長さよりも短くてよい。すなわち、収縮長さの関係は、Ｒ１４＜Ｒ１３を満たしてよい。後脚領域Ｒ１４の収縮長さが短く、股下域Ｓ３側に向かって後胴回り域Ｓ２の幅方向の長さを確保することができる。そのため、吸収コア３１が縮むことを抑制し、体液の吸収性能を確保できる。加えて、吸収コア３１が縮むことを抑制することで、吸収コア３１に意図しない皺が発生することを抑制し、意図しない皺が股下域Ｓ３側に連続することに起因して体液の吸収性能が低下することを抑制できる。更に、後脚領域Ｒ１４は、足の付け根が配置され、足の動きに追従して動きやすい領域である。後脚領域Ｒ１４の収縮長さを短くすることにより、足の付け根の動きを阻害せずに装着感を向上できる。好適には、後脚領域Ｒ１４の幅方向Ｗの収縮長さは、後胴回り域Ｓ２のいずれの領域の収縮長さよりも短くてよい。すなわち、収縮長さの関係は、Ｒ１４＜Ｒ１１、Ｒ１４＜Ｒ１２、Ｒ１４＜Ｒ１３を満たしてよい。後脚領域Ｒ１４は、足の付け根が配置され、足の動きに追従して動きやすい領域である。当該後脚領域Ｒ１４の収縮長さを短くすることにより、足の付け根の動きを阻害せずに装着感を向上できる。

　上背領域Ｒ１２の収縮長さと下背領域Ｒ１３の収縮長さの差は、上背領域Ｒ１２の収縮長さと後ウエスト領域Ｒ１１の収縮長さの差よりも大きくてよい。すなわち、収縮長さの関係は、Ｒ１２－Ｒ１３＞Ｒ１２―Ｒ１１を満たしてよい。着用者の背部の胴回り寸法は、臀部の膨らみの頂点から上側に向かって膨らむ程度が変化している。下背領域Ｒ１３が配置される臀部の膨らみの頂点から上背領域Ｒ１２が配置される膨らみの上側に向けては、胴回り寸法の変化率が高く、特に屈曲時の胴回り寸法の変化率が高い。上背領域Ｒ１２の収縮長さと下背領域Ｒ１３の収縮長さの差が大きく、身体の形状に吸収性物品がより沿い易くなる。

　後ウエスト領域Ｒ１１の収縮長さは、下背領域Ｒ１３の収縮長さよりも長くてよい。すなわち、収縮長さの関係は、Ｒ１１＞Ｒ１３を満たしてよい。後ウエスト領域Ｒ１１が当てられるウエスト近傍の胴回り寸法は、下背領域Ｒ１３が当てられる臀部の膨らみ部分の胴回り寸法よりも短い。着用状態において吸収性物品１自体が身体の凹凸に沿う形状に変形することで、身体の膨らみに吸収性物品１が密着しすぎずに、当該凹みに吸収性物品１が引っ掛かり、吸収性物品１のずれを抑制できる。

　上背領域Ｒ１２の幅方向の収縮長さは、後胴回り域Ｓ２のいずれの領域の収縮長さよりも長くてよい。すなわち、収縮長さの関係は、Ｒ１２＞Ｒ１１、Ｒ１２＞Ｒ１３、Ｒ１２＞Ｒ１４を満たしてよい。臀部の膨らみの上側に当てられる上背領域Ｒ１２の胴回り寸法を短くすることで、後胴回り域Ｓ２が股下域Ｓ３側に引っ張られても、上背領域Ｒ１２が臀部の膨らみの上側に引っ掛かり、ずれ下がりを抑制できる。

　後胴回り域Ｓ２において最も長い収縮長さと最も短い収縮長さの差は、前胴回り域Ｓ１において最も長い収縮長さと最も短い収縮長さの差よりも大きくてよい。本実施の形態では、後胴回り域Ｓ２において最も収縮長さが長い上背領域Ｒ１２の収縮長さと後胴回り域Ｓ２において最も収縮長さが短い後脚領域Ｒ１４との差は、前胴回り域Ｓ１において最も収縮長さが長い下腹領域Ｆ１３の収縮長さと前胴回り域Ｓ１において最も収縮長さが短い前脚領域Ｆ１４との差よりも大きい。背側は、腹側よりも、着用者の脚の曲げ伸ばし等の動作時に伸び縮みし易い。吸収性物品１自体の形状が身体の凹凸に対してずれていると、動作時に吸収性物品１がよりずれ易くなる。しかし、身体の凹凸に沿う形状を吸収性物品１が実現することにより、動作時の吸収性物品１の追従性が高くなり、ずれを抑制できる。

