WO2021100843A1

WO2021100843A1 - 電動工具、制御方法、及びプログラム

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Publication number: WO2021100843A1
Application number: PCT/JP2020/043350
Authority: WO
Inventors: 中原　雅之; 隆司草川; 尊大植田
Original assignee: パナソニックＩｐマネジメント株式会社
Priority date: 2019-11-22
Filing date: 2020-11-20
Publication date: 2021-05-27
Also published as: JP2021083294A

Abstract

本開示は、駆動制御の高効率化を図ることを目的とする。電動工具（１）は、電動機（１５）と、駆動力伝達機構と、制御部（４）と、を備える。電動機（１５）は、永久磁石（１３１）及びコイル（１４１）を有する。駆動力伝達機構は、電動機（１５）によって駆動される。制御部（４）は、電動機（１５）の駆動制御を行う。駆動制御は、永久磁石（１３１）の第１磁束を弱める第２磁束をコイル（１４１）に発生させるための弱め磁束電流をコイル（１４１）に流させる弱め磁束制御を含む。制御部（４）は、特定の条件に基づいて第２磁束の強さを調節する調節部（Ａ１）を有する。特定の条件は、少なくとも、電動機（１５）へ電力供給する電池の残容量が所定値より低いことを含む。

Description

電動工具、制御方法、及びプログラム

　本開示は、一般に、電動工具、制御方法、及びプログラムに関する。より詳細には、本開示は、電動機を備える電動工具、当該電動工具の制御方法、及びプログラムに関する。

　特許文献１には、電動機の回転数を制御可能な電動工具が記載されている。この電動工具は、ブラシレスＤＣモータ（電動機）と、バッテリ電圧検出部と、回転位置検出部と、制御部と、を備える。バッテリ電圧検出部は、ブラシレスＤＣモータの駆動に用いるバッテリの電圧を検出する。回転位置検出部は、ブラシレスＤＣモータの回転位置を検出する。制御部は、回転位置検出部からの信号により、ブラシレスＤＣモータへの駆動出力を制御する。制御部は、ブラシレスＤＣモータへの駆動出力制御時に、ブラシレスＤＣモータの回転数若しくは通電電流が、バッテリ電圧検出部にて検出されたバッテリ電圧に対応した目標値になるよう、ブラシレスＤＣモータへの通電角若しくは進角を制御する。

特開２０１４－１４４４９６号公報

　ところで、電動工具は、より効率的な駆動制御が望まれる場合がある。

　本開示は上記事由に鑑みてなされ、駆動制御の高効率化を図ることができる、電動工具、制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。

　本開示の一態様の電動工具は、電動機と、駆動力伝達機構と、制御部と、を備える。前記電動機は、永久磁石及びコイルを有する。前記駆動力伝達機構は、前記電動機によって駆動される。前記制御部は、前記電動機の駆動制御を行う。前記駆動制御は、前記永久磁石の第１磁束を弱める第２磁束を前記コイルに発生させるための弱め磁束電流を前記コイルに流させる弱め磁束制御を含む。前記制御部は、特定の条件に基づいて前記第２磁束の強さを調節する調節部を有する。前記特定の条件は、少なくとも、前記電動機へ電力供給する電池の残容量が所定値より低いことを含む。

　本開示の一態様の制御方法は、永久磁石及びコイルを有した電動機を備える電動工具の制御方法である。前記制御方法は、駆動力伝達機構を駆動する前記電動機の駆動制御を行う主ステップを含む。前記主ステップは、前記永久磁石の第１磁束を弱める第２磁束を前記コイルに発生させるための弱め磁束電流を前記コイルに流させる副ステップを含む。前記副ステップは、特定の条件に基づいて前記第２磁束の強さを調節する調節ステップを含む。前記特定の条件は、少なくとも、前記電動機へ電力供給する電池の残容量が所定値より低いことを含む。

　本開示の一態様のプログラムは、１以上のプロセッサに上記制御方法を実行させるためのプログラムである。

図１は、一実施形態に係る電動工具のブロック構成図である。図２は、同上の電動工具の概略図である。図３は、同上の電動工具の駆動制御に関する特性を説明するための図である。図４は、同上の電動工具における省エネモードの動作を説明するためのフローチャート図である。

　（１）概要
　以下の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。

　本実施形態に係る電動工具１（図１及び図２参照）は、例えば、工場又は建築現場等で使用される工具である。ここでは一例として、電動工具１は、作業対象（ボルト又はねじ等の締結部材）を締め付けるために使用されるインパクトドライバであることを想定して説明する。ただし、電動工具１の種類は、特に限定されず、ドリルドライバ又はインパクトレンチ等でもよい。

　電動工具１は、電動機１５（例えば交流電動機）と、駆動力伝達機構１８と、制御部４と、を備えている。電動機１５は、永久磁石１３１及びコイル１４１を有している。電動機１５は、例えばブラシレスモータである。本実施形態の電動機１５は、同期電動機であり、より詳細には、永久磁石同期電動機（ＰＭＳＭ（Permanent Magnet Synchronous Motor））である。

　駆動力伝達機構１８は、電動機１５によって駆動される。制御部４は、電動機１５の駆動制御を行う。ここでは制御部４は、電動機１５に供給される励磁電流（ｄ軸電流）とトルク電流（ｑ軸電流）とを独立に制御する（ベクトル制御）。

　制御部４の駆動制御は、ベクトル制御による弱め磁束制御を含む。弱め磁束制御では、制御部４は、永久磁石１３１の磁束（第１磁束）を弱める第２磁束（弱め磁束）をコイル１４１に発生させるための弱め磁束電流（ｄ軸電流）をコイル１４１に流させる。弱め磁束電流は、マイナスの励磁電流である。これにより、電動機１５の回転数、すなわち出力軸１６（回転軸）の回転数は増加する。

