明 細 書
センサユニット及び反応場セルユニット並びに分析装置
技術分野
[0001] 本発明は、トランジスタを用いたセンサユニット及びそれと共に用いる反応場セルュ ニット並びにそれを用いた分析装置に関する。
背景技術
[0002] トランジスタは、ゲートに入力される電圧信号を、ソース電極あるいはドレイン電極か ら出力される電流信号に変換する素子である。ソース電極とドレイン電極との間に電 圧をカ卩えると、両者の間に形成されたチャネルに存在する荷電粒子がソース電極とド レイン電極との間を電界方向に沿って移動し、ソース電極あるいはドレイン電極から 電流信号として出力される。
[0003] この際、出力される電流信号の強さは荷電粒子の密度に比例する。絶縁体を介し てチャネルの上方、側面、あるいは下方などに設置したゲートに電圧を加えると、チヤ ネルに存在する荷電粒子の密度が変化するため、これを利用して、ゲート電圧を変 ィ匕させることにより電流信号を変化させることができる。
[0004] 現在知られている、トランジスタを用いたィ匕学物質検出素子 (センサ)は上に述べた トランジスタの原理を応用したものである。具体的なセンサの例としては、特許文献 1 に記載されているものが挙げられる。特許文献 1には、トランジスタのゲートに検出す べき物質と選択的に反応する物質を固定化した構造を有するセンサが記載されてい る。検出すべき物質とゲートに固定化された物質との反応によるゲート上の表面電荷 の変化により、ゲートにかかる電位が変化するため、チャネルに存在する荷電粒子の 密度が変化する。これによつて生じるトランジスタのドレイン電極あるいはソース電極 力もの出力信号の変化を読み取ることによって、検出すべき物質を検出することがで きる。
[0005] 特許文献 1 :特開平 10— 260156号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0006] し力しながら、特許文献 1のような従来のセンサは、使用の都度、分析の目的ゃ検 出しようとする検出対象物質の種類などに応じて個別にトランジスタを作製し直す必 要があり、分析に非常に多大な手間を要していた。
本発明は上記の課題に鑑みて創案されたもので、従来よりも分析を行なう際の利便 性を高めたセンサユニット、及びそれと共に用いる反応場セル並びにそれを用いた 分析装置を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0007] 本発明の発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、センサユニット の検出用感知ゲートを、基板に固定されたゲート本体と、検出対象物質と選択的に 相互作用をする特定物質を固定され、ゲート本体に対して電気的に導通をとりうる感 知部とを備えるように構成すること、トランジスタ部を用いたセンサユニットのトランジス タ部を集積すること、及び、特定物質を用いず検出対象物質の存在をトランジスタ部 の特性の変化として検出すべく電圧を印加される参照電極を設けることのいずれか を行なうことにより、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
[0008] 即ち、本発明の要旨は、基板と、該基板に設けられたソース電極及びドレイン電極 と、上記のソース電極及びドレイン電極間の電流通路になるチャネルと、検出用感知 ゲートとを備えたトランジスタ部を有し、検出対象物質を検出するためのセンサュ-ッ トであって、該検出用感知ゲートが、該基板に固定されたゲート本体と、検出対象物 質と選択的に相互作用をする特定物質を固定され、該ゲート本体に対して電気的に 導通をとりうる感知部とを備えることを特徴とするセンサユニットに存する(請求項 1)。 これにより、感知部をゲート本体とは別に取り扱うことが可能となるため、分析を行なう 際の利便性を従来よりも高めることができる。
[0009] また、本発明の別の要旨は、基板と、該基板に設けられたソース電極及びドレイン 電極と、上記のソース電極及びドレイン電極間の電流通路になるチャネルと、検出用 感知ゲートとを備えたトランジスタ部を有し、検出対象物質を検出するためのセンサ ユニットであって、該検出用感知ゲートが、該基板に固定されたゲート本体と、該ゲ ート本体に対して電気的に導通をとりうる感知部とを備え、検出対象物質の存在を該 トランジスタ部の特性の変化として検出すべく電圧を印加される参照電極を備えるこ
とを特徴とするセンサユニットに存する(請求項 2)。これによつても、感知部をゲート 本体とは別に取り扱うことが可能となるため、分析を行なう際の利便性を従来よりも高 めることができる。
[0010] このとき、該センサユニットにおいて、該感知部は、該ゲート本体に対して機械的に 着脱可能であり、該ゲート本体に装着されているときには該ゲート本体に電気的に導 通状態となることが好ましい (請求項 3)。これにより、感知部を取替えることで特定物 質を交換することが可能となる。つまり、センサユニット全体を交換しなくとも、検出対 象物質や検出の目的に応じて特定物質を交換することができるようになり、センサュ ニットの製造コスト、操作の手間などを大幅に改善することが可能となる。
[0011] また、該センサユニットは、該感知部を、 2つ以上有することが好ましい(請求項 4)。
これにより、複数の相互反応を一つのセンサユニットで検出できるようになるため、一 つのセンサユニットでより多種の検出対象物質の検出を行なうことができ、センサュ- ットの高機能化を図ることができるようになる。
[0012] さらに、該センサユニットにおいては、 1つの該ゲート本体力 2つ以上の該感知部 と導通可能に形成されていることが好ましい (請求項 5)。これにより、感知用ゲートの 数を抑制することができ、ひいては、トランジスタの小型化、集積化、低コスト化等の 利点の少なくともいずれかを得ることができる。
[0013] また、該センサユニットは、該ゲート本体と該感知部との導通を切り替える電気接続 切替部を備えることが好ましい(請求項 6)。これにより、センサユニットの小型化や、 検出データの信頼性向上、検出の効率ィ匕などの利点の少なくともいずれかを得るこ とがでさる。
[0014] さらに、該センサユニットにおいては、該トランジスタ部力 2以上集積されていること が好ましい(請求項 7)。これにより、センサユニットの小型化及び低コスト化、検出の 迅速ィ匕及び検出感度の向上、並びに、操作の簡便等の利点の少なくともいずれかを 得ることができる。
[0015] また、本発明の更に別の要旨は、基板と、該基板に設けられたソース電極及びドレ イン電極と、上記のソース電極及びドレイン電極間の電流通路になるチャネルと、検 出対象物質と選択的に相互作用をする特定物質を固定された感知部位が形成され
た検出用感知ゲートとを備えたトランジスタ部を有し、上記検出対象物質を検出する ためのセンサユニットであって、該トランジスタ部力 2以上集積されていることを特徴 とするセンサユニットに存する(請求項 8)。これにより、一つのセンサユニットでより多 種の検出対象物質の検出を行なうことができるようになるために分析を行なう際の利 便性を従来よりも高めることができる。また、多機能なセンサユニットを低コストで得る ことができるほか、検出感度の向上が期待できる。
[0016] さらに、本発明の別の要旨は、基板と、該基板に設けられたソース電極及びドレイ ン電極と、上記のソース電極及びドレイン電極間の電流通路になるチャネルと、検出 用感知ゲートとを備えたトランジスタ部を有し、検出対象物質を検出するためのセン サユニットであって、該トランジスタ部が 2以上集積されていると共に、上記検出対象 物質の存在を該トランジスタ部の特性の変化として検出すべく電圧を印加される参照 電極を備えることを特徴とする、センサユニットに存する(請求項 9)。これによつても、 一つのセンサユニットでより多種の検出対象物質の検出を行なうことができるようにな るために分析を行なう際の利便性を従来よりも高めることができる。また、多機能なセ ンサユニットを低コストで得ることができるほか、検出感度の向上が期待できる。
[0017] さらに、本発明の更に別の要旨は、基板と、該基板に設けられたソース電極及びド レイン電極と、上記のソース電極及びドレイン電極間の電流通路になるチャネルとを 備えたトランジスタ部を有し、上記検出対象物質を検出するためのセンサユニットで あって、該チャネルに、検出対象物質と選択的に相互作用をする特定物質を固定さ れた感知部位が形成され、該トランジスタ部が、 2以上集積されていることを特徴とす るセンサユニットに存する(請求項 10)。これにより、一つのセンサユニットでより多種 の検出対象物質の検出を行なうことができるようになるために分析を行なう際の利便 性を従来よりも高めることができる。また、多機能なセンサユニットを低コストで得ること ができるほか、検出感度の向上が期待できる。
[0018] また、該センサユニットのなかでも感知部を備えているものは、検体を流通させる流 路を有する反応場セルユニットを備え、該流路に、該感知部が設けられるようになつ ていることが好ましい(請求項 11)。これにより、検出の迅速化、操作の簡便等の利点 の少なくともいずれかを得ることができる。
[0019] さらに、該センサユニットのなかでも感知部位を備えているものは、該感知部位に接 しうるよう検体を流通させる流路を有する反応場セルを備えることが好まし 、 (請求項 12)。これによつても、検出の迅速化、操作の簡便等の利点の少なくともいずれかを 得ることができる。
[0020] また、本発明の更に別の要旨は、基板、該基板に設けられたソース電極及びドレイ ン電極、上記のソース電極及びドレイン電極間の電流通路になるチャネル、並びに 感知用ゲートを備えたトランジスタ部と、検出対象物質と選択的に相互作用をする特 定物質が固定された感知部を有する反応場セルユニットを装着するためのセルュニ ット装着部とを備え、上記反応場セルユニットが該セルユニット装着部に装着されて いるときには上記感知部と該感知用ゲートとが導通状態となることを特徴とするセン サユニットに存する(請求項 13)。これにより、感知部をゲート本体とは別に取り扱うこ とが可能となるため、分析を行なう際の利便性を従来よりも高めることができる。
[0021] さらに、本発明の更に別の要旨は、基板、該基板に設けられたソース電極及びドレ イン電極、上記のソース電極及びドレイン電極間の電流流路となるチャネル、並びに 感知用ゲートを備えたトランジスタ部と、感知部、及び、検出対象物質の存在を該トラ ンジスタ部の特性の変化として検出すべく電圧を印加される参照電極を有する反応 場セルユニットを装着するためのセルユニット装着部とを備え、上記反応場セルュ- ットが該セルユニット装着部に装着されているときには上記感知部と該感知用ゲート とが導通状態となることを特徴とするセンサユニットに存する(請求項 14)。これにより 、感知部をゲート本体とは別に取り扱うことが可能となるため、分析を行なう際の利便 性を従来よりも高めることができる。
[0022] また、該センサユニットは、上記反応場セルユニットが 2以上の上記感知部を有して いる場合に該感知用ゲートと上記感知部との導通を切り替える電気接続切替部を備 えることが好ましい(請求項 15)。これにより、センサユニットの小型化や、検出データ の信頼性向上、検出の効率ィ匕などの利点の少なくともいずれかを得ることができる。
[0023] さらに、該センサユニットは、該トランジスタ部が 2以上集積されていることが好まし い(請求項 16)。これにより、センサユニットの小型化及び低コスト化、検出の迅速ィ匕 及び検出感度の向上、並びに、操作の簡便等の利点の少なくともいずれかを得るこ
とがでさる。
[0024] さらに、該センサユニットにおいては、該チャネルは、ナノチューブ状構造体からな ることが好ましい(請求項 16)。また、該ナノチューブ状構造体は、カーボンナノチュ ーブ、ボロンナイトライドナノチューブ及びチタ-アナノチューブよりなる群から選ばれ る構造体であることが好ましい(請求項 17)。これにより、検出感度を飛躍的に高める ことが可能となる。したがって、従来のトランジスタでは不可能であった、抗原抗体反 応等のきわめて高感度を要する反応の検知が実用レベルで可能となり、極めて高感 度の検知を要する抗原抗体反応等を含む一連の検出対象物質の検知がひとつのセ ンサユニットで可能となる。
[0025] 即ち、従来のトランジスタによるセンサでは、検知感度に限界があり、必要とする一 連の対象物質の検知をトランジスタだけで行なうことはできな力つた。そのため、トラン ジスタカも構成されるセンサユニットの適用範囲は限られていた。しかし、本発明のセ ンサユニットにより検出感度を高めることができるため、検出対象物質の範囲を拡大 することが可能となる。
[0026] また、こうした視点からは、該ナノチューブ状構造体に欠陥が導入されていることが 感度向上にとって好ましい(請求項 19)。或いは、該ナノチューブ状構造体の電気的 特性が金属的性質を有することが好ましい (請求項 20)。これにより、該トランジスタ部 を単一電子トランジスタとして機能させうるので、検出感度を更に高めることが可能と なる。
[0027] また、本発明の更に別の要旨は、基板、該基板に設けられたソース電極及びドレイ ン電極、上記のソース電極及びドレイン電極間の電流通路になるカーボンナノチュー ブで形成されたチャネル、並びに該基板に固定された検出用感知ゲートを有するトラ ンジスタ部と、検出対象物質の存在を該トランジスタ部の特性の変化として検出すベ く電圧を印加される参照電極とを備えることを特徴とするセンサユニットに存する(請 求項 21)。これにより、特定物質を用いずに検出対象物質を高感度に検出できるよう になるため、特定物質の交換等の操作が不要となり、分析を行なう際の利便性を従 来よりも高めることができる。
[0028] さらに、該センサユニットは、該トランジスタ部が 2以上集積されていることが好まし
い(請求項 22)。これにより、センサユニットの小型化及び低コスト化、検出の迅速ィ匕 及び検出感度の向上、並びに、操作の簡便等の利点の少なくともいずれかを得るこ とがでさる。
[0029] また、該センサユニットにおいては、該トランジスタ部力 該チャネルに対して電圧ま たは電界を印加する電圧印加ゲートを備えることが好まし ヽ (請求項 23)。これにより 、検出の精度を高めることが可能となる。
[0030] さらに、本発明の更に別の要旨は、基板、上記基板に設けられたソース電極及びド レイン電極、上記のソース電極及びドレイン電極間の電流通路になるチャネル、並び に感知用ゲートを備えたトランジスタ部と、セルユニット装着部とを備えるセンサュ-ッ トの上記セルユニット装着部に装着される反応場セルユニットであって、検出対象物 質と選択的に相互作用をする特定物質が固定された感知部を有し、上記セルュニッ ト装着部に装着されているときには該感知部と上記感知用ゲートとが導通状態となる ことを特徴とする反応場セルユニットに存する(請求項 24)。これにより、感知部を感 知用ゲートとは別に取り扱うことが可能となるため、分析を行なう際の利便性を従来よ りも高めることができる。
[0031] また、本発明の更に別の要旨は、基板、上記基板に設けられたソース電極及びドレ イン電極、上記のソース電極及びドレイン電極間の電流通路になるチャネル、並びに 感知用ゲートを備えたトランジスタ部と、セルユニット装着部とを備えるセンサユニット の上記セルユニット装着部に装着される反応場セルユニットであって、感知部と、検 出対象物質の存在を該トランジスタ部の特性の変化として検出すべく電圧を印加さ れる参照電極とを有し、上記セルユニット装着部に装着されているときには該感知部 と上記感知用ゲートとが導通状態となることを特徴とする反応場セルユニットに存する (請求項 25)。これにより、感知部を感知用ゲートとは別に取り扱うことが可能となるた め、分析を行なう際の利便性を従来よりも高めることができる。
[0032] このとき、該反応場セルユニットは、該感知部を 2以上有することが好ましい (請求 項 26)。これにより、複数の相互反応を一つのセンサユニットで検出できるようになる ため、一つのセンサユニットでより多種の検出対象物質の検出を行なうことができ、セ ンサユニットの高機能化を図ることができるようになる。
[0033] また、該反応場セルユニットにおいては、 1つの上記感知用ゲートに対して、 2以上 の感知部が導通可能に形成されていることが好ましい (請求項 27)。これにより、感知 用ゲートの数を抑制することができ、ひいては、トランジスタの小型化、集積化、低コ ストイ匕等の利点の少なくともいずれかを得ることができる。
[0034] さらに、該反応場セルユニットは、検体を流通させうる流路を有し、該流路に、該感 知部が設けられていることが好ましい(請求項 28)。これにより、検出の迅速化、操作 の簡便等の利点の少なくともいずれかを得ることができる。
[0035] また、本発明の更に別の要旨は、上述したセンサユニットのいずれかを備えることを 特徴とする、分析装置に存する (請求項 29)。
[0036] このとき、該分析装置は、化学的反応測定及び免疫学的反応測定を、該センサュ ニットで分析できるよう構成されたものであることが好まし 、 (請求項 30)。
[0037] また、該分析装置は、電解質濃度測定グループ、生化学項目測定グループ、血液 ガス濃度測定グループ、血算測定グループ、血液凝固能測定グループ、免疫学的 反応測定グループ、核酸間ハイブリダィゼーシヨン反応測定グループ、核酸 タンパ ク質相互作用測定グループ及びレセプターリガンド間相互作用測定グループ力 な る測定グループの群より選ばれる、少なくとも一つの測定グループの測定を、該セン サユニットで分析できるよう構成されたものであることが好ましい(請求項 31)。
[0038] さらに、該分析装置は、電解質濃度測定グループから選択された少なくとも 1つの 検出対象物質、生化学項目測定グループから選択された少なくとも 1つの検出対象 物質、血液ガス濃度測定グループ力も選択された少なくとも 1つの検出対象物質、血 算測定グループ力 選択された少なくとも 1つの検出対象物質、血液凝固能測定グ ループから選択された少なくとも 1つの検出対象物質、核酸間ノヽイブリダィゼーシヨン 反応測定グループから選択された少なくとも 1つの検出対象物質、核酸 タンパク質 間相互作用測定グループ力 選択された少なくとも 1つの検出対象物質、レセプター リガンド間相互作用測定グループ力 選択された少なくとも 1つの検出対象物質、及 び、免疫学的反応測定グループ力 選択された少なくとも 1つの検出対象物質から なる群より選ばれる 2以上の検出対象物質の検出を、該センサユニットで分析できる よう構成されたものであることが好まし 、(請求項 32)。
[0039] また、該分析装置は、電解質濃度測定グループ、生化学項目測定グループ、血液 ガス濃度測定グループ、血算測定グループ、及び血液凝固能測定グループからなる 群より選ばれる少なくとも一つの測定グループ、並びに、核酸間ハイブリダィゼーショ ン反応測定グループ、核酸 タンパク質間相互作用測定グループ、レセプターリガ ンド間相互作用測定グループ、及び、免疫学的反応測定グループからなる測定ダル ープの群より選ばれる少なくとも一つの測定グループの測定を、該センサユニットで 分析できるよう構成されたものであることが好まし ヽ (請求項 33)。
[0040] さらに、該分析装置は、特定の疾患又は機能を判別するために選択された 2以上 の検出対象物質を検出することができるよう構成されたものであることが好ましい (請 求項 34)。
[0041] また、本発明の更に別の要旨は、基板と、該基板に設けられた第 1のソース電極及 び第 1のドレイン電極、並びに、上記の第 1のソース電極及び第 1のドレイン電極間の 電流通路になるカーボンナノチューブで形成された第 1のチャネルを有する第 1トラ ンジスタ部と、該基板に設けられた第 2のソース電極及び第 2のドレイン電極、並びに 、上記の第 2のソース電極及び第 2のドレイン電極間の電流通路になる第 2のチヤネ ルを有する第 2トランジスタ部とを備え、核酸間ハイブリダィゼーシヨン反応測定ダル ープ、核酸 タンパク質間相互作用測定グループ、レセプターリガンド間相互作用 測定グループ及び免疫学的反応測定グループカゝらなる群より選ばれる少なくとも一 つの測定グループ力 選択される少なくとも 1つの検出対象物質を第 1トランジスタ部 の特性の変化として検出し、電解質濃度測定グループ、生化学項目測定グループ、 血液ガス濃度測定グループ、血算測定グループ、及び血液凝固能測定グループか らなる群より選ばれる少なくとも一つの測定グループ力 選択される少なくとも 1つの 検出対象物質を第 2トランジスタ部の特性の変化として検出するセンサユニットを備え ることを特徴とする、分析装置に存する (請求項 35)。
[0042] また、上記の分析装置においては、検出対象物質と選択的に相互作用する特定物 質がカーボンナノチューブに固定ィ匕されていることが好ましい。即ち、該第 1のチヤネ ルに、上記検出対象物質と選択的に相互作用をする特定物質を固定された感知部 位が形成されて 、ることが好ま ヽ (請求項 36)。
発明の効果
[0043] 本発明のセンサユニット及びそれと共に用いる反応場セル並びにそれを用いた分 析装置によれば、分析を行なう際の利便性を従来よりも高めることができる。
図面の簡単な説明
[0044] [図 1]図 1 (a)〜図 1 (d)は、本発明の第 1〜第 6実施形態について説明するための図 であり、図 1 (a)〜図 1 (d)はいずれも、カーボンナノチューブを用いたチャネルの作 製方法の各工程における操作を説明するための図である。
[図 2]図 2は、本発明の第 1〜第 6実施形態について説明するため、カーボンナノチュ ーブによるチャネルの作製方法の一例を説明する模式図である。
[図 3]図 3は、本発明の第 1〜第 6実施形態について説明するため、カーボンナノチュ ーブによるチャネルの作製方法の一例を説明する模式図である。
[図 4]図 4 (a)〜図 4 (f)は、本発明の第 1〜第 6実施形態について説明するための図 であり、図 4 (a)〜図 4 (f)はいずれも、流路を形成した反応場セルユニットの平面図 である。
[図 5]図 5は、本発明の第 1,第 2,第 4実施形態について説明するため、センサュ- ットを用いた分析装置の一例の要部構成を模式的に示す図である。
[図 6]図 6は、本発明の第 1,第 2,第 4実施形態について説明するため、センサュ- ットの一例の要部構成を模式的に示す分解斜視図である。
[図 7]図 7 (a)、図 7 (b)は、本発明の第 1,第 2,第 4〜第 6実施形態について説明す るため、センサユニットの一例の検出デバイス部(第 4実施形態においては、トランジ スタ部)の要部構成を模式的に示す図であり、図 7 (a)は斜視図、図 7 (b)は側面図で ある。
[図 8]図 8は、本発明の第 1,第 2,第 4実施形態について説明するため、センサュ- ットの一例の要部を模式的に示す断面図である。
[図 9]図 9は、本発明の第 2,第 3,第 7実施形態について説明するため、センサュ- ットを用いた分析装置の一例の要部構成を模式的に示す図である。
[図 10]図 10は、本発明の第 2,第 3実施形態について説明するため、センサユニット の一例の要部構成を模式的に示す分解斜視図である。
[図 11]図 11 (a)、図 11 (b)は、本発明の第 2実施形態について説明するため、セン サユニットの一例の検出デバイス部(トランジスタ部)の要部構成を模式的に示す図 であり、図 11 (a)は斜視図、図 11 (b)は側面図である。
[図 12]図 12 (a)、図 12 (b)は、本発明の第 3実施形態について説明するため、セン サユニットの一例の検出デバイス部の要部構成を模式的に示す図であり、図 12 (a) は斜視図、図 12 (b)は側面図である。
[図 13]図 13は、本発明の第 5〜第 7実施形態について説明するため、血液凝固時間 の測定に用いるセンサユニットの一例の要部構成を模式的に示す断面図である。
[図 14]図 14は、本発明の第 5〜第 7実施形態について説明するため、センサユニット を有する分析装置の測定回路の一例を表わす図である。
[図 15]図 15は、本発明の第 5〜第 7実施形態について説明するため、トランジスタの 特定変化の一例である時定数の変化を説明する図である。
[図 16]図 16は、本発明の第 5〜第 7実施形態について説明するため、全血算測定に 用いるセンサユニットの一例の要部構成を模式的に示す断面図である。
[図 17]図 17は、本発明の第 5〜第 7実施形態について説明するため、センサユニット を用いた分析装置の一例の要部構成を模式的に示す図である。
[図 18]図 18は、本発明の第 5〜第 7実施形態について説明するため、センサユニット の一例の要部構成を模式的に示す分解斜視図である。
[図 19]図 19は、本発明の第 5〜第 7実施形態について説明するため、センサユニット の一例の要部を模式的に示す断面図である。
[図 20]図 20は、本発明の第 7実施形態について説明するため、センサユニットの一 例の要部構成を模式的に示す分解斜視図である。
[図 21]図 21 (a)〜図 21 (c)は本発明の実施例 1を説明するものであり、図 21 (a)〜 図 21 (c)はいずれもチャネルの形成方法を説明するための模式的な断面図である。
[図 22]図 22は、本発明の実施例 1を説明するものであり、カーボンナノチューブを形 成する工程を説明する図である。
[図 23]図 23 (a)〜図 23 (b)は本発明の実施例 1を説明するものであり、図 23 (a)〜 図 23 (c)は、 Vヽずれも検出デバイス部(トランジスタ部)の形成方法を説明するための
模式的な断面図である。
圆 24]図 24は本発明の実施例 1を説明するものであり、バックゲートを形成した基板 を説明するための模式的な断面図である。
[図 25]図 25は本発明の実施例 1を説明するものであり、作製したカーボンナノチュー ブー電界効果トランジスタの模式的な断面図である。
[図 26]図 26は本発明の実施例 1を説明するものであり、作製したカーボンナノチュー ブー電界効果トランジスタの模式的な概略図である。
圆 27]図 27は本発明の実施例 1を説明するものであり、特性測定例 1において IgG 抗体を固定ィ匕した状態のカーボンナノチューブ 電界効果トランジスタの概要を模 式的に示す図である。
圆 28]図 28は本発明の実施例 1を説明するものであり、特性測定例 1におけるカー ボンナノチューブ 電界効果トランジスタの電気特性評価の測定結果を表わすダラ フである。
圆 29]図 29は本発明の実施例 1を説明するものであり、特性測定例 2で用いた測定 系の構成を示す模式的な概要図である。
[図 30]図 30は本発明の実施例 1を説明するものであり、特性測定例 2における anti マウス IgG抗体滴下前後での、ソース'ドレイン電圧電流特性の変化を示すグラフ である。
圆 31]図 31は本発明の実施例 1を説明するものであり、特性測定例 2における anti —マウス IgG抗体滴下前後での伝達特性の変化を示すグラフである。
[図 32]図 32は本発明の実施例 2を説明するものであり、作製したカーボンナノチュー ブー電界効果トランジスタの模式的な概略図である。
圆 33]図 33は本発明の実施例 2を説明するものであり、 a— PSAの固定ィ匕方法を表 わす模式図である。
圆 34]図 34は本発明の実施例 2を説明するものであり、用いた測定系の構成を示す 模式的な概要図である。
圆 35]図 35は本発明の実施例 2を説明するものであり、測定されたソース'ドレイン間 電流の大きさの時間変化を表わすグラフである。
圆 36]図 36は本発明の実施例を説明するものであり、流路の形成方法を説明するた めの模式的な斜視図である。
圆 37]図 37は本発明の実施例を説明するものであり、形成した反応場セルユニット の模式的な分解斜視図である。
[図 38]図 38 (a)〜図 38 (c)は本発明の実施例 4を説明するものであり、図 38 (a)〜 図 38 (c)はいずれも本実施例におけるチャネルの形成方法を説明するための模式 的な断面図である。
圆 39]図 39は本発明の実施例 4を説明するものであり、窒化シリコン絶縁膜の形成 に用いた装置の要部構成を表わす図である。
圆 40]図 40は本発明の実施例 4を説明するものであり、窒化シリコンを成膜したサフ アイァ基板の模式的な断面図である。
圆 41]図 41は本発明の実施例 4及び実施例 5を説明するものであり、窒化シリコンゲ ート絶縁膜を有するトップゲート型 CNT—FETセンサーの模式的な上面図である。
[図 42]図 42は本発明の実施例 4を説明するものであり、トップゲート型 CNT—FET センサーを図 41の A—A'面で切った模式的な断面図である。
圆 43]図 43は本発明の実施例 4を説明するものであり、特性測定で用いた測定系( 分析装置)の要部構成を示す模式的な概要図である。
[図 44]図 44は本発明の実施例 4を説明するものであり、ブタ血清アルブミンを滴下し た時のソース電極とドレイン電極との間に流れる電流(I )の時間変化について示す
DS
グラフである。
[図 45]図 45は本発明の実施例 5を説明するものであり、図 45 (a) ,図 45 (b)はいず れも本実施例における電極作製の様子を説明するための模式的な断面図である。 圆 46]図 46は本発明の実施例 5を説明するものであり、窒化シリコンを成膜した基板 の模式的な断面図である。
[図 47]図 47は本発明の実施例 5を説明するものであり、トップゲート型 CNT—FET センサーを図 41の A— A'面で切った模式的な断面図である。
圆 48]図 48は本発明の実施例 5を説明するものであり、特性測定で用いた測定系( 分析装置)の要部構成を示す模式的な概要図である。
[図 49]図 49は本発明の実施例 5を説明するものであり、ソース電極とドレイン電極と の間に流れる電流 (I )の時間変化について示すグラフである。
DS
符号の説明
1 基板
2 フォトレジスト
3 触媒
4 CVD炉
5 カーボンナノチューブ(チャネル)
6 スぺーサ層
7 流路
8 感知部
9 注入部
10 排出部
11 仕切壁
12 基板
13, 18 絶縁層
14 ソース電極
15 ドレイン電極
16 SETチャネル
17 感知用ゲート(ゲート本体)
19, 30 感知咅
20 検出用感知ゲート
21 反応場
22 参照電極
23 電圧印加ゲート
4, 32, 33, 36 トランジスタ部
5, 34, 37 反応場セルユニット
6, 27 板状フレーム
スぺーサ
流路
電極部
, 38 セノレュ二ニット装着部
0, 200, 300, 400, 500, 600, 700 分析装置1, 201, 301, 402, 501, 602, 701 センサユニット2, 202, 302, 502, 702 測定回路
3, 203, 303, 401, 503, 601, 703 卜ランジスタ部4, 204, 304, 504, 704 集積検出デバイス
5, 505 コネクタソケット
5A 装着部
5B 装着部(セルユニット装着部)
6, 506 分離型集積電極
7, 507 反応場セル
8, 206, 306, 508, 706 基板
9, 509 検出デバイス部
, 207, 307, 510, 707 低誘電層
1, 208, 308, 511, 708 ソース電極
2, 209, 309, 512, 709 ドレイン電極
3, 210, 310, 513, 710 チャネル
, 211, 514, 711 絶縁膜
5, 515 感知用ゲート (ゲ^" -ト本体)
, 516 電極部 (感知部)
7, 517 検出用感知ゲート
, 215, 314, 518, 713 電圧印加ゲ
, 218, 316, 519, 716 流路
, 216, 313, 520, 714 絶縁体層
1, 124, 521, 524 配線
122, 522 基板
123. 214, 311 特定物質
125, 217, 315, 525, 715 基体
126, 403, 526, 603 反応場セルユニット
205, 305, 705 反応場セル
212, 712 検出用感知ゲート
213, 312 感知部位
404, 604 セノレユニット装着部
527, 717 参照電極
発明を実施するための最良の形態
[0046] 以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形 態や例示等に限定されるものではなぐ本発明の要旨を逸脱しない範囲において任 意に変形して実施することができる。
[0047] [第 1実施形態]