　また、吸収性物品１の各領域は、それぞれ適切な引張り応力となるように構成されている。引張り応力の違いによって各領域が異なる態様で変形し、吸収性物品１がずれ下がり難く構成されている。引張り応力における各領域は、外装体５０の領域（吸収性本体２０を含まない領域）である。各領域の規定及び引張り応力の測定は、以下の方法によって得ることができる。サイド接合部１６を有する吸収性物品１は、サイド接合部１６を引き裂いて、前胴回り域Ｓ１と後胴回り域Ｓ２を分離する。次に、外装体５０から吸収性本体２０を分離する。外装体５０を、温度２３℃±２℃、湿度５０％±５％の環境下で２時間放置した後に、外装体５０を皺が見えなくなるまで伸長させた状態で、前胴回り域Ｓ１及び後胴回り域Ｓ２の領域の境界に印を付す。当該印に基づいて外装体５０を切断し、複数の領域に分割した試験片を得ることができる。次に、切り出した試験片の両端部（５ｍｍ幅）を引張試験器（インストロン）のチャック（挟持具）によって挟持する。このとき、チャック間の距離を１００ｍｍとする。次に、幅方向Ｗにおけるチャックの一方を固定した状態で、チャック間の距離を変えるようにチャックのもう一方を移動させる。このときのチャックの移動スピードは、２５４ｍｍ／ｍｉｎとする。チャックの移動中に、チャックに係る応力を測定し、伸長状態から７０％（一定幅）の状態で得られた応力（Ｎ）を「引張り応力」と定義する。上記実施例２にかかる吸収性物品１にて得られた引張り応力の測定データを表２に示す。なお、表２においては、実施例２にかかる測定結果のみを示しているが、以下の説明における引張り応力の関係は、実施例１にかかる吸収性物品においても同様である。

　上述のように、着用者の体形は、腹側と背側で異なり、吸収性物品１の長手方向Ｌにおいて胴回り寸法が変化する。出願人が鋭意研究したところ、着用者の腹部においては、腹部の下端の凹み付近の胴回り寸法が最も短く、腹部の下端の凹みから上側及び股下側に向かって胴回り寸法が長くなる。また、着用者の背部においては、臀部の膨らみよりも上側に離れるにしたがって胴回り寸法が短くなり、ウエスト（胴の一番細い部分）近傍では、胴回り寸法の変化が少なく、ほぼ身体の外側への膨らみが少なくフラットな形状である。吸収性物品１において応力が大きい領域は、身体に対して密着する。このとき、例えば、応力が大きい領域が身体の胴回り寸法が比較的長い部分に密着すると、応力が大きい領域が吸収性物品１の収縮によって胴回り寸法が短い部分に移動することで吸収性物品１がずれてしまうことがある。しかし、本実施の形態において、下腹領域Ｆ１３の幅方向Ｗの引張り応力は、前胴回り域Ｓ１のいずれの領域の引張り応力よりも大きい。すなわち、引張り応力の関係は、Ｆ１３＞Ｆ１１、Ｆ１３＞Ｆ１２、Ｆ１３＞Ｆ１４を満たす。また、後ウエスト領域Ｒ１１の幅方向Ｗの引張り応力は、後胴回り域Ｓ２のいずれの領域の引張り応力よりも大きい。すなわち、引張り応力の関係は、Ｒ１１＞Ｒ１２、Ｒ１１＞Ｒ１３、Ｒ１１＞Ｒ１４を満たす。腹部において最も胴回り寸法が短い部分に当接する下腹領域Ｆ１３の引張り応力が最も大きく、背部において最も胴回り寸法が短い部分に当接する後ウエスト領域Ｒ１１の引張り応力がもっとも大きく、身体の胴回り寸法が短い部分に最も応力が大きい領域が当たる。身体の最も凹んだ部分に最も大きい応力の領域を当てることで、吸収性物品１の収縮によって吸収性物品１が身体の形状にフィットし、吸収性物品１が長手方向Ｌにずれることを抑制できる。すなわち、身体の凹みに応力が大きい領域を配置することで、身体の形状と吸収性物品１の応力が合い、吸収性物品１のずれを抑制できる。加えて、比較的応力が大きい後ウエスト領域Ｒ１１は、身体がフラットな形状となる背側のウエスト近傍にフィットするため、フィット時の長手方向Ｌのずれが生じ難く、適した吸収性物品１の位置を維持し続け易い。