　ここで本実施形態の制御部４は、特定の条件に基づいて第２磁束の強さを調節する調節部Ａ１（図１参照）を有している。特定の条件は、少なくとも、電動機１５へ電力供給する電池３２０（図２参照）の残容量が所定値より低いことを含む。

　この構成によれば、制御部４が調節部Ａ１を有しているため、電池３２０の残容量を考慮して、駆動制御の高効率化を図ることができる。

　（２）詳細
　（２．１）全体構成
　以下、本実施形態に係る電動工具１の全体構成について、図１～図４を参照しながら詳しく説明する。なお、以下では、電動工具１を利用して作業対象を締め付ける作業を行う者を単に「使用者」と呼ぶことがある。

　電動工具１は、図２に示すように、電動機１５と、電源部３２と、駆動力伝達機構１８と、インパクト機構１７と、チャック２３と、トリガスイッチ２９と、制御部４と、ビット回転測定部２５と、トルク測定部２６と、モータ回転測定部２７と、を備えている。また電動工具１は、先端工具（ビット）を更に備えている。なお、制御部４については、次の欄で詳しく説明する。

　インパクト機構１７は、出力軸２１を有している。出力軸２１は、電動機１５から伝達された駆動力により回転する部分である。チャック２３は、出力軸２１に固定されており、先端工具が着脱自在に取り付けられる部分である。電動工具１は、先端工具を電動機１５の駆動力で駆動する工具である。先端工具は、例えば、ドライバ又はドリル等である。複数種類の先端工具のうち用途に応じた先端工具が、選択的にチャック２３に取り付けられて用いられる。先端工具は、出力軸２１に直接に装着されてもよい。

　電動機１５（交流電動機）は、先端工具を駆動する駆動源である。電動機１５は、図１に示すように、永久磁石１３１を有する回転子１３と、コイル１４１を有する固定子１４と、を含んでいる。回転子１３は、回転動力を出力する出力軸１６（図２参照）を含む。コイル１４１と永久磁石１３１との電磁的相互作用により、回転子１３は、固定子１４に対して回転する。

　電源部３２は、電動機１５へ電力供給する１又は複数の電池３２０（例えば２次電池）を含んだ、いわゆる電池パックである。電源部３２は、例えば、電動工具１の器体における把持部の下端に取外し可能に装着される。駆動力伝達機構１８は、電動機１５によって駆動される。駆動力伝達機構１８は、電動機１５の回転動力を調整して所望のトルクを出力する。駆動力伝達機構１８は、出力部である駆動軸２２（図２参照）を有している。

　駆動力伝達機構１８の駆動軸２２は、インパクト機構１７に接続されている。インパクト機構１７は、駆動力伝達機構１８を介して受け取った電動機１５の回転動力をパルス状のトルクに変換してインパクト力を発生する。インパクト機構１７は、ハンマ１９と、アンビル２０と、出力軸２１と、ばね２４と、を備えている。ハンマ１９は、駆動力伝達機構１８の駆動軸２２にカム機構を介して取り付けられている。アンビル２０はハンマ１９に結合されており、ハンマ１９と一体に回転する。ばね２４は、ハンマ１９をアンビル２０側に押している。アンビル２０は、出力軸２１と一体に形成されている。なお、アンビル２０は、出力軸２１とは別体に形成されて出力軸２１に固定されていてもよい。

　出力軸２１に規定の大きさ以上の負荷（トルク）がかかっていないときには、カム機構により連結された駆動軸２２とハンマ１９とが一体に回転し、さらにハンマ１９とアンビル２０とが一体に回転するので、アンビル２０と一体に形成された出力軸２１が回転する。一方で、出力軸２１に規定の大きさ以上の負荷がかかった時には、ハンマ１９がカム機構による規制を受けながらばね２４に抗して後退する（つまり、アンビル２０から離れる）。そして、ハンマ１９とアンビル２０との結合が外れた時点で、ハンマ１９は回転しながら前進してアンビル２０に回転方向の打撃衝撃を与え、出力軸２１を回転させる。

　トリガスイッチ２９は、電動機１５の回転を制御するための操作を受け付ける操作部である。トリガスイッチ２９を引く操作により、電動機１５のオン及びオフを切替可能である。また、トリガスイッチ２９を引く操作の引込み量で、出力軸２１の回転数（回転速度）、つまり電動機１５の回転数（回転速度）を調整可能である。上記引込み量が大きいほど、電動機１５の回転速度が速くなる。制御部４は、トリガスイッチ２９を引く操作の引込み量に応じて、電動機１５を回転又は停止させ、また、電動機１５の回転速度を制御する。この電動工具１では、先端工具がチャック２３に取り付けられる。そして、トリガスイッチ２９への操作によって電動機１５の回転速度が制御されることで、先端工具の回転速度が制御される。

　電動工具１は、チャック２３を備えているため、先端工具を用途に応じて交換可能であるが、先端工具が交換可能であることは必須ではない。例えば、電動工具１は、特定の先端工具のみ用いることができる電動工具であってもよい。

　トルク測定部２６は、電動機１５の動作トルクを測定する。トルク測定部２６は、例えば、ねじり歪みの検出が可能な磁歪式歪センサである。磁歪式歪センサは、電動機１５の出力軸１６にトルクが加わることにより発生する歪みに応じた透磁率の変化を、電動機１５の非回転部分に設置したコイルで検出し、歪みに比例した電圧信号を出力する。

　ビット回転測定部２５は、出力軸２１の回転角を測定する。ここでは、出力軸２１の回転角は、先端工具（ビット）の回転角に等しい。ビット回転測定部２５としては、例えば、光電式エンコーダ又は磁気式エンコーダを採用することができる。