本発明の第 1実施形態としてのセンサユニット(以下適宜、「第 1のセンサユニット」と いう)は、基板と、基板に設けられたソース電極及びドレイン電極と、上記のソース電 極及びドレイン電極間の電流通路になるチャネルと、検出用感知ゲートとを備えたト ランジスタ部を有する。このトランジスタ部は、トランジスタとして機能する部分であり、 このトランジスタの出力特性の変化を検知することにより、本実施形態のセンサュ-ッ トは検出対象物質を検出するようになっている。また、トランジスタ部は、そのチャネル の具体的な構成により、電界効果トランジスタとして機能するものと、単一電子トラン ジスタとして機能するものとに区別できる力 第 1のセンサユニットにおいてはいずれ を用いても良い。なお、以下の説明において、トランジスタ部のことを適宜、単に「トラ ンジスタ」というが、その場合、特に断らない限り、電界効果トランジスタ及び単一電子 トランジスタの 、ずれとして機能するかは区別しな!、。
[0048] また、第 1のセンサユニットは、適宜、電気接続切替部や、反応場セルユニットなど 、トランジスタ以外の部材を備えていても良い。
以下、第 1のセンサユニットの構成要素について説明する。
[0049] [I.トランジスタ部]
(1.基板)
基板は、絶縁性を有する基板であれば任意の素材で形成された基板を用いること ができるが、通常は、絶縁性基板、又は、絶縁された半導体基板を用いる。なお、本 明細書において絶縁性という場合には、特に断らない限り電気絶縁性のことを指し、 絶縁体という場合には、特に断らない限り電気絶縁体の事を指す。また、センサとし て用いる場合、感度を高めるためには、絶縁性基板、或いは、表面を絶縁性基板を 構成する素材 (即ち、絶縁体)で被覆することにより絶縁した半導体基板であることが 好ましい。これら、絶縁性基板や、絶縁体で被覆した半導体基板を用いた場合、他 の方法で絶縁した半導体基板に比べ、誘電率が低 、ために浮遊容量を低減するこ とができ、そのため、例えばバックゲート(基板に対してチャネルと反対側に設けられ たゲート)を検出用感知ゲートとした場合に相互作用の感知感度を高めることができ る。
[0050] 絶縁性基板は、絶縁体で形成された基板である。絶縁性基板を形成する絶縁体の 具体例としては、酸ィ匕シリコン、窒化シリコン、酸ィ匕アルミニウム、酸化チタン、弗化力 ルシゥム、アクリル榭脂、ポリイミド、テフロン (登録商標)等が挙げられる。なお、絶縁 体は 1種を単独で用いても良ぐ 2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用して も良い。
[0051] また、半導体基板は、半導体で形成された基板である。半導体基板を形成する半 導体の具体例としては、シリコン、ガリウム砒素、窒化ガリウム、酸化亜鉛、インジウム 燐、炭化シリコン等が挙げられる。なお、半導体は 1種を単独で用いても良ぐ 2種以 上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良 、。
[0052] さらに、半導体基板を絶縁する方法は任意であるが、通常は、上記のように絶縁体 で被覆して絶縁することが望まし ヽ。半導体基板の上に絶縁膜を形成して絶縁する 場合、被覆に用いる絶縁体の具体例としては、上記の絶縁性基板を形成する絶縁体 と同様のものが挙げられる。
[0053] また、絶縁した半導体基板を用いる場合には、この半導体基板は、後述するゲート
{即ち、感知用ゲート (ゲート本体)や電圧印加ゲート等 }としても作用させることも可
能である。ただし、絶縁した半導体基板をゲートに用いる場合、その基板は電気抵抗 が小さいことが望ましぐ例えば、高濃度にドナーあるいはァクセプタが添加され、抵 抗率が低く金属的伝導性を示す半導体を用いた半導体基板が望ま ヽ。
さらに、基板の形状は任意であるが、通常は平板状に形成する。また、その寸法に ついても特に制限は無いが、基板の機械的強度を保っため 100 m以上であること が好ましい。
[0054] (2.ソース電極,ドレイン電極)
ソース電極は、上記トランジスタのキャリアを供給できる電極であれば他に制限は無 い。また、ドレイン電極は、上記トランジスタのキャリアを受け取ることができる電極で あれば、他に制限は無ぐ公知のものを任意に用いることができる。ただし、ソース電 極及びドレイン電極は、通常は同一の基板上に設けられる。
ソース電極及びドレイン電極はそれぞれ任意の導体で形成することができ、具体例 としては、金、白金、チタン、炭化チタン、タングステン、アルミニウム、モリブデン、クロ ムケィ化タングステン、窒化タングステン、多結晶シリコンなどが挙げられる。また、ソ ース電極、ドレイン電極を形成する導体は、 1種を単独で用いても良ぐ 2種以上を任 意の組み合わせ及び比率で併用しても良 、。
さらに、ソース電極及びドレイン電極の寸法や形状も任意である。
[0055] (3.チヤネノレ)
(3- 1.チャネルの構成)
チャネルは、ソース電極及びドレイン電極の間の電流の通路となりうるものであり、 公知のチャネルを適宜用いることができる。
また、チャネルの形状や寸法に制限は無ぐ任意である。ただし、チャネルは、基板 力も離隔した状態で上記のソース電極及びドレイン電極間に装架されて ヽることが好 ましい。これにより、感知用ゲートとチャネルとの間の誘電率を低下させることができ、 感知用ゲートの電気容量を小さくすることができるため、センサユニットの感度を高め ることがでさる。
[0056] また、チャネルは、室温において上記のソース電極及びドレイン電極の間に弛んだ 状態で設けられていることが好ましい。これにより、温度変化によってチャネルが破損
する可能性を小さくすることができる。
さらに、チャネルの数も任意であり、 1本でも、 2本以上であってもよい。
[0057] また、上記のように、チャネルの構成によって上記のトランジスタは電界効果トランジ スタと単一電子トランジスタとに分けられる。両者の違いは、チャネルが量子ドット構 造を有して 、るかに応じて区別され、チャネルが量子ドット構造を有して ヽな 、トラン ジスタは電界効果トランジスタとなり、チャネルが量子ドット構造を有して 、るトランジス タは単一電子トランジスタとなる。
[0058] したがって、チャネルを形成する場合には、センサユニットの目的や、トランジスタを 電界効果トランジスタと単一電子トランジスタとのいずれにするかなどに応じて、適当 な材料によって形成することが好まし 、。
以下、電界効果トランジスタのチャネル(以下適宜、「FETチャネル」という)と、単一 電子トランジスタのチャネル(以下適宜、「SETチャネル」という)とについて、それぞ れ説明する。なお、 FETチャネルと SETチャネルとを区別しないで指す場合、単に「 チャネル」という。また、上述のように電界効果トランジスタと単一電子トランジスタとは チャネルによって区別することができるため、 FETチャネルを有するトランジスタは電 界効果トランジスタであり、 SETチャネルを有するトランジスタは単一電子トランジスタ と認識すべきである。
[0059] FETチャネルは、電流の通路となりうるものであり、公知のチャネルを適宜用いるこ とができる。一般に、トランジスタのチャネルは、半導体基板の素材として例示した半 導体により形成され、 FETチャネルとしても、上記のような半導体によりチャネルを形 成することができる。
ただし、センサユニットの感度を高めるためには、 FETチャネルは微細なものである ことが好ましい。一般に、トランジスタを用いたセンサの検出感度の限界は、トランジス タのゲートの電気容量 (以下適宜、「ゲート容量」という)に関係している。ゲート容量 力 S小さ 、ほど、ゲートの表面電荷の変化を大きなゲート電圧の変化として捉えること ができ、センサの検出感度が向上するのである。ゲート容量はチャネルの長さ Lとチ ャネルの幅 Wとの積 L XWに比例するので、ゲート容量の減少にはチャネルの微細 化が効果的である。微細なチャネルとしては、例えば、ナノチューブ構造体を用いて
チャネルを形成することが好まし 、。
[0060] ナノチューブ状構造体とは、チューブ状の構造体であって、その長手方向に直交 する断面の直径が 0. 4nm以上 50nm以下のものをいう。なお、ここでチューブ状とは 、構造体の長手方向の長さと、これに垂直な方向のうち最も長い一方向の長さとの比 が 10以上 10000以下の範囲にある形状を指し、ロッド状(断面形状が略円形)、リボ ン状 (断面形状が扁平な略方形)等の各形状を含む。
[0061] ナノチューブ状構造体は電荷輸送体として用いることができ、直径が数ナノメートル の一次元量子細線構造を有するため、これをトランジスタのチャネルに用いた場合に は、従来のセンサ等に用いられて 、た電界効果トランジスタに比べてトランジスタのゲ ート容量が著しく低減する。したがって、特定物質及び検出対象物質の間の相互作 用により生じるゲート電圧の変化は極めて大きくなり、チャネルに存在する荷電粒子 の密度の変化は著しく大きくなる。このことにより検出感度は劇的に向上する。
[0062] ナノチューブ状構造体の具体例としては、カーボンナノチューブ (CNT)、ボロンナ イトライドナノチューブ、チタ-アナノチューブ等が挙げられる。従来の技術では、半 導体微細加工技術を用いても、 lOnm級のチャネルの形成は困難であり、それにより センサとしての検出感度も制限されていたが、これらのナノチューブ状構造体を用い ることにより、従来よりも微細なチャネルを形成することができる。
[0063] ナノチューブ状構造体は、そのカイラリティに応じて半導体的な電気的性質及び金 属的な電気的性質の両方を示すが、半導体的 FETチャネルに用いる場合、ナノチュ ーブ状構造体は、その電気的性質として半導体的性質を有することがより望ましい。
[0064] 一方、 SETチャネルも FETチャネルと同様、電流の通路となりうるものであり、公知 のチャネルを適宜用いることができる。したがって、半導体により形成することも可能 であるが、通常はその大きさが微細であることが好ましぐ FETチャネルと同様、ナノ チューブ構造体を用いてチャネルを形成することが好ましい。また、ナノチューブ状 構造体の具体例としてカーボンナノチューブ (CNT)、ボロンナイトライドナノチューブ 、チタ-アナノチューブ等を使用することができることも FETチャネルと同様である。
[0065] し力し、上述したように、 FETチャネルと異なり、 SETチャネルは量子ドット構造を有 する。したがって、 SETチャネルは量子ドット構造を有する物質で形成することになり
、半導体を材料とする場合でも、量子ドット構造を有する半導体を材料として使用す ることになる。これは、ナノチューブ構造体を SETチャネルに用いる場合でも同様で あり、ナノチューブ状構造体の中でも、量子ドット構造を有するナノチューブ構造体で SETチャネルを形成する。その具体例を挙げると、欠陥を導入したカーボンナノチュ ーブを SETチャネルとして用いることができる。詳しくは、欠陥と欠陥との間に通常 0. lnm以上 50nm以下の量子ドット構造を有するカーボンナノチューブを SETチヤネ ルとして用いることができる。
[0066] 前記の量子ドット構造を有するカーボンナノチューブの製造方法は任意であるが、 例えば、欠陥を有さないカーボンナノチューブに、水素、酸素、アルゴンなどの雰囲 気ガス中での加熱、あるいは酸溶液等中での煮沸などの化学的処理を施すことによ つて欠陥を導入して作製することができる。
[0067] ナノチューブ状構造体に欠陥を導入することにより、ナノチューブ状構造体内に欠 陥と欠陥との間に領域が数ナノメートルの大きさの量子ドット構造が形成され、さらに ゲート容量は低減する。量子ドット構造を有するナノチューブ状構造体にお!ヽては、 量子ドット構造内への電子の流入が制限されるクーロンブロッケイド現象が生じるた め、そのようなナノチューブ状構造をチャネルに用いれば単一電子トランジスタが実 現される。
[0068] 具体例を挙げて説明する。例えばシリコン系 MOSFET (メタル ·オキサイド'セミコン ダクター ·電界効果トランジスタ)のゲート容量は 10_15F (ファラッド)程度であり、これ に対して上記の欠陥を導入したナノチューブ状構造体を用いた単一電子トランジスタ のゲート容量は 10_ 19F〜10_2GF程度である。このように、単一電子トランジスタでは 従来のシリコン系 MOSFETに比べて、ゲート容量が 1万〜 10万分の一程度減少す る。
[0069] その結果、このようなナノチューブ状構造体をチャネル用いた単一電子トランジスタ を形成すれば、検出物質の検出感度を大きく向上させることができるのである。
[0070] また、 SETチャネルが FETチャネルと異なるもう一つの点としては、ナノチューブ状 構造体を SETチャネルとして用いる場合、それらは電気的特性として金属的性質を 有することが好ましい。なお、ナノチューブ状構造体が金属的か半導体的かを確認
する手法の例としては、ラマン分光法でカーボンナノチューブのカイラリティを決定す ることにより確認する手法や、走査トンネル顕微鏡 (STM)分光法を用いてカーボン ナノチューブの電子状態密度を測定することにより確認する手法が挙げられる。
[0071] さらに、チャネルは、絶縁性部材により被覆して、ノッシベーシヨンあるいは保護す ることが望ましい。これにより、トランジスタ内において流れる電流力 確実にチャネル に流れるようにすることができるため、安定して検出を行なうことができる。
絶縁性部材としては、絶縁性の部材であれば任意の部材を用いることが可能であ るが、具体例としては、フォトレジスト (感光性榭脂)、アクリル榭脂、エポキシ榭脂、ポ リイミド、テフロン (登録商標)などの高分子材料、ァミノプロピルエトキシシランなどの 自己組織化膜、 PER—フルォロポリエーテル、フォンブリン (商品名)などのルブリ力 ント、フラーレン類ィ匕合物、あるいは酸ィ匕シリコン、弗化ケィ酸塩ガラス、 HSQ (Hydr ogen Silsesquioxane)、 MLQ (Methyl Lisesquioxane)、多孔質シリカ、窒ィ匕 シリコン、酸ィ匕アルミニウム、酸化チタン、弗化カルシウム、ダイヤモンド薄膜などの無 機物質を用いることができる。また、これらは任意の種類及び比率で組み合わせて用 いてもよい。
[0072] また、感知用ゲート (検出用感知ゲートのゲート本体)とチャネルとの間には、絶縁 性であってかつ低誘電率の材料の層(低誘電率層)が設けられていることが好ましい 。さらに、感知用ゲートからチャネルまでの間が全体に(即ち、感知用ゲートからチヤ ネルまでの間にある層がすべて)低誘電率の性質を有することがより好ましい。
[0073] 低誘電率層を構成する材料は、上記のように絶縁性であれば他に制限は無ぐ公 知のものを任意に用いることができる。その具体例としては、二酸ィ匕シリコン、弗化ケ ィ酸塩ガラス、 HSQ (Hydrogen Silsesquioxane)、 MLQ (Methyl Lisesquiox ane)、多孔質シリカ、ダイヤモンド薄膜などの無機材料、ポリイミド、 Parylene— N、 Parylene— F、弗化ポリイミドなどの有機材料が挙げられる。なお、低誘電率の材料 は、 1種を単独で用いても良ぐ 2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても 良い。
[0074] つまり、チャネルから感知用ゲートにかけての間が絶縁性で且つ低誘電率であるこ とにより、感知用ゲート上で生じた表面電荷の変化力 チャネル内の電荷密度の変
化としてより効率的に伝達されるのである。これにより、上記相互作用をトランジスタの 大きな出力特性の変化として感知することができるので、上記のトランジスタをセンサ に用いた場合に、センサの感度をより向上させることができる。
[0075] また、特にチャネルとして SETチャネルを用いる場合、チャネルと感知用ゲート間、 及び、チャネルと電圧印加ゲート間に設ける絶縁層の誘電率を、量子ドットに電子 1 個がトラップされることによって生じる静電エネルギー力 動作温度における熱ェネル ギ一より充分大きくなるように適宜選択することが好ましい。例として、量子ドットに 2個 の接合、感知用ゲート、電圧印加ゲートが接合されている場合を挙げる。 2個の接合 の容量の和を C、チャネルと感知用ゲート間に絶縁層を設けることによりチャネルと
T
感知用ゲート間に形成されるキャパシタの容量を c 、チャネルと電圧印加ゲート間
G1
に絶縁層を設けることによりチャネルと電圧印加ゲート間に形成されるキャパシタの 容量を C とした場合、 kT< < e2/{2 (C +C +C ) }を満たすように絶縁層の誘
G2 T Gl G2
電率を適宜選択することが好ましい。ここで、左辺が熱エネルギーを表わし、右辺が 電子 1個のトラップによる静電エネルギーを表わす。また、 kはボルツマン定数を表わ し、 Tは動作温度を表わし、 eは素電荷を表わす。
[0076] また、トランジスタに電圧印加ゲートが設けられている場合、トランジスタにゲート電 圧を印加する電圧印加ゲートとチャネルとの間には、絶縁性であってかつ高誘電率 の材料の層(高誘電層)が形成されていることが好ましい。さら〖こ、電圧印加ゲートか らチャネルまでの間が全体に(即ち、電圧印加ゲートからチャネルまでの間にある層 がすべて)高誘電率の性質を有することがより好ま 、。
[0077] 高誘電層を形成する材料は、上記のように絶縁性を有して且つ高誘電率のもので あれば他に制限は無ぐ公知のものを任意に用いることができる。その具体例として は、窒化シリコン、酸ィ匕アルミニウム、酸ィ匕タンタル、酸ィ匕ハフニウム、酸化チタン、酸 化ジルコニウムなどの無機物質、高誘電率特性を有する高分子材料などが挙げられ る。また、高誘電率の材料は、 1種を単独で用いても良ぐ 2種以上を任意の組み合 わせ及び比率で併用しても良 ヽ。
[0078] つまり、電圧印加ゲートからチャネルにかけての間が絶縁性で且つ高誘電率である 高誘電層を形成することにより、電圧印加ゲートから電圧印加した場合に、トランジス
タの伝達特性をより効率よく変調させることができるのである。これにより、上記のトラ ンジスタをセンサとして用いた場合、センサとしての感度をより向上させることができる
[0079] なお、前記のような絶縁層、低誘電層、高誘電層の形成方法に制限は無ぐ公知の 方法を任意に用いることができる。例えば、酸化シリコンを用いて絶縁層を形成する 場合には、基板全面に酸ィ匕シリコン力もなる膜を形成した後、フォトリソグラフィ一によ りパター-ングを行ない、除去したい部分の酸ィ匕シリコンを選択的にウエットエツチン グにより除去し、形成することができる。
[0080] (3 - 2.チャネルの作製方法)
チャネルの作製方法に特に制限は無ぐ上述したチャネルを作製することができれ ば、任意の方法によるチャネルを作製することができる。
ここでは、チャネルとしてカーボンナノチューブを用いる場合のチャネルの作製方 法の一例を挙げて、チャネルの作製方法にっ 、て説明する。
図 1 (a)〜図 1 (d)は、カーボンナノチューブを用いたチャネルの作製方法の各工程 における操作を説明するための図である。
[0081] チャネルとして使用するカーボンナノチューブは、通常、その位置と方向とを制御し て形成する。このため、通常はフォトリソグラフィ一法などによりパターユングした触媒 を利用して、カーボンナノチューブの成長位置と方向とを制御して作製する。具体的 には、例えば、以下の工程(1)〜(4)を行ない、カーボンナノチューブからなるチヤネ ルを形成することができる。
[0082] 工程(1):基板上にフォトレジストをパターユングする。 {図 1 (a) }
工程 (2) :金属の触媒を蒸着する。 {図 1 (b) }
工程 (3):リフトオフを行ない、触媒のパターンを形成する。 {図 1 (c) }
工程 (4):原料ガスを流して、カーボンナノチューブを形成する。 {図 1 (d) } 以下、各工程について説明する。
[0083] まず、工程(1)において、図 1 (a)に示すように、カーボンナノチューブを形成しょう とする位置及び方向に応じて形成するパターンを決定し、そのパターンに合わせて 基板 1上にフォトレジスト 2でパターユングを行なう。
[0084] 次に、工程(2)において、図 1 (b)に示すように、パターユングを行なった基板 1の 表面に、触媒 3となる金属を蒸着する。触媒 3となる金属の例としては、鉄、ニッケル、 コバルトなどの遷移金属、あるいはそれらの合金などが挙げられる。
[0085] 続いて、工程(3)において、図 1 (c)に示すように、触媒 3の蒸着後、リフトオフを行 なう。リフトオフにより、フォトレジスト 2は基板 1から除去されるため、フォトレジスト 2表 面に蒸着された触媒 3もともに基板 1から除去される。これにより、工程(1)で形成した パターンに合わせて触媒 3のパターンが形成される。
[0086] 最後に、工程 (4)にお 、て、図 1 (d)に示すように、 CVD (化学気相堆積法)炉 4で 、高温においてメタンガスやアルコールガスなどの原料ガスを流し、触媒 3と触媒 3と の間にカーボンナノチューブ 5を形成する。高温においては、金属触媒 3は直径数 n mの微粒子状になり、これを核としてカーボンナノチューブが成長する。なお、ここで 高温とは、 300°C以上 1200°C以下を指す。
[0087] 以上のように、工程(1)〜工程 (4)によってカーボンナノチューブ 5を形成すること ができる。
通常は、その後、カーボンナノチューブ 5の両端にォーミック電極等でソース電極及 びドレイン電極を形成する。この際、ソース電極やドレイン電極はカーボンナノチュー ブ 5の先端に取り付けてもよいし、側面に取り付けてもよい。また、ソース電極やドレイ ン電極の電極形成の際に、よりよい電気的接続を目的として、 300°C〜1000°Cの範 囲の熱処理を行ってもよい。さらに、適当な位置に感知用ゲート、電圧印加ゲート、 絶縁性部材、低誘電率層、高誘電率層などを設けて、トランジスタを作製する。 以上の作製方法により、 FETチャネルを形成し、電界効果トランジスタを作製するこ とがでさる。
[0088] さらに、工程(1)〜(4)で作製した FETチャネルとしてのカーボンナノチューブ 5に 水素、酸素、アルゴンなどの雰囲気ガスでの加熱、酸溶液中での煮沸などの化学処 理を行ない、欠陥を導入して量子ドット構造を形成させることにより、 SETチャネルを 作製することちでさる。
また、トランジスタ魏積する場合など、基板上に複数のトランジスタを集積する場 合も、同様に、通常はフォトリソグラフィ一法等を用いて、同一基板上に複数のソース
電極、ドレイン電極用の触媒をパターユングし、カーボンナノチューブを成長すること により、トランジスタのアレイを作製することができる。
[0089] ここで例示したカーボンナノチューブによるチャネルの作製方法を用いれば、位置 及び方向を制御しながらカーボンナノチューブを形成して、トランジスタを作製するこ とができる。また、カーボンナノチューブの成長方向を制御することなどを目的として 、図 2に示すように、触媒 3の形状を先端が急峻な形状とし、カーボンナノチューブ 5 の成長中にこの 2つの触媒間に電圧 (電界)を印加するようにしてもょ 、。これにより、 急峻な触媒間の電気力線に沿ってカーボンナノチューブ 5を成長させ、チャネル作 製時の制御性を高めることができる。なお、図 2はカーボンナノチューブによるチヤネ ルの作製方法の一例を説明するための模式図であり、この図 2において、図 1と同じ 符号は、同様のものを表わす。
[0090] 上記のように、触媒 3間に電荷を印加することによって、電気力線に沿ってカーボン ナノチューブ 5が成長する理由は定かではないが、次の 2通りが推察される。第 1の考 えは、電極 (ここでは、触媒 3)力 成長を開始したカーボンナノチューブ 5は大きな分 極モーメントを有しているために、電界に沿った方向に成長する、という考えである。 もう一方の考えは、高温で分解したカーボンイオンが電気力線に沿ってカーボンナノ チューブ 5を形成していぐという考えである。
[0091] また、第 2の考えとしては、カーボンナノチューブ 5の成長を阻害する要因として、基 板 1とカーボンナノチューブ 5との間に働く大きなファンデルワールス力の影響でカー ボンナノチューブ 5が基板 1に密着し、方向制御が困難になることが考えられる。した がって、このファンデルワールス力の影響を小さくするため、上記のトランジスタの作 製方法において、図 3に示すように、触媒 3と基板 1との間に酸化シリコン等で形成し たスぺーサ層 6を設け、カーボンナノチューブ 5を基板 1から浮力して成長を行なうよ うにすることが好ましい。なお、図 3はカーボンナノチューブによるチャネルの作製方 法の一例を説明するための模式図であり、図 3において、図 1及び図 2と同じ符号は 、同様のものを表わす。
[0092] (4.検出用感知ゲート)
検出用感知ゲートは、ゲート本体である感知用ゲートと、感知部 (相互作用感知部)
とを有して構成されている。第 1のセンサユニットでは、検出用感知ゲートの感知部で 相互作用が生じた場合、感知用ゲートのゲート電圧が変化するようになっており、こ の感知用ゲートのゲート電圧に伴って生じるトランジスタの特性の変化を検出すること により検出対象物質の検出を行なうことができるようになつている。
[0093] (4 1.感知用ゲート)
感知用ゲート(即ち、ゲート本体)は、対応するソース電極及びドレイン電極と同一 の基板に固定されたゲートである。この感知用ゲートは、トランジスタのチャネル内の 荷電粒子の密度を制御するゲート電圧を印加できるものであれば他に制限は無い。 通常、感知用ゲートはチャネル、ソース電極及びドレイン電極から絶縁された導体を 有して構成され、一般的には導体および絶縁体から構成される。
[0094] 感知用ゲートを構成する導体は任意であるが、その具体例としては、金、白金、チ タン、炭ィ匕チタン、タングステン、ケイイ匕タングステン、窒ィ匕タングステン、ァノレミニゥム 、モリブデン、クロム、多結晶シリコンなどが挙げられる。なお、感知用ゲートの材料で ある導体は 1種を単独で用いてもよぐ 2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併 用しても良い。
また、上記導体の絶縁に用いる絶縁体も任意であり、その具体例としては、基板の 材料として例示した絶縁体と同様のものが挙げられる。さらに、感知用ゲートの絶縁 に用いる絶縁体についても、 1種を単独で用いても良ぐ 2種以上を任意の組み合わ せ及び比率で併用しても良 ヽ。
なお、感知用ゲートの導体に代えて、又は導体と併用して、半導体を用いるようにし ても良い。その際の半導体の種類は任意であり、また、 1種を単独で用いてもよぐ 2 種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良!ヽ。
[0095] また、感知用ゲートの寸法及び形状は任意である。
さらに、感知用ゲートを配置する位置は、チャネルに対してゲート電圧を印加するこ とができる位置であれば他に制限は無ぐ例えば基板の上方に配設してトップゲート としてもよく、基板のチャネルと同じ側の面上に配設してサイドゲートとしてもよぐ基 板の裏面 (チャネルと反対側の面)に配設してバックゲートとしてもよい。これにより、 検出時の操作を簡単に行なうことができる。ただし、トップゲートとして感知用ゲートを
形成すると、一般にチャネルとトップゲートとの距離はチャネルと他の位置のゲートと の距離に比べて近いため、センサユニットの感度を高めることができる。
[0096] さらに、感知用ゲートをトップゲート又はサイドゲートとして形成する場合には、チヤ ネルの表面に絶縁膜を介してゲートを形成してもよい。ここでいう絶縁膜としては、絶 縁性を有する任意の膜を任意に用いることができるが、通常は、絶縁性の素材で形 成された膜である。絶縁膜の素材は絶縁性を有していれば他に制限は無く任意であ る力 具体例としては、酸ィ匕シリコン、窒化シリコン、酸ィ匕アルミニウム、酸化チタン、 弗化カルシウムなどの無機材料、アクリル榭脂、エポキシ榭脂、ポリイミド、テフロン( 登録商標)などの高分子材料が挙げられる。
[0097] また、感知用ゲートには、使用時に、電圧を印加するようにしてもよいし、電圧を印 加せずフローティングの状態とするようにしても良!、。
さらに、感知用ゲートの数は任意であり、トランジスタに 1つのみの感知用ゲートを設 けても良く、 2つ以上の感知用ゲートを設けてもよい。
[0098] (4- 2.感知部)
本実施形態において感知部は、検出対象物質と選択的に相互作用をする特定物 質を固定され、基板とは離隔して形成された部材であり、検出対象物質と特定物質と の相互作用が生じた場合に、その相互作用を電気信号 (電荷の変化)として感知用 ゲートに送ることができるように構成されている。ここで、検出対象物質とは、第 1のセ ンサユニットを用いて検出しょうとする対象であり、特定物質とは、検出対象物質と何 らかの相互作用を選択的に生じる物質である。一つの感知部には、 1種の特定物質 を単独で固定しても良ぐ 2種以上の特定物質を任意の組み合わせ及び比率で固定 化してもよいが、通常は、一つの感知部に対しては 1種の特定物質を単独で固定ィ匕 する。なお、これらの検出対象物質、特定物質及び相互作用については、後で詳細 に説明する。
[0099] 感知部は、特定物質を固定ィ匕でき、そこで生じた相互作用を感知用ゲートが電気 信号として取り出すことができれば他に制限は無ぐ任意の材料で形成することがで きる。例えば、導体や半導体などで形成することができるが、検出感度を高めるため には、導体で形成することが好ましい。なお、感知部を形成する導体及び半導体の
具体例は、感知用ゲートの材料として例示したものと同様のものを用いることができる
。また、これらは 1種を単独で用いてもよぐ 2種以上を任意の組み合わせ及び比率 で併用しても良い。
[0100] また、感知部として、金属以外に薄い絶縁膜を使用してもよい。絶縁膜としては、酸 化シリコン、窒化シリコン、酸ィ匕アルミニウム、酸化チタン、弗化カルシウムなどの無機 材料、アクリル榭脂、エポキシ榭脂、ポリイミド、テフロン (登録商標)などの高分子材 料を用いることができる。これらは 1種を単独で用いてもよぐ 2種以上を任意の組み 合わせ及び比率で併用しても良い。ただし、感知用ゲートが相互作用を電気信号と して取り出すことができるよう、感知用ゲートとの距離を小さくしたり、絶縁膜の膜厚を 十分小さくしたりすることが望ましい。
[0101] さらに、感知部は、上記のように相互作用による電気信号を感知用ゲートに送るた め、少なくとも検出時 (使用時)には、感知用ゲートに対して電気的に導通をとりうるよ うに構成されている。どのようにして導通をとるかは任意である力 例えば、導線、コネ クタ等の導通部材を用いて電気的に接続して導通をとるようにしても良ぐ感知部と 感知用ゲートとを直接接続することにより導通をとるようにしてもよい。
[0102] また、感知部は感知用ゲートに対して、直接又は間接に、機械的に着脱可能に構 成することが望ましい。即ち、感知用ゲートを、直接又は導通部材等を用いて機械的 に感知用ゲートに装着 (接続)されたときには感知用ゲートに電気的に導通状態とな り、機械的に感知用ゲートから脱離されたときには感知用ゲートに電気的に非導通状 態となるように構成することが望ましい。これにより、感知部を取替えることで特定物質 を交換することが可能となる。つまり、センサユニット全体を交換しなくとも、検出対象 物質や検出の目的に応じて特定物質を交換することができるようになり、センサュ- ットの製造コスト、操作の手間などを大幅に改善することが可能となる。
[0103] さらに、感知部は 1個を単独で設けても良ぐ 2個以上を設けてもよい。また、感知部 を 2個以上設ける場合、各感知部に固定する特定物質は、同種であっても、異なって いても良い。このように感知部を 2個以上設けることにより、複数の相互反応を一つの センサユニットで検出できるようになり、これにより、一つのセンサユニットでさらに多 種の検出対象物質の検出を行なうことができるようになる。ただし、感知部同士は、各
感知部における相互作用を確実に感知するため、通常は電気的に非導通状態とす ることが望ましい。
[0104] また、感知部を 2個以上設ける場合、 1つの感知用ゲートに対して 2つ以上の感知 部を対応して設けることが好ましい。即ち、 1つの感知用ゲートが、 2つ以上の感知部 と導通可能に形成されることが好ましい。このように、 2つ以上の感知部で生じる相互 作用に起因する電気信号を 1つの感知用ゲートに送り、それをトランジスタの特性の 変化として検出するようにすれば、感知用ゲートの数を抑制することができ、ひいては 、トランジスタの小型化、及び集積ィ匕を行なうことが可能になる。
さらに、感知部の形状及び寸法に制限は無ぐその用途や目的に応じて任意に設 定することができる。