　上背領域Ｒ１２の幅方向Ｗの引張り応力は、下背領域Ｒ１３の幅方向Ｗの引張り応力よりも大きくてよい。すなわち、引張り応力の関係は、Ｒ１２＞Ｒ１３を満たしてよい。後胴回り域Ｓ２の引張り応力は、下背領域Ｒ１３、上背領域Ｒ１２、及び後ウエスト領域Ｒ１１の順で徐々に大きくなる。下背領域Ｒ１３は、着用者の臀部の膨らみを覆う部分である。背側の胴回り寸法は、臀部の膨らみから上側に向かって徐々に短くなる。身体の胴回り寸法が小さくなるにつれて、吸収性物品１の応力を大きくすることで、着用者の体形に吸収性物品１を沿わせ、吸収性物品１の長手方向Ｌのずれを抑制できる。加えて、下背領域Ｒ１３は、排出された便に対向して配置される。仮に下背領域Ｒ１３の引張り応力が大きいと、便が体に密着し、装着感が悪化するおそれがある。しかし、下背領域Ｒ１３は、後ウエスト領域Ｒ１１及び上背領域Ｒ１２と比較して応力が小さく、身体に密着しない。よって、排出された便を体に密着させずに収容し続けることができ、装着感の悪化を抑制できる。また、下背領域Ｒ１３が覆う臀部の膨らみ部分は、動作時に身体が動きやすい部分である。当該動作時に身体が動きやすい部分に吸収性物品１が密着しすぎないことにより、身体の動きに起因して吸収性物品１がたくれ難くなり、ずれを抑制できる。

　下背領域Ｒ１３の幅方向Ｗの引張り応力は、後脚領域Ｒ１４の幅方向Ｗの引張り応力よりも大きくてよい。すなわち、引張り応力の関係は、Ｒ１３＞Ｒ１４を満たし、Ｒ１１＞Ｒ１２＞Ｒ１３＞Ｒ１４を満たしてよい。後胴回り域Ｓ２の引張り応力は、後脚領域Ｒ１４、下背領域Ｒ１３、上背領域Ｒ１２、及び後ウエスト領域Ｒ１１の順で徐々に大きくなる。背側の胴回り寸法は、臀部の膨らみから股下側に向かって短くなる。そのため、下背領域Ｒ１３が配置される部分の胴回り寸法よりも、後脚領域Ｒ１４が配置される部分の胴回り寸法の方が短い。しかし、後脚領域Ｒ１４は、足の付け根が配置され、足の動きに追従して動きやすい領域である。当該後脚領域Ｒ１４の引張り応力を比較的小さくすることにより、足の付け根の動きを阻害せずに装着感を向上できる。

　前ウエスト領域Ｆ１１の幅方向Ｗの引張り応力は、上腹領域Ｆ１２の幅方向Ｗの引張り応力よりも小さくてよい。すなわち、引張り応力の関係は、Ｆ１１＜Ｆ１２を満たしてよい。着用者の腹部の胴回り寸法は、腹部の下端の凹みが最も短く、当該凹みから上側に離れるにしたがって長くなる。前胴回り域Ｓ１の引張り応力は、下腹領域Ｆ１３、上腹領域Ｆ１２、及び前ウエスト領域Ｆ１１の順で徐々に大きくなる。身体の胴回り寸法が小さくなるにつれて吸収性物品１の応力を大きくすることで、着用者の体形に吸収性物品１を沿わせ、吸収性物品１の長手方向Ｌのずれを抑制できる。また、前ウエスト領域Ｆ１１が覆う腹の膨らみ部分は、動作時に身体が動きやすい部分である。当該動作時に身体が動きやすい部分に吸収性物品１が密着しすぎないことにより、身体の動きに起因して吸収性物品１がたくれ難くなり、ずれを抑制できる。