　モータ回転測定部２７は、電動機１５の回転角を測定する。モータ回転測定部２７としては、例えば、光電式エンコーダ又は磁気式エンコーダを採用することができる。

　（２．２）制御部
　制御部４は、１以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムを、コンピュータシステムのプロセッサが実行することにより、制御部４の少なくとも一部の機能が実現される。プログラムは、メモリに記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。

　制御部４は、電動機１５の駆動制御を行うように構成される。ここでは、制御部４の駆動制御は、弱め磁束制御と、通常制御と、を含む。言い換えると、制御部４は、弱め磁束制御のモードとしての第１モード、及び通常制御のモードとしての第２モードを、動作モードとして有している。

　制御部４は、第１モードでは、後述するインバータ回路部５１（図１参照）から電動機１５のコイル１４１に弱め磁束電流を流させる。すなわち、制御部４は、弱め磁束制御により、永久磁石１３１の磁束（第１磁束）を弱める第２磁束をコイル１４１に発生させるための弱め磁束電流をコイル１４１に流させる。

　制御部４は、第２モードでは、インバータ回路部５１からコイル１４１に弱め磁束電流を流させない。つまり、通常制御においてコイル１４１に流れる電流は、トルク電流（ｑ軸電流）のみとなる。

　通常制御は、弱め磁束（電流）の指令値（目標値）ｃｉｄ１（図１参照）をゼロ（０）にし、弱め磁束（電流）がこの指令値ｃｉｄ１に収束するように行う制御と言える。一方、弱め磁束制御は、弱め磁束（電流）の指令値ｃｉｄ１をゼロ（０）より大きくし、弱め磁束（電流）がこの指令値ｃｉｄ１に収束するように行う制御と言える。弱め磁束（電流）の指令値ｃｉｄ１がゼロ（０）より大きくなると、電動機１５に弱め磁束電流（マイナスの励磁電流）が流れ、弱め磁束が発生する。

　制御部４は、図１に示すように、指令値生成部４１と、速度制御部４２と、電流制御部４３と、第１の座標変換器４４と、第２の座標変換器４５と、磁束制御部４６と、推定部４７と、脱調検出部４８と、を有している。また電動工具１は、インバータ回路部５１と、複数（図１では２つ）の電流センサ６１、６２と、を更に備えている。制御部４は、インバータ回路部５１と共に用いられ、フィードバック制御により電動機１５の動作を制御する。

　複数の電流センサ６１、６２はそれぞれ、例えば、ホール素子電流センサ又はシャント抵抗素子を含んでいる。複数の電流センサ６１、６２は、電池３２０からインバータ回路部５１を介して電動機１５に供給される電流を測定する。ここで、電動機１５には、３相電流（Ｕ相電流、Ｖ相電流及びＷ相電流）が供給されており、複数の電流センサ６１、６２は、少なくとも２相の電流を測定する。図１では、電流センサ６１がＵ相電流を測定して電流測定値ｉ_ｕ１を出力し、電流センサ６２がＶ相電流を測定して電流測定値ｉ_ｖ１を出力する。

　推定部４７は、モータ回転測定部２７で測定された電動機１５の回転角θ１を時間微分して、電動機１５の角速度ω１（出力軸１６の角速度）を算出する。

　第２の座標変換器４５は、複数の電流センサ６１、６２で測定された電流測定値ｉ_ｕ１、ｉ_ｖ１を、モータ回転測定部２７で測定された電動機１５の回転角θ１に基づいて座標変換し、電流測定値ｉｄ１、ｉｑ１を算出する。すなわち、第２の座標変換器４５は、３相のうち２相の電流に対応する電流測定値ｉ_ｕ１、ｉ_ｖ１を、磁界成分（ｄ軸電流）に対応する電流測定値ｉｄ１と、トルク成分（ｑ軸電流）に対応する電流測定値ｉｑ１とに変換する。

　指令値生成部４１は、電動機１５の角速度の指令値ｃω１を生成する。指令値生成部４１は、例えば、トリガスイッチ２９（図２参照）を引く操作の引込み量に応じた指令値ｃω１を生成する。すなわち、指令値生成部４１は、上記引込み量が大きいほど、角速度の指令値ｃω１を大きくする。

　速度制御部４２は、指令値生成部４１で生成された指令値ｃω１と推定部４７で算出された角速度ω１との差分に基づいて、指令値ｃｉｑ１を生成する。指令値ｃｉｑ１は、電動機１５のトルク電流（ｑ軸電流）の大きさを指定する指令値である。速度制御部４２は、指令値ｃω１と角速度ω１との差分を小さくするように指令値ｃｉｑ１を決定する。

　磁束制御部４６は、弱め磁束制御の場合（第１モードの場合）、推定部４７で算出された角速度ω１と、電流制御部４３で生成される指令値ｃｖｑ１（後述する）と、電流測定値ｉｑ１（ｑ軸電流）とに基づいて、指令値ｃｉｄ１を決定する。指令値ｃｉｄ１は、電動機１５の弱め磁束（ｄ軸方向の磁束）の大きさを指定する指令値である。通常制御の場合（第２モードの場合）、磁束制御部４６で生成される指令値ｃｉｄ１は、弱め磁束をゼロ（０）にするための指令値となる。

　電流制御部４３は、磁束制御部４６で生成された指令値ｃｉｄ１と第２の座標変換器４５で算出された電流測定値ｉｄ１との差分に基づいて、指令値ｃｖｄ１を生成する。指令値ｃｖｄ１は、電動機１５のｄ軸電圧の大きさを指定する指令値である。電流制御部４３は、指令値ｃｉｄ１と電流測定値ｉｄ１との差分を小さくするように指令値ｃｖｄ１を決定する。