[0105] (5.電圧印加ゲート)
第 1のセンサユニットは、検出対象物質と特定物質との相互作用により生じるトラン ジスタの特性の変化を検出することにより、検出対象物質を検出する。このようなトラ ンジスタの特性の変化が生じるには、通常、チャネルに電流を流すことになる力 そ のためには、チャネルに対して電界を生じさせることになる。したがって、ゲートに電 圧を印加し、そのゲート電圧によりチャネルに対して電界を生じさせることになる。
[0106] ゲート電圧を印加する場合には、上述したように、感知用ゲートに電圧を印加し、そ の電圧をゲート電圧としてチャネルに電圧を印加するようにしても良い。また、相互作 用によって電圧が生じるような場合には、感知用ゲートをフローティングの状態にし、 相互作用により生じる電圧をゲート電圧として用いるようにしても良い。しかし、検出 の精度を高めるためには、感知用ゲートとは別に、相互作用をトランジスタの特定の 変化として検出するための電圧を印加される電圧印加ゲートを設け、この電圧印加ゲ ートによりチャネルに対して電界を生じさせることが望ましい。
[0107] 電圧印加ゲートは、基板の外部に形成しても好いが、通常は、基板に固定されたゲ ートとして設けられる。また、通常、チャネル、ソース電極及びドレイン電極力も絶縁さ れた導体を有して構成され、一般的には導体および絶縁体から構成される。
[0108] 電圧印加ゲートを構成する導体は任意であるが、具体例としては、感知用ゲートに 用いる導体と同様のものが挙げられる。また、この導体は 1種を単独で用いてもよぐ
2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良 ヽ。
さらに、上記導体の絶縁に用いる絶縁体も任意であり、その具体例としては、感知 用ゲートの材料として例示した絶縁体と同様のものが挙げられる。また、この絶縁体 についても、 1種を単独で用いても良ぐ 2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併 用しても良い。
なお、電圧印加ゲートの導体に代えて、又は導体と併用して、半導体を用いるよう にしても良い。その際の半導体の種類は任意であり、また、 1種を単独で用いてもよく 、 2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良 、。
[0109] また、電圧印加ゲートの寸法及び形状は任意である。
さらに、電圧印加ゲートを配置する位置は、チャネルに対してゲート電圧を印加す ることができる位置であれば他に制限は無ぐ例えば基板の上方に配設してトップゲ ートとしてもよぐ基板のチャネルと同じ側の面上に配設してサイドゲートとしてもよぐ 基板の裏面に配設してバックゲートとしてもよい。これにより、検出をより簡単に行なう ことができる。
また、電圧印加ゲートをトップゲート又はサイドゲートとして形成する場合には、チヤ ネルの表面に絶縁膜を介してゲートを形成してもよい。ここでいう絶縁膜としては、感 知用ゲートにおいて用いたのと同様のものを指す。
[0110] さらに、電圧印加ゲートをバックゲートとして設け、且つ、トランジスタ部を集積する 場合には、各トランジスタに、それぞれ電気的に分離されたバックゲートを設けること が好ましい。トランジスタ部を集積した場合、電気的に分離しないと、隣のトランジスタ 部の電圧印加ゲートによる電界の影響で検出感度が低下する虞があるためである。 また、この場合、公知技術として広く一般に実施されているような、基板に高ドープを してアイランドを作製する方法を採用したり、さらに、 SOI (Silicon on Insulator) で電気絶縁を行なったり、または、 STI (Shallow Trench Isolation)でデバイス 間を電気的に絶縁分離することが好ましい。
[0111] さらに、電圧印加ゲートに電圧を印加する場合、その電圧の印加方法に制限はなく 任意である。例えば、配線などを通じて電圧を印加しても良いが、検体液を含めた何 らかの液体を通じて電圧を印加するようにしても良 、。
[0112] 電圧印加ゲートには、相互作用をトランジスタの特定の変化として検出するための 電圧が印加される。相互作用が生じた場合、ソース電極とドレイン電極間に流れる電 流 (チャネル電流)の電流値、しきい値電圧、ドレイン電圧のゲート電圧に対する傾き 、また次に挙げるものは単一電子トランジスタ特有の特性である力 クーロン振動のし きい値、クーロン振動の周期、クーロンダイァモンドのしきい値、クーロンダイアモンド の周期などのトランジスタの特性値にその相互作用に起因する変動が生じる。通常、 印加される電圧の大きさは、この変動を最大とすることができる大きさに設定する。
[0113] (6.集積化)
上述したトランジスタは、集積ィ匕されていることが好ましい。即ち、単一の基板に、ソ ース電極、ドレイン電極、チャネル、検出用感知ゲート、及び、適宜電圧印加ゲート 力^以上設けられていることが好ましぐさらに、それらはできるだけ小型化されている ことがより好ましい。ただし、検出用感知ゲートの構成要素のうち、感知部は、通常は 基板とは別に形成されるため、基板上には少なくとも感知用ゲート (ゲート本体)が集 積されていればよい。また、適宜、各トランジスタの構成部材はそれぞれ他のトランジ スタの構成部材と共有されるように設けてもよぐ例えば、検出用感知ゲートの感知部 、及び、電圧印加ゲート等は、集積ィ匕されたトランジスタのうちの 2以上に共有される ようにしてもよい。さらに、集積ィ匕するトランジスタは 1種のもののみを集積ィ匕しても良 く、 2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用して集積ィ匕しても良!ヽ。
[0114] このようにトランジスタの集積ィ匕を行なうことにより、センサユニットの小型化及び低コ スト化、検出の迅速ィ匕及び検出感度の向上、並びに操作の簡便等の利点のうちの少 なくともいずれかを得ることができる。即ち、例えば、集積ィ匕により一度に多数の検出 用感知ゲートを設けることができるため、一つのセンサユニットで多数の検出対象物 質を検出することができる多機能なセンサユニットを、低コストで提供することができる 。また、例えばソース電極及びドレイン電極を多数並列接続するように集積ィ匕を行な えば、検出感度を高めることが可能になる。さらに、例えば、分析結果の検討のため 等に用いる比較用の電極などを別途用意する必要がなくなり、あるトランジスタを用い た結果を同一センサユニット上にある他のトランジスタの結果と比較して分析すること が可能となる。
[0115] トランジスタの集積ィ匕を行なう場合、トランジスタの配置やそれに固定化される特定 物質の種類などは任意である。例えば、ひとつの検出対象物質を検知するためにひ とつのトランジスタを用いてもょ 、し、複数のトランジスタのアレイを用いソース電極一 ドレイン電極間を並列に電気的に接続し、各々の検出用感知ゲートでは同じ検出対 象物質を検知することにより、ひとつの検出対象物質を検知するために複数のトラン ジスタを用いてもよい。
[0116] また、集積ィ匕の具体的な方法に制限はなぐ公知の方法を任意に用いることができ るが、通常は、集積回路を製造する際に一般的に用いられている製造方法を利用す ることができる。また、最近では MEMS (Micro Electro Mechanical System) と呼ばれる、金属 (導体)や半導体に機械的要素を作りこむ方法も開発されており、 その技術を利用することも可能である。
[0117] さらに、集積ィ匕を行なった場合の配線についても制限はなく任意であるが、通常は 、寄生容量や寄生抵抗の影響をできるだけ排除するように配置等を工夫することが 好ましい。具体的には、例えば、エアブリッジ技術やワイヤボンディング技術を用いて 各ソース電極間及び Z又はドレイン電極間を接続したり感知用ゲートと感知部とを接 続したりすることが好ましい。
[0118] [II.電気接続切替部]
第 1のセンサユニットにおいてトランジスタ部が集積されている場合や感知部が複 数設けられている場合、即ち、感知用ゲート及び感知部の一方又は両方が 2個以上 設けられている場合には、第 1のセンサユニットは、感知用ゲートと感知部との導通を 切り替える電気接続切替部を備えていることが好ましい。これにより、センサユニット の小型化や、検出データの信頼性向上、検出の効率ィ匕などを図ることができる。なお 、トランジスタを集積した場合には、同一のトランジスタ内の導通だけでなぐ他のトラ ンジスタとの間で上記の導通を切り替えるように構成しても良い。
[0119] 例えば、 1つの感知用ゲートに対して 2つ以上の感知部が対応して設けられている 場合には、電気的接続切替部は、 2以上の感知部のうちのどれと、感知用ゲートとを 導通させるかを選択的に切り替えることが可能に構成できる。これにより、 1つの感知 用ゲートで 2以上の感知部で生じる相互作用による電気信号を取り出すことができ、
感知用ゲートの数の抑制が可能となり、ひいてはトランジスタの数の抑制が可能とな るため、センサユニットの小型化を行なうことが可能となる。
[0120] また、例えば 2以上の感知用ゲートに対して 1つの感知部が設けられている場合に は、電気的接続切替部は、 2以上の感知用ゲートのうちのどれと、感知部とを導通さ せるかを選択的に切り替えることが可能に構成できる。これにより、一つの相互作用 を 2以上の感知用ゲートを用いて検出することが可能となり、各感知用ゲートを用い た検出データを利用することで、検出データの信頼性を高めることが可能となる。 さらに、感知用ゲート及び感知部がそれぞれ 2以上対応して設けられている場合に は、両者を組み合わせて、効率的な検出な検出を行なうことが可能となるほか、上記 の効果ち得ることができる。
[0121] 電気接続切替部は、感知用ゲートと感知部との導通を切り替えることができればそ の具体的構成は任意であるが、通常は、感知用ゲートと感知部とを導通させる導通 部材として構成することが好ましい。例えば、感知用ゲートと感知部とを接続する配線 を有するコネクタにおいて、その配線を適切に切り替えるスィッチを設けるようにすれ ば、そのコネクタを電気接続切替部として用いることができる。また、スィッチ自体を電 気接続切替部とみなしてもよ ヽ。
[0122] [III.反応場セルユニット]
本実施形態の反応場セルユニットは、検体を感知部に接触させる部材である。また 、検体とは、センサユニットを用いて検出する対象となるものであり、その検体に検出 対象物質が含有されている場合には、その検出対象物質と特定物質とが相互作用 するようになっている。
[0123] 反応場セルユニットは、検体を感知部に接触させて、その検体に検出対象物質が 含有されている場合に上記の相互作用を生じさせることができれば具体的な構成に 制限は無い。例えば、検体を感知部に接触するように保持する容器として構成するこ とができる。ただし、検体が流体である場合には、検体を流通させる流路を有する部 材として構成することが望ましい。検体を流通させて検出を行なうことにより、検出の 迅速化、操作の簡便等の利点を得ることができる。
[0124] また、反応場セルユニットには、上述した感知部を形成してもよい。即ち、基板上の
感知用ゲートと、反応場セルユニットの感知部とにより、検出用感知ゲートが構成され るようにしても良い。これにより、感知部の着脱を反応場セルユニットの着脱と共に行 なうことが可能となり、操作の簡便化を図ることができる。
さらに、反応場セルユニットに流路が形成されている場合には、感知部は、その流 路に面して特定物質を固定ィ匕することが好ましい。これにより、流路に検体を流通さ せた際、検体に検出対象物質が含まれていれば確実に上記の相互作用を生じさせ ることがでさる。
[0125] ここで、流路について説明する。
流路の形状、寸法、本数等に特に制限は無いが、その検出の目的に応じて、適切 な流路を形成することが望ましい。例えば、 2以上の相互作用を感知する場合には、 相互作用の感知に用 、る試薬や反応生成物が他の相互作用の感知を阻害すること を防止するため、各感知部を仕切る壁部を設けること等により、個々の感知部間にお いて検体が混合しないよう流路を設けることができる。また、例えば、別種の検出対象 物質を一度で分析する場合や、相互作用の感知に必要な試薬を個々の感知部に別 々に導入する場合などには、検体を予め別々の流路に分離させることも可能である。
[0126] 流路の具体的な形状は種々のものが考えられる力 その例としては、下記のものが 挙げられる。図 4 (a)〜図 4 (f)は、それぞれ流路を形成した反応場セルユニットの平 面図である。
例えば、図 4 (a)に示すように、複数の流路 7を並列に形成し、各流路 7毎に、感知 部 8、流路 7に流体を注入するための注入部 9、及び、流路 7から流体を排出するた めの排出部 10を設けるようにしてもよい。流路形状をこのように形成すれば、各注入 部 9より別々の検体が流路 7を介して各々の感知部 8に流れ込み、検体に検出対象 物質が含まれている場合はそこで相互作用が生じ、その後それぞれ別の排出口 10 より検体が排出される。したがって、それぞれ別々の検体を各注入部 9に注入して各 流路 7に検体を流通させた場合には流路 7毎にそれぞれ異なる検体の分析を行なう ことができ、また、同じ検体を各注入部 9に注入して各流路 7に検体を流通させた場 合でも、感知部 8にそれぞれ異なる特定物質を固定していれば、感知部 8毎に異なる 相互作用を検出することができる。
[0127] また、例えば図 4 (b)に示すように、並列に設けた流路 7に対し、各流路 7毎に感知 部 8を設け、また、各流路 7に共通の注入部 9及び排出部 10を設けてもよい。流路形 状をこのように形成すれば、 1つの注入部 9から注入された検体が流路 7を介して分 れて各感知部 8に流れ込み、検体に検出対象物質が含まれている場合はそこで相 互作用が生じ、その後 1つの排出口 10より検体が排出される。したがって、単一の検 体について、感知部 8毎に異なる相互作用を感知することができる。
[0128] さらに、例えば図 4 (c)に示すように、並列に設けた流路 7に対し、各流路 7毎に感 知部 8及び注入部 9を設け、また、各流路 7に共通の排出部 10を設けてもよい。流路 形状をこのように形成すれば、各注入部 9より別々の検体が流路 7を介して各々の感 知部 8に流れ込み、検体に検出対象物質が含まれている場合はそこで相互作用が 生じ、その後 1つの排出口より検体が排出される。したがって、それぞれ別々の検体 を各注入部 9に注入して各流路 7に検体を流通させた場合には流路 7毎にそれぞれ 異なる検体の分析を行なうことができ、また、同じ検体を各注入部 9に注入して各流 路 7に検体を流通させた場合でも、感知部 8にそれぞれ異なる特定物質を固定して いれば、感知部 8毎に異なる相互作用を検出することができる。
[0129] また、例えば図 4 (d)に示すように、幅広に形成した流路 7に複数の感知部 8を設け 、各感知部 8間で検出を阻害する混合が生じないよう、感知部 8間に仕切壁 11を設 けてもよい。流路形状をこのように形成すれば、 1つの注入部 9から注入された検体 が流路 7に既設された仕切壁 11により分れ、各々の感知部 8に流れ込み、検体に検 出対象物質が含まれている場合はそこで相互作用が生じ、その後 1つの排出口 10よ り検体が排出される。したがって、単一の検体について、感知部 8毎に異なる相互作 用を感知することができ、また、感知部 8間での混合を抑制し、正確な分析を行なうこ とが可能となる。
[0130] さらに、例えば図 4 (e)に示すように、図 4 (c)のような形状の流路 7に対し、各流路 7 毎に 2以上の注入部 9を設けてもよい。流路形状をこのように形成すれば、対応する 注入部 9のうちの一方の注入部 9に注入された検体は、流路 7の注入部 9と感知部 8 との間の部分を流通する間に、他方の注入部 9から注入された流体 (通常は、検出に 用いる試薬)と混合され、混合された検体が感知部 8に流れ込み、検体に検出対象
物質が含まれている場合はそこで相互作用が生じ、その後 1つの排出口 10より検体 が排出される。したがって、図 4 (c)に示した流路で得られる利点の他、流路 7中での 流れを利用して試薬等との混合を行なうことができるため、検体の分析を更に効率よ く簡単に行なうことができる。
[0131] また、ここでは流路 7を並列に形成する例を示した力 流路 7は直列に形成しても良 ぐ例えば、図 4 (f)に示すように、流路 7の流れに沿って感知部 8を設けてもよい。
[0132] また、これらの流路を形成する部材 (フレームなど)の材質は任意であり、榭脂等の 有機材料、セラミックス、ガラス、金属等の無機材料など、その種類は特に限定されな い。ただし、各感知部 8間は、通常は絶縁されていることが好ましい。さらに、検出対 象物質と特定物質との相互作用を、上記トランジスタを用いて感知すると共に、蛍光 、発光、発色又は燐光等を利用して光学的に測定する場合には、反応場セルュニッ トの光学観測部 (光学的な観測を行なう部分)を、観測する波長の光が透過できる部 材により形成することが好ましい。例えば、可視光を観測する場合には、透明な材料 により形成することが好ましい。透明な材料の具体例としては、アクリル榭脂、ポリカー ボネート、ポリスチレン、ポリジメチルシロキサン、ポリオレフイン等の榭脂や、 Pyrex ( 登録商標。ホウケィ酸ガラス)、石英ガラス等のガラスが挙げられる。但し、反応場セ ルユニットを分解して測定することが可能な場合には、透明度は必要とされない。
[0133] 流路の製作方法は任意であるが、例えば、凹部及びスリット状溝の形成方法として は、機械加工、射出成型や圧縮成型に代表される転写技術、ドライエッチング (RIE , IE, IBE,プラズマエッチング,レーザーエッチング,レーザーアブレーシヨン,ブラ スト加工,放電加工, LIGA,電子ビームエッチング, FAB)、ウエットエッチング (ィ匕 学浸食)、光造形やセラミックス敷詰等の一体成型、各種物質を層状にコート,蒸着, スパッタリング,堆積して部分的に除去することにより微細構造物を形成する Surface Micro -machining,インクジェットやディスペンサーにより流路構成材料を滴下し て形成する方法 (即ち、凹部及び流れ方向中間部を一体に凹部として形成し、その 後、上記中間部に流れ方向に沿って流路構成材料を滴下し、仕切壁を形成する方 法)、光造形法、スクリーン印刷、インクジェットなどの印刷、又はコーティングなどを 適宜選択して用いればょ ヽ。
[0134] [IV.検出対象物質、特定物質及び相互作用]
(1.検出対象物質及び特定物質)
検出対象物質とは、本実施形態のセンサユニットが検出する対象となる物質である 。検出対象物質については特に制限は無ぐ任意の物質を検出対象物質とすること ができる。また、検出対象物質として、純物質以外のものを用いることも可能である。 また、検出対照物質の検出に必要な特定物質は、検出対象物と選択的に相互作 用できるものであれば特に制限は無ぐ任意の物質を用いることができる。
[0135] 検出対象物質及び特定物質それぞれの具体例としては、タンパク質 (酵素、抗原 Z抗体、レクチン等)、ペプチド、脂質、ホルモン (ァミン'アミノ酸誘導体 ·ペプチド'タ ンパク質等力もなる含窒素ホルモン、及び、ステロイドホルモン)、核酸、糖、オリゴ糖
、多糖等の糖鎖、色素、低分子化合物、有機物質、無機物質、 pH、イオン (Na+, K + , Cl_等)若しくはこれらの融合体、または、ウィルス若しくは細胞を構成する分子、 血球などが挙げられる。
また、これらの検出対象物質は、血液 (全血、血漿、血清)、リンパ液、唾液、尿、大 便、汗、粘液、涙、随液、鼻汁、頸部又は膣の分泌液、精液、胸膜液、羊水、腹水、 中耳液、関節液、胃吸引液、組織 ·細胞等の抽出液や破砕液等の生体液を含むほと んど全ての液体試料中に含まれる成分として検出される。
[0136] タンパク質としては、タンパク質の全長であっても結合活性部位を含む部分べプチ ドでもよい。またアミノ酸配列、及びその機能が既知のタンパク質でも、未知のタンパ ク質でもよい。これらは、合成されたペプチド鎖、生体より精製されたタンパク質、ある いは cDNAライブラリ一等カゝら適当な翻訳系を用いて翻訳し、精製したタンパク質等 でも標的分子として用いることができる。合成されたペプチド鎖は、これに糖鎖が結合 した糖タンパク質であってもよい。これらのうち好ましくは、アミノ酸配列が既知の精製 されたタンパク質力、あるいは cDNAライブラリ一等力も適当な方法を用いて翻訳、 精製されたタンパク質を用いることができる。
[0137] さらに、脂質としては、特に制限はない。例えば脂質及びタンパク質と脂質との複合 体、糖と脂質との複合体等が挙げられ、具体例を挙げると、総コレステロール、 LDL ーコレステロ一ノレ、 HDL—コレステロ一ノレ、リポタンパク、ァポリポタンパク、トリグリセ
ライド等が挙げられる。
また、核酸としては、特に制限はなぐ DNAあるいは RNAも用いることができる。ま た、塩基配列あるいは機能が既知の核酸でも、未知の核酸でもよい。好ましくは、タ ンパク質に結合能力を有する核酸としての機能、及び塩基配列が既知のものか、あ るいはゲノムライブラリ一等力 制限酵素等を用いて切断単離してきたものを用いるこ とがでさる。
[0138] さらに、糖鎖としては、その糖配列あるいは機能力 既知の糖鎖でも未知の糖鎖で もよい。好ましくは、既に分離解析され、糖配列あるいは機能が既知の糖鎖が用いら れる。
また、低分子化合物としては、相互作用する能力を有する限り、特に制限はない。 機能が未知のものでも、あるいはタンパク質と結合もしくは反応する能力が既に知ら れて 、るものでも用いることができる。
[0139] (2.相互作用)
上記の通り、感知部上には数多くの特定物質を固定化でき、特定物質が固定化さ れた感知部を用いれば、本実施形態のセンサユニットを、その特定物質と相互作用 する物質 (検出対象物質)を検出するノィォセンサーなどに好適に使用できる。この 際、検出対象物質と特定物質との間で生じる相互作用に制限は無いが、例えば、検 出対象物質と特定物質との反応のほか、 pH、イオン、温度、圧力、誘電率、抵抗値、 粘度等の外環境の変化などが挙げられる。これらは、例えば感知部に固定化される 機能性物質等の特定物質が関与する応答や機能性物質が固定化されないゲートそ のものの応答などとして感知可能であり、これらを用いることにより、例えば血液凝固 能測定ゃ血算測定などを行なうことができる。
[0140] また、検出されるシグナル (相互作用により生じるトランジスタ部の特性の変化)の増 幅や特定を目的として、特定物質と相互作用した物質と更に相互作用する物質 (標 識物質)で、検出対象物質を標識することも可能である。なお、標識物質としては、例 えば、酵素(例えば H O
2 2等の電気的活性種を生成及び Z又は消費できる酵素)、電 気化学的反応や発光反応等を有する物質やこれらの物質を生成及び Z又は消費で きる酵素、荷電を有する高分子や粒子などが挙げられる。また、標識物質は 1種を単
独で用いても 2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良 、。これらの標 識を行なう方法は、ィムノアツセィゃインターカレーター等を利用した DNA解析の領 域では標識ィヒ測定法として広く用いられている方法である (参考文献:今井一洋 生 物発光と化学発光 昭和 64年 廣川書店、 P. TUSSENェンザィムィムノアッセィ 生ィ匕学実験法 11 東京ィ匕学同人、 Takenaka, Anal. Biochem. , 218, 436 (1 994)等多数)。
[0141] 前記のように、特定物質と検出対象物質との「相互作用」とは特に限定されるもので はないが、通常は、共有結合、疎水結合、水素結合、ファンデルワールス結合、及び 静電力による結合のうち少なくとも 1つ力も生じる分子間に働く力による作用を示す。 ただし、本明細書に言う「相互作用」との用語は最も広義に解釈すべきであり、いかな る意味においても限定的に解釈してはならない。共有結合としては、配位結合、双極 子結合を含有する。また静電力による結合とは、静電結合の他、電気的反発も含有 する。また、上記作用の結果生じる結合反応、合成反応、分解反応も相互作用に含 有される。
[0142] 相互作用の具体例としては、抗原と抗体との間の結合及び解離、タンパク質レセプ タとリガンドとの間の結合及び解離、接着分子と相手方分子との間の結合及び解離、 酵素と基質との間の結合及び解離、アポ酵素と補酵素との間の結合及び解離、核酸 とそれに結合するタンパク質との間の結合及び解離、核酸と核酸との間の結合及び 解離、情報伝達系におけるタンパク質同士の間の結合と解離、糖タンパク質とタンパ ク質との間の結合及び解離、あるいは糖鎖とタンパク質との間の結合及び解離、細胞 及び生体組織と蛋白質との間の結合及び解離、細胞及び生体組織と低分子化合物 との間の結合及び解離、イオンとイオン感応性物質との間の相互作用等が挙げられ る力 この範囲に限られるものではない。例えば、ィムノグロブリンやその派生物であ る F (al ) , Fab' 、 Fab、レセプタゃ酵素とその派生物、核酸、天然あるいは人工
2
のペプチド、人工ポリマー、糖質、脂質、無機物質あるいは有機配位子、ウィルス、細 胞、薬物等が挙げられる。
[0143] また、検出用感知ゲートに固定化される特定物質と他の物質との「相互作用」として 、物質以外にも pHやイオン、温度、圧力、誘電率、抵抗値、粘度等の外環境の変化
に対するゲートに固定化される機能性物質の関与する応答及び機能性物質が固定 化されないゲートそのものの応答が挙げられ、これらの具体例として、前記の通り、血 液凝固能測定、血算測定などが挙げられる。
[0144] (3.感知部への特定物質の固定化方法)
感知部への特定物質の固定ィ匕方法としては、感知部に特定物質を固定することが できる方法であれば特に制限は無ぐ任意である。例えば、感知部に直接物理吸着 で結合させることも可能である力 予め感知部上にアンカー部を有するフレキシブル スぺーサーを介して結合させても良 、。
[0145] 感知部に金等の金属を用いた場合、フレキシブルスぺーサ一は構造式 (CH ) (n
2 n は 1から 30までの自然数を表す力 2から 30までが望ましぐ 2から 15までがさらに望 ましい)のアルキレンを含有することが望ましい。スぺーサ一分子の一端は、金等の 金属への吸着として適しているアンカー部としてチオール基やジスルフイド基を使用 し、スぺーサ一分子の検出用感知ゲートから離れた方を向いている他端には固定ィ匕 した 、特定物質を結合しうる結合部を 1個または複数個含有する。このような結合部 は、例えばアミノ基ゃカルボキシル基、ヒドロキシル基、スクシミド基等種々の反応性 官能基やピオチン及びピオチン誘導体、ジゴキシン、ジゴキシゲニン、フルォレセィ ン、および誘導体、テオフィリン等のハプテンゃキレートを用いても良い。
[0146] また感知部に直接またはこれらスぺーサーを介して導電性高分子、親水性高分子 、 LB膜等やマトリックスを結合させ、その導電性高分子、親水性高分子、 LB膜等や マトリックスに固定ィ匕したい特定物質を 1または複数種結合または包括 Z担持させて も良い。さらに、予め導電性高分子、親水性高分子やマトリックスに固定ィ匕したい物 質を 1または複数個結合または包括 Z担持させた後に感知部に結合させても良い。
[0147] この際、導電性高分子としてはポリピロール、ポリチォフェン、ポリア-リン等が使用 され、親水性高分子としてはデキストラン、ポリエチレンォキシド等電荷を有さない高 分子でも良いし、ポリアクリル酸、カルボキシメチルデキストラン等電荷を有する高分 子でも良い。特に、電荷を有する高分子の場合、固定化したい物質と反対の荷電を 有する高分子を使用することにより、電荷濃縮効果を利用して特定物質を結合また は担持させることができる(特許第 2814639号参照)。
[0148] 特に、特定のイオンを検出する場合は、感知部上に特定のイオンに対応するイオン 感応膜を形成させることができる。さらに、イオン感応膜の代わりに、あるいはイオン 感応膜と共に酵素固定膜を形成させることにより、検出対象物質に対して酵素が触 媒として作用した結果生じる生成物の生成を相互作用として感知し、それにより検出 対象物質を検出することもできる。
[0149] 更に、酵素活性を測定する場合は、抗酵素抗体の固定化された膜表面で酵素を捕 捉した後、次いで酵素に対応する基質を含む酵素反応液を混合して、生成された酵 素反応産物を上記と同じ方法で検出し、それにより酵素活性を測定することもできる( 特開 2001— 299386号公報参照)。
[0150] また、固定ィ匕したい特定物質を固定ィ匕した後、牛血清アルブミン、ポリエチレンォキ シドまたは他の不活性分子により表面を処理したり、特定物質の固定ィ匕層の上に付 着層で被覆することにより非特異的反応を抑制したり、透過することのできる物質を 選択したり、制御したりすることもできる。
[0151] さらに、感知部として薄い絶縁膜を使用した際に、 H+、 Na+等のイオンを測定する 場合は、必要であれば、絶縁膜上にそれぞれ測定対象となるイオンに対応するィォ ン感応膜を形成させることもできる。さらにイオン感応膜の代わりに、あるいはイオン 感応膜とともに酵素固定膜を形成させることにより検出対象物質に対して酵素が触媒 として作用した結果生じる生成物を測定することにより検出対象物質を検出すること もできる(参考文献 鈴木周一:バイオセンサー 1984 講談社,軽部ら:センサーの 開発と実用化、第 30卷、第 1号、別冊化学工業 1986)。
[0152] (4.具体的検出例)
以下、本実施形態のセンサユニットを用いた検出対象物質の検出方法の具体例を 例示する。
例えば、本実施形態のセンサユニットを用いれば、タンパク質等の抗原を検出対象 物質として検出することができる。この場合、例えば、当該抗原に対する抗体が固定 ィ匕された感知部で抗原抗体反応を行なわせ、電気的シグナルの変化を測定すること ができる。また、当該抗原に対する抗体が固定化された感知部表面で抗原抗体反応 を行なわせた後、酵素等による適切な標識を付された当該抗原特異性抗体 (第 2標
識抗体)を導入し、最後にこの標識物に対する基質を導入して、この時生成及び Z 又は消費される H O等の電気的活性種を検出対象物質として検出することにより、
2 2
当該抗原の濃度を測定する。この時、各反応工程で反応に関与しない共雑物や余 剰成分を洗浄することにより取り除いても良い。さらに、酵素反応と電極間の電子移 動を仲介するために電子伝達物質 (メディエータ)を介在してもよぐ分析法に関して も抗原抗体反応を利用した免疫学的分析法において広く知られているサンドイッチ 法や競合法、阻害法等に基づくものであって良い。
[0153] また、上記の例は、抗原 Z抗体間の相互作用の他にも種々の生体分子間相互作 用に適用される。そのような相互作用としては、例えば、抗体 Z抗抗体、ピオチン Z アビジン、ィムノグロブリン GZプロテイン A、酵素 Z酵素受容体、ホルモン Zホルモ ン受容体、 DNA (又は RNA)Z相補ポリヌクレオチド配列、薬物 Z薬物受容体等、 多数の相補リガンド Zリガンド受容体間において存在する。したがって、上記複合体 の一方を測定対象物質とし、他方を感知部に固定化された特定物質として分析を行 なうことができる。さら〖こ、 DNA (又は RNA)Z相補ポリヌクレオチド配列間の場合は 、必要に応じてインターカレータを利用することもできる。
[0154] また、例えば、本実施形態のセンサユニットを用いれば、血液電解質を検出対象物 質として検出することができる。この場合、通常は、液膜型イオン選択性電極法を採 用する。
さらに、例えば、本実施形態のセンサユニットを用いれば、 pHの測定を行なうことが できる。この pHの測定では、水素イオンを検出対象物質として検出し、それにより pH を測定する。また、通常は、水素イオン選択性電極法を採用する。
[0155] また、例えば、本実施形態のセンサユニットを用いれば、血液ガス等の溶存ガスを 検出対象物質として検出することもできる。また、この測定には電極法を用いることが できる。さら〖こ、例えば、血液ガスとして POを検出する場合は Clark電極を用い、血
2
液ガスとして PCOを検出する場合は Severinghaus電極を用いるなど、使用する電
2
極には公知のものを広く採用することができる。なお、血液ガスとして POを検出する
2 場合には、通常、絶縁層にジルコユアを用いる。
[0156] さらに、例えば、本実施形態のセンサユニットを用いれば、酵素反応等の化学反応
を利用した生化学項目の測定として基質 (例えば、血糖)につ 、て測定を行なうことも できる。例えば基質としてグルコースを用い、グルコース濃度を測定する場合には、 通常は GOD酵素電極法を採用することができる。即ち、 GODが固定ィ匕された感知 部表面で「グルコース + 0 +H 0→H O +ダルコン酸」という反応を行わせ、生成