　下腹領域Ｆ１３の幅方向Ｗの引張り応力は、前ウエスト領域Ｆ１１の幅方向Ｗの引張り応力、上腹領域Ｆ１２の幅方向Ｗの引張り応力、及び前脚領域Ｆ１４の幅方向Ｗの引張り応力の合計値以下であってよい。すなわち、引張り応力の関係は、Ｆ１３＜Ｆ１１＋Ｆ１２＋Ｆ１４、又はＦ１３＝Ｆ１１＋Ｆ１２＋Ｆ１４を満たしてよい。下腹領域Ｆ１３の引張り応力が周囲と比較して大き過ぎると、吸収性物品１のずれ下がりを抑制できる一方で、局所的な締め付けによって装着感が悪化するおそれがある。下腹領域Ｆ１３の引張り応力が、前胴回り域Ｓ１の他の領域の引張り応力の合計値以下であることにより、前胴回り域Ｓ１の全体の着圧に対して下腹領域Ｆ１３が突出し過ぎず、違和感を抑制しつつずれ下がりを抑制できる。

　前胴回り域Ｓ１の領域の引張り応力の関係は、Ｆ１３＞Ｆ１２＞Ｆ１１＞Ｆ１４を満たしてよい。腹部の胴回りの周長に合わせて引張り応力の関係を配置することができ、比較的周長が短い下腹領域Ｆ１３に吸収性物品１をフィットさせることができる、かつ足回りの弾性部材の跡がつきやすい前脚領域Ｆ１４において応力をさげることにより、太もも付近を締め付けずに着用者の装着感を向上できる。

　後ウエスト領域Ｒ１１の幅方向Ｗの引張り応力は、他のいかなる領域の引張り応力よりも大きい。すなわち、引張り応力の関係は、Ｒ１１＞Ｆ１１、Ｒ１１＞Ｆ１２、Ｒ１１＞Ｆ１３、Ｒ１１＞Ｆ１４を満たす。背部において身体の最も凹んだ部分に最も大きい応力を当てることで、吸収性物品１の収縮によって吸収性物品１が長手方向Ｌにずれることを抑制できる。また、後ウエスト領域Ｒ１１の幅方向Ｗの引張り応力が、他のいかなる領域の引張り応力よりも大きいため、腹部に対する着圧を抑えつつ、背部の着圧を高めることでずれを抑制できる。着用者の腹部に対する圧迫感を抑えることができ、装着感を向上できる。

　後胴回り域Ｓ２の４つの領域の幅方向Ｗの引張り応力の合計値は、前胴回り域Ｓ１の４つの領域の幅方向Ｗの引張り応力の合計値よりも大きくてよい。すなわち、引張り応力の関係は、Ｒ１１＋Ｒ１２＋Ｒ１３＋Ｒ１４＞Ｆ１１＋Ｆ１２＋Ｆ１３＋Ｆ１４を満たす。着用者の体形は、腹部と背部で異なり、腹側の方が背側よりも膨らんでいる。前胴回り域Ｓ１の複数の領域の引張り応力の合計値が比較的小さく、身体の膨らみが多い腹側に対して締め付けすぎず、かつ後胴回り域Ｓ２の複数の領域の引張り応力の合計値が比較的大きく、身体の膨らみが少ない背側に対して吸収性物品１がフィットし、装着感の向上とずれの抑制を両立できる。

　前ウエスト領域Ｆ１１の幅方向Ｗの引張り応力と後ウエスト領域Ｒ１１の幅方向Ｗの引張り応力の合計値は、下腹領域Ｆ１３の幅方向Ｗの引張り応力と下背領域Ｒ１３の幅方向Ｗの引張り応力の合計値よりも大きくてよい。すなわち、引張り応力の関係は、Ｆ１１＋Ｒ１１＞Ｆ１３＋Ｒ１３を満たしてよい。着用状態において、前胴回り域Ｓ１と後胴回り域Ｓ２は、連なっており、両者が連携して着用者の胴回りを覆う。着用者の胴回り一周の寸法は、下腹近傍よりもウエスト開口近傍において短くなりやすい。ウエスト開口近傍の引張り応力の合計値を大きくすることにより、身体の前後を足した周長にあった応力設計にでき、吸収性物品１のずれを抑制できる。

