WO2014136598A1 - 面照明装置およびこれを用いた車両用エンブレム - Google Patents

Abstract

　簡単な構成かつ薄型で、複数の光源からの光を導光体により入射方向と略垂直な方向へ導光効率よく導光できる面照明装置、およびこれを用いた車両用エンブレムを提供する。複数の光源(６)が導光逆方向Ｘに沿って並んで配置されて、導光体(５)の光導入部(５Ａ)は、導光逆方向(Ｘ)に延びて複数の光源(６)に対向する入射面(１３)と、当該入射面(１３)の外端縁から斜めに平面状に延びて入射面(１３)に対し導光体(５)の材質が持つ臨界角よりも大きな角度で鋭角に傾斜し、入射面(１３)から厚み方向(ｄ)に入射した光を反射させて導光部(５Ｂ)へ導光方向(Ｘ０)に導入する反射面(１５)とを有する。複数の光源(６)は斜めに延びる反射面(１５)と導光部(５Ｂ)との境界(Ｐ)よりも導光逆方向(Ｘ)に偏位して配置されている。

Description

面照明装置およびこれを用いた車両用エンブレム 関連出願

　本出願は、２０１３年３月８日出願の特願２０１３－０４６４４０、２０１３年３月２８日出願の特願２０１３－０６７７３２、および２０１３年４月２４日出願の特願２０１３－０９１１６６の優先権を主張するものであり、その全体を参照により本願の一部をなすものとして引用する。

　本発明は、複数の光源からの光を導光体で導光して出射する面照明装置およびこれを用いた車両用エンブレムに関する。

　従来から、光源からの光を導光体で導光して出射する面照明装置を使用して、車両用エンブレムをその外形や輪郭に沿って側面方向に発光させる発光表示装置の技術が知られている（例えば、特許文献１）。この車両用エンブレムにおいて、一定の厚みを有するエンブレムの側面方向だけでなく正面方向にも一つの導光体で発光させようとする場合、光源からの光をエンブレムの厚み方向に入射させこの方向と略垂直な方向へ導光して、エンブレムの両方向に出射させる必要がある。

　この一例として、光源が導光体の入射面に対向して配置されて、該入射面から入射した光源からの光を、入射面から斜めに立ち上がる曲面形状の反射面により入射方向とは略垂直な方向へ光を導光して、導光体の底面で反射させて側面方向および正面方向へ出射させる面照明装置が知られている（例えば、特許文献２）。この導光体の反射面は曲面形状を有しており、入射光を多く全反射させて、外方へ抜ける光が少なくなるようにしている。

特開２００５－２１５５９６号公報 特開２００９－０１６０８７号公報

　しかし、車両用エンブレムには、法規によって定められた全体厚み（高さスペース）における制限が設けられており、この高さが制限された状態で、特許文献２のように、導光体の反射面を、複数の光源の位置に応じて光源からの光をできるだけ多く全反射させるように曲面形状に成形することは必ずしも容易ではなかった。しかも、導光体が曲面形状の反射面の場合、径方向に大きい反射面が狭いスペース内を占有するため、薄型化に支障をきたすことがある。

　また、図８のように、曲面形状の反射面５０に対して複数の光源を長く並べて配置する場合、反射面５０に近い方から並ぶ順でそれぞれ光源Ａ、Ｂ、Ｃとすると、反射面５０から近い光源Ａにおいては高い導光効率が得られるが、反射面から遠い光源Ｃにおいては曲面形状の反射面５０を外れた平面部５１から外方へ抜ける光が多くなり、導光効率が低下する。この場合、入射面５２から反射面５０までの距離を長くすれば、曲面形状の反射面５０でもある程度高い導光効率を実現可能であるが、上述した車両用エンブレムにおける高さ制限があり、曲面形状の反射面では導光効率を向上させることが困難である。

　本発明は、上記の問題点を解決するものであって、簡単な構成かつ薄型で、複数の光源からの光を導光体により入射方向と略垂直な方向へ導光効率よく導光できる面照明装置、およびこの面照明装置を用いた車両用エンブレムを提供することを目的とする。

　上述した目的を達成するため、本発明は、複数の光源を相対向して配置させた導光体の入射面から斜めに延びる反射面を平面状とした場合に、入射面に対する反射面の臨界角を超える傾斜角度、および反射面と複数の光源とにおける配置関係に着目して完成されたものである。

　本発明に係る面照明装置は、複数の光源と、導光部および導光部の一端から導光方向とは逆方向の導光逆方向へ突出して形成されて、複数の光源の光を導光逆方向と直交する厚み方向から導入する光導入部を備えた導光体とを有し、前記複数の光源は、導光逆方向に沿って並んで配置されて前記光導入部に対向している。前記光導入部は、導光逆方向に延びて前記複数の光源に対向する入射面と、この入射面の外端縁から斜めに平面状に延びて前記入射面に対し前記導光体の材質が持つ臨界角よりも大きな角度で鋭角に傾斜し、前記入射面から厚み方向に入射した光を反射させて前記導光部へ前記導光方向に導入する反射面とを有し、前記複数の光源が前記斜めに延びる反射面と前記導光部との境界よりも導光逆方向に偏位して配置されている。

　この構成によれば、導光体の光導入部の反射面は、入射面に対し導光体の材質が持つ臨界角よりも大きな角度で鋭角に傾斜し、入射面から厚み方向に入射した光を反射させて導光部へ導光方向に導入するものであり、複数の光源が、斜めに平面状に延びる反射面と導光部との境界よりも導光逆方向に偏位して配置されている。したがって、複数の光源がすべて反射面と厚み方向に相対向して配置されるとともに、反射面が入射光を全反射させるので、光源の位置にかかわらずに入射光が反射面から外れて外方へ抜けることを少なくし、入射光を可及的に多く反射面から全反射させることができる。これにより、簡単な構成で、複数の光源からの光を導光体により厚み方向（入射方向）と略垂直な方向（導光方向）へ導光効率よく導光することが可能となり、また、光導入部の反射面が平面状であるので、従来の曲面形状と異なり面照明装置を薄型化することが可能となる。

　本発明は、前記複数の光源は、反射面から遠くなるにしたがって、輝度が順次高くなるように配置されていることが好ましい。この場合、反射面から遠い光源は、近い光源よりも相対的に導光効率が低くなることを考慮して、遠い光源の輝度をより高くすることにより、全体の発光を均一化することができる。

　好ましくは、前記導光部は、前記光導入部の入射面に隣接して、厚み方向に凸曲面形状の徐変部が設けられている。この場合、直線形状に比べて、導光された光が外方に抜けにくくなる。

　好ましくは、前記光導入部の入射面に、反射面から遠い側の入射面を光源側に傾斜して延長した折曲部が設けられている。この場合、さらに導光効率を向上させることができる。

　本発明の一構成にかかる車両用エンブレムは、車両に装着される車両用エンブレムであって、凹部が設けられて透光性を有しないケース部と、前記ケース部上部に設けられて透光性を有する意匠用凸部と、意匠用凸部の外形と略一致する形状に形成されて意匠用凸部とケース部との間に配設される前記面照明装置とを備え、前記面照明装置の複数の光源は、ケース部の厚み方向に光を照射するように前記凹部内に同一平面上に並んで配置されており、この複数の光源からの光が前記導光体で導光されてエンブレムの正面方向および側面方向へ出射される。

　この構成によれば、車両用エンブレム内に設けられた面照明装置により、複数の光源からの光を導光体により厚み方向（入射方向）と略垂直な方向（導光方向）へ導光効率よく導光することができ、また光導入部の反射面が平面状であるので、従来の曲面形状と異なり面照明装置を薄型化できるから、簡単な構成かつ薄型で、複数の光源からの光をエンブレムの正面方向および側面方向へ出射することが可能となる。

　本発明の他の構成にかかる車両用エンブレムは、上記の面照明装置を備えた車両用エンブレムであって、意匠用凸部と、ケース部と、該意匠用凸部と前記ケース部との間に形成される収納空間内に収容されて第１および第２の領域それぞれを照射して発光させる第１の発光部および前記複数の光源として第２の発光部とを有し、前記収納空間内には、前記第１の発光部から照射された光と、前記第２の発光部から照射された光を互いに混じり合わないように遮断する仕切壁が設けられており、さらに前記収納空間には、前記導光体が配設されていて、前記第２の発光部は、前記導光体の端部に対向して配置されるとともに、前記仕切壁は、前記導光体の端部を囲繞するように配設されていることを特徴とする。

　この構成によれば、仕切壁によって、第１の発光部から照射された光と第２の発光部から照射された光を反射または吸収して、それぞれの光が互いに混じりあうことを抑制できるため、車両用エンブレムは部分的に光むらなどが生じることなく、目標のイルミネーション効果が得られる。また、一方の発光部から照射された光だけを導光体内へと導光できるとともに、第１の発光部から照射された光と第２の発光部から照射された光とが互いに混じりあうことによる光むらの発生を低減できる。よって、意匠用凸部内に光源を配設することによって、異なる部分を発光させることを目的として、複数の発光部を配設させたとしても、光むらなどが生じることがない。

　好ましくは、前記仕切壁には、不透明樹脂からなる光遮断部が設けられていることを特徴とする。これによれば、光遮断部を光がより透過し難くなるため、第１の発光部から照射された光と第２の発光部から照射された光とが互いに混じりあって、光むらが発生するおそれを低減できる。

　さらに好ましくは、前記仕切壁と前記意匠用凸部とが一体形成されていることを特徴とする。これによれば、部品点数が減少するとともに、仕切壁を意匠用凸部に取り付ける作業が不要であるため、作業性が向上する。