　また、電流制御部４３は、速度制御部４２で生成された指令値ｃｉｑ１と第２の座標変換器４５で算出された電流測定値ｉｑ１との差分に基づいて、指令値ｃｖｑ１を生成する。指令値ｃｖｑ１は、電動機１５のｑ軸電圧の大きさを指定する指令値である。電流制御部４３は、指令値ｃｉｑ１と電流測定値ｉｑ１との差分を小さくするように指令値ｃｖｑ１を生成する。

　第１の座標変換器４４は、指令値ｃｖｄ１、ｃｖｑ１を、モータ回転測定部２７で測定された電動機１５の回転角θ１に基づいて座標変換し、指令値ｃｖ_ｕ１、ｃｖ_ｖ１、ｃｖ_ｗ１を算出する。すなわち、第１の座標変換器４４は、磁界成分（ｄ軸電圧）に対応する指令値ｃｖｄ１と、トルク成分（ｑ軸電圧）に対応する指令値ｃｖｑ１とを、３相電圧に対応する指令値ｃｖ_ｕ１、ｃｖ_ｖ１、ｃｖ_ｗ１に変換する。指令値ｃｖ_ｕ１はＵ相電圧に、指令値ｃｖ_ｖ１はＶ相電圧に、指令値ｃｖ_ｗ１はＷ相電圧に対応する。

　インバータ回路部５１は、指令値ｃｖ_ｕ１、ｃｖ_ｖ１、ｃｖ_ｗ１に応じた３相電圧を電動機１５に供給する。制御部４は、インバータ回路部５１をＰＷＭ制御することにより、電動機１５に供給される電力を制御する。

　電動機１５は、インバータ回路部５１から供給された電力（３相電圧）により駆動され、回転動力を発生させる。

　この結果、制御部４は、電動機１５のコイル１４１に流れる弱め磁束電流が、磁束制御部４６で生成された指令値ｃｉｄ１に対応した大きさとなるように弱め磁束電流を制御する。また、制御部４は、電動機１５の角速度が、指令値生成部４１で生成された指令値ｃω１に対応した角速度となるように電動機１５の角速度を制御する。

　脱調検出部４８は、第２の座標変換器４５から取得した電流測定値ｉｄ１、ｉｑ１と、電流制御部４３から取得した指令値ｃｖｄ１、ｃｖｑ１と、に基づいて、電動機１５の脱調を検出する。脱調が検出された場合は、脱調検出部４８は、インバータ回路部５１に停止信号ｃｓ１を送信して、インバータ回路部５１から電動機１５への電力供給を停止させる。

　以下、動作モードについて説明する。

　制御部４は、切替条件が満たされる場合に、電動機１５のコイル１４１に弱め磁束電流を流す第１モードで動作する。すなわち、切替条件が満たされる場合に、制御部４の制御は、弱め磁束制御となる。

　切替条件は、例えば、電動機１５が高速域で動作しているという高速域条件を含む。電動機１５が高速域で動作しているとは、概略的には、電動機１５の回転速度が比較的大きいということである。「電動機１５が高速域で動作している」という定義は、電動機１５の回転速度が所定の回転速度以上で、かつ、インバータ回路部５１に対する制御部４のＰＷＭ（Pulse Width Modulation）制御のデューティ（変調度）が規定値以上であることである。ＰＷＭ制御のデューティは、ＰＷＭ信号の１周期中のオン期間を１周期の長さで割った値である。電動機１５の回転速度は、デューティに略比例する。上記規定値は、例えば、０．９又は０．９５程度である。

　また切替条件は、例えば、電動機１５のコイル１４１に流れるトルク電流値（ｑ軸電流値）が所定の電流値以下であるというトルク電流条件を含む。制御部４は、切替条件を満たすか否かを判定するために、トルク電流値として電流測定値ｉｑ１を用いる。ただし、制御部４は、トルク電流値として、トルク電流値の指令値ｃｉｑ１を用いてもよい。

　ここでは切替条件は、高速域条件及びトルク電流条件の両方を含むものとするが、いずれか一方のみを含んでもよい。切替条件は例えばトルク電流条件のみを含んでもよい。

　制御部４は、出力軸２１及び駆動軸２２等を介して電動機１５の出力軸１６が外部から受ける負荷（トルク）が比較的低い（無負荷も含む）低負荷領域Ｒ１（図３参照）において切替条件が満たされて、弱め磁束制御を行う。それにより、電動機１５の回転速度を増加させることができる。つまり、制御部４は、電動機１５の出力軸１６が外部から受ける負荷が所定の大きさよりも小さい場合に、弱め磁束制御を行う。

　制御部４は、切替条件が満たされない場合、弱め磁束電流を流させない第２モードで動作する。すなわち、切替条件が満たされない場合、制御部４の制御は、通常制御となる。制御部４は、電動機１５に比較的大きなトルク電流が必要となる高負荷領域Ｒ２（図３参照）において、通常制御を行うことで、比較的大きなトルクを得ることができる。

　なお、弱め磁束制御及び通常制御は、トリガスイッチ２９とは別の操作部への操作により手動で切り替え可能であってもよい。弱め磁束制御及び通常制御は、後述する表示部Ａ４（図１参照）へのタップ操作等によって切り替え可能であってもよい。

　（２．３）調節部
　ところで、図３の特性Ｃ１は、後述する調節部Ａ１を備えていない電動工具（比較例）における、外部から受ける負荷（トルク）の大きさと電動機１５の回転数（ｒｐｍ）との関係を示す。また図３の特性Ｃ２は、上記比較例における、負荷の大きさと電動機１５に流される電流の大きさ（絶対値）との関係を示す。

　電動機１５の回転数は、図３に示すように、低負荷領域Ｒ１では、弱め磁束制御を行うことで（実線Ｄ１参照）、仮に高負荷領域Ｒ２だけでなく低負荷領域Ｒ１も通常制御を行う場合に比べて（破線Ｂ１参照）増加している。