　前ウエスト領域Ｆ１１の幅方向Ｗの引張り応力と後ウエスト領域Ｒ１１の幅方向Ｗの引張り応力の合計値、及び下腹領域Ｆ１３の幅方向Ｗの引張り応力と下背領域Ｒ１３の幅方向の引張り応力の合計値は、上腹領域Ｆ１２の幅方向Ｗの引張り応力と上背領域Ｒ１２の幅方向Ｗの引張り応力の合計値よりも大きくてよい。すなわち、引張り応力の関係は、Ｆ１１＋Ｒ１１＞Ｆ１２＋Ｒ１２を満たし、Ｆ１３＋Ｒ１３＞Ｆ１２＋Ｒ１２を満たしてよい。胴回りの周長は、ウエスト開口近傍において最も短く、ウエスト開口から股下側に向かって長くなる。長くなる理由は、腹のふくらみと臀部の頂点からの傾斜とによるものである。腹のふくらみと臀部の頂点からの傾斜は、主に上腹領域Ｆ１２と上背領域Ｒ１２に対応する。上腹領域Ｆ１２と上背領域Ｒ１２の引張り応力の合算値が前ウエスト領域Ｆ１１の引張り応力と後ウエスト領域Ｒ１１の引張り応力の合算値よりも小さいことにより、身体のふくらみを締め付けずに、身体に沿って吸収性物品１が配置される。胴回りの周長は、腹のふくらみと臀部の頂点からの傾斜よりも股下側に向かって、下腹部の凹みによって短くなる。下腹領域Ｆ１３の引張り応力と下背領域Ｒ１３の引張り応力の合算値は、上腹領域Ｆ１２と上背領域Ｒ１２の引張り応力の合算値よりも大きく、下腹部の凹みにフィットする。ウエスト開口近傍から腹部の下端までの領域が、身体の周長に合わせて配置され、局所的な締め付けによる装着感の悪化を抑制しつつ、吸収性物品１全体のずれを抑制できる。

　後ウエスト領域Ｒ１１の幅方向Ｗの引張り応力と上背領域Ｒ１２の幅方向Ｗの引張り応力の合計値は、下腹領域Ｆ１３の幅方向Ｗの引張り応力と後脚領域Ｒ１４の幅方向Ｗの引張り応力の合計値よりも大きくてよい。すなわち、引張り応力の関係は、Ｒ１１＋Ｒ１２＞Ｒ１３＋Ｒ１４を満たしてよい。背部の身体の形状は、上側の方が窪んでおり、後ウエスト領域Ｒ１１及び上背領域Ｒ１２は、背部において比較的窪んでいる領域である。当該背部の窪んでいる部分を、強い応力でフィットさせることにより、吸収性物品１のずれを抑制する。また、後ウエスト領域Ｒ１１の幅方向Ｗの引張り応力と上背領域Ｒ１２の幅方向Ｗの引張り応力の合計値は、下腹領域Ｆ１３の幅方向Ｗの引張り応力と後脚領域Ｒ１４の幅方向Ｗの引張り応力の合計値よりも大きくてよい。すなわち、引張り応力の関係は、Ｆ１１＋Ｆ１２＞Ｆ１３＋Ｆ１４を満たしてよい。腹部の身体の形状は、下側の方が窪んでおり、下腹領域Ｆ１３及び前脚領域Ｆ１４は、腹部において比較的窪んでいる領域である。当該腹部の窪んでいる部分を、強い応力でフィットさせることにより、吸収性物品１のずれを抑制する。下腹領域Ｆ１３の幅方向Ｗの引張り応力と前脚領域Ｆ１４の幅方向Ｗの平均値よりも大きくてよい。引張り応力の関係は、Ｒ１１＋Ｒ１２＞Ｆ１３＋Ｆ１４を満たしてよい。後ウエスト領域Ｒ１１及び上背領域Ｒ１２は、背部において比較的凹んでいる領域である。また、下腹領域Ｆ１３及び前脚領域Ｆ１４は、腹部において比較的凹んでいる領域である。腹部及び背部において凹んでいる領域に対して強く締め、ずれ下がりを抑制できる。また、腹側よりも背側を強く締め付けることで、背側の上に向かって引っ張る力を大きくし、腹側が下にずれる方向と逆の力を加えられる。よって、吸収性物品１がずれ下がることを抑制できる。