　さらに好ましくは、前記仕切壁と前記意匠用凸部とが別体で形成された後、前記仕切壁は前記意匠用凸部に取付固定されてなることを特徴とする。これによれば、仕切壁が意匠用凸部と別体で形成後に取付固定されているため、意匠用凸部の側壁に対して、一体成形では型抜きが困難な距離まで近接させて仕切壁を配置することが可能となり、車両用エンブレムの光学設計の自由度が格段に向上する。

　さらに好ましくは、前記意匠用凸部の前記第１の領域に向かって第１の発光部から照射された光を反射して進行方向を変化させる光偏向部が形成されていることを特徴とする。これによれば、第１の発光部または第２の発光部から意匠用凸部の突出方向に向けて照射された光を、仕切壁に設けられ光偏向部によって反射させて光の進行方向を変えることができるため、意匠用凸部の側面などターゲットの場所、方向へと反射させることができる。

　さらに好ましくは、前記光偏向部は、前記第１の発光部から離れた後半部分に、第１の発光部から遠ざかるほど前記第２の領域に接近するように湾曲または傾斜していることを特徴とする。これによれば、光源から離れた場所にも光が届かせて発光させることが可能となり、単一の発光部から照射された光のみで広範囲を発光させることが可能となり、光源の灯数を削減できる。

　さらに好ましくは、前記光偏向部は、横断面形状の曲率または傾斜角度が、前記第１の発光部から遠ざかるほど次第に大きくなるように形成されていることを特徴とする。これによれば、前記光偏向部の反射効率を高めることができる。

　更に好ましくは、前記第２の発光部は、ケース部の厚み方向に光を照射するように前記凹部内に同一平面上に並んで配置されており、前記第２の発光部からの光が前記導光体で導光されてエンブレムの正面方向および側面方向へ出射される

　この構成によれば、車両用エンブレム内に設けられた面照明装置により、前記第２の発光部からの光を導光体により厚み方向（入射方向）と略垂直な方向（導光方向）へ導光効率よく導光することができ、また光導入部の反射面が平面状であるので、従来の曲面形状と異なり面照明装置を薄型化できるから、簡単な構成かつ薄型で、複数の光源からの光をエンブレムの正面方向および側面方向へ出射することが可能となる。

　請求の範囲および／または明細書および／または図面に開示された少なくとも２つの構成のどのような組合せも、本発明に含まれる。特に、請求の範囲の各請求項の２つ以上のどのような組合せも、本発明に含まれる。

　この発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施形態の説明から、より明瞭に理解されるであろう。しかしながら、実施形態および図面は単なる図示および説明のためのものであり、この発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。この発明の範囲は添付の請求の範囲によって定まる。添付図面において、複数の図面における同一の符号は、同一または相当する部分を示す。

本発明の第１実施形態にかかる面照明装置を備えた車両用エンブレムの要部を示す斜視図である。 本発明の第１実施形態にかかる面照明装置を備えた車両用エンブレムの分解斜視図である。 面照明装置の導光体を拡大して示す斜視図である。 車両搭載時における面照明装置において光源と導光体との関係を示す斜視図である。 面照明装置の構成を示す断面図である。 反射面の傾斜角を変えた場合の光路のシミュレーション結果を示す説明図である。 図１のＡ－Ａ線における断面図である。 面照明装置の導光体を示す断面図である。 面照明装置の導光体を示す断面図である。 従来技術における光路のシミュレーション結果を示す説明図である。 本発明の第２実施形態に係る車両用エンブレムの斜視図である。 図９の車両用エンブレムを分解して示した斜視図である。 図９の車両用エンブレムのケース部と基板と導光体を組み付けた状態で裏側から見た透過正面図である。 図９の車両用エンブレムの第２の発光部、導光体および基板の要部を側面からみた側面図である。 意匠用凸部と仕切壁を裏側からみた斜視図である。 本発明の第３実施形態に係る車両用エンブレムの意匠用凸部と仕切壁と導光体のみを組み付けた状態で、仕切壁付近を拡大して示した斜視図である。 図１４のVII－VII線断面図である。 図１４のVIII－VIII線断面図である。 本発明の第４実施形態に係る車両用エンブレムの意匠用凸部を裏側から見た斜視図である。 図１７の車両用エンブレムにおいて、意匠用凸部と仕切壁と導光体と基板に取り付けられているＬＥＤのみを組み付けた状態で示した斜視図である。 図１８の車両用エンブレムにおいて、側面が傾斜面である仕切壁が設けられた意匠用凸部の一部を裏側から見た正面図である。 図１８のXII－XII線断面図である。 参考形態にかかる面照明装置の構成を示す斜視図である。 水平拡散部による光の拡散状態を示す平面図である。 水平拡散部による光の拡散状態を示す平面図である。 垂直拡散部を示す斜視背面図である。 垂直拡散部を示す断面側面図である。 垂直拡散部による光の拡散状態を示す側面図である。 （Ａ）～（Ｃ）は、参考形態における評価結果を示す特性図である。 従来の面照明装置の一例を示す断面側面図である。

　以下、具体的な実施形態について、図面を参照して説明する。図１Ａは、第１の実施形態にかかる面照明装置を備えた車両用エンブレムの要部を示す斜視図、図１Ｂは車両用エンブレムの分解斜視図である。図２は、図１の面照明装置の導光体を拡大して示す斜視図である。図３は、車両搭載時における面照明装置において光源と導光体の関係を示す斜視図である。図４は、面照明装置の構成を示す断面図である。

　図１Ｂのように、図示しない車両にケース部７が装着される車両用エンブレム１（以下、単にエンブレムともいう）は、所定の厚みをもった略板状のものであり、ケース部７の上部つまり表側に設けられて透光性を有する材料からなるカバーレンズである意匠用凸部４と、複数の光源６および複数の光源６からの光を導光する導光体５を備えた面照明装置ＡＩと、複数の光源６を実装する基板１７が設けられる凹部７ａを有する透光性を有しないケース部７とを備えている。面照明装置ＡＩの導光体５は、意匠用凸部４の外形と略一致する形状（例えば、意匠用凸部４に嵌め合わせ可能な形状）に曲成されており、意匠用凸部４とケース部７の間に配設されている。

　意匠用凸部４は、例えばポリカーボネートやアクリル系樹脂などの透光性を有する材料からなる。また、ケース部７は、ＡＢＳ樹脂などの合成樹脂からなる。材料、材質はこれに限定されるものではなく、例えば意匠用凸部４の均一発光のため光散乱性を有する微粒子を分散した材料を用いるなどしてもよい。なお、図示しないが、車両搭載時にはエンブレム１の最外面に、ＡＢＳ樹脂などの熱可塑性樹脂の成形体の表面に塗装、メッキ等によって金属調にコーティングされた意匠体が設置されてもよい。

　図１Ａ、図１Ｂのように、意匠用凸部４は、略楕円形の外形で中央付近に橋架け部８およびこれよりも一段下がった窪み部９を備えており、エンブレム１を正面方向から見た際にその輪郭の縁部１０のみが発光面３となるように、縁部１０以外を着色などが施された遮光面２が覆う構成とされている。また、意匠用凸部４の側部１１には遮光面２がなく、その結果、エンブレム１全体としては正面方向の一部と側面方向に発光面３が存在する構成とされている。なお、エンブレム１の外形、輪郭、遮光面２と発光面３の配置などはこれに限定されるものではない。

　こうして、エンブレム１の輪郭および意匠用凸部４の側部１１の縁部１０のみを発光面３とし、それ以外を遮光面２とした構成により（図１Ａ、図６）、図１Ａのように、エンブレム１の輪郭に沿った部分から正面方向の光Ｌｆが、意匠用凸部４の側部１１に沿った部分から側面方向の光Ｌｓが発光される。

　また、図１Ｂに示すように、本実施例では、橋架け部８の頂部付近に、すなわち基板１７における橋架け部８に対向する部分に、別光源３６が設けられている。これは、エンブレム１の中心付近から正面方向に向けて最も高い輝度で発光させることで、全体のバランスをとってデザイン性を高めるためであり、この別光源３６の発光方向が正面方向に規定されることにより、基板１７の配置、ひいては光源６の配置やエンブレム１の厚み方向ｄ（図４）に光を入射させる構成が採られることとなる。なお、正面方向と略垂直な面に設定される基板１７とは別に、略平行な面に基板を追加して光源６を実装し、導光体５の導光方向Ｘ０（図４）と同じ方向から光を入射することも考えられるが、コストアップとなる点、エンブレム１の高さスペースに制限がある点、および基板の影が発光面に映り込んでしまう点などの問題点があり、別光源３６を設ける本方法の方が好ましい。

　面照明装置ＡＩは、前述のように、複数の光源６および複数の光源６からの光を導光する導光体５を備えており、図４のように、導光体５は、導光部５Ｂ、および導光部５Ｂの一端から導光方向Ｘ０とは逆方向の導光逆方向Ｘ（図４）へ突出して形成されて、複数の光源６の光を導光逆方向Ｘと直交する厚み方向ｄから導入する光導入部５Ａを有している。複数の光源６には例えばＬＥＤが使用され、導光体５には、例えば、アクリル樹脂やポリカーボネートなどが使用される。

　導光体５は、図２に示すように、図１Ｂの意匠用凸部４の外形と略一致するよう略楕円形の棒状に形成されており、意匠用凸部４の輪郭に沿うように、意匠用凸部４の橋架け部８の左右から側部１１の形状に合わせて延びる形とされており、取付部１２によってケース部７に取り付けられて固定される。導光体５の左右の端部には、前記入射面１３、および入射面１３の先端１４（外端縁）から傾斜している平面状の反射面１５が形成されている。