　ここで特性Ｃ２が示すように、電流の大きさは、低負荷領域Ｒ１において、仮に高負荷領域Ｒ２だけでなく低負荷領域Ｒ１も通常制御を行う場合に比べて（破線Ｂ２参照）、弱め磁束電流の発生分だけ、増加している（実線Ｄ２参照）。

　要するに、弱め磁束制御では、電動機１５の回転数が増加することで使用者の作業効率が向上される一方で、電動工具１における消費エネルギーが増加してしまう可能性がある。そのため、例えば電源部３２における電池３２０の残容量の減りが早くなる可能性がある。

　そこで本実施形態の制御部４は、特定の条件に基づいて第２磁束の強さを調節する調節部Ａ１（図１参照）を有している。ここでは磁束制御部４６が、調節部Ａ１に相当する。言い換えると、磁束制御部４６は、調節部Ａ１としての機能を有している。ただし、調節部Ａ１は、磁束制御部４６とは別に設けられてもよい。

　また「特定の条件」は、少なくとも、電池３２０の残容量が所定値より低いこと（以下、「残容量条件」と呼ぶことがある）を含む。ここでは所定値は、例えば、満充電の容量に対して２０％の容量とするが、特に限定されない。

　本実施形態では一例として、特定の条件は、電動工具１の使用者が調節部Ａ１による調節の実行に同意したことを示す同意情報を受け付けること（以下、「同意条件」と呼ぶことがある）を更に含む。

　電動工具１は、図１に示すように、操作部Ｐ１を更に備えている。操作部Ｐ１は、電動工具１の器体に配置される。操作部Ｐ１は、例えば、使用者からの操作入力を受け付け可能に構成されている。ここでは電動工具１は、タッチパネル式の液晶ディスプレイ（表示部Ａ４：図１参照）を備えていて、表示部Ａ４が、操作部Ｐ１としての機能を兼ねている。調節部Ａ１は、表示部Ａ４へのタップ操作等による操作入力が、調節の実行を肯定するものであれば、同意条件が満たされたと判定する。ただし、操作部Ｐ１は、例えば押し釦スイッチ又はディップスイッチ等によって構成されてもよく、当該スイッチが特定の状態（例えばオン状態）になっていれば、調節部Ａ１は、同意条件が満たされたと判定してもよい。

　以下、調節部Ａ１が特定の条件に基づいて第２磁束の強さを調節する動作モードを「省エネモード」と呼ぶことがある。つまり、切替条件を満たすときの第１モードは、省エネモードと、非省エネモードとを含む。第１モード中に、省エネモードと非省エネモードとが選択的に切り替わる。

　調節部Ａ１（磁束制御部４６）は、非省エネモードでは、例えば、図３でいえば特性Ｃ２の実線Ｄ２に沿うような、負荷の増加に対して略一定の傾きで電流の大きさが増加する、通常の弱め磁束制御を実行する。一方、調節部Ａ１は、省エネモードでは、図３でいえば特性Ｃ２の実線Ｄ２と破線Ｂ２との間の一点鎖線Ｆ２に沿うような（傾きは実線Ｄ２と略同じ）調節制御を実行する。これに伴い、省エネモードでは、電動機１５の回転数についても、特性Ｃ１の実線Ｄ１と破線Ｂ１との間における一点鎖線Ｆ１に沿うような特性となる。

　調節部Ａ１は、電池３２０の残容量に関する残量情報を（例えば定期的に）取得している。残量情報は、例えば電池３２０の電池電圧に関する情報を含む。調節部Ａ１は、インバータ回路部５１に入力される電池３２０の電池電圧を監視している。制御部４は、自身のメモリに、電池３２０の残容量と電池電圧との関係を示す特性データを予め記憶している。

　調節部Ａ１は、上記特性データを参照して、取得した電池３２０の電池電圧を残容量に換算して、残容量が所定値（２０％）より低いか否か、すなわち残容量条件が満たされているか否かを判定する。そして、同意条件と残容量条件の両方が満たされていれば、調節部Ａ１は、省エネモードを実行する。調節部Ａ１は、特定の条件に基づいて、第２磁束の強さを弱める。ここでは一例として、調節部Ａ１は、電池３２０の残容量が低下するほど、第２磁束の強さを弱めるように構成される。具体的には、調節部Ａ１である磁束制御部４６は、省エネモードにおいて、残容量が低下するほど、第２磁束、すなわち弱め磁束（ｄ軸方向の磁束）が弱まるように、その大きさを指定する指令値ｃｉｄ１（図１参照）を調節する。要するに、調節部Ａ１は、省エネモードにおいて、残容量が低下するほど、弱め磁束制御の効果が減る方向に（例えば、一点鎖線Ｆ２が、その傾きを略一定に保ちながら、実線Ｄ２側から破線Ｂ２へ段階的に近づくように）制御する。制御部４は、自身のメモリに、電池３２０の残容量と指令値とが対応付けされたデータを予め記憶していて、調節部Ａ１は、そのデータを参照して指令値ｃｉｄ１を決定する。

　また本実施形態の制御部４は、図１に示すように、調節部Ａ１による調節に関する調節情報を報知する報知部Ａ２を更に備えている。報知部Ａ２は、例えば、調節情報として、省エネモードを実行中である旨を示す文字メッセージを表示部Ａ４上に表示させて使用者に報知する。文字メッセージの例としては「省エネモードで動作中です」等が挙げられる。調節情報は、文字メッセージの出力の代わりに（又は加えて）、音声メッセージの出力によって報知されてもよい。また調節情報は、電動工具１の器体に備え付けされている表示灯の点灯状態等を変更させることで報知されてもよい。点灯状態の変更は、消灯から点灯への変更、又は、点灯から点滅への変更等を含み得る。