　後ウエスト領域のＲ１１の幅方向Ｗの引張り応力は、下腹領域Ｆ１３の幅方向Ｗの引張り応力よりも大きくてよい。すなわち、引張り応力の関係は、Ｒ１１＞Ｆ１３を満たしてよい。前胴回り域Ｓ１において下腹領域の引張り応力が最も大きく、後胴回り域Ｓ２において後ウエスト領域の引張り応力が最も大きく、装着状態において下腹領域と後ウエスト領域が互いに引っ張り合う。このとき、後ウエスト領域の引張り応力が下腹領域の引張り応力よりも大きいため、腹の中央から身体の側部に向かって斜め上方向の力が作用する。よって、尿等の体液の吸収時に股下域側の力が作用しても、吸収性物品１の引き下がりを抑制できる。

　上背領域のＲ１２の幅方向Ｗの引張り応力は、下腹領域Ｆ１３の幅方向Ｗの引張り応力よりも大きくてよい。すなわち、引張り応力の関係は、Ｒ１２＞Ｆ１３を満たしてよい。装着状態において下腹領域Ｆ１３と上背領域Ｒ１２が互いに引っ張り合う。このとき、上背領域Ｒ１２の引張り応力が下腹領域の引張り応力よりも大きいため、腹の中央から身体の側部に向かって斜め上方向の力が作用する。よって、尿等の体液の吸収時に股下域側の力が作用しても、吸収性物品１の引き下がりを抑制できる。

　下腹領域Ｆ１３の幅方向Ｗの引張り応力は、下背領域Ｒ１３の幅方向Ｗの引張り応力よりも大きくてよい。すなわち、引張り応力の関係は、Ｆ１３＞Ｒ１３を満たしてよい。下腹領域Ｆ１３と下背領域Ｒ１３は、サイド接合部１６を介して互いに引っ張り合う。このとき、引張り応力の関係がＦ１３＞Ｒ１３を満たすため、相対的に引張り応力の大きい下腹領域が背側を腹側に引っ張り、腹の下端に対するフィット性をより向上できる。また、背部では、後ウエスト領域Ｒ１１の引張り応力が比較的大きいため、上方向の力が生じ、吸収性物品１のずれ下がりを抑制できる。

　上背領域Ｒ１２の幅方向Ｗの引張り応力は、上腹領域Ｆ１２の幅方向Ｗの引張り応力よりも大きくてよい。すなわち、引張り応力の関係は、Ｒ１２＞Ｆ１２を満たしてよい。また、好適には、上背領域Ｒ１２の幅方向Ｗの引張り応力は、上腹領域Ｆ１２の幅方向Ｗの引張り応力の２倍以上であってよい。身体の形状は、上背領域Ｒ１２があたる臀部の頂点よりも上側が凹んでおり、上腹領域Ｆ１２が配置される腹の下端部よりも上側の部分が膨らんでいる。臀部の頂点に対して凹み初めの領域と腹の下端に対して膨らみ始めの領域のその胴回り周長の差が大きくなりやすい。引張り応力の関係は、Ｒ１２＞Ｆ１２を満たすことにより、身体の形状により合った応力配置にすることができ、吸収性物品１のずれ下がりを抑制できる。

　後ウエスト領域Ｒ１１の幅方向Ｗの引張り応力と上背領域Ｒ１２の幅方向Ｗの引張り応力の合計値は、前ウエスト領域Ｆ１１の幅方向Ｗの引張り応力と上腹領域Ｆ１２の幅方向Ｗの引張り応力の合計値以上であってよい。本態様によれば、身体の形状でくぼんでいる付近に対して、腹側よりも、背側を強く締め付けることで、腹側が下にずれる方向と逆の力を加えられるため、吸収性物品１のずれ下がりを抑制できる。

　外装体の応力の違いに加えて、吸収性本体の構成を変化させてもよい。より詳細には、低坪量部ＬＲは、下腹領域Ｆ１３と重なる領域に配置されてよい。低坪量部ＬＲによって吸収コア３１が変形し易く、下腹領域Ｆ１３がより腹部の下端の凹みにフィットし、前胴回り域Ｓ１のずれをより抑制できる。

　このように、本実施の形態の吸収性物品は、応力毎に適した引張り応力及び収縮長さになるように設計されている。引張り応力が高い領域は、着用者に密着する。これにより、当該領域は、身体にフィットし、着圧が高くなる。一方、引張り応力が低い領域は、身体に対して密着しすぎない。そのため、身体と吸収性物品の空間を適度に確保し、排せつ物の収容空間を確保したり、締め付けによる装着感の悪化を抑制したり、身体の動き追従し過ぎに起因した吸収性物品のずれを抑制できる。また、収縮長さが短い領域は、着用時に幅方向Ｗの長さが短くなり難く、身体の膨らみに沿って配置されやすい。更に、収縮長さが短い領域は、伸長状態の長さと自然状態の長さの差が少ない。当該領域における収縮可能な長さが少ないため、位置ずれし難くなる。一方、収縮長さが長い領域は、着用時に幅方向Ｗの長さが短くなり、身体の凹みに沿って配置されやすい。