　また、複数の光源６は、図３に示すように、複数の異なる色を発光するため複数のＬＥＤがガラスエポキシ樹脂などからなる基板１７に実装されており、基板１７がケース部７の凹部７ａ内に配置されることにより、同一平面上に並んで配置される複数の光源６がケース部７の厚み方向ｄに光を照射するよう構成されている。本第１実施形態では、６個のＬＥＤのうち４個が低輝度の色を発光するＬＥＤ光源６ｂ、２個が高輝度の色を発光するＬＥＤ光源６ａによって構成されており、その配置は低輝度の光源６ｂを反射面１５に近い側に、高輝度の光源６ａを反射面１５から遠い側に配置されている。ここで言う低輝度の色、高輝度の色というのは、互いに比較した際の相対的な高低の意味であり、例えば低輝度の光源６ａを青色、高輝度の光源６ｂを白色とすることができる。なお、ＬＥＤの発光色、数などはこれに限定されるものでない。

　以下、図４を用いて、面照明装置ＡＩの構成を詳細に説明する。複数の光源６は、導光逆方向Ｘに沿って並んで対向して配置されて、導光体５の光導入部５Ａに対向している。光導入部５Ａは、導光逆方向Ｘに延びて複数の光源６と対向する入射面１３と、この入射面１３の外端縁から斜めに平面状に延びて入射面１３に対し鋭角に傾斜する反射面１５とを有する。反射面１５の入射面１３に対する先端１４における鋭角に傾斜する角度（傾斜角）θは、導光体５の材質が持つ臨界角よりも大きな角度である。例えば導光体５の材料としてアクリル樹脂を使用した場合、その臨界角４２°よりも大きい傾斜角θに設定される。

　このとき、反射面１５は、入射面１３から厚み方向ｄに入射した光をその内面で入射方向に対して略垂直な方向に反射させて導光部５Ｂへ導光方向Ｘ０に導入する。一方、複数の光源６は斜めに延びる反射面１５と導光部５Ｂとの境界Ｐよりも導光逆方向Ｘに偏位して、つまり境界Ｐを挟んで導光部５Ｂに対して導光逆方向Ｘの外方（すなわち、反対側）に配置されている。したがって、複数の光源６のすべてが反射面１５と相対向して配置されるとともに、反射面１５が入射光を全反射させるので、複数の光源６の配置にかかわらずに入射光が反射面１５から外れて外方へ抜けることを少なくし、入射光を可及的に多く反射面１５から全反射させることができる。

　これにより、従来の曲面形状の反射面では、複数の光源のうち反射面から遠い位置に配置される光源の導光効率が著しく低下するという問題に対して、本実施形態では、反射面１５から遠い位置に配置される光源６ａについても反射面１５に多く全反射して導光効率を向上することができる。また、導光体５の反射面１５は平面状であるので、従来の曲面形状の反射面のように径方向に反射面が大きくならないので、スペースを圧迫することがなく、その下方に複数の光源を配置しても、この部分の厚み方向（反射面の径方向に合致）の寸法が小さくなり、薄型化を実現することができる。

　また、複数の光源６は、入射面１３と略平行な同一面内のなかで導光逆方向Ｘに並んで配置されており、低輝度光源６ｂを反射面１５に近い側に高輝度光源６ａを反射面１５から遠い側に配置される構成とされている。これは、反射面１５に近い側の光源６ｂよりも遠い側の光源６ａが相対的に導光効率が低くなることを考慮し、反射面１５から遠い側に高輝度光源６ａを、近い側に低輝度光源６ｂを配置することで、複数の光源６の全体の発光を均一化することができる。

　さらに、導光体５は、光導入部５Ａの入射面１３に隣接して、入射方向（厚み方向ｄ）に突出した凸曲面形状の徐変部１８が形成されており、導光体５の下側導光面１９ｂまで繋がる構成とされている。これにより、入射面１３と下側導光面１９ｂとが平面状に繋がる構成に比べ、光導入部５Ａの反射面１５で反射された光が徐変部１８によってさらに遠くへ反射されるため、より導光効率よく導光することができる。

　図４において、導光体５における、入射方向（厚み方向ｄ）における上側導光面１９ａと下側導光面１９ｂとの距離（高さ）をＨ１、上側導光面１９ａと入射面１３との距離（高さ）をＨ２、導光逆方向Ｘにおける反射面１５の距離（幅）をＬ１、入射面１３の距離（幅）をＬ２、先端１４の角度（傾斜角）をθとし、複数の光源６の導光方向における全体の距離（幅）をＬ０、とする。この場合に、複数の光源６は反射面１５に近い方ほど導光効率が高くなるため、Ｌ０は最小限に留めようと構成されるが、ＬＥＤの数、仕様によって制限があり、本実施形態の３列に並べた場合にはＬ０＝１０ｍｍほどが最小値として制約されることとなる。Ｈ１、Ｈ２は値が大きいほど導光効率を向上させることができるが、車両用エンブレムとしての商品性や法規による制限があり、本実施形態においてはＨ１＝８ｍｍ、Ｈ２＝１０ｍｍとされている。よって、以上のような様々な制約があるなかで、複数の光源６からの光を入射方向とは略垂直な方向へ導光効率よく導光させるためには、反射面１５の形状、Ｌ１の距離、傾斜角θの構成を工夫する必要がある。

　図５は、反射面の傾斜角θを変えた場合の光路のシミュレーション結果を示す説明図である。（Ａ）はθ＝３５°のとき、（Ｂ）はθ＝５５°のときで、本実施形態の範囲外であり、（Ｃ）はθ＝４５°のときで、本実施形態の範囲内である。まず、（Ａ）のようにθ＝３５°の場合には、反射面から近い順、すなわち、先端１４から近い順に配置された光源Ａ、Ｂ、Ｃのいずれもほとんどの光が反射面から導光体の外へと抜けてしまっていることが分かる。これは、導光体５に入射された光のほとんどが、アクリル樹脂の臨界角４２°よりも大きな角度で反射面１５に当たることで透過してしまうためである。

　また、（Ｂ）のようにθ＝５５°の場合には、光源Ａ、Ｂにおいては効率よく光が導光されているが、反射面から最も遠い光源Ｃにおいてはほとんどの光が導光体の外へ抜けてしまっていることが分かる。これは、導光体の高さ方向の長さ（前述したＨ２）に制限があるため傾斜角θを大きくすれば反射面の距離（前述したＬ１）が小さくなって、反射面から最も遠い位置にある光源Ｃの直上（厚み方向ｄの上方）には反射面１５が存在しないためであり、その結果、ＬＥＤ光源で最も輝度の高い直上の光が透過してしまうことで導光効率が著しく低下してしまうこととなる。

　そして、（Ｃ）のようにθ＝４５°の場合には、反射面１５が臨界角を超えるとともに、反射面１５から最も遠い光源Ｃの直上には反射面１５が存在して、つまり、複数の光源６が斜めに延びる反射面１５と導光部５Ｂとの境界Ｐよりも導光逆方向Ｘの外方に配置されている。したがって、上述した（Ａ）、（Ｂ）の場合の問題点が解決されており、光源Ａ、Ｂ、Ｃのいずれもバランスよく導光されていることが分かる。導光体５に使用されるアクリル樹脂の臨界角が４２°であり、光導入部５Ａの反射面１５の傾斜角度θがこれを超える４５°であることから、光導入部５Ａは入射面１３と反射面１５とで略断面（直角）三角形の形状となり、導光体５を容易に成形することができる。また同様に、臨界角が３９°であるポリカーボネート樹脂も好ましく使用できる。

　このように、本実施形態では、導光体５の光導入部５Ａの反射面１５は、入射面１３に対し導光体５の材質が持つ臨界角よりも大きな角度で鋭角に傾斜し（傾斜角θ）、厚み方向ｄから入射した光を略垂直な方向に反射させて導光部５Ｂへ導入するものであり、複数の光源６が、斜めに平面状に延びる反射面１５と導光部５Ｂとの境界Ｐよりも導光逆方向Ｘに偏位して配置されている。したがって、複数の光源６がすべて反射面１５と厚み方向ｄに相対向して配置されるとともに、反射面１５が入射光を全反射させるので、光源６の位置にかかわらずに入射光が反射面１５から外れて外方へ抜けることを極力少なくし、入射光を可及的に多く反射面１５から全反射させることができる。これにより、簡単な構成かつ薄型で、複数の光源６からの光を導光体５により厚み方向ｄ（入射方向）と略垂直な方向（導光方向Ｘ０）へ導光効率よく導光することが可能となる。

　前記した車両用エンブレム１において、導光された光が面照明装置ＡＩの導光体５から出射されてエンブレム１の外方へと発光される状態を説明する。図６は、図１のＡ－Ａ線における断面図であり、導光体５の出射面２１に相対向する底面には微細な凹凸形状やレーザードットなどによる光学パターン２０が形成されている。これにより、複数の光源６から入射して導光体５の内部を導光方向Ｘ０へ導光されてきた光の一部が方向を変え、出射面２１から出射されて意匠用凸部４の縁部１０ならびに側部１１へと到達し、発光面３となってエンブレムの表面に表れることとなり、図中破線矢印で示すように、エンブレム１の縁部１０の輪郭に沿った部分から正面方向の光Ｌｆが、側部１１に沿った部分から側面方向の光Ｌｓが発光される（図１Ａ）。