　また調節情報は、上記メッセージに加えて、現在の調節の度合いに関する情報を含んでもよい。具体的には、調節情報は、例えば図３でいえば、一点鎖線Ｆ２が実線Ｄ２から破線Ｂ２へ向かって複数段階で近づくような複数の調節レベルが規定されていて、現在設定中の調節レベルに関する情報を含んでもよい。さらに調節情報は、電池３２０の現在の残容量の目安となる情報を更に含んでもよい。

　また報知部Ａ２は、省エネモードを開始する際に、事前に使用者から切り替えの同意を得るための確認メッセージを表示部Ａ４に表示させる。確認メッセージの例としては、「電池残量が２０％を切りましたので、省エネモードを開始します。よろしいですか？」等が挙げられる。そして、確認メッセージと共に表示部Ａ４上に表示される「はい」及び「いいえ」を示すオブジェクトのいずれかが、タップ操作されることで、制御部４は、使用者から省エネモードの実行に関する回答を受け付ける。調節部Ａ１は、その回答に応じて、省エネモードを実行するか、非省エネモードを維持するかを決定する。つまり、「はい」のオブジェクトへのタップ操作によって、上述した同意条件が満たされることになる。

　調節部Ａ１は、省エネモード中に、同意条件と残容量条件のうちの少なくとも一方が満たされなくなれば、省エネモードから非省エネモードへ切り替える。具体的には、調節部Ａ１は、表示部Ａ４に対して調節の実行を中止するような操作入力がなされると、省エネモードから非省エネモードへ切り替える。また調節部Ａ１は、例えば電池３２０が充電されて電池３２０の残容量が所定値以上になれば、省エネモードから非省エネモードへ切り替える。報知部Ａ２は、例えば、調節情報として、非省エネモードを実行中である旨を示す文字メッセージ（「非省エネモードで動作中です」等）を表示部Ａ４上に表示させて使用者に報知する。

　なお、報知部Ａ２は、省エネモードから非省エネモードへ切り替える際に、事前に使用者から切り替えの同意を得るための確認メッセージを、表示部Ａ４に表示させてもよい。確認メッセージの例としては、「電池残量が２０％以上になりましたので、省エネモードを解除します。よろしいですか？」等が挙げられる。そして、確認メッセージと共に表示部Ａ４上に表示される「はい」及び「いいえ」を示すオブジェクトのいずれかが、タップ操作されることで、制御部４は、使用者から省エネモードの解除に関する回答を受け付ける。調節部Ａ１は、その回答に応じて、省エネモードを解除するか、省エネモードを維持するかを決定する。

　また制御部４は、図１に示すように、調節部Ａ１による調節に関する有効又は無効を設定する設定部Ａ３を更に有している。具体的には、設定部Ａ３は、使用者から表示部Ａ４を通じて受け付ける操作入力に応じて、省エネモードの有効又は無効を設定する。設定部Ａ３は、省エネモードの有効又は無効に関する設定情報を制御部４のメモリに記憶する。調節部Ａ１は、設定情報が省エネモードの無効を指定するものであれば、たとえ残容量条件が満たされても非省エネモードを維持する。

　（２．４）省エネモードの動作
　以下、電動工具１における省エネモードに関する動作について図４を参照しながら説明する。なお、以下では一例として、使用者が電動工具１を使用中であって、さらに電動工具１が第１モード（弱め磁束制御）における非省エネモードで動作中である場合を想定する。そして、調節部Ａ１は、電池３２０の残容量に関する残量情報を一定の間隔で取得しているものとする。また省エネモードは、有効に設定されているものとする。

　制御部４の調節部Ａ１は、非省エネモードで動作している（ステップＳ１）。調節部Ａ１は、電池３２０の残容量が所定値よりも低ければ（ステップＳ２：Ｙｅｓ）、残容量条件が満たされたと判定する（ステップＳ３）。そして、報知部Ａ２は、省エネモードへの切り替えの同意を得るための確認メッセージを、表示部Ａ４を通じて使用者に通知する（ステップＳ４）。電池３２０の残容量が所定値以上であれば（ステップＳ２：Ｎｏ）、非省エネモードを維持する。

　調節部Ａ１は、確認メッセージの通知後、表示部Ａ４へのタップ操作等によって、使用者から同意が得られれば（ステップＳ５：ＹＥＳ）、省エネモードを開始する（ステップＳ６）。そして、報知部Ａ２は、表示部Ａ４を通じて、調節情報を報知する（ステップＳ７）。使用者は、調節情報を通じて、現在が省エネモードで動作中である旨、又は設定中の調節の度合い等を知ることができるため、利便性が向上される。

　以降、調節部Ａ１は、残容量が低下するにつれて、第２磁束の強さを弱めていくように制御する。調節部Ａ１は、確認メッセージの通知後、使用者から同意が得られなければ（ステップＳ５：Ｎｏ）、例えば残容量がゼロ（０）になるか、表示部Ａ４に対して省エネモードを指示する操作入力が無い限り、非省エネモードを維持する（ステップＳ１０）。

　その後、例えばコンセント及び充電用のアダプタ等を介して、電動工具１の電源部３２が充電されて電池３２０の残容量が所定値以上になれば（ステップＳ８：Ｙｅｓ）、調節部Ａ１は、省エネモードを解除する（ステップＳ９）。ただし、報知部Ａ２は、上述のように、事前に使用者から省エネモードの解除に関する同意を得るための確認メッセージを通知することが望ましい。電池３２０の残容量が所定値よりも低ければ（ステップＳ８：Ｎｏ）、調節部Ａ１は、省エネモードを維持する。