2 2 2 2
された電気的活性種である H O等を検出対象物質として検出し、グルコース濃度を
2 2
測定する。このような、電気的活性種を生成或いは消費する酵素 Z基質の関係とし てゥレアーゼ Z尿素窒素(BUN)、ゥリカーゼ Z尿酸、コレステロールォキシターゼ Z コレステロール、ピリルビンォキシダーゼ Zピリルビン等種々の関係が良く知られてい る (参考文献:日本臨床 第 53卷, 1995年増刊号 広範囲 血液 ·尿化学検査、免 疫学検査)。
[0157] また、例えば、本実施形態のセンサユニットを用いれば、生化学項目の測定として 酵素について測定を行なうこともできる。例えば、酵素の一種である ALT{ァラニンァ ミノトランスフェラーゼ。 GPT (グルタミン酸ピルビン酸トランスアミターゼ)ともいう }の 濃度などを測定する場合には、特開 2001— 299386号公報記載の方法を用い、特 定物質として抗 ALT抗体及びピルビン酸ォキシダーゼが固定ィ匕された感知部で酵 素を捕捉後、
a -ケトグルタル酸 +ァラニン→グルタミン酸 +ピルビン酸(酵素: ALT) ピルビン酸 + H PO +0→ァセチルリン酸 +酢酸 + CO +H O (酵素:ピルビン
3 4 2 2 2 2
酸ォキシダーゼ)
という反応を行わせ、生成された電気的活性種である H O等を検出対象物質とし
2 2
て検出し、 ALTの濃度を測定することができる。また、 ALTを検出対象物質として直 接、免疫学的に検出することにより、 ALTの濃度を測定するようにしても良い。さらに 、抗 ALT抗体を使用せず、予め上記の酵素反応を溶液中で行ない、この時生成さ れる酵素反応産物を検出対象物質として検出するようにしても良い。
[0158] また、本実施形態のセンサユニットにおいてカーボンナノチューブをチャネルに用 いれば、非常に高感度な検出を実現することができ、このため、高感度の検出感度を 必要とする免疫項目等とその他の電解質等を同一原理で一度に測定することにより 、機能別、疾患別に一度に診断を行なうことができ、 POCTの実現が可能となる。
[0159] [V.分析装置の例]
以下に、第 1のセンサユニット、及び、それを用いた分析装置の一例の構成を示す 力 本発明は以下の例に限定されるものではなぐ例えば各構成要素の説明におい て上述したように、本発明の要旨を逸脱しな 、範囲にぉ 、て任意に変形して実施す ることがでさる。
[0160] 図 5は、第 1のセンサユニットを用いた分析装置 100の要部構成を模式的に示す図 であり、図 6は、第 1のセンサユニットの要部構成を模式的に示す分解斜視図である。 また、図 7 (a) ,図 7 (b)は、検出デバイス部 109の要部構成を模式的に示す図であり 、図 7 (a)はその斜視図、図 7 (b)は側面図である。さらに、図 8は、コネクタソケット 10 5、分離型集積電極 106及び反応場セル 107魏積検出デバイス 104に取り付けた 状態について、その電極部 116周辺を模式的に示す断面図である。なお、この図 8 においては、説明のため、コネクタソケット 105はその内部の配線 121のみを示す。ま た、図 5〜図 8において、同様の符号で示す部分は、同様のものを表わす。
[0161] 図 5に示すように、この分析装置 100は、センサユニット 101と、測定回路 102とを 有して構成され、ポンプ(図示省略)によって検体を矢印のように流すことができるよう に構成されている。ここで、測定回路 102は、センサユニット 101内のトランジスタ部( 図 8のトランジスタ部 103参照)の特性変化を検出するための回路(トランジスタ特性 検出部)であり、具体例としては、任意の抵抗、コンデンサ、電流計、電圧計、通常利 用することができる集積回路素子 (所謂 IC、オペレーショナルアンプ等)、コイル (イン ダクタ)、フォトダイオード、 LED (発光ダイオード)などを含めた公知の電子回路部品 を用いた回路などから目的に応じて構成される。
[0162] センサユニット 101は、図 6に示すように、集積検出デバイス 104と、コネクタソケット 105と、分離型集積電極 106と、反応場セル 107とを備えている。このうち、集積検出 デバイス 104は分析装置 100に固定されている。一方、コネクタソケット 105、分離型 集積電極 106及び反応場セル 107は、集積検出デバイス 104から機械的に着脱可 能となっている。
[0163] 集積検出デバイス 104は、図 6に示すように、基板 108上に、それぞれ同様に構成 された複数 (ここでは 4個)の検出デバイス部 109が集積化された構成となっている。
基板 108上に集積ィ匕された検出デバイス部 109は、図 7 (a) ,図 7 (b)に示すように 、絶縁性の素材で形成された基板 108上に、絶縁性で且つ低誘電率の材料で形成 された低誘電層 110を有し、その上に、導体 (例えば、金)で形成されたソース電極 1 11及びドレイン電極 112を有して!/、る。ソース電極 111及びドレイン電極 112には、 それぞれ測定回路 102に通じる配線(図示省略)が接続されていて、この配線を通じ 、後述するチャネル 113を流れる電流が測定回路 102で検出されるようになって 、る 。さらに、ソース電極 111及びドレイン電極 112の間にはカーボンナノチューブで形 成されたチャネル 113が装架されている。
[0164] また、低誘電層 110の表面には、チャネル 113中間部から図 7 (a)の奥側縁部にか けて、低誘電率の絶縁材である酸ィ匕シリコンの膜 (絶縁膜) 114が形成されていて、 チャネル 113は、この絶縁膜 114を横方向に貫通していている。言い換えれば、チヤ ネル 113の中間部は絶縁膜 114によって被覆されている。また、チャネル 113は中 間部が下にたわんだ状態で装架されていて、これにより、温度が変化しても熱膨張に よってチャネル 113が破損することがな!、ようになって!/、る。
[0165] さらに、絶縁膜 114の上側表面には、導体 (例えば、金)で形成された感知用ゲート
(ゲート本体) 115がトップゲートとして形成されている。即ち、感知用ゲート 115は絶 縁膜 114を介して低誘電層 110上に形成されて ヽること〖こなる。この感知用ゲート 11 5は、コネクタソケット 105を介して分離型集積電極 106及び反応場セル 107を集積 検出デバイス 104に装着することにより、分離型集積電極 106の対応する電極部 11 6と共に検出用感知ゲート 117 (図 8参照)を構成するようになって!/、る。
[0166] また、基板 108の裏面(即ち、チャネル 113と反対側の面)には、ノ ックゲートとして 、導体 (例えば、金)で形成された電圧印加ゲート 118が設けられている。この電圧印 加ゲート 118には、分析装置 100に設けられた電源(図示省略)を通じて電圧が印加 されるようになつている。また、この電圧印加ゲート 118に印加される電圧の大きさは 、測定回路 102により測定されるようになっている。なお、ノ ックゲートには電圧印加 ゲート以外の機能をもたせることも可能である。
[0167] 低誘電層 110の表面には、ソース電極 111、ドレイン電極 112及び絶縁膜 114に 被覆されていない面の全体に亘つて、絶縁体層 120が形成されている。この絶縁体
層 120は、チャネル 113の絶縁膜 114に被覆されていない部分全体と、ソース電極 1 11、ドレイン電極 112、絶縁膜 114、及び、感知用ゲート 115のそれぞれの側面と、 ソース電極 111及びドレイン電極 112の上側の面とを覆うように形成されて!ヽるが、感 知用ゲート 115の上側の面は被覆していない。そして、この絶縁体層 120に被覆され ていない感知用ゲート 115の上面が、ソケットコネクタ 105によって、分離型集積電極 106の電極部 116に接続されるようになっている。なお、図 7 (a) ,図 7 (b)中、絶縁体 層 120は二点鎖線で示す。
[0168] コネクタソケット 105は、集積検出デバイス 104と分離型集積電極 106との間で、集 積検出デバイス 104と分離型集積電極 106とを接続するコネクタである。コネクタソケ ット 105の図中下部(下面)には、集積検出デバイス 104の上面の形状に合わせて形 成された、コネクタソケット 105を集積検出デバイス 104に装着するための装着部 10 5Aが設けられている。また、コネクタソケット 105の図中上部(上面)には、分離型集 電電極 106の下面の形状に合わせて形成された、分離型集電電極 106をコネクタソ ケット 105に装着するための装着部 105Bが設けられている。これにより、コネクタソケ ット 105を介して分離型集電電極 106は集積検出デバイス 104に装着されるようにな つている。なお、コネクタソケット 105自体は、前記のように集積検出デバイス 104に 対して着脱可能となって 、る。
[0169] コネクタソケット 105内には導体力もなる配線(図 8の配線 121を参照)が設けられて いて、センサユニット 101の組み立て時には、集積検出デバイス 104の検出デバイス 部 109の感知用ゲート 115と、分離型集積電極 106の電極部 116とが電気的に導通 をとることができるようになつている。具体的には、集積検出デバイス 104の図中左か ら 1番目、 2番目、 3番目及び 4番目の検出デバイス部 109それぞれと、分離型集積 電極 106の図中左力も 1列目、 2列目、 3列目及び 4列目の各 3個づつの電極部 116 とが対応していて、コネクタソケット 105内の配線により、対応する検出デバイス部 10 9の感知用ゲート 115と電極部 116とが電気的に導通をとられるようになつている。し たがって、コネクタソケット 105は、導通部材として機能するようになっている。
[0170] さらに、コネクタソケット 105は、内部に配線を切り替えるスィッチ(図示省略)を有し ていて、そのスィッチを切り替えることにより、検出デバイス部 109の感知用ゲート 11
5を、対応する電極部 116のうちのどれと電気的に導通させるかを選択できるようにな つている。したがって、コネクタソケット 105は、電気接続切替部として機能するように なっている。
[0171] また、分離型集積電極 106は、絶縁体で形成された基板 122に、複数の電極部( 感知部) 116がアレイ状に並んで設けられたものである。本例のセンサユニット 101に おいては、電極部 116は図中左から 3個づっ 4列に、合計 12個形成されているとす る。
[0172] 図 8に示すように、基板 122の表面には導体により電極部 (感知部) 116が形成され ている。この電極部 116は、例えば積層プリント基板技術等を利用することにより形成 することができる。
また、電極部 116の表面には特定物質 123が固定ィ匕されている。なお、図 8におい ては説明のために特定物質 123を視覚可能な大きさに描いたが、通常は、特定物質 123は極小さ 、ものであり、その具体的形状は視覚できな 、ことが多!、。
[0173] さらに、基板 122の電極部 116の裏側にはスルーホールが形成され、このスルーホ ールが導電性ペイスト物質により埋められることで配線 124が形成されている。したが つて、分離型集積電極 106をコネクタソケット 105を介して集積検出デバイス 104に 装着したときには、この配線 124とコネクタソケット 105の配線 121とを通じて、電極部 116はそれぞれ対応する検出デバイス部 109の感知用ゲート 115と電気的に導通が 取れるようになつている。また、感知用ゲート (ゲート本体) 115及び電極部 (感知部) 116とにより検出用感知ゲート 117が構成されている。
[0174] なお、分離型集積電極 106の裏面は、コネクタソケット 105上部の装着部 105Bに 簡単に装着できるようパッケージを作製することが好ましい。具体的には、例えば、配 線 124をパターン化し、バンプ等を形成して、 TAB (Tape Automated Bonding )ゃフリップチップボンディングなど利用して基板 122にボンディングを行な 、、下部 のコネクタソケット 105に接続できるようにパッケージを作製することが好ましい。また 、分離型集積電極 106はコネクタソケット 105に着脱可能になっている力 装着時の 固定手段は任意であり、例えば、一般的な ICパッケージのようなコネクタなどを用い ることができる。ただし、後述する流路 119を流れる検体が分離型集積電極 106とコ
ネクタソケット 105との間に浸入しないよう、検体を流路 119内に留める措置を講じて おくべきである。
[0175] また、反応場セル 107は、基体 125に、電極部 116にあわせて流路 119が形成さ れたものである。具体的には、流路 119を流れる検体が各電極部 116に接触すること ができるように、流路 119が形成されている。なお、ここでは図中左側から右側にかけ て、検出デバイス部 109それぞれに対応した各 3個づつの電極部 116のうち、それぞ れ 1個づっを通過するように流路 119が設けられて 、る。
[0176] 反応場セル 107は、分離型集積電極 106と一体に形成され、反応場セルユニット 1 26を構成する。したがって、分析装置 100の使用時には反応場セルユニット 126をコ ネクタソケット 105を介して集積検出デバイス 104に装着することになる。なお、この 反応場セルユニット 126は通常は使い切り(使い捨て)とする。また、反応場セル 107 と分離型集積電極 106とは、別体として形成しても良い。
[0177] 本例の分析装置 100及びセンサユニット 101は以上のように構成されている。した がって、使用時には、まず、コネクタソケット 105、及び反応場セルユニット 126 (即ち 、分離型集積電極 106及び反応場セル 107)を、集積検出デバイス 104に装着して 、センサユニット 101を準備する。その後、電圧印加ゲート 116に、トランジスタ部 103 (即ち、基板 108、低誘電層 110、ソース電極 111、ドレイン電極 112、チャネル 113 、絶縁膜 114、検出用感知ゲート 117及び電圧印加ゲート 118)の伝達特性を最大 とすることができる大きさの電圧を印加し、チャネル 113に電流を流通させる。その状 態で、測定回路 102でトランジスタ部 103の特性を測定しながら、流路 119に検体を 流通させる。
[0178] 検体は流路 119を流通し、電極部 116に接触する。この際、検体中に、電極部 116 に固定ィ匕した特定物質と相互作用する検出対象物質が含まれていれば、相互作用 が生じる。この相互作用は、トランジスタ部 103の特性の変化として感知される。即ち 、前記の相互作用により電極部 116に表面電荷の変化が生じ、これは、電気信号と なって電極部 116から配線 124, 121を通じて感知用ゲート 115に伝わる。感知用ゲ ート 115では、この電気信号によりゲート電圧に変化が生じるなどするため、トランジ スタ部 103の特性が変化する。
[0179] したがって、前記のトランジスタ部 103の特性の変化を測定回路 102で測定するこ とにより、検出対象物質を検出することができる。特に、本例では、チャネル 113とし てカーボンナノチューブを用いているため、非常に感度の高い検出を行なうことが可 能であり、したがって、従来は検出が困難であった検出対象物質の検出も行なうこと ができる。したがって、本例の分析装置は、従来よりも広範囲の検出対象物質の分析 に用いることが可能である。
[0180] また、本例では、感知用ゲート 115としてトップゲートを用いているので、感知用ゲ ート 115とチャネル 113の間の距離が非常に小さぐ極めて高感度な検出を行なうこ とがでさる。
さらに、チャネル 113と感知用ゲート 115との間に、低誘電率の絶縁膜 114が形成 されているので、これにより、感知用ゲート 115における相互作用による表面電荷の 変化を、より効率的にチャネル 113に伝達することができ、検出感度をより向上させる ことができる。
[0181] また、チャネル 113が絶縁体層 120で被覆されているので、チャネル 113内の荷電 粒子がチャネル 113外部に漏れること、及び、ソース電極 111やドレイン電極 112以 外力もチャネル 113外部の電荷粒子がチャネル 113に侵入することを防止することが できる。これにより、特定物質と検出対象物質との相互作用を安定して検出すること が可能となる。
[0182] さらに、トランジスタ部 103の集積ィ匕を行なったため、センサユニット 101の小型化、 検出の迅速化、操作の簡便等の利点を得ることができる。
また、流路 119を用いて 、るために流れを用いて検出試験を行なうことが可能であ るため、操作が簡単になるという利点も得られる。
[0183] また、複数設けられている電極部 116に別々の特定物質を固定ィ匕したり、各流路 1 19に流通させる検体を別種のものとしたりすれば、一度の測定で 2以上の検出対象 物質の検出を行なうこと(即ち、 2以上の相互作用の感知を行なうこと)が可能となり、 検体分析をより簡単且つ速やかに行なうことができる。特に、電極部 116の集積化を 行なえば、同時多発的に起こる相互作用を一度の測定で感知し、検体に対する多様 な項目の分析を行なうことができる。また、逆に、各電極部 116に固定ィ匕する特定物
質 123を同種の物とすれば、一度の測定で多くのデータを得ることが検体の分析結 果が得られるため、結果の信頼性が向上する。
[0184] さらに、電気接続切替部であるコネクタソケット 105によって、検出デバイス部 109 の感知用ゲート 115を、対応する電極部 116のうちのどれと電気的に導通させるかを 選択できるように構成したため、一つの検出デバイス部 109によって 2以上の電極部 116における相互作用を感知することができる。したがって、より少ない感知用ゲート 115によって、より多くの電極部 116を用いて検出対象物質の検出を行なうことがで きるようになり、センサユニット 101及び分子装置 100を小型化することが可能となる。
[0185] また、本例のようなセンサユニット 101を用いた分析装置 100を使えば、実時間測 定も可能であり、物質間相互作用のモニタリングも可能である。
さらに、検出用感知ゲート 117を感知用ゲート 115及び電極部 116という複数の部 材に電極分離したため、電極部 (感知部) 116から上側の反応場セルを、フローセル 等のディスポタイプとして使用でき、これにより、センサユニット 101や分析装置 100 の小型化も可能であるため、ユーザー側の使い勝手も向上する。
[0186] また、電極部 116を機械的に着脱可能に構成したことにより、電極部 116を分離可 能、交換可能に構成することができる。したがって、センサユニット 101及び分析装置 100の製造コストを安価にすることができ、さらに、使い切り可能にすることや検体が バイオ的に汚染されることを防ぐことができる。
[0187] ただし、ここで例示した分析装置 100及びセンサユニット 101は、あくまで第 1実施 形態としてのセンサユニットの一例であり、上記構成を、本発明の要旨の範囲内で任 意に変形して実施することも可能である。本実施形態のセンサユニットの各構成要素 の説明として上述したように変形することも可能である力 中でも、以下のように変形 を行なうことも可能である。
[0188] 例えば、コネクタソケット 105の形状を、集積検出デバイス 104及び分離型集積電 極 106の形状や寸法に応じて決定することは好ましい。通常、感知部を有する分離 型集積電極 106のような部分に比べて、検出デバイス部 109を有する集積検出デバ イス 104のような部分の面積は微小化されやすい。このため、両者の間には面積の 大きさの差が生じるため、両者の間にコネクタソケット 105のような中継接続端子板を
設ける意義は大きい。その意義とは、検出デバイス部 109自体の集積度、即ち、トラ ンジスタ部 103の集積度を上げることにより、デバイスの歩留まりの低下と低コストィ匕 を見込めることや、感知部の寸法制約条件や配置制約条件などを緩和し、自由な設 計ができることなどが挙げられる。
[0189] また、例えば、上記のように複数のトランジスタ部 103を集積する場合は、ひとつの 検出対象物質の相互作用を感知するためにひとつのトランジスタ部 103を用いてもよ いし、複数のトランジスタ部(103)のアレイを用い、ソース電極 111—ドレイン電極 11 2間を並列に電気的に接続し、各々の検出用感知ゲート 117では同じ検出対象物質 の相互作用を感知することにより、ひとつの検出対象物質の相互作用を感知するた めに複数のトランジスタ部 103を用いてもょ 、。
[0190] さらに、例えば、本例のセンサユニット 101においては電圧印加ゲート 118を設けた 力 チャネル 113には他の手段によりゲート電圧を印加するようにしても良い。例えば 、感知用ゲート 115に、検出デバイス部 109の外部に設けた電極 (参照電極)から電 圧を印加するようにしてもよい。また、電圧印加ゲート 118を設けず、感知用ゲート 11 5自体の電圧を外部力 コントロールするようにしても良い。さらに、感知用ゲート 115 に電圧を印加する方法は任意であり、反応場セル 107の流路 119内の検体等の液 体 (緩衝液等を含む)を通じて電圧を印加するようにしても良ぐ検体等の液体に接し ない部分から直接的に電圧を印加するようにしても良い。また、感知用ゲート 115を フローティングの状態としたり、感知用ゲート 115の電位を一定に保つようにしたりし ても良い。さらに、感知用ゲート 115をフローティングにする場合、感知用ゲート 115 を接地電極で囲んでもよい。これにより、外部からの電界の影響や複数の感知用ゲ ート 115間の相互に与える影響を低減することが期待できる。例えば、ソース電極 11 1が接地される場合、ソース電極 111で感知用ゲート 115を囲む構造をとるのがよい 。もちろん、ドレイン電極 112が接地されている場合も同様である。
[0191] また、例えば、相互作用として抗原'抗体反応のように反応が数分〜数十分のォー ダ一でゆっくり進むものを感知する場合には、ソース電極 111—ドレイン電極 112間 を流れる電流を増幅器により増幅した後、ローパスフィルタに通すようにしてもよい。こ れにより、信号の品質が格段に向上することが期待できる。
[0192] [第 2実施形態]
本発明の第 2実施形態としてのセンサユニット(以下適宜、「第 2のセンサユニット」と いう)は、基板と、基板に設けられたソース電極及びドレイン電極と、上記のソース電 極及びドレイン電極間の電流通路になるチャネルと、検出対象物質と選択的に相互 作用をする特定物質を固定された感知部位湘互作用感知部位)が形成された検出 用感知ゲートとを備えたトランジスタ部を有し、上記検出対象物質を検出するための センサユニットである。また、第 2のセンサユニットにおいては、トランジスタ部が 2以上 集積されている。
[0193] なお、第 2のセンサユニットにおいても、第 1のセンサユニットと同様、トランジスタ部 は、トランジスタとして機能する部分であり、このトランジスタの出力特性の変化を検知 することにより、本実施形態のセンサユニットは検出対象物質を検出するようになって いる。また、トランジスタ部は、そのチャネルの具体的な構成により、電界効果トランジ スタとして機能するものと、単一電子トランジスタとして機能するものとに区別できるが 、第 2のセンサユニットにおいてはいずれを用いても良い。なお、以下の説明におい て、トランジスタ部のことを適宜、単に「トランジスタ」というが、その場合、特に断らない 限り、電界効果トランジスタ及び単一電子トランジスタのいずれとして機能するかは区 別しない。
[0194] [I. トランジスタ部]
(1.基板)
第 2のセンサユニットにおいて、基板は、第 1実施形態で説明したのと同様のもので ある。
[0195] (2.ソース電極,ドレイン電極)
第 2のセンサユニットにおいて、ソース電極及びドレイン電極は、第 1実施形態で説 明したのと同様のものである。
[0196] (3.チャネル)
第 2のセンサユニットにおいて、チャネルは、第 1実施形態で説明したのと同様のも のである。したがって、第 1実施形態で説明したのと同様の構成のものを用いることが でき、その作製方法にっ ヽても同様のものを用いることができる。
[0197] (4.検出用感知ゲート)
第 2のセンサユニットにおいて、検出用感知ゲートには、検出対象物質と選択的に 相互作用をする特定物質を固定された感知部位湘互作用感知部位)が形成されて いる。また、感知部位とは、検出用感知ゲート表面の特定物質が固定された部位のこ とを指す。
第 2のセンサユニットでは、検出用感知ゲートの感知部位で特定物質と検出対象物 質との相互作用が生じた場合、検出用感知ゲートの電位が変化するようになっており 、この検出用感知ゲートのゲート電圧に伴って生じるトランジスタの特性の変化を検 出することにより検出対象物質の検出を行なうことができるようになつている。
[0198] 第 2のセンサユニットの検出用感知ゲートは、第 1のセンサユニットと同様に構成す ることができる。この場合、感知部の表面の、特定物質が固定ィ匕された部位力 感知 部位となる。
また、第 2のセンサユニットを、第 1センサユニットの感知用ゲートと同様に構成し、 その感知用ゲートの表面に特定物質を固定ィ匕するようにしても良い。この場合、感知 用ゲート表面の、特定物質が固定化された部位が、感知部位となる。
[0199] (5.電圧印加ゲート)
第 2のセンサユニットにおいても、第 1のセンサユニットと同様に、トランジスタ部は電 圧印加ゲートを備えていてもよい。第 2のセンサユニットのトランジスタ部に設けられる 電圧印加ゲートは、第 1のセンサユニットのトランジスタ部に設けられるものと同様であ る。
[0200] (6.集積化)
第 2のセンサユニットにおいては、トランジスタ部は集積ィ匕されている。即ち、単一の 基板に、ソース電極、ドレイン電極、チャネル、検出用感知ゲート、及び、適宜電圧印 加ゲートが 2以上設けられており、さらに、それらはできるだけ小型化されていることが より好ましい。なお、適宜、各トランジスタの構成部材はそれぞれ他のトランジスタの 構成部材と共有されるように設けてもよぐ例えば、検出用感知ゲートの感知部、及び 、電圧印加ゲート等は、集積ィ匕されたトランジスタのうちの 2以上に共有されるようにし てもよい。さらに、集積ィ匕するトランジスタは 1種のもののみを集積ィ匕しても良ぐ 2種
以上を任意の組み合わせ及び比率で併用して集積ィ匕しても良 ヽ。
[0201] このようにトランジスタの集積ィ匕を行なうことにより、一つのセンサユニットでより多種 の検出対象物質の検出を行なうことができるようになるために分析を行なう際の利便 性を従来よりも高めることができる。また、センサユニットの小型化及び低コスト化、検 出の迅速ィ匕及び検出感度の向上、並びに操作の簡便等の利点のうちの少なくともい ずれかを得ることができる。即ち、例えば、集積ィ匕により一度に多数の検出用感知ゲ ートを設けることができるため、一つのセンサユニットで多数の検出対象物質を検出 することができる多機能なセンサユニットを、低コストで提供することができる。また、 例えばソース電極及びドレイン電極を多数並列接続するように集積ィ匕を行なえば、 検出感度を高めることが可能になる。さらに、例えば、分析結果の検討のため等に用 いる比較用の電極などを別途用意する必要がなくなり、あるトランジスタを用いた結果 を同一センサユニット上にある他のトランジスタの結果と比較して分析することが可能 となる。
[0202] トランジスタの集積ィ匕を行なう場合、トランジスタの配置やそれに固定化される特定 物質の種類などは任意である。例えば、ひとつの検出対象物質を検知するためにひ とつのトランジスタを用いてもょ 、し、複数のトランジスタのアレイを用いソース電極一 ドレイン電極間を並列に電気的に接続し、各々の検出用感知ゲートでは同じ検出対 象物質を検知することにより、ひとつの検出対象物質を検知するために複数のトラン ジスタを用いてもよい。
[0203] また、集積ィ匕の具体的な方法に制限はなぐ公知の方法を任意に用いることができ るが、通常は、集積回路を製造する際に一般的に用いられている製造方法を利用す ることができる。また、最近では MEMSと呼ばれる、金属(導体)や半導体に機械的 要素を作りこむ方法も開発されており、その技術を利用することも可能である。
[0204] さらに、集積ィ匕を行なった場合の配線についても制限はなく任意である力 通常は 、寄生容量や寄生抵抗の影響をできるだけ排除するように配置等を工夫することが 好ましい。具体的には、例えば、エアブリッジ技術やワイヤボンディング技術を用いて 各ソース電極間及び z又はドレイン電極間を接続したり感知用ゲートと感知部とを接 続したりすることが好ましい。
[0205] [II.電気接続切替部]
第 2のセンサユニットの検出用感知ゲートを第 1のセンサユニットと同様に構成した 場合、第 1のセンサユニットと同様に、第 2のセンサユニットには電気接続切替部を設 けることができる。この場合、第 2のセンサユニットが備える電気接続切替部は、第 1 実施形態で説明したものと同様である。
[0206] [III.反応場セル]
第 2のセンサユニットは、反応場セルを有していても良い。反応場セルとは、検体を 感知部位に接触させる部材である。また、検体とは、センサユニットを用いて検出する 対象となるものであり、その検体に検出対象物質が含有されている場合には、その検 出対象物質と特定物質とは相互作用するようになって!/、る。
[0207] 反応場セルは、検体を感知部位に接触させて、その検体に検出対象物質が含有さ れている場合に上記の相互作用を生じさせることができれば具体的な構成に制限は 無い。例えば、検体を感知部位に接触するように保持する容器として構成することが できる。ただし、検体が流体である場合には、感知部位に接しうるよう検体を流通させ る流路を有する部材として構成することが望まし 、。検体を流通させて検出を行なうこ とにより、検出の迅速化、操作の簡便等の利点を得ることができる。
[0208] 反応場セルが流路を有して!/ヽる場合、その形状、寸法、本数、流路を形成する部 材の材質、流路の製作方法等に制限はないが、通常は、第 1実施形態で説明した流 路と同様である。
[0209] [IV.検出対象物質、特定物質及び相互作用]
第 2のセンサユニットにおける検出対象物質、特定物質及び相互作用は、第 1実施 形態で説明したものと同様である。
また、感知部位に対して特定物質を固定ィ匕する方法は、感知部への特定物質の固 定ィ匕方法として第 1実施形態で説明したのと同様の方法を用いることができる。ただ し、その場合、第 1実施形態における固定化方法の説明において、感知部の代わり に感知部位に固定ィ匕するものとする。
[0210] さらに、具体的検出例としても、第 1実施形態と同様の例が挙げられる。
また、本実施形態のセンサユニットにおいてカーボンナノチューブをチャネルに用
いれば、非常に高感度な検出を実現することができ、このため、高感度の検出感度を 必要とする免疫項目等とその他の電解質等を同一原理で一度に測定することにより
、機能別、疾患別に一度に診断を行なうことができ、 POCTの実現が可能となる。こ のほか、第 1実施形態と同様の作用、効果が得られる。
[0211] [V.分析装置の例]
以下に、第 2のセンサユニット、及び、それを用いた分析装置の一例の構成を示す 力 本発明は以下の例に限定されるものではなぐ例えば各構成要素の説明におい て上述したように、本発明の要旨を逸脱しな 、範囲にぉ 、て任意に変形して実施す ることがでさる。
[0212] 図 9は、第 2のセンサユニットを用いた分析装置 200の要部構成を模式的に示す図 であり、図 10は、第 2のセンサユニットの要部構成を模式的に示す分解斜視図である 。また、図 11 (a) ,図 11 (b)は、検出デバイス部の要部を模式的に示す図であり、図 11 (a)はその斜視図、図 11 (b)は側面図である。なお、図 9〜図 11 (b)において、同 様の符号で示す部分は、同様のものを表わす。
[0213] 図 9に示すように、この分析装置 200は、第 1実施形態で説明した分析装置 100の センサユニット 101に代えて、センサユニット 201を備えた構成となっている。即ち、 分析装置 200は、センサユニット 201と、測定回路 202とを有して構成され、ポンプ( 図示省略)によって検体を矢印のように流すことができるように構成されている。ここで 、測定回路 202は、センサユニット 201内のトランジスタ部(図 10のトランジスタ部 203 参照)の特性変化を検出するための回路(トランジスタ特性検出部)であり、第 1実施 形態の測定回路 102と同様、任意の抵抗、コンデンサ、電流計、電圧計などから目 的に応じて構成される。