　このように、本実施形態では、車両用エンブレム内に設けられた面照明装置により、簡単な構成かつ薄型で、複数の光源６からの光を導光体５により入射方向と略垂直な方向へ導光効率よく導光することが可能となる。これにより、全体の厚みを大きくしたり、余分な光源や導光体を追加したりすることなく、複数色の光をエンブレムの正面方向および側面方向に出射することができるため、低コストで商品性の高い車両用エンブレムを得ることができる。

　なお、図７Ｂに示す導光体５の変形例のように、導光体５の入射面１３において、反射面１５から遠い側の入射面の部分を光源６側（図では、厚み方向ｄおよび導光逆方向Ｘとは逆向きである、左斜め下方）に傾斜して延長した折曲部１３ａが設けられた形状とすることができる。光路シミュレーションの結果、図７Ｂの変形例は、図７Ａの実施例に比べて、（上側）導光面１９ａから抜ける光を減らすことができ、導光効率をおよそ５～１５％ほど向上させることが可能となる。

　なお、この第１実施形態では、導光部５は徐変部１８を設けているが、必要に応じて省略してもよい。

　次に、第２実施形態について説明する。

　図９は、第２実施形態に係る、車両の外側において、車両前部または車両後部に配設される車両用エンブレム１００の斜視図である。第１実施形態の面照明装置である車両用発光装置が使用されるこのエンブレム１００は、中心面１０Ｐを通る矢印１０Ｘで示すエンブレムの表裏方向から見てＷ字状である。

　図１０には、エンブレム１００の構成部品を分解した状態を表した斜視図を示しており、エンブレム１００は、表面側から裏側へ向けて順に、つまり前側から後側にかけて、前記意匠体としての装飾部１０１０と、意匠用凸部１０１１と、導光体１０１２、１０１２´と、基板１０１３と、ケース部１０１４とからなる。よって、ケース部１０１４の上方向は、前記後側から前記前側への方向である。意匠用凸部１０１１は、透光性を有しケース部１０１４の上部に取り付けられている。導光体１０１２、１０１２´および基板１０１３は、意匠用凸部１０１１とケース部１０１４とにより構成される収納空間内に収容されている。各構成部品どうしは、接着剤や爪嵌合、螺子止め、溶着など公知の固定方法によって、固定されている。

　本実施形態のエンブレム１００の外観形状は概略Ｗ字状とされているが、これに限られるものでなく、社名やロゴなど任意の文字やマークに変更可能である。エンブレム１００は、車名やロゴ等を標示する機能に加えて、白色や青色や紫色などで光源から照射された光を導光して発光表示させることによって、車両外観にイルミネーション装飾を施して高級感を付与したり、キーレスエントリーの車両でドアのロック／アンロックのアンサーバック機能を付与したりする等の機能が付加されている。このとき、発光表示方法は、常時点灯、一定時間点灯後消灯、点滅など任意に設定可能である。また、単色表示でもよいし、複数の色を切り替えて表示することも可能である。

＜装飾部＞
　装飾部１０１０は、エンブレム１００の最表面側に配置されるものであって、エンブレム１００の外観を装飾して高級感を付与する等の目的で配設される。装飾部１０１０は、ポリカーボネート（ＰＣ）などの透明樹脂を射出成形して概略Ｗ字状に形成した後、外表面の少なくとも一部を銀めっき塗装して光沢を付与している。本実施形態においては、装飾部１０１０は前記意匠用凸部１０１１と別体で形成した後、意匠用凸部１０１１の表面に接着固定することによって取り付けられているが、装飾部１０１０を省略して、意匠用凸部１０１１の外表面の少なくとも一部を銀メッキ塗装するなどして装飾加工を施す構成としてもよい。この場合、構成部品を削減できるため、コストを低減できる。

＜ケース部＞
　ケース部１０１４は、透過性を有しないように、ポリカーボネート（ＰＣ）の黒色樹脂を一般板厚２ｍｍとなるように射出成型され、前記概略Ｗ字状の形状である。ケース部１０１４は、外周に立壁１０１４ｄを形成することによって、内部に凹部１０１４ａを設けている。該凹部１０１４ａと前記意匠用凸部１０１１によって、後述するように、導光体１０１２、１０１２´と基板１０１３を収容する空間１０Ｓ（以降で説明する図１２に示す）が形成されている。ケース部１０１４の凹部１０１４ａには、さらに一段窪んだ凹陥部１０１４ｂが形成されている。凹陥部１０１４ｂは、表裏方向から見て前記基板１０１３の外形と略同じ外形を有しており、基板１０１３は、凹陥部１０１４ｂへと嵌め込み固定されている。凹陥部１０１４ｂには、ハーネスを挿通させるための貫通孔（非図示）が形成されていて、ハーネスは基板１０１３に接続されることにより、車両側からエンブレム１００に電気が供給されている。

＜基板＞
　基板１０１３は、ＬＥＤやトランジスタなどの電子部品をはんだ付け等によって取付固定されてなる板状の部品である。基板１０１３には、それぞれ４個のＬＥＤを３箇所に集約して配置、実装することによって、第１の発光部１０１３ａと第２の発光部１０１３ｂ、１０１３ｂ´を設けている。基板１０１３上に実装されているＬＥＤ以外の電子部品については、図示を省略している。

　基板１０１３を凹陥部１０１４ｂへと嵌合し、螺子止めなど公知の締結手段で固定することで、基板１０１３はケース部１０１４に取り付けられている。このとき、基板１０１３には、凹陥部１０１４ｂに形成された貫通孔（非図示）を挿通させた電気接続用のハーネス（非図示）が接続されている。基板１０１３に実装されているＬＥＤは、単色のＬＥＤのみを実装してもよいし、青色、白色、紫色など複数の色のＬＥＤを適宜組み合わせて実装してもよい。本実施形態では各発光部におけるＬＥＤの灯数は４個としているが、これに限られるものではない。

＜導光体＞
　導光体１０１２、１０１２´は、透明なポリメタクリル酸メチル樹脂（ＰＭＭＡ）を射出成型することによって形成されている。導光体１０１２は、後述の概略Ｗ字状の意匠用凸部の内部に収まる形状として、本実施形態では、Ｊ字形状をした主部１０１２ａの一端から後方へ突出する突出部１０１２ｂが形成されている。また、導光体１０１２´は、図１に示す中心面１０Ｐに対して導光体１０１２と対称（左右対称）な形状となるように主部１０１２ａ´および突出部１０１２ｂ´が形成されている。

　図１１および図１２に示すように、ケース部１０１４の凹陥部１０１４ｂの底面に載置された基板１０１３の第２の発光部１０１３ｂに面する（または対向する）ように導光体１０１２の突出部１０１２ｂの端面が配置されている。このとき、突出部１０１２ｂは、凹部１０１４ａから凹陥部１０１４ｂへと矢印１０Ｘ方向に屈曲するように形成されているのに従って、突出部１０１２ｂの少なくとも一部が凹陥部１０１４ｂ内の空間に挿入されている。同様に、基板１０１３の第２の発光部１０１３ｂ´に面する（または対向する）ように導光体１０１２´の突出部１０１２ｂ´の端面が配置されており、このとき突出部１０１２ｂ´は、凹部１０１４ａから凹陥部１０１４ｂへと矢印１０Ｘ方向に屈曲するように形成されているのに従って、突出部１０１２ｂ´の少なくとも一部が凹陥部１０１４ｂ内の空間に挿入されている。

　図１２に、導光体１０１２の突出部１０１２ｂと第２の発光部１０１３ｂのＬＥＤとの関係を側方から見た図で示している。導光体１０１２の突出部１０１２ｂの端面である入光面１０１２ｃへ向けて第２の発光部１０１３ｂのＬＥＤから光が照射される。導光体１０１２内へと入射した光は、突出部１０１２ｂに設けた傾斜面１０１２ｄなどで反射することによって、光を導光体１０１２の主部１０１２ａへと導光させて、導光体１０１２全体をほぼ均一に発光させることを可能としている。導光体１０１２´についても導光体１０１２と同様に導光されるため、図示説明は省略する。

＜意匠用凸部（カバーレンズ）＞
　図１３に、意匠用凸部１０１１を裏側から見た斜視図を示す。意匠用凸部１０１１は、Ｗ字状の裏面部１０１１ａと裏面部１０１１ａの端縁から立ち上がった側壁部１０１１ｂとからなり、裏面部１０１１ａの少なくとも一部は黒色樹脂で、側壁部１０１１ｂなどその他の部分は透明樹脂によって二色成形されている。意匠用凸部１０１１に使用される樹脂としては、例えばポリカーボネート（ＰＣ）が好適に用いられ、射出成型によって形成されて、前記概略Ｗ字状形状である。

　意匠用凸部１０１１は、前述のとおり、前記ケース部１０１４と嵌め合わされて、意匠用凸部１０１１の側壁部１０１１ｂで囲まれた収納凹部１０１１ｃと図１０のケース部１０１４の凹部１０１４ａとによって収納空間１０Ｓが形成される。この空間１０Ｓに前記導光体１０１２、１０１２´および基板１０１３が収容されている。第１の発光部１０１３ａから照射された光および第２の発光部１０１３ｂ、１０１３ｂ´から照射されて導光体１０１２、１０１２´によって導光された光は、前記意匠用凸部１０１１の側壁部１０１１ｂ等の透明部分から外部に向けて発光する。これによって、図９にクロスハッチング１０Ｅで示すエンブレム１００の外周縁が発光してイルミネーション効果が得られるとともに、独特な意匠性が付与される。

　図１３の意匠用凸部１０１１の側壁部１０１１ｂの内側には、ローレット形状やうろこ形状などの光学形状（レンズパターン）が施されていることが好ましい。このような形状を付与することによって、光の拡散効果が向上するとともに、輝度が緩やかに変化するような発光を実現できる。