　また、各領域の応力を大きくする構成は、例えば、以下によって実現できる。外装体に配置されるウエスト弾性部材の伸長倍率を高くする。または、糸状又紐状のウエスト弾性部材５５の本数を増やす。または、外装体に配置される糸状のウエスト弾性部材の番手を高くする。また、各領域の応力を小さくする構成は、大きくする構成の逆の構成を採用すればよい。また、各領域の収縮長さを長くする構成は、例えば、以下によって実現できる。外装体に配置されるウエスト弾性部材の伸長倍率を高くする。または、糸状又紐状のウエスト弾性部材５５の本数を増やす。または、外装体に配置される糸状のウエスト弾性部材の番手を高くする。なお、弾性部材の番手は、引張り応力への影響が比較的大きく、収縮長さへの影響が比較的小さい。ウエスト弾性部材が配置された資材（シートの坪量又は枚数）を減らす。または、ウエスト弾性部材を資材に接着するための接着剤を減らす。または、吸収コアを配置しない。または、吸収コアの吸収材料の坪量を低くする。資材及び接着剤を減らしたり、吸収コアを配置しなかったり、吸収材料の坪量を低くしたりすることにより、剛性が低くなり、収縮し易くなる。また、各領域の収縮長さを短くする構成は、長くする構成の逆の構成を採用すればよい。上述のように、収縮長さは、吸収性物品１全体における各領域の伸長状態に対する自然状態の長さであり、引張り応力は、外装体５０における各領域の引張り応力である。収縮長さと引張り応力は、定義が異なり、その大小関係も異なるものである。より詳細には、任意の第１の領域の収縮長さが任意の第２の領域の収縮長さよりも長い（第１の領域がより収縮する）場合、第１の領域の引張り応力が第２の領域の引張り応力よりも大きいとは限らず、第１の領域の引張り応力が第２の領域の引張り応力よりも小さいこともある。

　後ウエスト領域Ｒ１１の幅方向の引張り応力は、上背領域Ｒ１２の引張り応力よりも高く、上背領域Ｒ１２の幅方向の収縮長さは、後ウエスト領域Ｒ１１の幅方向の収縮長さよりも長くてよい。すなわち、引張り応力の関係は、Ｒ１１＞Ｒ１２を満たし、収縮長さの関係は、Ｒ１２＞Ｒ１１を満たしてよい。後ウエスト領域は、上背領域と比較して、引張り応力が高く、身体に対する着圧が高くなりやすい。また、好ましい形態によれば、後ウエスト領域Ｒ１１は、上背領域Ｒ１２と比較して、収縮長さが短く、収縮量が少なく、身体に対する位置をキープし易い。後ウエスト領域Ｒ１１のずれが少なく、その着圧が高いため、着用者の動作時に背側のウエスト開口と着用者との隙間が生じることを抑制できる。

　以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。

　なお、２０２０年１１月５日に出願された日本国特許出願第２０２０－１８５２７９の全内容が、参照により、本明細書に組み込まれる。

　吸収性物品のずれ下がりを抑制できる吸収性物品を提供することができる。

　１：吸収性物品、３１：吸収コア、ＬＲ：低坪量部、Ｆ１１：前ウエスト領域、Ｆ１２：上腹領域、Ｆ１３：下腹領域、Ｆ１４：前脚領域、Ｒ１１：後ウエスト領域、Ｒ１２：上背領域、Ｒ１３：下背領域、Ｒ１４：後脚領域、Ｓ１：前胴回り域、Ｓ１Ｆ：前端縁、Ｓ２：後胴回り域、Ｓ２Ｒ：後端縁、Ｓ３：股下域、Ｌ：長手方向、Ｗ：幅方向

Claims (14)