[0214] センサユニット 201は、図 10に示すように、集積検出デバイス 204と、反応場セル 2 05とを備えている。このうち、集積検出デバイス 204は分析装置 200に固定されてい る。一方、反応場セル 205は、集積検出デバイス 204から機械的に着脱可能となつ ている。
[0215] 集積検出デバイス 204は、基板 206上に、それぞれ同様に構成された複数 (ここで は 4個)のトランジスタ部 203がアレイ状に並んで集積された構成となっている。本例
のセンサユニット 201においては、トランジスタ部 203は図中左から 3個づっ 4列に、 合計 12個形成されているとする。
[0216] 基板 206上に集積ィ匕されたトランジスタ部 203は、図 11 (a) ,図 11 (b)に示すように 、絶縁性の素材で形成された基板 206上に、低誘電層 207、ソース電極 208、ドレイ ン電極 209、チャネル 210、及び絶縁膜 211が形成されている。これらの低誘電層 2 07、ソース電極 208、ドレイン電極 209、チャネル 210、及び絶縁膜 211は、それぞ れ、第 1実施形態で説明した低誘電層 110、ソース電極 111、ドレイン電極 112、チ ャネル 113、及び絶縁膜 114と同様に形成されたものである。
[0217] さらに、絶縁膜 211の上側表面には、導体 (例えば、金)で形成された検出用感知 ゲート 212がトップゲートとして形成されている。即ち、検出用感知ゲート 212は絶縁 膜 211を介して低誘電層 207上に形成されていることになる。
この検出用感知ゲート 212の図中上側表面全体には、特定物質 214が固定ィ匕され ている。したがって、検出用感知ゲート 212の表面は、感知部位 213として機能する ようになつている。なお、図 11 (a) ,図 11 (b)においては説明のために特定物質 214 を視覚可能な大きさに描いたが、通常は、特定物質 214は極小さいものであり、その 具体的形状は視覚できな 、ことが多 、。
[0218] また、基板 206の裏面(即ち、チャネル 210と反対側の面)には、ノ ックゲートとして 、導体 (例えば、金)で形成された電圧印加ゲート 215が設けられている。さらに、低 誘電層 207の表面には、絶縁体層 216が形成されている。電圧印加ゲート 215及び 絶縁体層 216は、それぞれ、第 1実施形態で説明した電圧印加ゲート 118及び絶縁 体層 120と同様に形成されたものである。したがって、検出用感知ゲート 212の表面 である感知部位 213は絶縁体層 216に被覆されず外に向けて開放されて!、て、感知 部位 213には検体が接触できるようになつている。なお、図 11 (a) ,図 11 (b)中、絶 縁体層 216は二点鎖線で示す。なお、ノックゲートには電圧印加ゲート以外の機能 をちたせることも可會である。
[0219] また、反応場セル 205は、基体 217に、トランジスタ部 203にあわせて流路 218が 形成されたものである。具体的には、流路 218を流れる検体が各トランジスタ部 203 に接触することができるように、流路 218が形成されている。なお、ここでは図中左側
力も右側にかけて、各 3個づつのトランジスタ部 203のうち、それぞれ 1個づっを通過 するように流路 218が設けられて 、る。
なお、この反応場セル 205は通常は使い切り(使い捨て)とする。また、適宜、反応 場セル 205と集積検出デバイス 204とは一体に形成しても良い。
[0220] 本例の分析装置 200及びセンサユニット 201は以上のように構成されている。した がって、使用時には、まず、反応場セル 205を、集積検出デバイス 204に装着して、 センサユニット 201を準備する。その後、電圧印加ゲート 215に、トランジスタ部 203 の伝達特性を最大とすることができる大きさの電圧を印加し、チャネル 210に電流を 流通させる。その状態で、測定回路 202でトランジスタ部 203の特性を測定しながら、 流路 218に検体を流通させる。
[0221] 検体は流路 218を流通し、感知部位 213に接触する。この際、検体中に、感知部 位 213に固定ィ匕した特定物質 214と相互作用する検出対象物質が含まれていれば 、相互作用が生じる。この相互作用は、トランジスタ部 203の特性の変化として感知さ れる。即ち、前記の相互作用により検出用感知ゲート 212に表面電荷の変化が生じ 、これによりゲート電圧に変化が生じるなどするため、トランジスタ部 203の特性が変 化する。
[0222] したがって、前記のトランジスタ部 203の特性の変化を測定回路 202で測定するこ とにより、検出対象物質を検出することができる。特に、本例では、チャネル 210とし てカーボンナノチューブを用いているため、非常に感度の高い検出を行なうことが可 能であり、したがって、従来は検出が困難であった検出対象物質の検出も行なうこと ができる。したがって、本例の分析装置は、従来よりも広範囲の検出対象物質の分析 に用いることが可能である。
[0223] また、トランジスタ部 203の集積ィ匕を行なったため、センサユニット 201の小型化、 検出の迅速化、操作の簡便等の利点を得ることができる。
さらに、流路 218を用いているために流れを用いて検出試験を行なうことが可能で あるため、操作が簡単になるという利点も得られる。
[0224] また、集積したトランジスタ部 203それぞれに設けられることで複数形成された検出 用感知ゲート 212のそれぞれに別々の特定物質 214を固定ィ匕したり、各流路 218に
流通させる検体を別種のものとしたりすれば、一度の測定で 2以上の検出対象物質 の検出を行なうこと (即ち、 2以上の相互作用の感知を行なうこと)が可能となり、検体 分析をより簡単且つ速やかに行なうことができる。特に、トランジスタ部 203の集積ィ匕 を行なえば、同時多発的に起こる相互作用を一度の測定で感知し、検体に対する多 様な項目の分析を行なうことができる。また、逆に、各トランジスタ部 203に固定ィ匕す る特定物質 214を同種の物とすれば、一度の測定で多くのデータを得ることが検体 の分析結果が得られるため、結果の信頼性が向上する。
[0225] さらに、第 1実施形態で例示した分析装置 100及びセンサユニット 101が奏する作 用 ·効果については、検出用感知ゲート 117を電極分離すること、及び、コネクタソケ ット 105を有していることによるもの以外は、本例の分析装置 200及びセンサユニット 201にお!/、ても得ることができる。
[0226] ただし、ここで例示した分析装置 200及びセンサュ-ッ 201は、あくまで第 2実施形 態としてのセンサユニットの一例であり、上記構成を、本発明の要旨の範囲内で任意 に変形して実施することも可能である。したがって、第 1実施形態と同様に変形したり 、本実施形態のセンサユニットの各構成要素の説明として上述したように変形するこ とも可能である。
[0227] なお、第 1実施形態で例示したセンサユニット 101も、第 2のセンサユニットの一例 である。即ち、電極部 116表面の特定物質が固定ィ匕された部位を感知部位であると 認識すれば、第 1実施形態で例示したセンサユニット 101は、集積化されたトランジス タ部 103を有する第 2のセンサユニットの一例である。
[0228] [第 3実施形態]
本発明の第 3実施形態としてのセンサユニット(以下適宜、「第 3のセンサユニット」と いう)は、基板と、基板に設けられたソース電極及びドレイン電極と、上記のソース電 極及びドレイン電極間の電流通路になるチャネルとを備えたトランジスタ部を有し、さ らに、チャネルに、検出対象物質と選択的に相互作用をする特定物質を固定された 感知部位 (相互作用感知部位)が形成されている。また、第 3のセンサユニットにおい ては、トランジスタ部が 2以上集積されている。
[0229] なお、第 3のセンサユニットにおいても、第 1,第 2のセンサユニットと同様、トランジ
スタ部は、トランジスタとして機能する部分であり、このトランジスタの出力特性の変化 を検知することにより、本実施形態のセンサユニットは検出対象物質を検出するよう になっている。また、トランジスタ部は、そのチャネルの具体的な構成により、電界効 果トランジスタとして機能するものと、単一電子トランジスタとして機能するものとに区 別できるが、第 3のセンサユニットにおいてはいずれを用いても良い。なお、以下の説 明において、トランジスタ部のことを適宜、単に「トランジスタ」というが、その場合、特 に断らない限り、電界効果トランジスタ及び単一電子トランジスタのいずれとして機能 するかは区別しない。
[0230] [I.トランジスタ部]
(1.基板)
第 3のセンサユニットにおいて、基板は、第 1,第 2実施形態で説明したのと同様の ものである。
[0231] (2.ソース電極,ドレイン電極)
第 3のセンサユニットにおいて、ソース電極及びドレイン電極は、第 1,第 2実施形態 で説明したのと同様のものである。
[0232] (3.チャネル)
第 3のセンサユニットにおいて、チャネルは、その表面に感知部位が形成されてい ること以外は、第 1,第 2実施形態で説明したのと同様のものである。
したがって、第 3センサユニットのチャネルの構成は、第 1,第 2実施形態で説明し たチャネルの表面に感知部位 (相互作用感知部位)が形成された構成となって 、る。 ここで、感知部位とは、チャネル表面の特定物質が固定された部位のことを指す。 したがって、本実施形態においてチャネルは上記第 1,第 2実施形態の検出用感 知ゲートの機能を併せ持つようになって!/、る。
[0233] 第 3のセンサユニットでは、チャネルの感知部位で特定物質と検出対象物質との相 互作用が生じた場合、チャネルに与えられるゲート電圧が変化し、このゲート電圧の 変化により伴って生じるトランジスタの特性の変化を検出することにより検出対象物質 の検出を行なうことができるようになつている。この際、チャネル表面に感知部位が形 成されているため、相互作用による電荷の変化の影響が直接的にチャネルへ反映さ
れるので、さらに高感度の検出感度が期待できる。
[0234] ただし、ソース電極からドレイン電極へ流れる電流が検体内を流れることを防止する 観点から、チャネルに感知部位を形成する場合、チャネルを剥き出しに検体に接触 させることを避けつつ、感知部位だけを検体に接触させることができるようにすること が好ましい。そのための具体的な構成方法に制限は無いが、例えば、チャネルを一 度絶縁体で覆って、一部の絶縁体を必要なだけ取り除き、感知部位とチャネルとを接 続する(即ち、チャネルに特定物質を固定し、感知部位を形成する)という方法を採 用することができる。このとき、取り除くべき絶縁体の大きさが分子レベルまで小さくな れば、チャネルと検体が接触するチャンスは格段に減り、電流が検体に漏れ出ること も極めて小さくなると考えられる。こうした絶縁体の取り除き方法は任意である力 例 えば、原子間力顕微鏡などナノテクノロジーを利用したナノ加工技術が利用できる。
[0235] また、チャネルの作製方法についても、第 1,第 2実施形態と同様のものを用いるこ とができる。したがって、第 1,第 2実施形態で説明した方法によりチャネルを形成し、 そのチャネルに特定物質を固定ィ匕することにより、相互作用感応部位を有する本実 施形態のチャネルを作製することができる。
[0236] (4.電圧印加ゲート)
第 3のセンサユニットにおいても、第 1,第 2のセンサユニットと同様に、トランジスタ 部は電圧印加ゲートを備えていてもよい。第 3センサユニットのトランジスタ部に設け られる電圧印加ゲートは、第 1,第 2のセンサユニットのトランジスタ部に設けられるも のと同様である。
[0237] (5.集積化)
第 3のセンサユニットにおいては、トランジスタ部は集積ィ匕されている。即ち、単一の 基板に、ソース電極、ドレイン電極、チャネル、及び、適宜電圧印加ゲートが 2以上設 けられており、さらに、それらはできるだけ小型化されていることがより好ましい。なお 、適宜、各トランジスタの構成部材はそれぞれ他のトランジスタの構成部材と共有され るように設けてもよぐ例えば、電圧印加ゲート等は、集積化されたトランジスタのうち の 2以上に共有されるようにしてもよい。さらに、集積ィ匕するトランジスタは 1種のもの のみを集積ィ匕しても良ぐ 2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用して集積ィ匕
しても良い。
[0238] このようにトランジスタの集積ィ匕を行なうことにより、一つのセンサユニットでより多種 の検出対象物質の検出を行なうことができるようになるために分析を行なう際の利便 性を従来よりも高めることができる。また、センサユニットの小型化及び低コスト化、検 出の迅速ィ匕及び検出感度の向上、並びに操作の簡便等の利点のうちの少なくともい ずれかを得ることができる。即ち、例えば、集積ィ匕により一度に多数の検出用感知ゲ ートを設けることができるため、一つのセンサユニットで多数の検出対象物質を検出 することができる多機能なセンサユニットを、低コストで提供することができる。また、 例えばソース電極及びドレイン電極を多数並列接続するように集積ィ匕を行なえば、 検出感度を高めることが可能になる。さらに、例えば、分析結果の検討のため等に用 いる比較用の電極などを別途用意する必要がなくなり、あるトランジスタを用いた結果 を同一センサユニット上にある他のトランジスタの結果と比較して分析することが可能 となる。
[0239] トランジスタの集積ィ匕を行なう場合、トランジスタの配置やそれに固定化される特定 物質の種類などは任意である。例えば、ひとつの検出対象物質を検知するためにひ とつのトランジスタを用いてもょ 、し、複数のトランジスタのアレイを用いソース電極一 ドレイン電極間を並列に電気的に接続し、各々の検出用感知ゲートでは同じ検出対 象物質を感知検知することにより、ひとつの検出対象物質を検知するために複数のト ランジスタを用いてもよい。
[0240] また、集積ィ匕の具体的な方法に制限はなぐ公知の方法を任意に用いることができ るが、通常は、集積回路を製造する際に一般的に用いられている製造方法を利用す ることができる。また、最近では MEMSと呼ばれる、金属(導体)や半導体に機械的 要素を作りこむ方法も開発されており、その技術を利用することも可能である。
[0241] さらに、集積ィ匕を行なった場合の配線についても制限はなく任意である力 通常は 、寄生容量や寄生抵抗の影響をできるだけ排除するように配置等を工夫することが 好ましい。具体的には、例えば、エアブリッジ技術やワイヤボンディング技術を用いて 各ソース電極間及び Z又はドレイン電極間を接続したり感知用ゲートと感知部とを接 続したりすることが好ましい。
[0242] [II.反応場セル]
第 3のセンサユニットは、反応場セルを有していても良い。本実施形態においても、 反応場セルとしては、第 2実施形態で説明したものと同様のものを用いることができる
[0243] [III.検出対象物質、特定物質及び相互作用]
第 3のセンサユニットにおける検出対象物質、特定物質及び相互作用は、第 1,第 2実施形態で説明したものと同様である。
また、感知部位に対して特定物質を固定ィ匕する方法は、感知部への特定物質の固 定ィ匕方法として第 1実施形態で説明したのと同様の方法を用いることができる。ただ し、その場合、第 1実施形態における固定化方法の説明において、感知部の代わり に感知部位に固定ィ匕するものとする。
[0244] さらに、具体的検出例としても、第 1実施形態と同様の例が挙げられる。
また、本実施形態のセンサユニットにおいてカーボンナノチューブをチャネルに用 いれば、非常に高感度な検出を実現することができ、このため、高感度の検出感度を 必要とする免疫項目等とその他の電解質等を同一原理で一度に測定することにより 、機能別、疾患別に一度に診断を行なうことができ、 POCTの実現が可能となる。こ のほか、第 1実施形態と同様の作用、効果が得られる。
[0245] [IV.分析装置の例]
以下に、第 3のセンサユニット、及び、それを用いた分析装置の一例の構成を示す 力 本発明は以下の例に限定されるものではなぐ例えば各構成要素の説明におい て上述したように、本発明の要旨を逸脱しな 、範囲にぉ 、て任意に変形して実施す ることがでさる。
[0246] 図 9に、第 3のセンサユニットを用いた分析装置 300の要部構成を模式的に示し、 また、図 10に、第 3のセンサユニットの要部構成を模式的に示す分解斜視図を示す 。さらに、図 12 (a) ,図 12 (b)は、検出デバイス部の要部を模式的に示す図であり、 図 12 (a)はその斜視図、図 12 (b)は側面図である。なお、図 9、図 10、図 12 (a) ,図 12 (b)において、同様の符号で示す部分は、同様のものを表わす。
[0247] 図 9に示すように、この分析装置 300は、第 1実施形態で説明した分析装置 100の
センサユニット 101に代えて、センサユニット 301を備えた構成となっている。即ち、 分析装置 300は、センサユニット 301と、測定回路 302とを有して構成され、ポンプ( 図示省略)によって検体を矢印のように流すことができるように構成されている。ここで 、測定回路 302は、センサユニット 301内のトランジスタ部(図 10のトランジスタ部 303 参照)の特性変化を検出するための回路(トランジスタ特性検出部)であり、第 1実施 形態の測定回路 102と同様、任意の抵抗、コンデンサ、電流計、電圧計などから目 的に応じて構成される。
[0248] センサユニット 301は、図 10に示すように、集積検出デバイス 304と、反応場セル 3 05とを備えている。このうち、集積検出デバイス 304は分析装置 300に固定されてい る。一方、反応場セル 305は、集積検出デバイス 304から機械的に着脱可能となつ ている。
[0249] 集積検出デバイス 304は、基板 306上に、それぞれ同様に構成された複数 (ここで は 4個)のトランジスタ部 303がアレイ状に並んで集積された構成となっている。本例 のセンサユニット 301においては、トランジスタ部 303は図中左から 3個づっ 4列に、 合計 12個形成されているとする。
[0250] 基板 306上に集積ィ匕されたトランジスタ部 303は、図 12 (a) ,図 12 (b)に示すように 、絶縁性の素材で形成された基板 306上に、低誘電層 307、ソース電極 308、ドレイ ン電極 309及びチャネル 310が形成されている。これらの低誘電層 307、ソース電極 308、ドレイン電極 309及びチャネル 310は、それぞれ、第 1実施形態で説明した低 誘電層 110、ソース電極 111、ドレイン電極 112及びチャネル 113と同様に形成され たものである。
[0251] さらに、チャネル 310の中間部表面には、特定物質 311が固定ィ匕された感知部位 3 12が形成されている。なお、図 12 (a) ,図 12 (b)においては説明のために特定物質 311を視覚可能な大きさに描いたが、通常は、特定物質 311は極小さいものであり、 その具体的形状は視覚できな!/、ことが多!、。
[0252] また、低誘電層 307の表面には、ソース電極 308及びドレイン電極 309に被覆され ていない面の全体に亘つて、絶縁体層 313が形成されている。この絶縁体層 313は 、チャネル 310表面の感知部位 312が形成されていない部位全体と、ソース電極 30
8及びドレイン電極 309それぞれの側面及び上側の面を覆うように形成されて!ヽるが 、感知部位 312の周囲には形成されていない。したがって、感知部位 312は絶縁体 層 313に被覆されず外に向けて開放されて!ヽて、感知部位 312には検体が接触でき 、ソース電極 308力もドレイン電極 309へ流れる電流がチャネル 310を流れず検体内 を流れることを防止できるようになつている。なお、図 12 (a) ,図 12 (b)中、絶縁体層 313は二点鎖線で示す。
[0253] また、基板 306の裏面(即ち、チャネル 310と反対側の面)には、ノ ックゲートとして 、導体 (例えば、金)で形成された電圧印加ゲート 314が設けられている。電圧印加 ゲート 314は、第 1実施形態で説明した電圧印加ゲート 118と同様に形成されたもの である。なお、バックゲートには電圧印加ゲート以外の機能をもたせることも可能であ る。
[0254] また、反応場セル 305は、基体 315に、トランジスタ部 303にあわせて流路 316が 形成されたものである。具体的には、流路 316を流れる検体が各トランジスタ部 303 の感知部位 312に接触することができるように、流路 316が形成されている。なお、こ こでは図中左側力も右側にかけて、各 3個づつのトランジスタ部 303のうち、それぞれ 1個づっを通過するように流路 316が設けられて 、る。
なお、この反応場セル 305は通常は使い切り(使い捨て)とする。また、適宜、反応 場セル 305と集積検出デバイス 304とは一体に形成しても良い。
[0255] 本例の分析装置 300及びセンサユニット 301は以上のように構成されている。した がって、使用時には、まず、反応場セル 305を、集積検出デバイス 304に装着して、 センサユニット 301を準備する。その後、電圧印加ゲート 314に、トランジスタ部 303 の伝達特性を最大とすることができる大きさの電圧を印加し、チャネル 310に電流を 流通させる。その状態で、測定回路 302でトランジスタ部 303の特性を測定しながら、 流路 316に検体を流通させる。
[0256] 検体は流路 316を流通し、感知部位 312に接触する。この際、検体中に、感知部 位 312に固定ィ匕した特定物質 311と相互作用する検出対象物質が含まれていれば 、相互作用が生じる。この相互作用は、トランジスタ部 303の特性の変化として感知さ れる。即ち、前記の相互作用によりチャネル 310に表面電荷の変化が生じ、これによ
りゲート電圧に変化が生じるなどするため、トランジスタ部 303の特性が変化する。
[0257] したがって、前記のトランジスタ部 303の特性の変化を測定回路 302で測定するこ とにより、検出対象物質を検出することができる。特に、本例では、チャネル 310とし てカーボンナノチューブを用いているため、非常に感度の高い検出を行なうことが可 能であり、したがって、従来は検出が困難であった検出対象物質の検出も行なうこと ができる。さらに、チャネル 310表面に感知部位 312が形成されているため、相互作 用による電荷の変化の影響が直接的にチャネル 310へ反映されるので、さらに高感 度の検出感度が期待できる。したがって、本例の分析装置は、従来よりも広範囲の検 出対象物質の分析に用いることが可能である。
[0258] また、トランジスタ部 303の集積ィ匕を行なったため、センサユニット 301の小型化、 検出の迅速化、操作の簡便等の利点を得ることができる。
さらに、流路 316を用いているために流れを用いて検出試験を行なうことが可能で あるため、操作が簡単になるという利点も得られる。
[0259] また、集積したトランジスタ部 303それぞれに設けられることで複数形成されたチヤ ネル 310のそれぞれに別々の特定物質 311を固定ィ匕したり、各流路 316に流通させ る検体を別種のものとしたりすれば、一度の測定で 2以上の検出対象物質の検出を 行なうこと (即ち、 2以上の相互作用の感知を行なうこと)が可能となり、検体分析をよ り簡単且つ速やかに行なうことができる。特に、トランジスタ部 303の集積ィ匕を行なえ ば、同時多発的に起こる相互作用を一度の測定で感知し、検体に対する多様な項 目の分析を行なうことができる。また、逆に、各トランジスタ部 303に固定化される特 定物質 316を同種の物とすれば、一度の測定で多くのデータを得ることが検体の分 析結果が得られるため、結果の信頼性が向上する。
[0260] さらに、本例の分析装置 300及びセンサユニット 301においても、第 2実施形態と同 様の作用 ·効果を得ることができる。即ち、第 1実施形態で例示した分析装置 100及 びセンサユニット 101が奏する作用'効果については、検出用感知ゲート 117を電極 分離すること、及び、コネクタソケット 105を有していることによるもの以外は、本例の 分析装置 300及びセンサユニット 301においても得ることができる。
[0261] ただし、ここで例示した分析装置 300及びセンサュ-ッ 301は、あくまで第 3実施形
態としてのセンサユニットの一例であり、上記構成を、本発明の要旨の範囲内で任意 に変形して実施することも可能である。したがって、第 1実施形態と同様に変形したり
、本実施形態のセンサユニットの各構成要素の説明として上述したように変形して実 施することも可能である。
[0262] [第 4実施形態]
本発明の第 4実施形態としてのセンサユニット(以下適宜、「第 4のセンサユニット」と いう)は、基板、基板に設けられたソース電極及びドレイン電極、上記のソース電極及 びドレイン電極間の電流通路になるチャネル、並びに感知用ゲートを備えたトランジ スタ部と、検出対象物質と選択的に相互作用をする特定物質が固定された感知部( 相互作用感知部)を有する反応場セルユニットを装着するためのセルユニット装着部 とを備える。さらに、上記反応場セルユニットがセルユニット装着部に装着されている ときには、上記感知部と感知用ゲートとが導通状態となるように構成されている。
[0263] 一方、上記の第 4のセンサユニットに装着される反応場セルユニットは、基板、基板 に設けられたソース電極及びドレイン電極、上記のソース電極及びドレイン電極間の 電流通路になるチャネル、並びに感知用ゲートを備えたトランジスタ部と、セルュ-ッ ト装着部とを備えるセンサユニットの上記セルユニット装着部に装着される反応場セ ルユニットであって、検出対象物質と選択的に相互作用をする特定物質が固定され た感知部 (相互作用感知部)を有するものである。さらに、上記セルユニット装着部に 装着されているときには、感知部と上記感知用ゲートとは導通状態となるようになって いる。
[0264] また、上記のトランジスタ部は、トランジスタとして機能する部分であり、このトランジ スタの出力特性の変化を検知することにより、本実施形態のセンサユニットは検出対 象物質を検出するようになっている。また、トランジスタ部は、そのチャネルの具体的 な構成により、電界効果トランジスタとして機能するものと、単一電子トランジスタとし て機能するものとに区別できる力 第 4のセンサユニットにお 、ては 、ずれを用いても 良い。なお、以下の説明において、トランジスタ部のことを適宜、単に「トランジスタ」と いうが、その場合、特に断らない限り、電界効果トランジスタ及び単一電子トランジス タの 、ずれとして機能するかは区別しな!、。
以下、第 4のセンサユニット及び反応場セルユニットの構成要素について説明する
[0265] [A.第 4のセンサユニット]
[I. トランジスタ部]
(1.基板)
第 4のセンサユニットにおいて、基板は、第 1〜第 3実施形態で説明したのと同様の ものである。
[0266] (2.ソース電極,ドレイン電極)
第 4のセンサユニットにおいて、ソース電極及びドレイン電極は、第 1〜第 3実施形 態で説明したのと同様のものである。
[0267] (3.チャネル)
第 4のセンサユニットにおいて、チャネルは、第 1,第 2実施形態で説明したのと同 様のものである。したがって、第 1,第 2実施形態で説明したのと同様の構成のものを 用いることができ、その作製方法にっ ヽても同様のものを用いることができる。
[0268] (4.感知用ゲート)
第 4のセンサユニットにおいて、感知用ゲートは、第 1実施形態で説明したのと同様 のものである。したがって、感知用ゲートは、後述する反応場セルユニットが有する感 知部とともに、検出用感知ゲートを構成するようになっている。即ち、第 4のセンサュ ニットでは、反応場セルユニットの感知部で相互作用が生じた場合、感知用ゲートの ゲート電圧が変化するようになっており、この感知用ゲートのゲート電圧に伴って生じ るトランジスタの特性の変化を検出することにより検出対象物質の検出を行なうことが できるようになつている。
[0269] (5.セルユニット装着部)
セルユニット装着部は、後述する反応場セルユニットを装着するための部分である 。反応場セルユニットを第 4のセンサユニットに装着することができれば特に制限は無 ぐ任意の形状、寸法に構成することができる。
また、セルユニット装着部には、反応場セルユニットを直接装着する以外にも、コネ クタ等の他の接続部材を間に介して装着するようにしてもよい。即ち、反応場セルュ
ニットを装着した場合に、感知用ゲートと反応場セルユニットが有する感知部とが導 通状態となる限り、どのようにして装着するかは任意である。
[0270] (6.電圧印加ゲート)
第 4のセンサユニットにおいても、第 1〜第 3のセンサユニットと同様に、トランジスタ 部は電圧印加ゲートを備えていてもよい。第 4のセンサユニットのトランジスタ部に設 けられる電圧印加ゲートは、第 1〜第 3のセンサユニットのトランジスタ部に設けられる ものと同様である。
[0271] (7.集積化)
第 4のセンサユニットにお 、ては、トランジスタ部は集積ィ匕されて 、ることが好まし!/ヽ 。即ち、単一の基板に、ソース電極、ドレイン電極、チャネル、感知用ゲート、及び、 適宜電圧印加ゲートが 2以上設けられることが好ましぐさらに、それらはできるだけ 小型化されていることがより好ましい。なお、適宜、各トランジスタの構成部材はそれ ぞれ他のトランジスタの構成部材と共有されるように設けてもよぐ例えば、電圧印加 ゲート等は、集積ィ匕されたトランジスタのうちの 2以上に共有されるようにしてもよい。 さらに、集積ィ匕するトランジスタは 1種のもののみを集積ィ匕しても良ぐ 2種以上を任意 の組み合わせ及び比率で併用して集積ィ匕しても良い。
[0272] このようにトランジスタの集積ィ匕を行なうことにより、センサユニットの小型化及び低コ スト化、検出の迅速ィ匕及び検出感度の向上、並びに操作の簡便等の利点のうちの少 なくともいずれかを得ることができる。即ち、例えば、集積ィ匕により一度に多数の検出 用感知ゲートを設けることができるため、一つのセンサユニットで多数の検出対象物 質を検出することができる多機能なセンサユニットを、低コストで提供することができる 。また、例えばソース電極及びドレイン電極を多数並列接続するように集積ィ匕を行な えば、検出感度を高めることが可能になる。さらに、例えば、分析結果の検討のため 等に用いる比較用の電極などを別途用意する必要がなくなり、あるトランジスタを用い た結果を同一センサユニット上にある他のトランジスタの結果と比較して分析すること が可能となる。
[0273] トランジスタの集積ィ匕を行なう場合、トランジスタの配置やそれに固定化される特定 物質の種類などは任意である。例えば、ひとつの検出対象物質の相互作用を感知す
るためにひとつのトランジスタを用いてもょ 、し、複数のトランジスタのアレイを用いソ ース電極—ドレイン電極間を並列に電気的に接続し、各々の検出用感知ゲートでは 同じ検出対象物質の相互作用を感知することにより、ひとつの検出対象物質の相互 作用を感知するために複数のトランジスタを用いてもょ 、。
[0274] また、集積ィ匕の具体的な方法に制限はなぐ公知の方法を任意に用いることができ るが、通常は、集積回路を製造する際に一般的に用いられている製造方法を利用す ることができる。また、最近では MEMSと呼ばれる、金属(導体)や半導体に機械的 要素を作りこむ方法も開発されており、その技術を利用することも可能である。
[0275] さらに、集積ィ匕を行なった場合の配線についても制限はなく任意である力 通常は 、寄生容量や寄生抵抗の影響をできるだけ排除するように配置等を工夫することが 好ましい。具体的には、例えば、エアブリッジ技術やワイヤボンディング技術を用いて 各ソース電極間及び Z又はドレイン電極間を接続したり感知用ゲートと感知部とを接 続したりすることが好ましい。
[0276] [II.電気接続切替部]
第 4のセンサユニットにおいて、トランジスタ部が集積されている場合や、セルュ-ッ ト装着部に装着する反応場セルユニットが感知部を複数有している場合には、第 4の センサユニットは、第 1のセルユニットと同様、感知用ゲートと感知部との導通を切り替 える電気接続切替部を備えていることが好ましい。これにより、センサユニットの小型 化や、検出データの信頼性向上、検出の効率ィ匕などを図ることができる。なお、トラン ジスタを集積した場合には、同一のトランジスタ内の導通だけでなぐ他のトランジスタ との間で上記の導通を切り替えるように構成しても良い。