＜仕切壁（リフレクター）＞
　意匠用凸部１０１１の収納凹部１０１１ｃ内には、光遮断部を形成する仕切壁１０１５、１０１５´が一体形成されている。仕切壁１０１５は黒色樹脂で形成された互いに平行な第１および第２光遮断部１０１５ａ，１０１５ｃと、これらの一端部同士を連結する第３光遮断部１０１５ｂとを有し、第１および第２光遮断部１０１５ａ，１０１５ｃの他端部同士は連結されないで、開口１０１５Ｊを形成しており、表裏方向から見てコ字状である。仕切壁１０１５´は前記中心面１０Ｐに対して仕切壁１０１５と対称形状である。仕切壁１０１５および１０１５´は、意匠用凸部１０１１の裏面部１０１１ａから垂直に突出した立壁からなる。仕切壁１０１５と仕切壁１０１５´は、第１および第２光遮断部１０１５ａ，１０１５ｃの長手方向に平行な中心線１０Ｃと，第１および第２光遮断部１０１５ａ´，１０１５ｃ´の長手方向に平行な１０Ｃ´とが平行でなく傾斜していることから、ここでは約９０°で交差している。よって、仕切壁１０１５の第２光遮断部１０１５ｃと仕切壁１０１５´の第２光遮断部１０１５ｃ´とが、互いに傾斜して対向している。意匠用凸部１０１１をケース部１０１４に嵌め合わせると、前記仕切壁１０１５、１０１５´は、入光面１０１２ｃ、１０１２ｃ´（図１２）が設けられた導光体１０１２、１０１２´の端部近傍が、開口を有する仕切壁１０１５，１０１５´の内側に嵌合されて、この端部近傍を囲繞するように配置される。

　これによって、第１の発光部１０１３ａから出射された光と、第２の発光部１０１３ｂ、１０１３ｂ´とが混じり合うことを防止できるため、第１の発光部１０１３ａと第２の発光部１０１３ｂ、１０１３ｂ´のそれぞれがターゲットの箇所のみに向けて発光させることができる。すなわち、光むらが発生したり、部分的に光の強弱が発生して不自然な発光となるような不具合の発生を防止できる。

　本実施形態においては、第１の発光部１０１３ａから出射した光は、図１３の意匠用凸部１０１１の側壁部１０１１ｂの中でも、中央の逆Ｖ字状突起部１０１１ｄの側壁部１０１１ｂ（第１の領域１０Ａ１）からの発光用にのみ設けられている。第２の発光部１０１３ｂ、１０１３ｂ´は導光体１０１２、１０１２´内に向けて照射して導光体１０１２、１０１２´内を導光させることによって、意匠用凸部１０１１の前記逆Ｖ字状突起部１０１１ｄ以外の側壁部１０１１ｂ（第２の領域１０Ａ２）からの発光用に使用されている。ここで、第２の領域１０Ａ２は、第１の領域１０Ａ１に隣接して連なっている。これによって、前記逆Ｖ字状突起部１０１１ｄとその他の部分で発光態様の異なるイルミネーション効果を演出できる。例えば、第１の領域１０Ａ１を他の部分に比べて高輝度となるように発光させたり、第１の領域１０Ａ１のみ色を変えたり、点滅させたりするなど発光態様を変えることによって様々なイルミネーション効果を演出することも可能となる。

　前記仕切壁１０１５、１０１５´における光遮断部１０１５ａ、１０１５ｂ、１０１５ｃ、１０１５ａ´、１０１５ｂ´、１０１５ｃ´は、不透明樹脂、例えば黒色樹脂で形成されていることが好ましく、光遮断部１０１５ａ、１０１５ｂ、１０１５ｃ、１０１５ａ´、１０１５ｂ´、１０１５ｃ´を黒色とすることによって、光を吸収することができるため、光が仕切壁１０１５、１０１５´を透過することがなくなり、光むらが発生するおそれをより一層低減できる。

　本実施形態における仕切壁１０１５、１０１５´は、断面コ字状となるように形成し、導光体１０１２、１０１２´の端部を囲繞するように配置しているが、これに限られるものではなく、収納凹部１０１１ｃの対向する側壁部１０１１ｂを１枚の仕切壁で繋ぐことによって、第１の発光部１０１３ａが配置された領域と第２の発光部１０１３ｂ、１０１３ｂ´が配置された領域を完全に仕切ってもよい。さらに、仕切壁全体を黒色樹脂で構成することが好ましい。このような構成とすれば、第１の発光部１０１３ａから照射された光と第２の発光部１０１３ｂ、１０１３ｂ´から照射された光が収納凹部１０１１ｃ内で混じり合うことがなくなるため好ましい。

　図１４に、第３実施形態に係る車両用エンブレムにおける仕切壁１１１５、１１１５´および意匠用凸部１１１１への導光体１１１２、１１１２´の配設状態を示す。図１４は、意匠用凸部１１１１の収納凹部１１１１ｃに設けられた仕切壁１１１５、１１１５´のうち仕切壁１１１５´付近を拡大して示した斜視図である。また、図１４のVII－VII線断面図を図１５に、VIII－VIII線断面図を図１６に示す。仕切壁１１１５は、仕切壁１１１５´と左右対称形状であるため、図示を省略する。また、意匠用凸部１１１１の仕切壁１１１５、１１１５´以外の構成部品は、第２実施形態と同じであるため説明を省略する。

　図１４の仕切壁１１１５´は、意匠用凸部１１１１とは別体で形成されている。別成形された仕切壁１１１５´は、意匠用凸部１１１１に一体成型によって形成された固定部１１１６´の係止爪１１１６ａ´と第２係止爪１１１６ｂ´間に嵌合することによって、取付固定されている。仕切壁１１１５についても同様に意匠用凸部１１１１に取付固定されている。仕切壁１１１５、１１１５´を別体成形することによって、意匠用凸部１１１１の側壁部１１１１ｂに近接するように仕切壁１１１５、１１１５´を配設することができる。意匠用凸部１１１１と仕切壁１１１５、１１１５´を一体成型した場合、型抜きなどの生技要件などから所要の間隔をあけなければならないという制約があるが、別体成形して後付けにすることによって、成型上の制約がなくなるため、光学設計の自由度が格段に向上する。

　図１５に示すように、仕切壁１１１５´の第３光遮断部１１１５ｂ´の外側には第１係止用フランジ１１１５ｅ´が突出形成されており、図１６に示すように、仕切壁１１１５´の底部１１１５ｄ´の第３光遮断部１１１５ｂ´とは反対側の端縁からは、第２係止用フランジ１１１５ｆ´が突出形成されている。第１係止用フランジ１１１５ｅ´は固定部１１１６の第１係止爪１１１６ａ´と係止し、第２係止用フランジ１１１５ｆ´は固定部１１１６´の第２係止爪１１１６ｂ´と係止する。これにより、仕切壁１１１５´が固定部１１１６´に嵌合固定されている。

　また、固定部１１１６´の底部１１１６ｃ´からは、係止突起１１１６ｄ´、１１１６ｅ´が突出形成されているとともに、仕切壁１１１５´の底部１１１５ｄ´には、貫通孔１１１５ｇ´、１１１５ｈ´が形成されている。仕切壁１１１５´を固定部１１１６´へと圧入させて嵌合固定する際に、一方の係止突起１１１６ｄ´が貫通孔１１１５ｇ´へと嵌挿され、他方の係止突起１１１６ｅ´が貫通孔１１１５ｈ´に嵌挿されるため、仕切壁１１１５´が位置決めされるとともに、仕切壁１１１５´にがたつきなどが生じることを防止している。

　図１４に戻って、仕切壁１１１５´は黒色樹脂で形成された立壁である光遮断部１１１５ａ´、１１１５ｂ´、１１１５ｃ´からなり、第１光遮断部１１１５ａ´と第２光遮断部１１１５ｃ´とが対向するように配置されるとともに、第１光遮断部１１１５ａ´の端部と第２光遮断部１１１５ｃ´の端部とを第３光遮断部１１１５ｂ´で連結し、他端部同士は連結されないで開口を形成して仕切壁１１１５´がコ字状となっている。意匠用凸部１１１１をケース部１１１４に嵌め合わせると、前記仕切壁１１１５´は、入光面１１１２ｃ´が設けられた導光体１１１２´の端部近傍を囲繞するように配置される。これによって、第１の発光部（図１１の１０１３ａ）から出射された光と、第２の発光部（図１１の１０１３ｂ，１０１３ｂ´）から出射された光とが混じり合うことを防止できるため、第１の発光部と第２の発光部のそれぞれがターゲット箇所のみに向けて発光させることができる。すなわち、光むらが発生したり、部分的に光の強弱が発生して不自然な発光となるような不具合の発生を防止できる。

　図１７、図１８に第４実施形態に係る車両用エンブレムにおける仕切壁１２１５および意匠用凸部１２１１を収納凹部１２１１ｃ側からみた斜視図（図１７）、および導光体１２１２、１２１２´と第１の発光部１２１３ａを構成するＬＥＤと、第２の発光部１２１３ｂ、１２１３ｂ´を構成するＬＥＤとを意匠用凸部１２１１の収納凹部１２１１ｃ内に配設した状態の斜視図（図１８）を示す。本実施形態における車両用エンブレムは、意匠用凸部１２１１以外の構成部品は、第３実施形態と同じであるため、説明は省略する。