1. 　互いに直交する長手方向及び幅方向と、
   　前胴回り域、後胴回り域、及び前記前胴回り域及び前記後胴回り域との間に配置された股下域と、
   　少なくとも前記股下域に配置された吸収コアと、を有する吸収性物品であって、
   　前記前胴回り域及び前記後胴回り域には、前記前胴回り域及び前記後胴回り域を前記長手方向に分割した複数の領域が設けられており、
   　前記複数の領域は、前記前胴回り域の前端縁から前記前胴回り域の前記長手方向の全長に対する０～２５％後方に位置する前ウエスト領域と、前記前胴回り域の前端縁から前記前胴回り域の前記長手方向の全長に対する２５～５０％後方に位置する上腹領域と、前記前胴回り域の前端縁から前記前胴回り域の前記長手方向の全長に対する５０～７５％後方に位置する下腹領域と、前記前胴回り域の前端縁から前記前胴回り域の前記長手方向の全長に対する７５～１００％後方に位置する前脚領域と、を有し、
   　前記下腹領域の前記幅方向の収縮長さは、前記前脚領域の前記幅方向の収縮長さよりも長い、吸収性物品。
2. 　前記下腹領域の前記幅方向の収縮長さは、前記上腹領域の前記幅方向の収縮長さよりも長い、請求項１に記載の吸収性物品。
3. 　前記上腹領域の前記幅方向の収縮長さは、前記前ウエスト領域の前記幅方向の収縮長さよりも長い、請求項２に記載の吸収性物品。
4. 　前記前ウエスト領域の前記幅方向の前記収縮長さと前記上腹領域の前記幅方向の前記収縮長さの差は、前記上腹領域の前記幅方向の前記収縮長さと前記下腹領域の前記幅方向の前記収縮長さの差よりも小さい、請求項３に記載の吸収性物品。
5. 　前記上腹領域の前記幅方向の収縮長さは、前記前脚領域の前記幅方向の収縮長さよりも長い、請求項１から請求項４のいずれか１項に記載の吸収性物品。
6. 　前記下腹領域の前記幅方向の収縮長さは、前記前胴回り域のいずれの領域の前記幅方向の収縮長さよりも長い、請求項１から請求項５のいずれか１項に記載の吸収性物品。
7. 　前記複数の領域は、前記後胴回り域の後端縁から前記後胴回り域の前記長手方向の全長に対する０～２５％前方に位置する後ウエスト領域と、前記後胴回り域の後端縁から前記後胴回り域の前記長手方向の全長に対する２５～５０％前方に位置する上背領域と、前記後胴回り域の後端縁から前記後胴回り域の前記長手方向の全長に対する５０～７５％前方に位置する下背領域と、前記後胴回り域の後端縁から前記後胴回り域の前記長手方向の全長に対する７５～１００％前方に位置する後脚領域と、を有し、
   　前記上背領域の前記幅方向の収縮長さは、前記後ウエスト領域の前記幅方向の収縮長さよりも長い、請求項１から請求項６のいずれか１項に記載の吸収性物品。
8. 　前記上背領域の前記幅方向の収縮長さは、前記下背領域の前記幅方向の収縮長さよりも長い、請求項７に記載の吸収性物品。
9. 　前記後脚領域の前記幅方向の収縮長さは、前記下背領域の前記幅方向の収縮長さよも短い、請求項７又は請求項８に記載の吸収性物品。
10. 　前記上背領域の前記幅方向の前記収縮長さと前記下背領域の前記幅方向の前記収縮長さの差は、前記上背領域の前記幅方向の前記収縮長さと前記後ウエスト領域の前記幅方向の前記収縮長さの差よりも大きい、請求項９に記載の吸収性物品。
11. 　前記後ウエスト領域の前記幅方向の収縮長さは、前記下背領域の前記幅方向の収縮長さよりも長い、請求項７から請求項１０のいずれか１項に記載の吸収性物品。
12. 　前記上背領域の前記幅方向の収縮長さは、前記後胴回り域のいずれの領域の収縮長さよりも長い、請求項７から請求項１１のいずれか１項に記載の吸収性物品。
13. 　前記後胴回り域において最も長い収縮長さと最も短い収縮長さの差は、前記前胴回り域において最も長い収縮長さと最も短い収縮長さの差よりも大きい、請求項７から請求項１２のいずれか１項に記載の吸収性物品。
14. 　前記後ウエスト領域の前記幅方向の引張り応力は、前記上背領域の前記幅方向の前記引張り応力よりも高い、請求項７から請求項１３のいずれか１項に記載の吸収性物品。

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