なお、第 4のセンサユニットが有する電気接続切替部としては、第 1のセンサュ-ッ トが有する電気接続切替部と同様のものを用いることができる。
[0277] [B.反応場セルユニット]
反応場セルユニットは、上記の第 4のセンサユニットのセルユニット装着部に装着さ れる部材であって、検出対象物質と選択的に相互作用をする特定物質が固定された 感知部 (相互作用感知部)を有するものである。また、反応場セルユニットは、検体を 感知部に接触させる部材である。さらに、上記セルユニット装着部に装着されている
ときには、感知部と上記感知用ゲートとは導通状態となるようになつている。なお、検 体とは、センサユニットを用いて検出する対象となるものであり、その検体に検出対象 物質が含有されている場合には、その検出対象物質と特定物質とは相互作用するよ うになつている。
[0278] 反応場セルユニットは、検体を感知部に接触させて、その検体に検出対象物質が 含有されている場合に上記の相互作用を生じさせることができれば具体的な構成に 制限は無い。例えば、検体を感知部に接触するように保持する容器として構成するこ とができる。ただし、検体が流体である場合には、検体を流通させる流路を有する部 材として構成することが望ましい。検体を流通させて検出を行なうことにより、検出の 迅速化、操作の簡便等の利点を得ることができる。
[0279] [I.感知部]
本実施形態において感知部は、検出対象物質と選択的に相互作用をする特定物 質を固定され、基板とは離隔して反応場セルユニットに形成された部材であり、第 1 実施形態で説明したものと同様のものである。したがって、感知部の材料、個数、形 状、寸法、感知用ゲートに対して導通をとる手段なども、第 1実施形態で説明したのと 同様である。さらに、感知部を 2個以上設ける場合、 1つの感知用ゲートに対して 2つ 以上の感知部を対応して設けることが好ま U、ことも同様である。
[0280] なお、本実施形態では感知部は反応場セルユニットに設けられて 、るため、第 4の センサユニットに対して反応場セルユニットを着脱することにより、感知部も第 4のセン サユニットに機械的に着脱可能となっている。また、反応場セルユニットをセルュ-ッ ト装着部に装着した際には、第 4のセンサユニットの感知用ゲートに対して電気的に 導通状態となる。
[0281] [II.流路]
流路の形状、寸法、本数等に特に制限は無いが、その検出の目的に応じて、適当 な流路を形成することが望ましい。流路の具体例としては、第 1実施形態において説 明したものと同様のものが挙げられる。さらに、流路を形成する部材や、流路の形成 方法についても、第 1実施形態で説明したものと同様である。
[0282] [C.検出対象物質、特定物質及び相互作用]
第 4のセンサユニット及び反応場セルユニットにおける検出対象物質、特定物質及 び相互作用は、第 1〜第 3実施形態で説明したものと同様である。
また、感知部位に対して特定物質を固定ィ匕する方法は、感知部への特定物質の固 定ィ匕方法として第 1実施形態で説明したのと同様の方法を用いることができる。
[0283] さらに、具体的検出例としても、第 1実施形態と同様の例が挙げられる。
また、本実施形態のセンサユニットにおいてカーボンナノチューブをチャネルに用 いれば、非常に高感度な検出を実現することができ、このため、高感度の検出感度を 必要とする免疫項目等とその他の電解質等を同一原理で一度に測定することにより 、機能別、疾患別に一度に診断を行なうことができ、 POCTの実現が可能となる。こ のほか、第 1実施形態と同様の作用、効果が得られ、また、同様に変形して実施する ことも可能である。
[0284] [D.分析装置の例]
第 4のセンサユニット及び反応場セルユニット、並びにそれを用いた分析装置の一 例としては、第 1実施形態で例示したものと同様の例が挙げられる。即ち、第 1実施形 態で図 6〜図 8を用いて例示した分析装置 100において、基板 108、低誘電層 110 、ソース電極 111、ドレイン電極 112、チャネル 113、絶縁膜 114、感知用ゲート 115 、電圧印加ゲート 118及び絶縁体層 120から構成される検出デバイス部 109が本実 施形態のトランジスタ部 401として機能し、集積検出デバイス 104及びコネクタソケッ ト 105で構成されるセンサユニット 402が第 4のセンサユニットとして機能し、分離型 集積電極 106と反応場セル 107とから構成される反応場セルユニット 403が本実施 形態の反応場セルユニットとして機能する。また、コネクタソケット 105の上部に設けら れた装着部 105Bは、反応場セルユニット 403をセンサユニット 402に装着する部分 であり、セルユニット装着部 404として機能する。したがって、これらのセンサユニット 4 02及び反応場セルユニット 403を有する分析装置 100は、本実施形態の分析装置 4 00として機能するものである。
[0285] したがって、本実施形態の一例であるセンサユニット 402及び反応場セルユニット 4 03、並びに分析装置 400によれば、従来よりも広範囲の検出対象物質の分析に用 いることが可能である他、トランジスタ部 401 (即ち、検出デバイス部 109)の集積ィ匕を
行なったため、センサユニット 402の小型化、検出の迅速化、操作の簡便等の利点を 得ることができる。
[0286] また、センサユニット 402と反応場セルユニット 403とを別体として着脱可能に分離 形成したため、反応場セルユニット 403をフローセル等のディスポタイプとして使用で き、これにより、センサユニット 402や分析装置 400の小型化も可能であるため、ユー ザ一側の使 、勝手も向上する。
さらに、反応場セルユニット 403が分離可能、交換可能であるため、センサユニット 402及び分析装置 400の製造コストを安価にすることができ、さらに、使い切り可能に することや検体がバイオ的汚染を防ぐことができる。
[0287] また、第 1実施形態において説明したのと同様の作用 ·効果を得ることができる。
さらに、第 1実施形態において説明したのと同様に、上記構成を、本発明の要旨の 範囲内で任意に変形して実施することも可能である。
[0288] [第 5実施形態]
本発明の第 5実施形態としてのセンサユニット(以下適宜、「第 5のセンサユニット」と いう)は、基板と、基板に設けられたソース電極及びドレイン電極と、上記のソース電 極及びドレイン電極間の電流通路になるチャネルと、検出用感知ゲートとを備えたト ランジスタ部を有する。さらに、第 5のセンサユニットにおいて、検出用感知ゲートは、 基板に固定されたゲート本体と、ゲート本体に対して電気的に導通をとりうる感知部と を備える。また、第 5のセンサユニットは、検出対象物質の存在をトランジスタ部の特 性の変化として検出すべく電圧を印加される参照電極とを備えて構成されている。
[0289] なお、第 5のセンサユニットにおいても、第 1〜第 4のセンサユニットと同様、トランジ スタ部は、トランジスタとして機能する部分であり、このトランジスタの出力特性の変化 を検知することにより、本実施形態のセンサユニットは検出対象物質を検出するよう になっている。また、トランジスタ部は、そのチャネルの具体的な構成により、電界効 果トランジスタとして機能するものと、単一電子トランジスタとして機能するものとに区 別できるが、第 5のセンサユニットにおいてはいずれを用いても良い。なお、以下の説 明において、トランジスタ部のことを適宜、単に「トランジスタ」というが、その場合、特 に断らない限り、電界効果トランジスタ及び単一電子トランジスタのいずれとして機能
するかは区別しない。
[0290] [I. トランジスタ部]
(1.基板)
第 5のセンサユニットにおいて、基板は、第 1〜第 4実施形態で説明したのと同様の ものである。
[0291] (2.ソース電極,ドレイン電極)
第 5のセンサユニットにおいて、ソース電極及びドレイン電極は、第 1〜第 4実施形 態で説明したのと同様のものである。
[0292] (3.チャネル)
第 5のセンサユニットにおいて、チャネルは、第 1,第 2,第 4実施形態で説明したの と同様のものである。したがって、第 1,第 2,第 4実施形態で説明したのと同様の構 成のものを用いることができ、その作製方法にっ ヽても同様のものを用いることができ る。
[0293] (4.検出用感知ゲート)
検出用感知ゲートは、ゲート本体である感知用ゲートと、感知部とを有して構成され ている。また、第 5のセンサユニットでは、検出用感知ゲートの感知部が検出対象物 質に起因する何らかの電気的な変化を感知した場合、感知用ゲートのゲート電圧が 変化するようになっており、この感知用ゲートのゲート電圧の変化に伴って生じるトラ ンジスタの特性の変化を検出することにより検出対象物質の検出を行なうことができ るようになっている。
[0294] (4 1.感知用ゲート)
第 5のセンサユニットにおいて、感知用ゲートは、第 1,第 4実施形態で説明したのと 同様のものである。したがって、感知用ゲートは、後述する反応場セルユニットが有 する感知部とともに、検出用感知ゲートを構成するようになって 、る。
[0295] (4- 2.感知部)
本実施形態において感知部は、ソース電極及びドレイン電極が固定された基板と は別体に形成され、感知用ゲートに対して電気的に導通をとりうる部材である。そして 、感知部は、検出対象物質に起因する何らかの電気的な変化を感知した場合、この
電気的な変化を電気信号として感知用ゲートに送り、感知用ゲートのゲート電圧を変 ィ匕させることができるようになって 、る。
[0296] この感知部は、特定物質を固定ィ匕する必要が無いこと以外は、第 1,第 4実施形態 で説明した感知部と同様に構成することができる。したがって、感知部の材料、個数 、形状、寸法、感知用ゲートに対して導通をとる手段なども、第 1実施形態で説明した のと同様である。さらに、感知部を 2個以上設ける場合、 1つの感知用ゲートに対して 2つ以上の感知部を対応して設けることが好ましいことも同様である。なお、センサュ ニットの検出対象物質を検出する機能を損なわない限り、感知部には特定物質が固 定されていてもよい。
[0297] (5.参照電極)
参照電極は、検出対象物質の存在をトランジスタ部の特性の変化として検出すべく 電圧を印加される電極である。詳しくは、感知部に対して電圧を印加する電極であり 、このとき、検体を介して感知部に電圧を印加するように構成してもよい。さらに、参 照電極は、基準電極として用いたり、検体の電圧を一定にするために用いたりするこ ともできる。なお、検体とは、センサユニットを用いて検出する対象となるものであり、 その検体に検出対象物質が含有されて!、る場合には、本実施形態のセンサユニット を用いて検出対象物質が検出されるようになって!/ヽる。
[0298] 参照電極は、検出対象物質の検出が可能である限りその配置位置に制限は無い。
基板上に形成することも可能であるが、通常は、感知部とともに基板とは別体として 形成する。ただし、検出感度を高めるためには、参照電極と感知部とを対向させるよ うに配置し、両者の間に検体が位置するようにセンサユニットを構成することが好まし い。また、参照電極は、感知部に対して安定して電圧又は電界を印加できる程度に 感知部の近傍に配設することが好ま U、。
[0299] さらに、参照電極はチャネル、ソース電極及びドレイン電極から絶縁された電極とし て形成するが、この際、参照電極の材料、寸法、形状に特に制限は無い。通常は、 第 1実施形態で電圧印加ゲートについて説明したのと同様の材料、寸法、形状で形 成することができる。
また、感知部を 2つ以上設ける場合には、 1つの参照電極が 2つ以上の感知部に対
応するように構成してもよい。これにより、センサユニットの小型化を図ることができる。
[0300] ここで、参照電極を用いた検出のメカニズムを説明する。
参照電極が感知部に対して電圧または電界を印加できるようにセンサユニットを構 成した場合、参照電極と感知部とを絶縁させ、参照電極が形成する電界内に検体が ある状態で、感知部に電圧または電界を印加する。このとき、検体内の検出対象物 質が何らかの変化 (数、濃度、密度、相、状態等の変化など)を生じると、検出対象物 質の変化に起因して検体部分の誘電率が変化し、このため感知用ゲートのゲート電 位が変化する。このゲート電圧の変化に伴って生じるトランジスタの特性の変化を検 出することにより検出対象物質の検出を行なうことができる。
[0301] 一方、検体を介して感知部に電圧を印加できるようにセンサユニットを構成した場 合、検体を介して特定 (直流、交流)の電圧または電界を感知部に印加する。このと き、検体内の検出対象物質が何らかの変化 (数、濃度、密度、相、状態等の変化など )を生じると、検出対象物質の変化に起因して検体部分の電気インピーダンスが変化 し、このため感知用ゲートのゲート電位が変化する。このゲート電圧の変化に伴って 生じるトランジスタの特性の変化を検出することにより検出対象物質の検出を行なうこ とがでさる。
[0302] (6.電圧印加ゲート)
第 5のセンサユニットにおいては、トランジスタ部は電圧印加ゲートを備えていてもよ い。第 5のセンサユニットのトランジスタ部に設けられる電圧印加ゲートは、第 1〜第 4 のセンサユニットのトランジスタ部に設けられるものと同様である。
[0303] (7.集積化)
上述したトランジスタは、集積ィ匕されていることが好ましい。即ち、単一の基板に、ソ ース電極、ドレイン電極、チャネル、検出用感知ゲート、及び、適宜電圧印加ゲート 力^以上設けられていることが好ましぐさらに、それらはできるだけ小型化されている ことがより好ましい。ただし、検出用感知ゲートの構成要素のうち、感知部は、通常は 基板とは別に形成されるため、基板上には少なくとも感知用ゲート (ゲート本体)が集 積されていればよい。また、適宜、各トランジスタの構成部材はそれぞれ他のトランジ スタの構成部材と共有されるように設けてもよぐ例えば、検出用感知ゲートの感知部
、参照電極及び電圧印加ゲート等は、集積ィ匕されたトランジスタのうちの 2以上に共 有されるようにしてもよい。さらに、集積ィ匕するトランジスタは 1種のもののみを集積ィ匕 しても良く、 2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用して集積ィ匕しても良!ヽ。
[0304] このようにトランジスタの集積ィ匕を行なうことにより、センサユニットの小型化及び低コ スト化、検出の迅速ィ匕及び検出感度の向上、並びに操作の簡便等の利点のうちの少 なくともいずれかを得ることができる。即ち、例えば、集積ィ匕により一度に多数の検出 用感知ゲートを設けることができるため、一つのセンサユニットで多数の検出対象物 質を検出することができる多機能なセンサユニットを、低コストで提供することができる 。また、例えばソース電極及びドレイン電極を多数並列接続するように集積ィ匕を行な えば、検出感度を高めることが可能になる。さらに、例えば、分析結果の検討のため 等に用いる比較用の電極などを別途用意する必要がなくなり、あるトランジスタを用い た結果を同一センサユニット上にある他のトランジスタの結果と比較して分析すること が可能となる。
[0305] トランジスタの集積ィ匕を行なう場合、トランジスタの配置や、必要に応じて固定化さ れる特定物質の種類などは任意である。例えば、ひとつの検出対象物質を検知する ためにひとつのトランジスタを用いてもょ 、し、複数のトランジスタのアレイを用いソー ス電極—ドレイン電極間を並列に電気的に接続し、各々の検出用感知ゲートでは同 じ検出対象物質を検知することにより、ひとつの検出対象物質を検知するために複 数のトランジスタを用いてもょ 、。
[0306] また、集積ィ匕の具体的な方法に制限はなぐ公知の方法を任意に用いることができ るが、通常は、集積回路を製造する際に一般的に用いられている製造方法を利用す ることができる。また、最近では MEMSと呼ばれる、金属(導体)や半導体に機械的 要素を作りこむ方法も開発されており、その技術を利用することも可能である。
[0307] さらに、集積ィ匕を行なった場合の配線についても制限はなく任意である力 通常は 、寄生容量や寄生抵抗の影響をできるだけ排除するように配置等を工夫することが 好ましい。具体的には、例えば、エアブリッジ技術やワイヤボンディング技術を用いて 各ソース電極間及び z又はドレイン電極間を接続したり感知用ゲートと感知部とを接 続したりすることが好ましい。
[0308] [II.電気接続切替部]
第 5のセンサユニットにお 、てトランジスタ部が集積されて 、る場合や感知部が複 数設けられている場合、即ち、感知用ゲート及び感知部の一方又は両方が 2個以上 設けられている場合には、第 5のセンサユニットは、感知用ゲートと感知部との導通を 切り替える電気接続切替部を備えていることが好ましい。この場合、第 5のセンサュ- ットが備える電気接続切替部は、第 1,第 2,第 4実施形態で説明したものと同様であ る。
[0309] [III.反応場セルユニット]
第 5のセンサユニットは、反応場セルユニットを設けてもよい。この反応場セルュ-ッ トは、検出を行なう場合に検体を所望の位置に存在させることができれば、即ち、検 出時に検体を参照電極の電界内に位置させる力、検体を介して参照電極が感知部 に電圧を印加できるようにすることができれば具体的な構成に制限は無 、。
[0310] ただし、検体が流体である場合には、検体を流通させる流路を有する部材として構 成することが望ましい。検体を流通させて検出を行なうことにより、検出の迅速化、操 作の簡便等の利点を得ることができる。
また、反応場セルユニットが流路を有している場合、その形状、寸法、本数、流路を 形成する部材の材質、流路の製作方法等に制限はないが、通常は、第 1,第 4実施 形態で説明した流路と同様である。
[0311] さらに、反応場セルユニットには、上述した感知部及び参照電極のいずれか一方 又は両方を形成してもよい。即ち、基板上の感知用ゲートと、反応場セルユニットの 感知部及び参照電極とにより、検出用感知ゲートが構成されるようにしても良い。これ により、感知部及び参照電極の着脱を反応場セルユニットの着脱と共に行なうことが 可能となり、操作の簡便化を図ることができる。
[0312] [IV.検出対象物質及び具体的検出例]
(1.検出対象物質)
検出対象物質とは、本実施形態のセンサユニットが検出する対象となる物質である 。第 5のセンサユニットにおける検出対象物質については特に制限は無ぐ任意の物 質を検出対象物質とすることができる。また、検出対象物質として、純物質以外のも
のを用いることも可能である。その具体例としては、第 1〜第 4実施形態で例示したも のと同様のものが挙げられる。
[0313] (2.具体的検出例)
以下、本実施形態のセンサユニットを用いた検出対象物質の検出方法の具体例を 例示する。
例えば、本実施形態のセンサユニットを用いれば、第 1実施形態と同様に、特定物 質を用いて生体分子間相互作用を用いたタンパク質等の検出、血液電解質の検出 、 pHの測定、血液ガスを検出、基質の検出、酵素の検出などを行なうことができる。
[0314] また、例えば、本実施形態のセンサユニットを用いれば、血液電解質を検出対象物 質として検出することができる。この場合、通常は、液膜型イオン選択性電極法を採 用する。
さらに、例えば、本実施形態のセンサユニットを用いれば、 pHの測定を行なうことが できる。この pHの測定では、水素イオンを検出対象物質として検出し、それにより pH を測定する。また、通常は、水素イオン選択性電極法を採用する。
[0315] また、例えば、血液を検体として、血液凝固能測定を行なうこともできる。血液凝固 能測定として主なものを挙げれば、活性ィ匕部分トロンボプラスチン時間 (APTT)の測 定、プロトロンビン時間(PT)の測定、および活性ィ匕凝固時間 (ACT)の測定などが 挙げられる。また、単なる全血凝固時間の測定を行なうことも可能である。
[0316] APTT試験では、血液の凝固の内因性の一連の酵素触媒反応および一般的な一 連の酵素触媒反応を感知し、評価できる。したがって、 APTTは、しばしば静脈内の へノ^ン抗凝血剤治療を監視するために使用される。特に、 APTT試験は、活性ィ匕 剤、カルシウムおよびリン脂質カ^ェン酸塩血液サンプルにカ卩えられた後にフイブリ ンクロットが形成される際の形成に要する時間を測定できる。なお、クェン酸塩血液 サンプルは抗凝固処理された血液サンプル(全血、血漿を含む)のことを表わす。ま た、抗凝固処理にはクェン酸処理の以外にもへパリン処理を含むが、これらに限定さ れるものではない。また、へパリン処理はクロット形成を抑制する効果を有する。
[0317] また、 PT試験では、血液の凝固の外因性の一連の酵素触媒反応および一般的な 一連の酵素触媒反応を感知し、評価できる。したがって、経口抗凝血剤治療を監視
するために使用される。特に、 PT試験では、活性化剤、カルシウム及び組織トロンボ プラスチンがクェン酸塩血液サンプルにカ卩えられた後にフイブリンクロットが形成され る際の形成に要する時間を測定できる。なお、経口抗凝血剤クマディンは、プロトロン ビンの形成を抑制する効果がある。したがって、この PT試験は、血液サンプルへの力 ルシゥムおよび組織トロンボプラスチンの付カ卩に基づ ヽて 、る。
[0318] さらに、 ACT試験は、血液の凝固の内因性の一連の酵素触媒反応および一般的 な一連の酵素触媒反応を感知し、評価できる。したがって、 ACT試験は、へパリン治 療をよる抗凝血剤を監視するためにしばしば使用される。なお、この ACT試験は、外 因性の抗凝血剤が全く加えられない全血液を新しくするための内因性の一連の触媒 反応への活性剤の付加に基づ 、て 、る。
[0319] 上記の APTT、 PT、 ACT等の血液凝固線溶能を調べる場合、例えば、血液 (全血 、血漿を含む)等との接触後に試料 (血液)の誘電率変化を促進することができる少 なくとも 1種の試薬と血液等とを混合し、この混合液を参照電極とゲート電極との間に 配置し、この時生じる誘電率の時間的変化を直接、感知用ゲート上での電気容量変 化による応答として感知することにより、凝固時間を測定する。
[0320] また、上記の血液凝固時間の測定には、粘性、導電率、光学的に濃度変化をみる など各種の方法が開発されている。しかし、本実施形態のセンサユニットにおいては 、デバイスの構造原理上、誘電率の変化に敏感なカーボンナノチューブを SETチヤ ネルに用いた単一電子トランジスタを用いると、検出感度が非常に高まるため、好ま しい。以下、その場合の具体的なセンサユニットの例について説明する。ただし、本 発明は以下に示す例に限定されるものではなぐ任意に変形して実施することができ る。
[0321] 図 13は、血液凝固時間の測定に用いるセンサユニットの一例の要部構成を模式的 に示す断面図である。このセンサユニットは、図 13に示すように、 Siで形成された基 板 12の表面に SiOの絶縁層 13が形成され、絶縁層 13の表面にソース電極 14及び
2
ドレイン電極 15が形成されている。また、ソース電極 14とドレイン電極 15との間には 、カーボンナノチューブによって SETチャネル 16が形成されている。さらに、 SETチ ャネル 16の上部には、感知用ゲート(ゲート本体) 17が形成されている。なお、この
感知用ゲート 17は、その下面に絶縁層(図示省略)を有しており、これによつて、感知 用ゲート 17と SETチャネル 16とが絶縁されている。
[0322] また、ソース電極 14及びドレイン電極 15の上面全体、並びに SETチャネル 16両端 部上面には絶縁層 18が形成されていて、これにより、ソース電極 14及びドレイン電 極 15と感知用ゲート 17とが絶縁されている。
[0323] さらに、感知用ゲート 17の上部には、感知部 19が機械的に着脱可能に形成されて いる。この感知部 19は導体で構成されたゲートであり、感知用ゲート 17に電気的に 導通している。
さらに、感知部 19の上部には図示しな 、反応場セルにより反応場 21が形成されて いて、この反応場 21内において、血液が凝固するようになっている。
また、反応場 21を挟んで感知部 19の対向する位置には、参照電極 22が設けられ て!、て、この参照電極 22から感知部 19に対して電圧を印加できるようになって!/、る。
[0324] さらに、基板 12の裏面(図中下側)には電圧印加ゲート 23が形成されていて、この 電圧印加ゲート 23には、検出対象物質の存在をトランジスタ部 24の特性の変化とし て検出すベぐ SETチャネル 16に対して電圧を印加するための電圧を印加されるよ うになつている。ただし、この電圧印加ゲート 23は、適宜、 SETチャネル 16に対して 電圧を印加する以外の用途に用いるようにしても力まわな 、。
[0325] このセンサチップでは、基板 12、絶縁層 13, 18、ソース電極 14、ドレイン電極 15、 SETチャネル 16、検出用感知ゲート 20 (即ち、感知用ゲート 17、感知部 19)、及び 電圧印加ゲート 23からトランジスタ部 24が構成されている。また、ソース電極 14、ドレ イン電極 15、参照電極 22、電圧印加ゲート 23にはそれぞれ配線が接続され、この 配線を通じて電圧が印加されたり、外部の測定機器によって電流、電圧等を測定さ れたりするようになって!/、る。
[0326] 以上のようなセンサユニットでは、反応場 21に凝固反応が進行するように処理され た検体である血液を充填し、参照電極 22の電気容量を形成する場で、凝固反応を 進行させる。凝固反応が進行すれば、反応場 21内の誘電率が変化し、トランジスタ 部 24の電気容量が変化する。したがって、単純に参照電極に印加される電圧 (即ち 、参照電極 22の電位 Vまたはソース電極 14に対する参照電極 22の電圧 V )がー
定の電圧下で、トランジスタ部 24のドレイン電流 Iを観測すれば、誘電率が増加すれ
D
ば Iも増加することになるため、誘電率の変化から、反応速度を時定数から割り出せ
D
、凝固時間を算出できる。さら〖こ、上記のトランジスタ部 24で発振器を構成して動作 をさせるようにすれば、トランジスタ部 24の電気容量の変化によって、パルス時間幅 や発振する周波数は変化する。また、凝固によって誘電率が増加すればパルス時間 幅が増加するため、この増加分力 割り出せる時定数と凝固時間との相関が測定で きる。また発振周波数は、誘電率が増加すれば減少するので、電気容量を計測でき る回路 {Qメータ (RCL直列発振器)、 Cメーター、交流ブリッジ回路など }を組み込め ば、特に制約はなく計測可能である。
[0327] 例えば簡単な一例を挙げるとすれば、図 14のような回路を有する分析装置 (マルチ ノイブレータ)を組み、その各部における時定数 τ (=R C ) , τ (=R C )を測定
1 A A 2 B B することにより、上記の凝固時間との相関を測定することができる。即ち、凝固時間検 出部(ここに、上記のセンサユニットのトランジスタ部 24が用いられる)の静電容量 C
B
が変化すると、例えば図 15に示すように各部の時定数 τ , て が変化をする。したが
1 2
つて、この時定数 τ , て
1 2の変化を読み取れば、それを用いて上記の凝固時間との 相関を知ることが可能である。なお、図 14は上記のセンサユニットを有する分析装置 の測定回路の一例を表わす図であり、図 14において R , R
A Bはそれぞれ対応する抵 抗の抵抗値を表わし、 V , V , V , V はそれぞれ対応する位置における電圧を
Dl D2 Gl G2
表わし、 V は直流電源を表わし、 Cは任意のコンデンサの容量、 Cは参照電極 22
DD A B
と電圧印加ゲート 23との間の電気容量を表わす。また、図 15はトランジスタの特定変 化の一例である時定数の変化を説明するための図であり、 T , Tはそれぞれ周期を
1 2
表わす。
[0328] また、回路構成上、トランジスタ部 24を用いて凝固時間を計測しない回路部分にお いて、所望の項目以外に敏感な同相入力に影響する要素 (例えば、温度変化、圧力 変化等)が生じる場合には、それらの要素を引き算をするように構成すれば、感度よく 測定ができる。
[0329] さらに、反応場 21では、試薬の定量的な送液方法や反応スキームなどは、再現性 カ 、ものであればよぐ特に限定するものではな 、。
なお、誘電率変化を促進するために試薬を用いる場合の具体例としては、例えば、 APTT試験では、クェン酸処理した血液に、活性ィ匕物質であるカルシウム及びリン脂 質を試薬として混合することが挙げられる。また、例えば PT試験では、血液へ、カル シゥム及び組織トロンボプラスチンの混合が挙げられる。
[0330] また、例えば、血液を検体として、血算測定を行なうこともできる。血算測定とは赤 血球数 (RBC)、ヘモグロビン濃度(Hb)、へマトクリット(Hct)、白血球数 (WBC)、 血小板数 (Pit)、平均赤血球容積 (MCV)、平均赤血球ヘモグロビン濃度 (MCHC) などの測定を表わす。さらに、これに白血球分類 (リンパ球、顆粒球、単球)を加えた ものは、血球計数検査という。
赤血球数 (RBC)、白血球数 (WBC)、血小板数等の血算を調べる場合、電気抵抗 を用いて測定する。例えば、血球を小孔 (アパーチャ一)に流通させ、その小孔を血 球が通過する際の電気抵抗変化数 (血球通過信号)若しくは電気インピーダンス変 化数を感知することにより、血算を測定する。
[0331] 以下、全血算測定に用いるセンサユニットの一例を説明するが、本発明は以下の 例に限定されるものではなぐ任意に変形指定実施することができる。
図 16は、全血算測定に用いるセンサユニットの一例の要部構成を模式的に示す断 面図である。なお、図 16において、図 13と同様の符号で示す部分は、同様のものを 表わす。また、図 16は反応場セルユニット 25を装着した状態を示している。
このセンサユニットは、図 16に示すように、図 13で示した血液凝固時間の測定に用 V、るセンサユニットの感知部 19及び反応場 21を備えず、着脱可能に形成された反 応場セルユニット 25を備えた構成となっている。即ち、図 16のセンサユニットは、基 板 12、絶縁層 13, 18、ソース電極 14、ドレイン電極 15、カーボンナノチューブで形 成された SETチャネル 16、感知用ゲート(ゲート本体) 17、参照電極 22、及び電圧 印加ゲート 23、並びに、反応場セルユニット 25を備えている。
[0332] 反応場セルユニット 25は、上下一対の板状フレーム 26, 27の間に絶縁材で形成さ れたスぺーサ 28を備えていて、スぺーサ 28の間には図 16の紙面に交差する向きに 血液を流すための流路 29が形成されて 、る。
また、流路 29の下部には板状フレーム 26を貫通する孔が形成され、その孔には導
体により形成された感知部 30が設けられている。感知部 30は、反応場セルユニット 2 5と一体に形成されているため、反応場セルユニット 25を図 16のように装着した場合 には、感知部 30と感知用ゲート 17とが導通し、反応場セルユニット 25を取り外した場 合には感知部 30と感知用ゲート 17とが導通しないようになっている。これにより、感 知部 30は、感知部 30の流路 29側表面(図中上面)上の部分を検出対象物質である 赤血球などが通過する際の電気抵抗変数 (血球通過信号)若しくは電気インピーダ ンス変化数を、感知部 30から感知用ゲート 17への電気信号により感知するようにな つている。
[0333] さらに、流路 29の上部にも板状フレーム 27を貫通する孔が形成され、その孔には 導体により形成された電極部 31が設けられている。電極部 31は、参照電極 22と接 するように形成されているため、電極部 31と参照電極 22とは電気的に導通がとられ ており、したがって、参照電極 22から印加される電圧は電極部 31を通じ、流路 29を 介して感知部 30及び感知用ゲート 17に電圧を印加できるようになつている。
[0334] なお、感知部 30及び電極部 31は、板状フレーム 26, 27を貫通する孔を塞いでい るため、流路 29内流れる流体が流路 29外に漏れ出す虡は無い。
このような構成のセンサチップにおいては、基板 12、絶縁層 13, 18、ソース電極 1 4、ドレイン電極 15、 SETチャネル 16、検出用感知ゲート 20 (即ち、感知用ゲート 17 、感知部 30)、及び電圧印加ゲート 23からトランジスタ部 32が構成されている。また、 ソース電極 14、ドレイン電極 15、参照電極 22、電圧印加ゲート 23にはそれぞれ配 線が接続され、この配線を通じて電圧が印加されたり、外部の測定機器によって電流 、電圧等を測定されたりするようになっている。