　図１７に示す意匠用凸部１２１１の収納凹部１２１１ｃ内には、仕切壁１２１５が一体形成されている。仕切壁１２１５は、逆Ｖ字状突起部１２１１ｄの頂点の付近の所定の位置から延びて、途中で左右方向に二又に分岐して凹面状に湾曲し、裏側から見て逆Ｙ字状となるように形成されている。図１８に示すように、仕切壁１２１５は、白色樹脂またはシボ入りの透明樹脂で形成された光偏向部１２１５ｃによって光を反射する機能が付与されている。仕切壁１２１５のＹ字の幹の基端部１２１５ｄは、ケース部１４（図９）に取り付けられた第１の発光部１２１３ａに近接している。また、仕切壁１２１５のＹ字の２つの枝の先端部１２１５ｅは、それぞれ、第２の発光部１２１３ｂ、１２１３ｂ´に近接しており、これら第２の発光部１２１３ｂ、１２１３ｂ´に近接する先端部１２１５ｅの近傍に、黒色樹脂のような不透明樹脂からなる光遮断部１２１５ａ、１２１５ｂが形成されている。光遮断部１２１５ａ、１２１５ｂによって、第１の発光部１２１３ａから出射された光と第２の発光部１２１３ｂ，１２１３ｂ´から出射された光とが混じり合うことが抑制されるため、車両用エンブレムの光むらが低減される。

　また、図１９に示すように、光偏向部１２１５ｃの逆Ｖ字状突起部１２１１ｄの側壁部１２１１ｂに対向する側面１２１５ｍは中間部１２１５ｍ１から湾曲（図２０）させずに、単に傾斜させてもよい。このような形状とすることによって、湾曲させた場合と同様に第１の発光部１２１３ａから出射された光１０Ｌ１が反射屈折して、逆Ｖ字状突起部１２１１ｄの側壁部１２１１ｂへと光１０Ｌ２を照射し易くなるため、逆Ｖ字状突起部１２１１ｄの側壁部１２１１ｂを高輝度で発光させることが可能となる。このとき、光偏向部１２１５ｃは、側面１２１５ｍの中間部１２１５ｍ１からＹ字の先端部１２１５ｅまでの部分が、第１の発光部１２１３ａから遠ざかるほど側壁部１２１１ｂに接近するように設計されている。このような構成によれば、第１の発光部１２１３ａから出射された光が反射屈折しながら仕切壁１２１５の裾まで、すなわち、光遮断部１２１５ａ、１２１５ｂが形成されている先端部１２１５ｅの付近まで光を到達させ易くなる。これにより、逆Ｖ字状突起部１２１１ｄの側壁部１２１１ｂを光むらなく、より均一に発光させることができる。

　図２０は第１の発光部１２１３ａ付近を示す図１８のXII－XII線に沿った断面図である。光偏向部１２１５ｃにおける逆Ｖ字状突起部１２１１ｄの側壁部１２１１ｂに対向する側面１２１５ｍは、表裏方向１０Ｘに沿った横断面であるXII－XII線断面の形状が、第１の発光部１２１３ａから離れるほど側壁部１２１１ｂに近づくように凹面状に湾曲している。これにより、第１の発光部１２１３ａからの照射光１０Ｌ１のうち側面１２１５ｍで反射された反射光１０Ｌ２の多くが側壁部１２１１ｂに到達するので輝度が向上する。このような形状とすることによって、第１の発光部１２１３ａから出射された光が反射屈折して、逆Ｖ字状突起部１２１１ｄの側壁部１２１１ｂへと光を照射し易くなるため、逆Ｖ字状突起部１２１１ｄの側壁部１２１１ｂを高輝度で発光させることが可能となる。このとき、光偏向部１２１５ｃの側面１２１５ｍの曲率は第１の発光部１２１３ａから遠ざかるほど大きくなる（曲率半径が小さくなる）ように設計されている。これにより、逆Ｖ字状突起部１２１１ｄの側壁部１２１１ｂを光むらなく、より均一に発光させることができる。

　以上、本実施形態によれば、意匠用凸部内に光源を配設することによって、意匠用凸部を発光させる車両用エンブレムにおいて、異なる部分を発光させることを目的として、複数の発光部を配設させたとしても、光むらなどが生じることがない。

　なお、第２の発光部１０１３ｂ，１０１３ｂ´は、上記第２実施形態および第４実施形態では２つ設けられていたが、３つ以上であってもよい。

　上記第２実施形態および第４実施形態において、第１の領域１０Ａ１は、側壁部１０１１ｂのうち逆Ｖ字状突起部１１ｄの部分とし、第２の領域１０Ａ２はそれ以外の側壁部１０１１ｂの部分としたが、これに限定されない。ただし、好ましくは、互いに隣接して連なる第１の領域１０Ａ１と第２の領域１０Ａ２は、その隣接箇所において異なる方向に面する。

　上記第２実施形態～第４実施形態における、凹部１０１４ａまたは凹陥部１０１４ｂは、上記実施形態１における、凹部７ａに相当する。また、上記第２実施形態～第４実施形態における、第２の発光部１０１３ｂは、上記実施形態１における、複数の光源に相当する。上記第２実施形態～第４実施形態における、主部１０１２ａおよび突出部１０１２ｂは、各々、上記実施形態１における、導光部５Ｂおよび光導入部５Ａに相当する。上記第２実施形態～第４実施形態における、傾斜面１０１２ｄは、上記実施形態１における、反射面１５に相当する。

　以上説明した第２実施形態から第４実施形態は、導光体１０１２、１０１２´および導光体１１１２、１１１２´における上記の特殊な形状（傾斜面（反射面）１０１２ｄと入光面（入射面）１０１２ｃとの間のなす角が前記臨界角よりも大きな角度の鋭角である形状）を構成要素としない、以下の態様群を含む。

　本態様群は、車両に設置される発光装置に関し、特に異なる箇所を発光させるために複数の発光部が設けられた発光装置に関する。

　車両の内外には、従来から、車両外観や乗員室内等の内装の意匠性を高めたり、高級感を付与したりするために、種々の発光装置を配設することがおこなわれている。例えば、自動車のボデーの前部および後部に取り付けられているロゴや車名などのエンブレムを発光させたり、又は照明することがおこなわれているが、この場合、エンブレムの裏側に、光透過性の樹脂からなる導光体と、該導光体の側面または後方または前方に光源として複数個のＬＥＤ（発光ダイオード）を配置し、ＬＥＤから照射された光を導光体で導光して、エンブレム（意匠用凸部）の周辺などの一部または全部を光らせてイルミネーション機能を付加する構成が知られている。また、特開２０１２－８３５２０号公報や特開２００６－４４３２９号公報に開示されている構成のように、エンブレムのロゴや車名などの意匠部分を構成する意匠用凸部内にＬＥＤを配設し、該意匠用凸部の一部または全部を光らせる構成が知られている。

　例えば、特開２０１２－８３５２０号公報のような意匠用凸部内に光源を配置する場合、通常、意匠用凸部は、車名やロゴなどの形状を表すように複数の湾曲形状または屈曲形状を有しているため、意匠用凸部全体に光源から出射される光を導光させることが困難になる。この場合、光源となる発光部を複数設けて、各発光部から出射された光がそれぞれ異なる箇所へと導光されて、ターゲットの箇所に向けて発光させることによって、意匠用凸部の全体を発光させる構造が考えられる。

　しかしながら、このように車両用発光装置が複数の発光部を具備している場合、それぞれ別の箇所を光らせる目的で設けられた複数の発光部から照射された光が目的と異なる箇所を照射してしまい、目標のイルミネーション効果を発揮できない、または、異なる発光部から照射されたそれぞれの光が混ざり合うことによって、光むら等が生じて目標のイルミネーション効果を発揮できないことが課題となる。

　また、特開２００６－４４３２９号公報のように導光体内にＬＥＤを収容できる凹形状を設けて、ＬＥＤを導光体内に配置するようにした場合、エンブレム（意匠用凸部）内で異なる発光部から照射された光が混ざり合うことによる光むらの発生を多少は低減できる可能性はあるが、導光体にＬＥＤを収容する凹形状を設ける加工をおこなう必要が生じるため、加工工数、加工コストが増大するだけでなく、導光体の強度低下による割れや、導光体の成形ばらつきおよびＬＥＤの取り付けの際の位置ずれなどによって、組付時に不具合が発生するおそれが生じるという新たな課題が発生する。

　また、エンブレム（意匠用凸部）内に向けて光源から光を照射し、エンブレム（意匠用凸部）の側面を導光体を使わずに光らせたい場合や、光源の主光軸が車両進行方向を向くように配設されている場合、光のほとんどがエンブレムの裏面に当たって吸収されるため効率が悪い。従来は、この無駄になっている光は活用することなく、光源の灯数増しで光量を増やして解決しているが、部品点数が増加するため、製造工数および製造コストの増加や省スペースの観点から課題となっている。

　下記の本態様群の目的は、意匠用凸部内に光源を配設することによって、意匠用凸部を発光させる車両用発光装置であって、異なる部分を発光させることを目的として、複数の発光部を配設させたとしても、光むらなどが生じることのない車両用発光装置を提供することである。

　［態様１］前記目的を達成するために、態様１に係る車両用発光装置は、意匠用凸部と、ケース部と、該意匠用凸部とケース部との間に形成される収納空間内に収容されて第１および第２の領域それぞれを照射して発光させる第１および第２の発光部と、を有する車両用発光装置であって、前記収納空間内には、前記第１の発光部から照射された光と、前記第２の発光部から照射された光を互いに混じり合わないように遮断する仕切壁が設けられている。