　このように本実施形態においては、制御部４が調節部Ａ１を有していて、電池３２０の残容量を考慮した弱め磁束制御を行う。そのため、例えば作業完了まで間近な状態で電池３２０の残容量がゼロ（０）になってしまって、作業を中断して追加的に電池３２０の充電を行うという可能性が低減される。要するに、充電時間も含めたトータルの作業時間を考慮すると、本実施形態の電動工具１は、作業時間の削減を図ることができる。また電池３２０の残容量が所定値より低くなってからの電池３２０の減り度合いが抑制されるため、（例えばねじ締め作業であれば）作業可能なねじの本数が増加する。その結果、駆動制御の高効率化を図ることができる。

　（３）変形例
　上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、上記実施形態に係る電動工具１の制御部４と同様の機能は、この制御方法、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。具体的には、一の態様に係る電動工具１の制御方法は、駆動力伝達機構１８を駆動する電動機１５の駆動制御を行う主ステップを含む。主ステップは、永久磁石１３１の第１磁束を弱める第２磁束をコイル１４１に発生させるための弱め磁束電流をコイル１４１に流させる副ステップを含む。副ステップは、特定の条件に基づいて第２磁束の強さを調節する調節ステップを含む。特定の条件は、少なくとも、電動機１５へ電力供給する電池３２０の残容量が所定値より低いことを含む。

　以下、上記実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。以下では、上記実施形態を「基本例」と呼ぶこともある。

　本開示における電動工具１の制御部４は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における制御部４としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路（ＩＣ）又は大規模集積回路（ＬＳＩ）を含む１ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうＩＣ又はＬＳＩ等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムＬＳＩ、ＶＬＳＩ（Very Large Scale Integration）、又はＵＬＳＩ（Ultra Large Scale Integration）と呼ばれる集積回路を含む。さらに、ＬＳＩの製造後にプログラムされる、ＦＰＧＡ（Field-Programmable Gate Array）、又はＬＳＩ内部の接合関係の再構成若しくはＬＳＩ内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、１つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、１つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、１以上のプロセッサ及び１以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む１ないし複数の電子回路で構成される。

　また、制御部４における複数の機能が、１つのハウジング内に集約されていることは必須の構成ではない。制御部４の構成要素は、複数のハウジングに分散して設けられていてもよい。反対に、制御部４における複数の機能が、基本例のように、１つのハウジング内に集約されてもよい。さらに、制御部４の少なくとも一部の機能、例えば、制御部４の一部の機能がクラウド（クラウドコンピューティング）等によって実現されてもよい。

　基本例では、電源部３２は、電動工具１の器体に対して取外し可能に装着される電池パックであるが、電動工具１の器体内に内蔵されていてもよい。

　基本例では、インバータ回路部５１に入力される電源部３２の電池電圧を監視しているが、累積の電池電流に基づいて、残容量条件が満たされているか否かを判定してもよい。

　基本例では、インバータ回路部５１に入力される電池電圧を監視して残量情報を取得している。しかし、電源部３２（電池パック）自身が電池３２０の残容量を監視していれば、制御部４は、残量情報を電源部３２から取得してもよい。

　基本例では、報知部Ａ２は、第１モード中に省エネモードの実行を開始及び終了した旨を報知しているが、その他にも、第１モードから第２モードへ、及び第２モードから第１モードへ切り替わった旨も報知してもよい。

　基本例では、調節部Ａは、特定の条件に基づいて、第２磁束の強さを弱めている。しかし、調節部Ａ１は、特定の条件に基づいて、第２磁束の発生を停止してもよい。すなわち、調節部Ａ１は、特定の条件に基づいて、指令値ｃｉｄ１をゼロ（０）にしてもよい。具体的には、調節部Ａ１は、残容量が所定値（２０％）を下回れば、直ちに指令値ｃｉｄ１をゼロ（０）にしてもよい。この場合、調節部Ａ１は、図３でいえば、一点鎖線Ｆ２が破線Ｂ２に一致するような調節制御を実行する。なお、この場合、調節部Ａ１は、残容量が所定値（２０％）を下回れば、第１モード（弱め磁束制御）から第２モード（通常制御）に切り替えてもよい。また調節部Ａ１は、残容量が所定値よりも低い値（例えば１０％）を下回るまでは、残容量が低下するほど弱め磁束が徐々に弱まるように指令値ｃｉｄ１を調節し、１０％を下回れば指令値ｃｉｄ１をゼロ（０）にしてもよい。

　調節部Ａ１は、省エネモードで動作中において、電源部３２がコンセントに電気的に接続されて給電を受け始めたことをトリガとして、（たとえ残容量が所定値より低くても）省エネモードを解除してもよい。

　基本例では、省エネモードでの動作中において、負荷（トルク）の増加に対して、トルク電流の大きさは、略一定の傾きで比例的に増加し、弱め磁束電流の大きさは、略固定である。しかし、弱め磁束電流の大きさは、負荷（トルク）の増加に対して、固定でなくて変化してもよい。

　基本例では、報知部Ａ２は、省エネモードへの切り替えの同意を得るための確認メッセージを、表示部Ａ４を通じて使用者に通知し（ステップＳ４）、調節部Ａ１は、使用者から同意が得られた場合に、省エネモードを開始していた。しかし、本開示の電動工具１では、使用者へ確認メッセージを通知して同意を得る構成は、必須の構成ではない。例えば、調節部Ａ１は、電池３２０の残容量が所定値よりも低ければ、残容量条件が満たされたと判定して、即座に省エネモードを開始してもよい。

　（４）まとめ
　以上説明したように、第１の態様に係る電動工具（１）は、電動機（１５）と、駆動力伝達機構（１８）と、制御部（４）と、を備える。電動機（１５）は、永久磁石（１３１）及びコイル（１４１）を有する。駆動力伝達機構（１８）は、電動機（１５）によって駆動される。制御部（４）は、電動機（１５）の駆動制御を行う。駆動制御は、永久磁石（１３１）の第１磁束を弱める第２磁束をコイル（１４１）に発生させるための弱め磁束電流をコイル（１４１）に流させる弱め磁束制御を含む。制御部（４）は、特定の条件に基づいて第２磁束の強さを調節する調節部（Ａ１）を有する。特定の条件は、少なくとも、電動機（１５）へ電力供給する電池（３２０）の残容量が所定値より低いことを含む。第１の態様によれば、駆動制御の高効率化を図ることができる。