[0335] 以上のようなセンサユニットを使用する際には、流路 29に検体である血液を流通さ せる。この際、参照電極 22から一定の電圧を印加しながら流路 29に検体を流通させ る。この際、検出対象物質が感知部 30と電極部 31との間の部分を流通すれば流路 29の感知部 30と電極部 31との間の部分の電気インピーダンスが変化するため、 SE Tチャネル 16を流れるドレイン電流は、検出対象物質が流れる度に大きく変化する。 したがって、その変化した回数をカウントすることにより、血算を測定することができる
[0336] 血算の内、赤血球数 (RBC)と赤血球容積 (MCV)とは血液を直接あるいは希釈し た後、上記の方式で測定される。また、血小板数 (Pit)は赤血球測定時に血小板 Z 赤血球の血球通過信号比で求められる。さらに、白血球数 (WBC)は、予め赤血球 を溶血剤で処理した後、上記方法による試料の血球通過信号でもって求められる。 なお、白血球分類は白血球測定時に通過血球信号の電気抵抗値で識別 ·同定,分 類される。さらに、ヘモグロビン濃度は免疫学的に測定し、へマトクリットは電導度法 で測定する。また、これらの値力 赤血球恒数(MCV、 MCH、 MCHC)が算出され る。
[0337] なお、ここで例示したセンサユニットの構成は、各構成要素の説明にお 、て上述し たように適宜変更することができ、例えば、複数の項目を測定する際、一つの項目で 使用する試薬や反応生成物が他の項目の測定を阻害することを防ぐため、個々の感 知部を仕切り分けることができる。また、検出対象物や検出に必要な試薬を個々の感 知部へ送る際、上述したような流路によって分けて力 感知部へ送るようにすることも できる。
[0338] さらに、上記例では SETチャネル 16を用いた例を示した力 代わりに FETチャネル を用いることも可能であり、また、カーボンナノチューブ以外のチヤネノレを用いることも 可能である。
ただし、カーボンナノチューブをチャネルに用いることは、非常に高感度の検出を 実現するため、高感度の検出感度を必要とする免疫項目とその他の生化学項目等 を同一原理で一度に測定することにより、疾患別に一度に診断を行なうことができ、 P OCTの実現が可能となる。
[0339] [V.分析装置の例]
以下に、第 5のセンサユニット、及び、それを用いた分析装置の一例の構成を示す 力 本発明は以下の例に限定されるものではなぐ例えば各構成要素の説明におい て上述したように、本発明の要旨を逸脱しな 、範囲にぉ 、て任意に変形して実施す ることがでさる。
なお、以下に説明する第 5のセンサユニット及びそれを用いた分析装置の概要は、 第 1のセンサユニットを用いた分析装置の一例として第 1実施形態で説明した分析装
置に対し、特定物質を用いず、参照電極を新たに設けたほかは同様の構成となって いる。
[0340] 図 17は、第 5のセンサユニットを用いた分析装置 500の要部構成を模式的に示す 図であり、図 18は、第 5のセンサユニットの要部構成を模式的に示す分解斜視図で ある。また、図 7 (a) ,図 7 (b)には、検出デバイス部 509の要部構成を模式的に示し、 図 7 (a)はその斜視図、図 7 (b)は側面図である。さらに、図 19は、コネクタソケット 50 5、分離型集積電極 506及び反応場セル 507魏積検出デバイス 504に取り付けた 状態について、その電極部 516周辺を模式的に示す断面図である。なお、この図 19 においては、説明のため、コネクタソケット 505はその内部の配線 521のみを示す。ま た、図 7 (a) ,図 7 (b) ,図 17〜図 19において、同様の符号で示す部分は、同様のも のを表わす。
[0341] 図 17に示すように、この分析装置 500は、センサユニット 501と、測定回路 502とを 有して構成され、ポンプ(図示省略)によって検体を矢印のように流すことができるよう に構成されている。ここで、測定回路 502は、参照電極 527に印加する電圧を制御し つつセンサユニット 501内のトランジスタ部(図 19のトランジスタ部 503参照)の特性 変化を検出するための回路(トランジスタ特性検出部)であり、任意の抵抗、コンデン サ、電流計、電圧計などから目的に応じて構成される。
[0342] センサユニット 501は、図 18に示すように、集積検出デバイス 504と、コネクタソケッ ト 505と、分離型集積電極 506と、反応場セル 507とを備えている。このうち、集積検 出デバイス 504は分析装置 500に固定されている。一方、コネクタソケット 505、分離 型集積電極 506及び反応場セル 507は、集積検出デバイス 504から機械的に着脱 可能となっている。
[0343] 集積検出デバイス 504及びコネクタソケット 505の構成は、第 1のセンサユニットを 用いた分析装置の一例として第 1実施形態で説明した分析装置 100における集積検 出デバイス 104及びコネクタソケット 105と同様である。
即ち、集積型検出デバイス 504は、図 18に示すように、基板 508上に、それぞれ同 様に構成された複数 (ここでは 4個)の検出デバイス部 509が集積化された構成とな つていて、各検出デバイス部 509は、図 7 (a) ,図 7 (b)に示すように、第 1実施形態で
説明した低誘電層 110、ソース電極 111、ドレイン電極 112、チャネル 113、絶縁膜 1 14、感知用ゲート(ゲート本体) 115、電圧印加ゲート 118、絶縁体層 120とそれぞれ 同様に形成された低誘電層 510、ソース電極 511、ドレイン電極 512、チャネル 513 、絶縁膜 514、感知用ゲート (ゲート本体) 515、電圧印加ゲート 518、及び絶縁体層 520を備えている。また、感知用ゲート 515は、コネクタソケット 505を介して分離型集 積電極 506及び反応場セル 507を集積検出デバイス 504に装着することにより、分 離型集積電極 506の対応する電極部 516と共に検出用感知ゲート 517 (図 19参照) を構成するようになっている。
[0344] また、コネクタソケット 505は、集積検出デバイス 504と分離型集積電極 506との間 で、集積検出デバイス 504と分離型集積電極 506とを接続するコネクタであり、第 1実 施形態で説明した装着部 105A及び装着部 105Bとそれぞれ同様に形成された装 着部 505A及び装着部 505Bが設けられ、さらに、配線 521 (図 19参照)とスィッチ( 図示省略)とを有している。これにより、集積検出デバイス 504の図中左から 1番目、 2 番目、 3番目及び 4番目の検出デバイス部 509それぞれと、分離型集積電極 506の 図中左から 1列目、 2列目、 3列目及び 4列目の各 3個づつの電極部 516とを対応さ せて、それぞれ電気的に導通をとることができ、さらに、感知用ゲート 515と対応する 電極部 516との導通を切り替えられるようになつている。したがって、コネクタソケット 5 05は、導通部材及び電気接続切替部として機能するようになって!/ヽる。
[0345] また、分離型集積電極 506の構成は、電極部 (感知部) 516 (図 6の電極部 116〖こ 相当)に特定物質が固定化されていないこと以外は、第 1実施形態で説明した分離 型集積電極 106と同様である。即ち、分離型集積電極 506は、図 19に示すように、 第 1実施形態で説明した基板 122、電極部 (感知部) 116及び配線 124と同様の基 板 522、電極部 (感知部) 516及び配線 524を有して構成されている。
[0346] さらに、反応場セル 507の構成は、参照電極 527が形成されていること以外は、第 1実施形態で説明した反応場セル 107と同様である。即ち、反応場セル 507は、第 1 実施形態で説明した基体 125及び流路 119と同様の基体 525及び流路 519を有し て構成され、さらに、各電極部 516に対向する流路 519の上面に面して、各電極部 5 16にそれぞれ対応する参照電極 527が形成されている。また、各参照電極 527には
、分析装置 500に設けられた電源(図示省略)から電圧が印加されるようになってい て、参照電極 527の電圧の大きさは、測定回路 502により制御されるようになってい る。
[0347] 反応場セル 507は、分離型集積電極 506と一体に形成され、反応場セルユニット 5 26を構成する。したがって、分析装置 500の使用時には反応場セルユニット 526をコ ネクタソケット 505を介して集積検出デバイス 504に装着することになる。なお、この 反応場セルユニット 526は通常は使い切り(使い捨て)とする。また、反応場セル 507 と集積検出デバイス 504とは、別体として形成しても良い。
[0348] 本例の分析装置 500及びセンサユニット 501は以上のように構成されている。した がって、使用時には、まず、コネクタソケット 505、及び反応場セルユニット 526 (即ち 、分離型集積電極 506及び反応場セル 507)を、集積検出デバイス 504に装着して 、センサユニット 501を準備する。その後、電圧印加ゲート 516に、トランジスタ部 503 (即ち、基板 508、低誘電層 510、ソース電極 511、ドレイン電極 512、チャネル 513 、絶縁膜 514、検出用感知ゲート 517及び電圧印加ゲート 518)の伝達特性を最大 とすることができる大きさの電圧を印加し、チャネル 513に電流を流通させる。その状 態で、測定回路 502でトランジスタ部 503の特性を測定し、且つ、参照電極 527から 一定の参照電圧を印加しながら、流路 519に検体を流通させる。
[0349] 検体は流路 519を流通し、電極部 516に接触する。この際、参照電極 527に参照 電圧が印加されているため、検体を介して電極部 516に電圧が印加される。ここで、 検体中に検出対象物質が含まれていれば、検出対象物質が電極部 516上を通過し た際に通過された電極部 516上のインピーダンスが変化するため、この電極部 516 に印加される電圧の大きさが変動する。この電圧の大きさの変動は電気信号となって 電極部 516から配線 524, 521を通じて感知用ゲート 515に伝わり、感知用ゲート 51 5では、この電気信号によりゲート電圧に変化が生じるなどするため、トランジスタ部 5 03の特性が変化する。
[0350] したがって、前記のトランジスタ部 503の特性の変化を測定回路 502で測定するこ とにより、検出対象物質を検出することができる。特に、本例では、チャネル 513とし てカーボンナノチューブを用いているため、非常に感度の高い検出を行なうことが可
能であり、したがって、従来は検出が困難であった検出対象物質の検出も行なうこと ができる。したがって、本例の分析装置 500は、従来よりも広範囲の検出対象物質の 分析に用いることが可能である。
また、本例の分析装置 500によれば、特定物質を用いることによるもののほかは、 第 1実施形態で説明した分析装置 100と同様の作用 ·効果を得ることができる。
[0351] ただし、ここで例示した分析装置 500及びセンサユニット 501は、あくまで第 5実施 形態としてのセンサユニットの一例であり、上記構成を、本発明の要旨の範囲内で任 意に変形して実施することも可能である。本実施形態のセンサユニットの各構成要素 の説明として上述したように変形することも可能である力 中でも、以下のように変形 を行なうことも可能である。
[0352] 例えば、分析装置 500及びセンサユニット 501は、検出対象物質が流路 519を流 れることによるインピーダンスの変化を感知する代わりに、検出対象物質が流路 519 を流れることによる流路 519内の誘電率の変化を感知するように構成しても良!、。 また、センサユニット 501の検出対象物質を検出する機能を損なわない限り、電極 部 516の一部又は全部には適当な特定物質が固定されていてもよい。さらに、この 場合、上記のインピーダンスや誘電率の変化に加え、特定物質と検出対象物質との 相互作用を感知するようにしても良 、。
さらに、第 1実施形態において説明したのと同様に、上記構成を、本発明の要旨の 範囲内で任意に変形して実施することも可能である。
[0353] また、特にチャネルをカーボンナノチューブで形成する場合には、感知用ゲートと 感知部とは、ソース電極及びドレイン電極が固定された基板に一体に形成されてい ても良い。即ち、センサユニットを、基板、基板に設けられたソース電極及びドレイン 電極、上記のソース電極及びドレイン電極間の電流通路になるカーボンナノチュー ブで形成されたチャネル、並びに基板に固定されたゲート (感知用ゲートと感知部と がー体に形成されたゲート。検出用感知ゲート)を有するトランジスタ部と、検出対象 物質の存在をトランジスタ部の特性の変化として検出すべく電圧を印加される参照電 極とを備えるように構成しても良 、。カーボンナノチューブを用いたチャネルを使用す ることにより、上記構成のトランジスタ部を、誘電率や電気インピーダンスなどの変化
に対して非常に敏感とすることができる。したがって、上記の構成によっても、従来よ りも検出感度が遥かに優れたセンサユニットを得ることができる。
[0354] [第 6実施形態]
本発明の第 6実施形態としてのセンサユニット(以下適宜、「第 6のセンサユニット」と いう)は、基板、該基板に設けられたソース電極及びドレイン電極、上記のソース電極 及びドレイン電極間の電流流路となるチャネル、並びに感知用ゲートを備えたトラン ジスタ部と、感知部、及び、検出対象物質の存在を該トランジスタ部の特性の変化と して検出すべく電圧を印加される参照電極を有する反応場セルユニットを装着する ためのセルユニット装着部とを備える。さらに、上記反応場セルユニットが該セルュ- ット装着部に装着されているときには上記感知部と該感知用ゲートとが導通状態とな るように構成されている。
[0355] 一方、上記の第 6のセンサユニットに装着される反応場セルユニットは、基板、基板 に設けられたソース電極及びドレイン電極、上記のソース電極及びドレイン電極間の 電流通路になるチャネル、並びに感知用ゲートを備えたトランジスタ部と、セルュ-ッ ト装着部とを備えるセンサユニットの上記セルユニット装着部に装着される反応場セ ルユニットであって、感知部と、検出対象物質の存在を該トランジスタ部の特性の変 化として検出すべく電圧を印加される参照電極とを有するものである。さらに、上記セ ルユニット装着部に装着されているときには、感知部と上記感知用ゲートとが導通状 態となるようになつている。
[0356] また、上記のトランジスタ部は、トランジスタとして機能する部分であり、このトランジ スタの出力特性の変化を検知することにより、本実施形態のセンサユニットは検出対 象物質を検出するようになっている。また、トランジスタ部は、そのチャネルの具体的 な構成により、電界効果トランジスタとして機能するものと、単一電子トランジスタとし て機能するものとに区別できる力 第 6のセンサユニットにお 、ては 、ずれを用いても 良い。なお、以下の説明において、トランジスタ部のことを適宜、単に「トランジスタ」と いうが、その場合、特に断らない限り、電界効果トランジスタ及び単一電子トランジス タの 、ずれとして機能するかは区別しな!、。
以下、第 6のセンサユニット及び反応場セルユニットの構成要素について説明する
[0357] [A.第 6のセンサユニット]
[I. トランジスタ部]
(1.基板)
第 6のセンサユニットにおいて、基板は、第 1〜第 5実施形態で説明したのと同様の ものである。
[0358] (2.ソース電極,ドレイン電極)
第 6のセンサユニットにおいて、ソース電極及びドレイン電極は、第 1〜第 5実施形 態で説明したのと同様のものである。
[0359] (3.チャネル)
第 6のセンサユニットにおいて、チャネルは、第 1,第 2,第 4,第 5実施形態で説明 したのと同様のものである。したがって、第 1,第 2,第 4,第 5実施形態で説明したの と同様の構成のものを用いることができ、その作製方法にっ ヽても同様のものを用い ることがでさる。
[0360] (4.感知用ゲート)
第 6のセンサユニットにおいて、感知用ゲートは、第 1,第 4,第 5実施形態で説明し たのと同様のものである。したがって、感知用ゲートは、後述する反応場セルユニット が有する感知部とともに、検出用感知ゲートを構成するようになっている。即ち、第 6 のセンサユニットでは、反応場セルユニットの感知部で検出対象物質に起因する何ら かの電気的な変化を感知した場合、この電気的な変化を電気信号として感知用ゲー トに送り、感知用ゲートのゲート電位を変化させ、この感知用ゲートのゲート電圧に伴 つて生じるトランジスタの特性の変化を検出することにより検出対象物質の検出を行 なうことができるようになって!/、る。
[0361] (5.セルユニット装着部)
セルユニット装着部は、後述する反応場セルユニットを装着するための部分である 。反応場セルユニットを第 6のセンサユニットに装着することができれば特に制限は無 ぐ任意の形状、寸法に構成することができる。
また、セルユニット装着部には、反応場セルユニットを直接装着する以外にも、コネ
クタ等の他の接続部材を間に介して装着するようにしてもよい。即ち、反応場セルュ ニットを装着した場合に、感知用ゲートと反応場セルユニットが有する感知部とが導 通状態となる限り、どのようにして装着するかは任意である。
[0362] (6.電圧印加ゲート)
第 6のセンサユニットにおいても、第 1〜第 5のセンサユニットと同様に、トランジスタ 部は電圧印加ゲートを備えていてもよい。第 6のセンサユニットのトランジスタ部に設 けられる電圧印加ゲートは、第 1〜第 5のセンサユニットのトランジスタ部に設けられる ものと同様である。
[0363] (7.集積化)
上述したトランジスタは、集積ィ匕されていることが好ましい。即ち、単一の基板に、ソ ース電極、ドレイン電極、チャネル、感知用ゲート、及び、適宜電圧印加ゲートが 2以 上設けられていることが好ましぐさらに、それらはできるだけ小型化されていることが より好ましい。ただし、適宜、各トランジスタの構成部材はそれぞれ他のトランジスタの 構成部材と共有されるように設けてもよぐ例えば、検出用感知ゲートの感知部及び 電圧印加ゲート等は、集積ィ匕されたトランジスタのうちの 2以上に共有されるようにし てもよい。さらに、集積ィ匕するトランジスタは 1種のもののみを集積ィ匕しても良ぐ 2種 以上を任意の組み合わせ及び比率で併用して集積ィ匕しても良 ヽ。
[0364] このようにトランジスタの集積ィ匕を行なうことにより、センサユニットの小型化及び低コ スト化、検出の迅速ィ匕及び検出感度の向上、並びに操作の簡便等の利点のうちの少 なくともいずれかを得ることができる。即ち、例えば、集積ィ匕により一度に多数の感知 用ゲートを設けることができるため、一つのセンサユニットで多数の検出対象物質を 検出することができる多機能なセンサユニットを、低コストで提供することができる。ま た、例えばソース電極及びドレイン電極を多数並列接続するように集積化を行なえば 、検出感度を高めることが可能になる。さらに、例えば、分析結果の検討のため等に 用いる比較用の電極などを別途用意する必要がなくなり、あるトランジスタを用いた結 果を同一センサユニット上にある他のトランジスタの結果と比較して分析することが可 能となる。
[0365] トランジスタの集積ィ匕を行なう場合、トランジスタの配置や、必要に応じて固定化さ
れる特定物質の種類などは任意である。例えば、ひとつの検出対象物質を検知する ためにひとつのトランジスタを用いてもょ 、し、複数のトランジスタのアレイを用いソー ス電極—ドレイン電極間を並列に電気的に接続し、各々の検出用感知ゲートでは同 じ検出対象物質を検知することにより、ひとつの検出対象物質を検知するために複 数のトランジスタを用いてもょ 、。
[0366] また、集積ィ匕の具体的な方法に制限はなぐ公知の方法を任意に用いることができ るが、通常は、集積回路を製造する際に一般的に用いられている製造方法を利用す ることができる。また、最近では MEMSと呼ばれる、金属(導体)や半導体に機械的 要素を作りこむ方法も開発されており、その技術を利用することも可能である。
[0367] さらに、集積ィ匕を行なった場合の配線についても制限はなく任意である力 通常は 、寄生容量や寄生抵抗の影響をできるだけ排除するように配置等を工夫することが 好ましい。具体的には、例えば、エアブリッジ技術やワイヤボンディング技術を用いて 各ソース電極間及び z又はドレイン電極間を接続したり感知用ゲートと感知部とを接 続したりすることが好ましい。
[0368] [II.電気接続切替部]
第 6のセンサユニットにおいて、トランジスタ部が集積されている場合や、セルュ-ッ ト装着部に装着する反応場セルユニットが感知部を複数有している場合には、第 6の センサユニットは、第 1,第 4,第 5のセルユニットと同様、感知用ゲートと感知部との 導通を切り替える電気接続切替部を備えていることが好ましい。これにより、センサュ ニットの小型化や、検出データの信頼性向上、検出の効率ィ匕などを図ることができる 。なお、トランジスタを集積した場合には、同一のトランジスタ内の導通だけでなぐ他 のトランジスタとの間で上記の導通を切り替えるように構成しても良い。
なお、第 6のセンサユニットが有する電気接続切替部としては、第 1,第 4,第 5のセ ンサユニットが有する電気接続切替部と同様のものを用いることができる。
[0369] [B.反応場セルユニット]
反応場セルユニットは、上記の第 6のセンサユニットのセルユニット装着部に装着さ れる部材であって、感知部及び参照電極を有するものである。また、反応場セルュニ ットは、検出を行なう場合に検体を所望の位置に存在させる部材である。さらに、上
記セルユニット装着部に装着されているときには、感知部と上記感知用ゲートとは導 通状態となるようになつている。なお、検体とは、センサユニットを用いて検出する対 象となるものであり、その検体に検出対象物質が含有されている場合には、本実施 形態のセンサユニットを用いて検出対象物質が検出されるようになって!/、る。
[0370] 反応場セルユニットは、検出を行なう場合に検体を所望の位置に存在させることが できれば具体的な構成に制限は無い。即ち、検出時に検体を参照電極の電界内に 位置させるか、検体を介して参照電極が感知部に電圧を印加できるようにすることが できれば具体的な構成に制限は無い。例えば、検体を所望の位置に保持する容器 として構成することができる。ただし、検体が流体である場合には、検体を流通させる 流路を有する部材として構成することが望ましい。検体を流通させて検出を行なうこと により、検出の迅速化、操作の簡便等の利点を得ることができる。
[0371] (I.感知部)
本実施形態において感知部は、ソース電極及びドレイン電極が固定された基板と は離隔して形成され、基板とは離隔して反応場セルユニットに形成された部材であり 、第 5実施形態で説明したものと同様のものである。即ち、この感知部は、特定物質 を固定ィ匕する必要が無いこと以外は、第 1,第 4実施形態で説明した感知部と同様に 構成することができる。したがって、感知部の材料、個数、形状、寸法、感知用ゲート に対して導通をとる手段なども、第 1,第 4,第 5実施形態で説明したのと同様である。 さらに、感知部を 2個以上設ける場合、 1つの感知用ゲートに対して 2つ以上の感知 部を対応して設けることが好ましいことも同様である。なお、センサユニットの検出対 象物質を検出する機能を損なわない限り、感知部には特定物質が固定されていても よい。
[0372] なお、本実施形態では感知部は反応場セルユニットに設けられているため、第 6の センサユニットに対して反応場セルユニットを着脱することにより、感知部も第 6のセン サユニットに機械的に着脱可能となっている。また、反応場セルユニットをセルュ-ッ ト装着部に装着した際には、第 6のセンサユニットの感知用ゲートに対して電気的に 導通状態となる。
[0373] (II.参照電極)
本実施形態の参照電極は、検出対象物質の存在をトランジスタ部の特性の変化と して検出すべく電圧を印加される電極である。詳しくは、感知部に対して電圧を印加 する電極であり、このとき、検体を介して感知部に電圧または電界を印加するように構 成してちょい。
[0374] 参照電極は、検出対象物質の検出に過大な悪影響を与えない限りその配置位置 に制限は無ぐ反応場セルユニットのいずれの位置に形成してもよいが、検出感度を 高めるためには、参照電極と感知部とを対向させるように配置し、両者の間に検体が 位置するように配置することが好ましい。また、参照電極は、感知部に対して安定して 電圧を印加できる程度に感知部の近傍に配設することが好ましい。
[0375] 本実施形態の参照電極は、第 5実施形態で説明した参照電極と同様の材料、寸法 、形状で形成することができる。また、感知部を 2つ以上設ける場合には、 1つの参照 電極が 2つ以上の感知部に対応するように構成してもよ!/ヽことも同様である。
さらに、参照電極を用いた検出のメカニズムについても、第 5実施形態で説明したも のと同様である。
[0376] (III.流路)
流路の形状、寸法、本数等に特に制限は無いが、その検出の目的に応じて、適当 な流路を形成することが望ましい。流路の具体例としては、第 1実施形態において説 明したものと同様のものが挙げられる。さらに、流路を形成する部材や、流路の形成 方法についても、第 1実施形態で説明したものと同様である。
[0377] [C.検出対象物質及び具体的検出例]
検出対象物質とは、本実施形態のセンサユニットが検出する対象となる物質である 。第 5実施形態と同様、第 6のセンサユニットにおける検出対象物質については特に 制限は無ぐ任意の物質を検出対象物質とすることができる。また、検出対象物質と して、純物質以外のものを用いることも可能である。その具体例としては、第 1〜第 5 実施形態で例示したものと同様のものが挙げられる。
[0378] さらに、具体的検出例としては、第 5実施形態と同様の例が挙げられる。
また、本実施形態のセンサユニットにおいてカーボンナノチューブをチャネルに用 いれば、非常に高感度な検出を実現することができ、このため、高感度の検出感度を
必要とする免疫項目等とその他の電解質等を同一原理で一度に測定することにより
、機能別、疾患別に一度に診断を行なうことができ、 POCTの実現が可能となる。こ のほか、第 5実施形態と同様の作用、効果が得られる。
[0379] ただし、本実施形態においては、図 13を用いて説明した血液凝固時間の測定に用 いるセンサユニットの一例については、基板 12、絶縁層 13, 18、ソース電極 14、ドレ イン電極 15、 SETチャネル 16、感知用ゲート 17、及び電圧印加ゲート 23からトラン ジスタ部 33が構成されていることとなり、また、感知部 19、反応場 21及び参照電極 2 2から反応場セルユニット 34が構成されていることとなる。さらに、感知用ゲート 17及 び絶縁層 18の上部によって、反応場セルユニット 34を装着するセルユニット装着部 35が構成され、このセルユニット装着部 35に前記反応場セルユニット 34が装着され て 、ることとなる。
[0380] また、本実施形態において、図 16を用いて説明した全血算測定に用いるセンサュ ニットの一例については、基板 12、絶縁層 13, 18、ソース電極 14、ドレイン電極 15、 SETチャネル 16、感知用ゲート 17及び電圧印加ゲート 23からトランジスタ部 36が構 成されていることとなり、また、上下一対の板状フレーム 26, 27、スぺーサ 28、流路 2 9、感知部 30、参照電極 22及び配線 31から反応場セルユニット 37が構成されてい ることとなる。さらに、感知用ゲート 17及び絶縁層 18の上部によって、反応場セルュ ニット 37を装着するセルユニット装着部 38が構成され、このセルユニット装着部 38に 前記反応場セルユニット 37が装着されていることとなる。
[0381] [D.分析装置の例]
第 6のセンサユニット及び反応場セルユニット、並びにそれを用いた分析装置の一 例としては、第 5実施形態で例示したものと同様の例が挙げられる。即ち、第 5実施形 態で図 17〜図 19を用いて例示した分析装置 500において、基板 508、低誘電層 51 0、ソース電極 511、ドレイン電極 512、チャネル 513、絶縁膜 514、感知用ゲート 51 5、電圧印加ゲート 518及び絶縁体層 520から構成される検出デバイス部 509が本 実施形態のトランジスタ部 601として機能し、集積検出デバイス 504及びコネクタソケ ット 505で構成されるセンサユニット 602が第 6のセンサユニットとして機能し、分離型 集積電極 506と反応場セル 507とから構成される反応場セルユニット 526が本実施
形態の反応場セルユニット 603として機能する。また、コネクタソケット 505の上部に 設けられた装着部 505Bは、反応場セルユニット 603をセンサユニット 602に装着す る部分であり、セルユニット装着部 604として機能する。したがって、これらのセンサュ ニット 602及び反応場セルユニット 603を有する分析装置 600は、本実施形態の分 析装置として機能するものである。
[0382] したがって、本実施形態の一例であるセンサユニット 602及び反応場セルユニット 6 03、並びに分析装置 600によれば、従来よりも広範囲の検出対象物質の分析に用 いることが可能である他、トランジスタ部 601 (即ち、検出デバイス部 509)の集積化を 行なったため、センサユニット 602の小型化、検出の迅速化、操作の簡便等の利点を 得ることができる。
[0383] また、センサユニット 602と反応場セルユニット 603とを別体として着脱可能に分離 形成したため、反応場セルユニット 603をフローセル等のディスポタイプとして使用で き、これにより、センサユニット 602や分析装置 600の小型化も可能であるため、ユー ザ一側の使 、勝手も向上する。
さらに、反応場セルユニット 603が分離可能、交換可能であるため、センサユニット 602及び分析装置 600の製造コストを安価にすることができ、さらに、使い切り可能に することや検体がバイオ的汚染を防ぐことができる。
[0384] また、第 5実施形態において説明したのと同様の作用'効果を得ることができる。
さらに、第 5実施形態において説明したのと同様に、上記構成を、本発明の要旨の 範囲内で任意に変形して実施することも可能である。
[0385] [第 7実施形態]
本発明の第 7実施形態としてのセンサユニット(以下適宜、「第 7のセンサユニット」と いう)は、基板と、基板に設けられたソース電極及びドレイン電極と、上記のソース電 極及びドレイン電極間の電流通路になるチャネルと、検出用感知ゲートとを備えたト ランジスタ部を有し、検出対象物質を検出するためのセンサユニットである。また、第 7のセンサユニットにおいては、トランジスタ部が 2以上集積されていると共に、検出対 象物質の存在を該トランジスタ部の特性の変化として検出すべく電圧を印加される参 照電極を備えている。
[0386] なお、第 7のセンサユニットにおいても、第 1〜第 6のセンサユニットと同様、トランジ スタ部は、トランジスタとして機能する部分であり、このトランジスタの出力特性の変化 を検知することにより、本実施形態のセンサユニットは検出対象物質を検出するよう になっている。また、トランジスタ部は、そのチャネルの具体的な構成により、電界効 果トランジスタとして機能するものと、単一電子トランジスタとして機能するものとに区 別できるが、第 7のセンサユニットにおいてはいずれを用いても良い。なお、以下の説 明において、トランジスタ部のことを適宜、単に「トランジスタ」というが、その場合、特 に断らない限り、電界効果トランジスタ及び単一電子トランジスタのいずれとして機能 するかは区別しない。
[0387] [I.トランジスタ部]
(1.基板)
第 7のセンサユニットにおいて、基板は、第 1〜第 6実施形態で説明したのと同様の ものである。
[0388] (2.ソース電極,ドレイン電極)
第 7のセンサユニットにおいて、ソース電極及びドレイン電極は、第 1〜第 6実施形 態で説明したのと同様のものである。
[0389] (3.チャネル)
第 7のセンサユニットにおいて、チャネルは、第 1,第 2,第 4〜第 6実施形態で説明 したのと同様のものである。したがって、第 1,第 2,第 4〜第 6実施形態で説明したの と同様の構成のものを用いることができ、その作製方法にっ ヽても同様のものを用い ることがでさる。
[0390] (4.検出用感知ゲート)
第 7のセンサユニットの検出用感知ゲートは、第 5のセンサユニットと同様に構成す ることがでさる。
また、第 7のセンサユニットを、第 5センサユニットの感知用ゲートと同様に構成して も良い。この場合、感知用ゲート自身が、検出対象物質に起因する何らかの電気的 な変化を感知し、これにより、ゲート電圧を変化させることができるように構成される。 なお、センサユニットの検出対象物質を検出する機能を損なわない限り、感知部には