　［態様２］態様１に記載の車両用発光装置において、前記仕切壁には、不透明樹脂からなる光遮断部が設けられていてもよい。

　[態様３]態様１または態様２に記載の車両用発光装置において、前記収納空間には、導光体が配設されていて、前記第２の発光部は、前記導光体の端部に対向して配置されるとともに、前記仕切壁は、前記導光体の端部を囲繞するように配設されていてもよい。

　［態様４］態様１から３のいずれか一項に記載の車両用発光装置において、前記仕切壁と前記意匠用凸部とが一体形成されていてもよい。

［態様５］態様１から３のいずれか一項に記載の車両用発光装置において、前記仕切壁と前記意匠用凸部とが別体で形成された後、前記仕切壁は前記意匠用凸部に取付固定されていてもよい。

　［態様６］態様１から５のいずれか一項に記載の車両用発光装置において、前記仕切壁には、前記意匠用凸部の前記第１の領域に向かって第１の発光部から照射された光を反射して進行方向を変化させる光偏向部が形成されていてもよい。

　［態様７］態様６に記載の車両用発光装置において、前記光偏向部は、前記第１の発光部から離れた後半部分に、第１の発光部から遠ざかるほど前記第２の領域に接近するように湾曲または傾斜していてもよい。

　［態様８］態様６または７に記載の車両用発光装置において、前記光偏向部は、横断面形状の曲率または傾斜角度が、前記第１の発光部から遠ざかるほど次第に大きくなるように形成されていてもよい。

　つぎに、上で説明した各実施形態に対して参考となる形態とその参考例について説明する。

　本参考形態群は、車両用灯具におけるエンブレムイルミネーションのような照明などに使用されて、光源からの光の拡散方向を変換させる面照明装置に関する。

　従来から、この種の車両用灯具として、レンズを傾斜させた状態で光を照射方向に対して水平方向に拡散させる場合に、灯具の配向特性を左右対称のものとする技術が知られている（例えば、実開平５－８１９０２号公報）。この車両用灯具のレンズ２０９１の構成を示すものが図２５であり、フォグランプにおいては車体の形状に沿わせてレンズ２０９１が傾斜して配置される。この場合、レンズ２０９１に施される光を水平方向に拡散するための例えば凹面状とされるレンズカット２０９２は、照射方向に対してレンズ面が鋭角となる曲率が鈍角となる側の曲率よりも小さく設定（半径Ｒ１＞Ｒ２）されている。

　また、凸円および凹円柱面状のプリズムレンズを交互に配置することにより、光を照射方向に対して水平方向に拡散させることも知られている（例えば、実公平６－６４０１号公報）。

　しかし、面照明装置（エンブレムイルミネーション）において、上記のようなレンズを使用して、光を照射方向に対して水平方向に拡散するのみでは、均一な輝度分布の発光を得るのは困難であり、この発光を得るために、垂直方向への拡散を、簡単な構成で実現したいとの要請があった。この場合に、車両内における面照明装置のスペースが狭く、複数のレンズ等を介しての光方向を変えることができないことから、面照明装置の小型化の実現も要請されていた。

　また、従来技術では、光源とレンズ面とが離れている場合、光源からの照射光を任意の方向に曲げることが難しく、全体的に効率よく発光させることも困難であった。

　本参考形態群は、前記の問題点を解決して、光源からの光を導光するとともに、光を照射方向に対して水平方向に拡散すること、また垂直方向に拡散することを、簡単な構成でかつ小型化して実現でき、均一な輝度分布が得られる面照明装置を提供することを目的とする。

　［参考形態１］前記目的を達成するために、参考形態１に係る面照明装置は、光源と、長手方向の一端に前記光源が対向して配置された導光体とを備え、前記導光体は、光源からの光を前記一端から他端へ導光する導光部と、前記光源との対向面に、前記長手方向と直交する縦方向に延びる横断面半円状の溝が長手方向に沿って並んで形成されて、光源からの光を照射方向に対して水平方向に拡散させる水平拡散部とを備えている。

　この構成によれば、導光体の導光部により、光源からの光を一端から他端へ導光し、水平拡散部により、光を照射方向に対して水平方向に拡散させることを、簡単な構成でかつ小型化して実現でき、発光全体について均一な輝度分布を得ることが可能となる。

　［参考形態２］参考形態１に記載の面照明装置において、さらに、前記導光体は、長手方向に並んだ前記溝の底に、後方へ凹入した凹入部が縦方向に沿って複数並んだ垂直拡散部が形成されて、前記垂直拡散部によって、前記光源からの光を照射方向に対して垂直方向に拡散させることが好ましい。この場合、光源からの光を一端から他端の方向へ導光し、光を照射方向に対して水平方向および垂直方向に拡散させて、拡散方向を任意に３次元に制御することを、簡単な構成でかつ小型化して実現でき、発光全体についてより均一な輝度分布を得ることが可能となる。

　［参考形態３］参考形態２に記載の面照明装置において、前記垂直拡散部は、前記凹入部が複数、長手方向および縦方向にそれぞれ隣接して形成されたウロコ状の形状を有していることが好ましい。この場合、導光体全体で照射方向に対して水平方向および垂直方向への拡散が可能となる。

　［参考形態４］参考形態２に記載の面照明装置において、前記垂直拡散部は、前記凹入部が丸みを有する隅部を挟む長辺および短辺をもつ略三角形の縦断面形状を有し、前記溝部の底の母線に対して長辺が後方へ傾斜する傾斜角度θがθ≦１４°の範囲内に設定されていてもよい。したがって、より良好に光を照射方向に対して垂直方向に拡散できるとともに、垂直拡散部を容易に成形できる。

　［参考形態５］参考形態１から４に記載の面照明装置のいずれかにおいて、前記導光体は、散乱体を含有させた材料からなってもよい。したがって、光を照射方向に対して垂直方向に拡散できるとともに、輝度が緩やかに変化する発光が得られる。

　本参考形態群では、光源からの光を導光体の一端から他端の方向へ導光し、光を照射方向に対して水平方向および／または垂直方向に拡散させることを、簡単な構成でかつ小型化して実現でき、発光全体について均一な輝度分布を得ることが可能となる。

　以下、本参考形態群を図面にしたがって説明する。図２１は本参考形態群の面照明装置を示す構成図である。面照明装置は、光源（点光源）２００１と、横長の板状の形状を有し、その長手方向２０Ｘの一端に光源２００１が対向して配置された導光体２００２とを備えている。例えば、光源２００１としてはＬＥＤ（発光ダイオード）が使用され、導光体２００２は透明体からなり、アクリル（ＰＭＭＡ）樹脂やポリカーボネート（ＰＣ）樹脂などが使用される。

　導光体２００２は、光源２００１からの照射光２０Ｌを一端から他端へ長手方向２０Ｘに導光する導光部２００３と、光源２００１との対向面に、長手方向２０Ｘと直交する縦方向２０Ｙに延びる横断面半円状の溝２００５が長手方向２０Ｘに沿って複数並んで形成されて、光源２００１からの照射光２０Ｌの方向（照射方向）に対して拡散光２０Ｌ２を水平方向２０Ｈに拡散させる水平拡散部２００６とを備えている。溝２００５と溝２００５の間には横断面半円状の凸部２００４（図２２Ａ，２２Ｂ，２３Ａ）が形成されている。

　図２２Ａ、図２２Ｂは、水平拡散部による光の拡散状態を示す平面図である。図２２Ｂのように、光源２００１からの照射光２０Ｌは、導光部２００３により導光されて、導光体２００２の一端から他端へ長手方向２０Ｘに向かう（光２０Ｌ１）。これとともに、図２２Ａのように、水平拡散部２００６は、溝２００５が凹面鏡の働きをして、光源２００１からの照射光２０Ｌが、溝２００５の内面で反射して、照射方向に対し、水平方向２０Ｈに幅広い角度で拡散させることができる。導光された光２０Ｌ１も同様に水平方向２０Ｈに幅広い角度で拡散される。これにより、導光体２００２の全体について、効率よく発光させることができる。なお、導光体２００２に後述する散乱体２０２０を含有させた場合、照射方向に対して、垂直方向２０Ｖに拡散させることもできる。

　導光体２００２は、また、光源２００１からの光が照射方向２０Ｌに対して垂直方向２０Ｖに拡散する垂直拡散部２００８を備えている。図２３Ａは垂直拡散部２００８を示す斜視背面図、図２３Ｂは垂直拡散部２００８を示す断面側面図、図２３Ｃは垂直拡散部２００８による光の拡散状態を示す側面図である。

　図２３Ｂのように、垂直拡散部２００８は、長手方向２０Ｘに並んだ各溝２００５の底２００５ａに、後方２０Ｚへ凹入した凹入部２００７が縦方向２０Ｙに沿って複数並んで形成されている。この凹入部２００７は、丸みを有する隅部２００７ａを挟む長辺２００７ｂおよび短辺２００７ｃをもつ略（直角）三角形の縦断面形状を有し、溝２００５の底２００５ａの母線２０ｍに対して長辺２００７ｃが後方２０Ｚへ傾斜する傾斜角度θがθ≦１４°の範囲内に設定されている。より好ましくは、傾斜角度θが６°≦θ≦８°の範囲内に設定されている。

　図２３Ａのように、垂直拡散部２００８は、凹入部２００７が複数、長手方向２０Ｘおよび縦方向２０Ｙにそれぞれ隣接して形成されたウロコ状の形状を有する。図２３Ｃのように、光源２００１からの照射光２０Ｌは、垂直拡散部２００８における後方向２０Ｚに凹入して丸みを有する隅部２００７ａをもつ凹入部２００７の内面に反射することにより、照射方向に対して拡散光２０Ｌ３を垂直方向２０Ｖに拡散させる（図２１）。