　第２の態様に係る電動工具（１）は、第１の態様において、調節部（Ａ１）による調節に関する調節情報を報知する報知部（Ａ２）を更に備える。第２の態様によれば、例えば電動工具（１）の使用者は調節情報を知ることができ、利便性が向上される。

　第３の態様に係る電動工具（１）は、第１の態様又は第２の態様において、調節部（Ａ１）は、特定の条件に基づいて、第２磁束の強さを弱める、又は第２磁束の発生を停止する。第３の態様によれば、より駆動制御の高効率化を図ることができる。

　第４の態様に係る電動工具（１）に関して、第１の態様又は第２の態様において、調節部（Ａ１）は、電池（３２０）の残容量が低下するほど、第２磁束の強さを弱める。第４の態様によれば、より駆動制御の高効率化を図ることができる。

　第５の態様に係る電動工具（１）に関して、第１の態様～第４の態様のいずれか１つにおいて、特定の条件は、電動工具（１）の使用者が調節部（Ａ１）による調節の実行に同意したことを示す同意情報を受け付けることを更に含む。第５の態様によれば、利便性を向上させつつ、より駆動制御の高効率化を図ることができる。

　第６の態様に係る電動工具（１）に関して、第１の態様～第５の態様のいずれか１つにおいて、制御部（４）は、電動機（１５）の出力軸（１６）が外部から受ける負荷が所定の大きさよりも小さい場合に、弱め磁束制御を行う。第６の態様によれば、より駆動制御の高効率化を図ることができる。

　第７の態様に係る電動工具（１）に関して、第１の態様～第６の態様のいずれか１つにおいて、制御部（４）は、調節部（Ａ１）による調節に関する有効又は無効を設定する設定部（Ａ３）を更に有する。第７の態様によれば、利便性を向上させつつ、より駆動制御の高効率化を図ることができる。

　第８の態様に係る制御方法は、永久磁石（１３１）及びコイル（１４１）を有した電動機（１５）を備える電動工具（１）の制御方法である。制御方法は、駆動力伝達機構（１８）を駆動する電動機（１５）の駆動制御を行う主ステップを含む。主ステップは、永久磁石（１３１）の第１磁束を弱める第２磁束をコイル（１４１）に発生させるための弱め磁束電流をコイル（１４１）に流させる副ステップを含む。副ステップは、特定の条件に基づいて第２磁束の強さを調節する調節ステップを含む。特定の条件は、少なくとも、電動機（１５）へ電力供給する電池（３２０）の残容量が所定値より低いことを含む。第８の態様によれば、駆動制御の高効率化を図ることが可能な制御方法を提供できる。

　第９の態様に係るプログラムは、１以上のプロセッサに、第８の態様における制御方法を実行させるためのプログラムである。第９の態様によれば、駆動制御の高効率化を図ることが可能な機能を提供できる。

　第２～第７の態様に係る構成については、電動工具（１）に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。

　１　電動工具
　１３１　永久磁石
　１４１　コイル
　１５　電動機
　１６　出力軸
　１８　駆動力伝達機構
　３２０　電池
　４　制御部
　Ａ１　調節部
　Ａ２　報知部
　Ａ３　設定部

Claims

　永久磁石及びコイルを有する電動機と、
　前記電動機によって駆動される駆動力伝達機構と、
　前記電動機の駆動制御を行う制御部と、
を備え、
　前記駆動制御は、前記永久磁石の第１磁束を弱める第２磁束を前記コイルに発生させるための弱め磁束電流を前記コイルに流させる弱め磁束制御を含み、
　前記制御部は、特定の条件に基づいて前記第２磁束の強さを調節する調節部を有し、
　前記特定の条件は、少なくとも、前記電動機へ電力供給する電池の残容量が所定値より低いことを含む、
　電動工具。
　前記調節部による調節に関する調節情報を報知する報知部を更に備える、
　請求項１に記載の電動工具。
　前記調節部は、前記特定の条件に基づいて、前記第２磁束の強さを弱める、又は前記第２磁束の発生を停止する、
　請求項１又は請求項２に記載の電動工具。
　前記調節部は、前記電池の残容量が低下するほど、前記第２磁束の強さを弱める、
　請求項１又は請求項２に記載の電動工具。
　前記特定の条件は、前記電動工具の使用者が前記調節部による調節の実行に同意したことを示す同意情報を受け付けることを更に含む、
　請求項１～４のいずれか１項に記載の電動工具。
　前記制御部は、前記電動機の出力軸が外部から受ける負荷が所定の大きさよりも小さい場合に、前記弱め磁束制御を行う、
　請求項１～５のいずれか１項に記載の電動工具。
　前記制御部は、前記調節部による調節に関する有効又は無効を設定する設定部を更に有する、
　請求項１～６のいずれか１項に記載の電動工具。
　永久磁石及びコイルを有した電動機を備える電動工具の制御方法であって、
　駆動力伝達機構を駆動する前記電動機の駆動制御を行う主ステップを含み、
　前記主ステップは、前記永久磁石の第１磁束を弱める第２磁束を前記コイルに発生させるための弱め磁束電流を前記コイルに流させる副ステップを含み、
　前記副ステップは、特定の条件に基づいて前記第２磁束の強さを調節する調節ステップを含み、
　前記特定の条件は、少なくとも、前記電動機へ電力供給する電池の残容量が所定値より低いことを含む、
　制御方法。
　１以上のプロセッサに請求項８に記載の制御方法を実行させるためのプログラム。