　垂直拡散部２００８は、水平拡散部２００６の一部である溝２００５の底２００５ａに形成されるものであり、照射光２０Ｌを照射方向に対して水平方向および垂直方向に拡散することが、簡単な構成で実現されるとともに、水平拡散部２００６と一体に形成することから装置を小型化することができる。

　垂直拡散部２００８は、例えば以下の方法により作製される。すなわち、図２３Ｂのように、円柱形状の切削工具２０Ｃを、溝２００５の底２００５ａに対して、θ≦１４°の例えばθ＝１０°の角度で傾斜させて切削することで凹入部２００７を形成し、縦方向２０Ｙに約１ｍｍの間隔で複数設け、また長手方向２０Ｘにも同様に複数設けることにより、図２３Ａのようなウロコ状の形状が作製される。これにより、成形抜き方向に対して小さな角度での成形を行うことができる。

　図２２Ｂの散乱体２０２０は、例えばシリコーン粒子などが好ましく使用される。導光体２００２を所定濃度の散乱体２０２０を含有させて作製することにより、散乱体２０２０による散乱光２０Ｌ４によって、垂直方向２０Ｖにも拡散できるとともに、輝度が緩やかに変化する発光が得られる。

　(参考例)
　水平拡散部２００６は、例えば半径Ｒが０．１ｍｍ以上１．０ｍｍ以下の溝２００５が複数並んだローレット形状を有している。垂直拡散部２００８は、溝２００５の底２００５ａに対して、上述のθ＝１０°の角度で傾斜させた凹入部２００７が縦方向２０Ｙに約１ｍｍの間隔で複数設けられている。

　参考例１：水平拡散部２００６のみを設けた場合に、凸半円柱部２００４がＲ０．２で、溝２００５がＲ０．５のとき、水平拡散のシミュレーション結果が最も良かった。
　参考例２：水平拡散部２００６のみを設けた場合に、凸半円柱部２００４がＲ０．３で、溝２００５がＲ０．５のとき、見栄えは良であった。
　参考例３：水平拡散部２００６および垂直拡散部２００８を設けた場合に、水平拡散部２００６が参考例１と同様の形状のとき、照射光が水平拡散および垂直拡散して、参考例１よりも発光がより均一な輝度分布となった。

　図２４（Ａ）～（Ｃ）は、本参考形態群の評価結果を示す特性図である。図２４（Ａ）は、水平拡散部２００６のみを設けた場合、図２４（Ｂ）は、水平拡散部２００６および垂直拡散部２００８を設けた場合、図２４（Ｃ）は、水平拡散部２００６および垂直拡散部２００８を設けるとともに、導光体２００２に散乱体２０２０を含有させた場合、それぞれ示す図２４（Ａ）～（Ｃ）では、（Ｃ）が観測角度にかかわらず均一な輝度分布となって、最も見栄えが良い状態であり、（Ｂ）、（Ａ）の順で、それよりも観測角度による均一性が低くなり、見栄えの状態も若干低下している。

　このように、本参考形態群では、導光体２００２の導光部２００３により、光源２００１からの光２０Ｌを一端から他端へ導光し、水平拡散部２００６により、光２０Ｌを照射方向に対して水平方向に拡散させることを、簡単な構成でかつ小型化して実現でき、発光全体について均一な輝度分布を得ることが可能となる。

　また、導光体２００２の導光部２００３により、光源２００１からの光２０Ｌを一端から他端へ導光し、水平拡散部２００６および垂直拡散部２００８により、光２０Ｌを照射方向に対して水平方向および垂直方向に拡散させて、拡散方向を任意に３次元に制御することを、簡単な構成でかつ小型化して実現でき、発光全体についてより均一な輝度分布を得ることが可能となる。

　なお、照射方向に対して水平方向に拡散させる水平拡散部２００６および垂直方向に拡散する垂直拡散部２００８を備えているが、必要に応じて垂直拡散部２００８を省略してもよい。

　なお、導光体２００２に散乱体２０２０を含有させているが、必要に応じて含有させなくてもよい。

　以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施形態を説明したが、当業者であれば、本件明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる発明の範囲内のものと解釈される。

１：エンブレム
２：遮光面
３：発光面
４：意匠用凸部
５：導光体
５Ａ：光導入部
５Ｂ：導光部
６：光源
７：ケース部
１３：入射面
１３a：折曲部
１５：反射面
１８：徐変部
１０１１（１１１１，１２１１）：意匠用凸部
１０１３ａ（１２１３ａ）：第１の発光部
１０１３ｂ（１２１３ｂ），１０１３ｂ´（１２１３ｂ´）：第２の発光部
１０１４（１１１４）：ケース部
１０Ｓ：収納空間
１０Ａ１：第１の領域
１０Ａ２：第２の領域
１０１５（１１１５，１２１５）、１０１５´（１１１５´，１２１５´）：仕切壁
２００１：光源
２００２：導光体
２００３：導光部
２００５：溝
２００５ａ：溝の底
２００６：水平拡散部
２００７：凹入部
２００７ａ：隅部
２００７ｂ：長辺
２００７ｃ：短辺
２００８：垂直拡散部
２０２０：散乱体
２０Ｌ：照射光
２０Ｈ：水平方向
２０Ｖ：垂直方向
２０Ｘ：長手方向
２０Ｙ：縦方向
２０Ｚ：厚み方向の後方向
ＡＩ：面照明装置
ｄ：厚み方向
Ｐ：交点
Ｘ０：導光方向 
Ｘ：導光逆方向
θ：傾斜角

Claims (13)

1. 　複数の光源と、導光部および導光部の一端から導光方向とは逆方向の導光逆方向へ突出して形成されて、複数の光源の光を導光逆方向と直交する厚み方向から導入する光導入部を備えた導光体とを有し、
   　前記複数の光源は、導光逆方向に沿って並んで配置されて前記光導入部に対向しており、
   　前記光導入部は、導光逆方向に延びて前記複数の光源に対向する入射面と、この入射面の外端縁から斜めに平面状に延びて前記入射面に対し前記導光体の材質が持つ臨界角よりも大きな角度で鋭角に傾斜し、前記入射面から厚み方向に入射した光を反射させて前記導光部へ前記導光方向に導入する反射面とを有し、
   　前記複数の光源が前記斜めに延びる反射面と前記導光部との境界よりも導光逆方向に偏位して配置されている、面照明装置。
2. 　請求項１において、
   　前記複数の光源は、反射面から遠くなるにしたがって、輝度が順次高くなるように配置されている、面照明装置。
3. 　請求項１において、
   　前記導光部は、前記光導入部の入射面に隣接して、厚み方向に凸曲面形状の徐変部が設けられている、面照明装置。
4. 　請求項１において、
   　前記光導入部の入射面に、反射面から遠い側の入射面を光源側に傾斜して延長した折曲部が設けられている、面照明装置。
5. 　車両に装着される車両用エンブレムであって、凹部が設けられて透光性を有しないケース部と、前記ケース部上部に設けられて透光性を有する意匠用凸部と、意匠用凸部の外形と略一致する形状に形成されて意匠用凸部とケース部との間に配設される請求項１～４のいずれか１項の面照明装置とを備え、
   　前記面照明装置の複数の光源は、ケース部の厚み方向に光を照射するように前記凹部内に同一平面上に並んで配置されており、この複数の光源からの光が前記導光体で導光されてエンブレムの正面方向および側面方向へ出射される、車両用エンブレム。
6. 　請求項１～４のいずれか１項に記載の面照明装置を備えた車両用エンブレムであって、
   　意匠用凸部と、ケース部と、該意匠用凸部と前記ケース部との間に形成される収納空間内に収容されて第１および第２の領域それぞれを照射して発光させる第１の発光部および前記複数の光源からなる第２の発光部と、を有し、
   　前記収納空間内には、前記第１の発光部から照射された光と、前記第２の発光部から照射された光を互いに混じり合わないように遮断する仕切壁が設けられており、
   　さらに前記収納空間には、前記導光体が配設されていて、前記第２の発光部は、前記導光体の端部に対向して配置されるとともに、前記仕切壁は、前記導光体の端部を囲繞するように配設されている、車両用エンブレム。
7. 　請求項６において、
   　前記仕切壁には、不透明樹脂からなる光遮断部が設けられている、車両用エンブレム。
8. 　請求項６または７において、
   　前記仕切壁と前記意匠用凸部とが一体形成されている、車両用エンブレム。
9. 　請求項６または７において、
   　前記仕切壁と前記意匠用凸部とが別体であり、前記仕切壁は前記意匠用凸部に取付固定されてなる、車両用エンブレム。
10. 　請求項６～９のいずれか１項において、
    　前記仕切壁には、前記意匠用凸部の前記第１の領域に向かって第１の発光部から照射された光を反射して進行方向を変化させる光偏向部が形成されている、車両用エンブレム。
11. 　請求項１０において、
    　前記光偏向部は、前記第１の発光部から離れた後半部分に、第１の発光部から遠ざかるほど前記第２の領域に接近するように湾曲または傾斜している、車両用エンブレム。
12. 　請求項１０または１１において、
    　前記光偏向部は、横断面形状の曲率または傾斜角度が、前記第１の発光部から遠ざかるほど次第に大きくなるように形成されている、車両用エンブレム。
13. 　請求項６～１２のいずれか１項において、
    　前記第２の発光部は、ケース部の厚み方向に光を照射するように前記凹部内に同一平面上に並んで配置されており、前記第２の発光部からの光が前記導光体で導光されてエンブレムの正面方向および側面方向へ出射される、車両用エンブレム。

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