特定物質が固定されて 、てもよ 、ことも、第 5のセンサユニットと同様である。
[0391] (5.電圧印加ゲート)
第 7のセンサユニットにおいても、第 1〜第 6のセンサユニットと同様に、トランジスタ 部は電圧印加ゲートを備えていてもよい。第 7のセンサユニットのトランジスタ部に設 けられる電圧印加ゲートは、第 1〜第 6のセンサユニットのトランジスタ部に設けられる ものと同様である。
[0392] (6.集積化)
第 7のセンサユニットにおいては、トランジスタ部は集積ィ匕されている。即ち、単一の 基板に、ソース電極、ドレイン電極、チャネル、検出用感知ゲート、及び、適宜電圧印 加ゲートが 2以上設けられており、さらに、それらはできるだけ小型化されていることが より好ましい。なお、適宜、各トランジスタの構成部材はそれぞれ他のトランジスタの 構成部材と共有されるように設けてもよぐ例えば、検出用感知ゲートの感知部、及び 、電圧印加ゲート等は、集積ィ匕されたトランジスタのうちの 2以上に共有されるようにし てもよい。さらに、集積ィ匕するトランジスタは 1種のもののみを集積ィ匕しても良ぐ 2種 以上を任意の組み合わせ及び比率で併用して集積ィ匕しても良 ヽ。
[0393] このようにトランジスタの集積ィ匕を行なうことにより、一つのセンサユニットでより多種 の検出対象物質の検出を行なうことができるようになるために分析を行なう際の利便 性を従来よりも高めることができる。また、センサユニットの小型化及び低コスト化、検 出の迅速ィ匕及び検出感度の向上、並びに操作の簡便等の利点のうちの少なくともい ずれかを得ることができる。即ち、例えば、集積ィ匕により一度に多数の検出用感知ゲ ートを設けることができるため、一つのセンサユニットで多数の検出対象物質を検出 することができる多機能なセンサユニットを、低コストで提供することができる。また、 例えばソース電極及びドレイン電極を多数並列接続するように集積ィ匕を行なえば、 検出感度を高めることが可能になる。さらに、例えば、分析結果の検討のため等に用 いる比較用の電極などを別途用意する必要がなくなり、あるトランジスタを用いた結果 を同一センサユニット上にある他のトランジスタの結果と比較して分析することが可能 となる。
[0394] トランジスタの集積ィ匕を行なう場合、トランジスタの配置や、必要に応じて固定ィ匕さ
れる特定物質の種類などは任意である。例えば、ひとつの検出対象物質を検知する ためにひとつのトランジスタを用いてもょ 、し、複数のトランジスタのアレイを用いソー ス電極—ドレイン電極間を並列に電気的に接続し、各々の検出用感知ゲートでは同 じ検出対象物質を検知することにより、ひとつの検出対象物質を検知するために複 数のトランジスタを用いてもょ 、。
[0395] また、集積ィ匕の具体的な方法に制限はなぐ公知の方法を任意に用いることができ るが、通常は、集積回路を製造する際に一般的に用いられている製造方法を利用す ることができる。また、最近では MEMSと呼ばれる、金属(導体)や半導体に機械的 要素を作りこむ方法も開発されており、その技術を利用することも可能である。
[0396] さらに、集積ィ匕を行なった場合の配線についても制限はなく任意である力 通常は 、寄生容量や寄生抵抗の影響をできるだけ排除するように配置等を工夫することが 好ましい。具体的には、例えば、エアブリッジ技術やワイヤボンディング技術を用いて 各ソース電極間及び z又はドレイン電極間を接続したり感知用ゲートと感知部とを接 続したりすることが好ましい。
[0397] [II.参照電極]
参照電極は、検出対象物質の存在をトランジスタ部の特性の変化として検出すべく 電圧を印加される電極である。詳しくは、検出用感知ゲートに対して電圧を印加する 電極であり、このとき、検体を介して検出用感知ゲートに電圧または電界を印加する ように構成してもよい。さらに、参照電極は、基準電極として用いたり、検体の電圧を 一定にするために用いたりすることもできる。
[0398] 参照電極は、検出対象物質の検出が可能である限りその配置位置に制限は無い。
基板上に形成することも可能であるが、通常は、基板とは別体として形成する。ただし 、検出感度を高めるためには、参照電極と検出用感知ゲートとを対向させるように配 置し、両者の間に検体が位置するようにセンサユニットを構成することが好ましい。ま た、参照電極は、検出用感知ゲートに対して安定して電圧又は電圧を印加できる程 度に感知部の近傍に配設することが好ましい。
[0399] さらに、参照電極はチャネル、ソース電極及びドレイン電極から絶縁された電極とし て形成するが、この際、参照電極の材料、寸法、形状に特に制限は無い。通常は、
第 5実施形態の参照電極と同様、第 1実施形態で電圧印加ゲートについて説明した のと同様の材料、寸法、形状で形成することができる。
ただし、第 7のセンサユニットにおいては、トランジスタ部が集積して設けられている
。このとき、参照電極は各検出用感知ゲートに対応して複数設けるようにしてもよいが
、 1つの参照電極が 2つ以上の検出用感知ゲートに対応するように構成してもよい。こ れにより、センサユニットの小型化を図ることができる。
[0400] [III.電気接続切替部]
第 7のセンサユニットの検出用感知ゲートを第 5のセンサユニットと同様に構成した 場合、第 5のセンサユニットと同様に、第 7のセンサユニットには電気接続切替部を設 けることができる。この場合、第 7のセンサユニットが備える電気接続切替部は、第 5 実施形態で説明したものと同様である。
[0401] [IV.反応場セル]
第 7のセンサユニットは、反応場セルを有していても良い。反応場セルとは、検出を 行なう場合に検体を所望の位置に存在させることができれば、即ち、検出時に検体を 参照電極の電界内に位置させるか、検体を介して参照電極が検出用感知ゲートに 電圧を印加できるようにすることができれば具体的な構成に制限は無い。
[0402] ただし、検体が流体である場合には、検体を流通させる流路を有する部材として構 成することが望ましい。検体を流通させて検出を行なうことにより、検出の迅速化、操 作の簡便等の利点を得ることができる。
また、反応場セルが流路を有している場合、その形状、寸法、本数、流路を形成す る部材の材質、流路の製作方法等に制限はないが、通常は、第 1,第 4〜第 6実施形 態で説明した流路と同様である。
[0403] さらに、反応場セルには、上述した参照電極を形成してもよい。これにより、参照電 極の着脱を反応場セルの着脱と共に行なうことが可能となり、操作の簡便化を図るこ とがでさる。
[0404] [V.検出対象物質及び具体的検出例]
検出対象物質とは、本実施形態のセンサユニットが検出する対象となる物質である 。第 7のセンサユニットにおける検出対象物質については特に制限は無ぐ任意の物
質を検出対象物質とすることができる。また、検出対象物質として、純物質以外のも のを用いることも可能である。その具体例としては、第 1〜第 6実施形態で例示したも のと同様のものが挙げられる。
[0405] さらに、具体的検出例としても、第 5実施形態と同様の例が挙げられる。
また、本実施形態のセンサユニットにおいてカーボンナノチューブをチャネルに用 いれば、非常に高感度な検出を実現することができ、このため、高感度の検出感度を 必要とする免疫項目等とその他の電解質等を同一原理で一度に測定することにより 、機能別、疾患別に一度に診断を行なうことができ、 POCTの実現が可能となる。こ のほか、第 5,第 6実施形態と同様の作用、効果が得られる。
[0406] ただし、第 7のセンサユニットはトランジスタ部を 2以上集積ィ匕したものである。したが つて、図 13を用いて説明した血液凝固時間の測定に用いるセンサユニットの例にお いては、基板 12、絶縁層 13, 18、ソース電極 14、ドレイン電極 15、 SETチャネル 16 、検出用感知ゲート 20 (即ち、感知用ゲート 17、感知部 19)、及び電圧印加ゲート 2 3から構成されたトランジスタ部 24が集積されたもの力 第 7のセンサユニットの例に 該当する。また、図 16を用いて説明した全血算測定に用いるセンサユニットの例に おいては、基板 12、絶縁層 13, 18、ソース電極 14、ドレイン電極 15、 SETチャネル 16、検出用感知ゲート 20 (即ち、感知用ゲート 17、感知部 19)、及び電圧印加ゲー ト 23から構成されたトランジスタ部 32が集積ィ匕されたもの力 第 7のセンサユニットの 例に該当する。
[0407] [VI.分析装置の例]
以下に、第 7のセンサユニット、及び、それを用いた分析装置の一例の構成を示す 力 本発明は以下の例に限定されるものではなぐ例えば各構成要素の説明におい て上述したように、本発明の要旨を逸脱しな 、範囲にぉ 、て任意に変形して実施す ることがでさる。
[0408] 図 9は、第 7のセンサユニットを用いた分析装置 700の要部構成を模式的に示す図 であり、図 20は、第 7のセンサユニットの要部構成を模式的に示す分解斜視図である 。また、図 7 (a) ,図 7 (b)は、検出デバイス部の要部を模式的に示す図であり、図 7 (a )はその斜視図、図 7 (b)は側面図である。なお、図 7,図 9,図 20において、同様の
符号で示す部分は、同様のものを表わす。
[0409] 図 9に示すように、この分析装置 700は、第 5実施形態で説明した分析装置 500の センサユニット 501に代えて、センサユニット 701を備えた構成となっている。即ち、 分析装置 700は、センサユニット 701と、測定回路 702とを有して構成され、ポンプ( 図示省略)によって検体を矢印のように流すことができるように構成されている。ここで 、測定回路 702は、参照電極 717に印加する電圧を制御しつつセンサユニット 701 内のトランジスタ部(図 20のトランジスタ部 703参照)の特性変化を検出するための回 路(トランジスタ特性検出部)であり、第 5実施形態の測定回路 502と同様、任意の抵 抗、コンデンサ、電流計、電圧計などから目的に応じて構成される。
[0410] センサユニット 701は、図 20に示すように、集積検出デバイス 704と、反応場セル 7 05とを備えている。このうち、集積検出デバイス 704は分析装置 700に固定されてい る。一方、反応場セル 705は、集積検出デバイス 704から機械的に着脱可能となつ ている。
[0411] 集積検出デバイス 704は、基板 706上に、それぞれ同様に構成された複数 (ここで は 4個)のトランジスタ部 703がアレイ状に並んで集積された構成となっている。本例 のセンサユニット 701においては、トランジスタ部 703は図中左から 3個づっ 4列に、 合計 12個形成されているとする。
[0412] 基板 706上に集積ィ匕されたトランジスタ部 703は、図 7 (a) ,図 7 (b)に示すように、 絶縁性の素材で形成された基板 706上に、低誘電層 707、ソース電極 708、ドレイン 電極 709、チャネル 710、及び絶縁膜 711が形成されている。これらの低誘電層 707 、ソース電極 708、ドレイン電極 709、チャネル 710、及び絶縁膜 711は、それぞれ、 第 1実施形態で説明した低誘電層 110、ソース電極 111、ドレイン電極 112、チヤネ ル 113、及び絶縁膜 114と同様に形成されたものである。
[0413] さらに、絶縁膜 711の上側表面には、導体 (例えば、金)で形成された検出用感知 ゲート 712がトップゲートとして形成されている。即ち、検出用感知ゲート 712は絶縁 膜 711を介して低誘電層 707上に形成されていることになる。
[0414] また、基板 706の裏面(即ち、チャネル 710と反対側の面)には、ノ ックゲートとして 、導体 (例えば、金)で形成された電圧印加ゲート 713が設けられている。さらに、低
誘電層 707の表面には、絶縁体層 714が形成されている。電圧印加ゲート 713及び 絶縁体層 714は、それぞれ、第 1実施形態で説明した電圧印加ゲート 118及び絶縁 体層 120と同様に形成されたものである。したがって、検出用感知ゲート 712の表面 は絶縁体層 714に被覆されず外に向けて開放されている。なお、図 7 (a) ,図 7 (b)中 、絶縁体層 714は二点鎖線で示す。なお、ノ ックゲートには電圧印加ゲート以外の 機能をもたせることも可能である。
[0415] また、反応場セル 705は、基体 715に、トランジスタ部 703にあわせて流路 716が 形成されたものである。具体的には、流路 716を流れる検体が各トランジスタ部 703 に接触することができるように、流路 716が形成されている。なお、ここでは図中左側 力も右側にかけて、各 3個づつのトランジスタ部 703のうち、それぞれ 1個づっを通過 するように流路 716が設けられて 、る。
[0416] さらに、反応場セル 705には、各トランジスタ部 703に対向する流路 716の上面に 面して、各トランジスタ部 703にそれぞれ対応する参照電極 717が形成されている。 また、各参照電極 717には、分析装置 700に設けられた電源(図示省略)から電圧が 印加されるようになっていて、参照電極 717の電圧の大きさは、測定回路 702により 制御されるようになっている。
[0417] 本例の分析装置 700及びセンサユニット 701は以上のように構成されている。した がって、使用時には、まず、反応場セル 705を、集積検出デバイス 704に装着して、 センサユニット 701を準備する。その後、電圧印加ゲート 713に、トランジスタ部 703 の伝達特性を最大とすることができる大きさの電圧を印加し、チャネル 710に電流を 流通させる。その状態で、測定回路 702でトランジスタ部 703の特性を測定しながら、 流路 716に検体を流通させる。
[0418] 検体は流路 716を流通し、検出用感知ゲート 712に接触する。この際、参照電極 7 17に参照電圧が印加されて!、るため、検体を介して検出用感知ゲート 712に電圧が 印加される。ここで、検体中に検出対象物質が含まれていれば、検出対象物質が検 出用感知ゲート 712上を通過した際に通過された検出用感知ゲート 712上のインピ 一ダンスが変化するため、この検出用感知ゲート 712に印加される電圧の大きさが変 動する。この電圧の大きさの変動によりゲート電圧に変化が生じるなどするため、トラ
ンジスタ部 703の特性が変化する。
[0419] したがって、前記のトランジスタ部 703の特性の変化を測定回路 702で測定するこ とにより、検出対象物質を検出することができる。特に、本例では、チャネル 710とし てカーボンナノチューブを用いているため、非常に感度の高い検出を行なうことが可 能であり、したがって、従来は検出が困難であった検出対象物質の検出も行なうこと ができる。したがって、本例の分析装置 700は、従来よりも広範囲の検出対象物質の 分析に用いることが可能である。
[0420] さらに、トランジスタ部 703の集積化を行なったため、センサユニット 701の小型化、 検出の迅速化、操作の簡便等の利点を得ることができる。
また、本例の分析装置 700によれば、特定物質を用いることによるもののほかは、 第 2実施形態で説明した分析装置 200と同様の作用 ·効果を得ることができる。
[0421] ただし、ここで例示した分析装置 700及びセンサュ-ッ 701は、あくまで第 7実施形 態としてのセンサユニットの一例であり、上記構成を、本発明の要旨の範囲内で任意 に変形して実施することも可能である。したがって、第 2,第 5実施形態と同様に変形 したり、本実施形態のセンサユニットの各構成要素の説明として上述したように変形 することも可會である。
[0422] なお、第 5実施形態で例示したセンサユニット 501も、第 7のセンサユニットの一例 である。即ち、第 5実施形態で例示したセンサユニット 501は、参照電極 527と検出 用感知ゲート 517との間のインピーダンスの変化を利用して検出を行なう第 7のセン サユニットの一例である。
[0423] lj用分野]
本発明のセンサユニット、及び反応場セルユニット並びにそれを用いた分析装置は 、任意の分野で適宜用いることができる力 例えば、血液 (全血、血漿、血清)、リンパ 液、唾液、尿、大便、汗、粘液、涙、随液、鼻汁、頸部又は膣の分泌液、精液、胸膜 液、羊水、腹水、中耳液、関節液、胃吸引液、組織 ·細胞等の抽出液や破砕液等の 生体液を含むほとんど全ての液体試料の分析に利用できる。具体例を挙げると、次 のような分野で用いることができる。
[0424] 血液 (全血、血漿、血清)、リンパ液、唾液、尿、大便、汗、粘液、涙、随液、鼻汁、
頸部又は膣の分泌液、精液、胸膜液、羊水、腹水、中耳液、関節液、胃吸引液、組 織 ·細胞等の抽出液や破砕液等の生体液を含む液体試料の臨床検査を含むバイオ センサーとして用いる場合には、 pH、電解質、溶存ガス、有機物、ホルモン、アレル ゲン、色素、薬物、抗生物質、酵素活性、蛋白質、ペプチド、変異原性物質、微生物 細胞、血液細胞、血球、血液型、血液凝固能、遺伝子解析の 1つ以上の測定項目を 疾患あるいは機能別に集積した感知部又は感知部位を同時あるいは順次、少なくと も 2つ以上のゲートで測定することにより、測定が可能となる。集積された感知部又は 感知部位でのそれぞれ個々の測定原理としてイオンセンサー、酵素センサー、微生 物センサー、免疫センサー、酵素免疫センサー、発光免疫センサー、菌計数センサ 一、血液凝固電気化学センシング及び各種の電気化学的反応を利用した電気化学 センサー等が考えられる力 最終的に電気的シグナルとして取り出せる原理を全て 含む {参考文献 鈴木周一:バイオセンサー 講談社(1984) ,軽部ら:センサーの開 発と実用化、第 30卷、第 1号、別冊化学工業(1986) }。
[0425] 疾患別に測定する利用方法としては、肝疾患が疑われる場合のスクリーニング検査 が挙げられる。通常、肝疾患が疑われる場合、要因として過栄養性脂肪肝、アルコー ル性肝障害、ウィルス性肝炎、その他の潜在性肝疾患 (原発性胆汁性肝硬変、自己 免疫性肝炎、慢性心不全、先天性代謝異常)が挙げられる。この際、過栄養性脂肪 肝の診断には、 ALTの上昇が認められ、アルコール性肝障害の検出には γ GTP力 S 最も鋭敏に上昇する。またウィルス性肝炎には ALTの正常例が少なくな 、ので HBs 抗原、 HCV抗体等の肝炎ウィルスマーカーの検査が不可欠となる。潜在性肝疾患 の検出には ALT、 AST, y GTPの組み合わせで判断される。即ち、肝疾患のスクリ 一-ング検査には、 ALT, AST, y GTPという酵素活性を調べる生化学項目と HBs 抗原、 HCV抗体という高感度を要する免疫項目を同時に測定する。
[0426] さらに、チャネルにカーボンナノチューブを採用するなどして、センサユニット、及び 反応場セルユニット並びに分析装置を高感度にした場合には、従来は複数の測定 機器を用いて多くの手間をかけて分析していた測定項目を、上述したセンサユニット によって分析することが可能となる。
例えば、化学的反応測定及び免疫学的反応測定を、上述したセンサユニットで分
析できるようにすることが可能である。
例えば、電解質濃度測定グループ、酵素反応等の化学的反応を利用した生化学 項目測定グループ、血液ガス濃度測定グループ、血算測定グループ、血液凝固能 測定グループ、免疫学的反応測定グループ、核酸間ハイブリダィゼーシヨン反応測 定グループ、核酸 タンパク質相互作用測定グループ及びレセプターリガンド間相 互作用測定グループ力もなる測定グループの群より選ばれる、少なくとも一つの測定 グループの測定を、上述したセンサユニットで分析できるようにすることが可能となる。
[0427] また、例えば、電解質濃度測定グループから選択された少なくとも 1つの検出対象 物質、生化学項目測定グループ力 選択された少なくとも 1つの検出対象物質、血 液ガス濃度測定グループ力 選択された少なくとも 1つの検出対象物質、血算測定 グループから選択された少なくとも 1つの検出対象物質、血液凝固能測定グループ から選択された少なくとも 1つの検出対象物質、核酸間ハイブリダィゼーシヨン反応測 定グループから選択された少なくとも 1つの検出対象物質、核酸 タンパク質間相互 作用測定グループ力 選択された少なくとも 1つの検出対象物質、レセプターリガン ド間相互作用測定グループ力 選択された少なくとも 1つの検出対象物質、及び、免 疫学的反応測定グループ力 選択された少なくとも 1つの検出対象物質力 なる群よ り選ばれる 2以上の検出対象物質の検出を、該センサユニットで分析できるようにす ることも可能である。即ち、それぞれの測定グループに含まれる各検出対象物質のう ち、同じ測定グループの検出対象物質を 2種以上検出するようにしてもよぐ異なる測 定グループの検出対象物質を 2種以上検出するようにしてもょ 、。
[0428] さらに、電解質濃度測定グループ、酵素反応等の化学的反応を利用した生化学項 目測定グループ、血液ガス濃度測定グループ、血算測定グループ、及び、血液凝固 能測定グループ力 なる群より選ばれる少なくとも一つの測定グループ、並びに、核 酸間ハイブリダィゼーシヨン反応測定グループ、核酸 タンパク質間相互作用測定 グループ、レセプターリガンド間相互作用測定グループ、及び、免疫学的反応測定 グループ、生化学項目測定グループ力 なる群より選ばれる少なくとも一つの測定グ ループの測定を、該センサユニットで分析できるようにすることも可能である。従来は 、核酸間ハイブリダィゼーシヨン反応測定グループ、核酸—タンパク質間相互作用測
定グループ、レセプターリガンド間相互作用測定グループ、免疫学的反応測定ダル ープなどの測定グループに含まれる検出対象物質を検出しょうとする場合には、非 常に高い感度が要求されたため、検出が困難であった。そのため、これらの測定ダル ープを、他の測定グループとともに同じセンサユニットを用いて測定することは出来な かった。しかし、本発明のセンサユニットによれば、カーボンナノチューブ等をチヤネ ルに用いることにより高い感度を備えることができ、し力も、集積ィ匕により同じセンサュ ニットで 2以上の検出対象物質を検出することが可能となる。したがって、従来の技術 では同じセンサユニットで分析することができな力つた測定グループに含まれる検出 対象物質であっても、検出することが可能なセンサユニット及び分析装置を提供する ことができる。ただし、カーボンナノチューブ等を使用しなくても測定できると考えられ ていた生化学項目測定グループ等の中でも、非常に高感度が要求される検出対象 物質と考えられるが、そのような高感度を要する検出対象物質を検出する際には、力 一ボンナノチューブ等をチャネルに用いたトランジスタ部により検出を行なうようにす ることが望ましい。
[0429] また、特定の疾患又は機能を判別するために選択された 2以上の検出対象物質を 検出できるようにすることも可能である。例えば、肝疾患について判別する際には、生 化学項目グループの内、 GOT、 GPT、 γ— GTP、 ALP、総ビリルビン、直接ビリル ビン、、 ChE、総コレステロール、血液凝固能測定グループの内、凝固時間(PT、 A PTT)を測定し、免疫学的反応測定グループの内、肝炎ウィルス関連マーカー (IgM HA抗体、 HBs抗原、 HBs抗体、 HBc抗体、 HCV抗体等)の測定を行なう。
[0430] 但し、生化学項目グループ等はここで例示したもの以外にも今後新規に発見される 項目を含む多くの項目が存在し、それぞれの疾患 (例えば腎 '尿路疾患、血液'造血 器疾患、内分泌疾患、膠原病,自己免疫疾患、循環器疾患、感染症等)にあった測 定項目を選択すべきであり、これら各疾患に対して選択されるべき項目は「実践 臨 床検査 (株)じほう 2001年発行」、「日本臨床 第 53卷, 1995年増刊号 広範囲 血液 ·尿化学検査、免疫学検査」等に記載されている様に臨床検査項目として広く 知られている項目を含む。また、疾患を特定できず、発熱、痙攣等の症状からも「瀧 健治:救急外来診療で役立つ症候からの鑑別診断の進めかた 羊土社」等に記載さ
れて 、る様に測定項目を選択することができる。
[0431] ところで、実際に本発明のセンサユニットを用いた分析装置を準備する際には、高 V、検出感度を要求されな!、検出対象物質の検出に用いるトランジスタ部のチャネル はどのようなチャネルを用いても良 、が、高 、検出感度を要求される検出対象物質 の検出に用いるトランジスタ部のチャネルには、カーボンナノチューブを用いることが 好ましい。上述したように、カーボンナノチューブ等のナノチューブ構造体をチャネル に用いたトランジスタ部にお 、ては高!、検出感度を実現することが可能であり、特に 、カーボンナノチューブをチャネルに用いたトランジスタ部では確実に高い感度を発 揮することができる。
[0432] 医療等の分野に本発明の分析装置を用いる場合には、核酸間ハイブリダィゼーシ ヨン反応測定グループ、核酸 タンパク質間相互作用測定グループ、レセプターリガ ンド間相互作用測定グループ、免疫学的反応測定グループなどの高 、検出感度を 要求される測定グループ (以下適宜「高感度測定グループ」という)に含まれる検出 対象物質と、電解質濃度測定グループ、生化学項目測定グループ、血液ガス濃度 測定グループ、血算測定グループ、血液凝固能測定グループなどの高い検出感度 を要求されな 、測定グループ (以下適宜「低感度測定グループ」 t 、う)に含まれる検 出対象物質とを一連の操作で検出したい場合がある。
[0433] このような場合に用いる分析装置は、高感度測定グループに対応したトランジスタ 部 (第 1トランジスタ部)と、低感度測定グループに対応したトランジスタ部 (第 2トラン ジスタ部)とを有するセンサチップを備えるものが好ま 、。
このような分析装置の具体例を挙げれば、例えば上記第 1〜第 7実施形態で説明し た分析装置 100〜700【こお!ヽて、流路 119, 218, 316, 519, 716のうちのー咅の 流路 (例えば、図面の手前側から一番目の流路)に対応したトランジスタ部 103, 203 , 303, 401, 503, 601, 703のチャネル 113, 210, 310, 513, 710にカーボンナ ノチューブを用いれば、センサュ-ッ 01, 201, 301, 402, 501, 602, 701の、 上記一部の流路に対応したトランジスタ部 103, 203, 303, 401, 503, 601, 703 を第 1トランジスタ部として用いて高感度測定グループに含まれる検出対象物質を検 出すること力 Sできる。このとき、上記第 1卜ランジスタ咅 103, 203, 303, 401, 503, 6
01 , 703を構成するソース電極 111, 208, 308, 511, 708、ドレイン電極 112, 20 9, 309, 512, 709、及びチャネル 113, 210, 310, 513, 710力それぞれ第 1のソ ース電極、第 1のドレイン電極、及び第 1のチャネルとして機能する。
[0434] また、上記分析装置 100〜700において、その他の流路(例えば、図面の手前側 力ら二番目及び三番目の流路)に対応した卜ランジスタ咅 103, 203, 303, 401, 50 3, 601, 703を第 2トランジスタ部として用いて低感度測定グループに含まれる検出 対象物質を検出するようにすれば、上述した高感度測定グループ及び低感度測定 グループの両方を、同じセンサユニット 101, 201, 301, 402, 501, 602, 701によ り測定することができる分析装置を実現できる。ただし、この際、上記その他の流路に 対応した第 2トランジスタ部 103, 203, 303, 401, 503, 601, 703を構成するソー ス電極 111, 208, 308, 511, 708、ドレイン電極 112, 209, 309, 512, 709、及 びチャネル 113, 210, 310, 513, 710力それぞれ第 2のソース電極、第 2のドレイ ン電極、第 2のチャネルとして機能する。また、第 2のチャネルはカーボンナノチュー ブ等のナノチューブ構造体であっても良ぐその他の素材で形成されたチャネルであ つても良い。
[0435] [POCTについて]
上述したようにセンサユニットや分析装置の利便性の向上や小型化を行なうことが 可能になったことにより、 POCT (ポイントォブケアテスト)の観点力もも利点が得られ る。
即ち、従来、医療診断分野では患者により近いところでの検査を迅速に行なうという 観点から、臨床検査の POCT化 (小型化、迅速化)が急速に進行すると考えられてお り、様々な機種が開発されつつある。
[0436] 医療診断分野における測定対象としては、電解質 Z血液ガス、血液凝固能、血算 、生化学項目、免疫項目等をはじめ、上記のような様々な測定グループが挙げられ るが、従来技術ではそれぞれ測定方法が異なるため別々の装置で測定されており、 疾患ごとに全ての検査項目を同一原理で一度に測定することはできず、真の POCT は実現されていない。
[0437] 例えば、肝疾患が疑われる場合、 AST (ァスパラギン酸アミノトランスファラーゼ)、
ALT (ァラニンアミノトランスフェラーゼ)、 γ GTP等の生化学項目は比色法で測定 され、ウィルス肝炎項目は化学発光等の高感度な検出法で測定されている。このよう に、従来は、特定の診断に際して別々の方法を組み合わせて測定されていた。これ は極めて高感度の検出感度を要する抗原 抗体反応を利用した免疫項目の検出感 度に技術的制限があり、他の電解質 Ζ血液ガス、血液凝固能、血算、生化学項目と 同一原理で一度に測定することができないからであった。
[0438] これに対して、本発明のセンサユニットにおいては、例えば、カーボンナノチューブ をチャネルに用いれば、非常に高感度な検出を実現することができ、このため、高感 度の検出感度を必要とする免疫項目等とその他の電解質等を同一原理で一度に測 定することにより、機能別、疾患別に一度に診断を行なうことができ、 POCTの実現が 可能となる。
[0439] 即ち、例えば極めて高感度の検出感度を要する抗原 抗体反応を利用した免疫 項目の検出にはカーボンナノチューブを利用した単一電子トランジスタ(CNT— SE Τ)、若しくはカーボンナノチューブを利用した電界効果トランジスタ(CNT— FET)を 採用し、一方、他の電解質 Ζ血液ガス、血液凝固能、血算、生化学項目には CNT -SET, CNT -FET,或いは従来力も使用されている特許 3137612号等に記載 の電界効果トランジスタ (FET)もしくは電極法を採用し、さらに、トランジスタ部の集 積化、即ち、 CNT—SET、 CNT -FET,その他のトランジスタ、及び電極等の集積 ィ匕、並びに、これらを含む反応場セル又は反応場セルユニットの分離、各反応場セ ルに試薬等を供給するためのマイクロフロー加工技術等を組み合わせることにより、 高感度の検出感度を要する項目の検出を含む複数の異なる測定項目を一度に測定 することができる。
[0440] また、高い精度で検出を行なう観点から、検出には全ての検出対象物質を CNT— FETもしくは CNT— SETを用いて測定することが好ま 、が、少なくとも高感度を要 する免疫項目などの検出対象物質の検出において、 CNT— FET又は CNT— SET を用いれば、その他の検出対象物質については、従来から良く知られている電極法 等の他法で測定してもよぐカーボンナノチューブを利用しな 、電界効果トランジスタ や単一電子トランジスタを用いて測定してもよ 、。
[0441] 特に、免疫学的測定の応用されている臨床検査領域に関して言えば、従来から行 なわれている方法としては、例えば「医学書院 臨床検査 2003 Vol. 47 No. 13」 等に記載されて!、るものなどが挙げられる。従来の臨床検査領域での主な技術を例 示すると、比濁法、比朧法、ラテックス凝集法等の光散乱を光学的に検出する定量 方法;ラジオィムノアッセィ(Radio Immuno Assay: RIA)、酵素免疫測定法(Enz yme Immuno Assay :EIA)、発光酵素免疫測定法、微粒子酵素免疫測定法、時 間分解蛍光免疫測定法、蛍光偏光免疫測定法、ヱパネセンス波蛍光免疫測定法、 化学発光酵素免疫測定法、化学発光免疫測定法、電気化学発光免疫測定法、ィム ノクロマトグラフィ等の標識物質を測定する方法などが挙げられる。
[0442] ただし、これら従来の方法は、検出感度が満足のいくものでな力つたり、サンプルや 試薬等を比較的大量に要したり、微弱な光検出のために特殊な検出部品を必要とす るために高コストであったり、装置が大きく容易に持ち運びできな力つたりしていた。ま た、ィムノクロマトグラフィは、使い勝手の良さやコスト安などの利点を有する力 精度 の高い定量的な検出は困難であった。
これに対し、本発明の技術によれば、臨床検査領域における上記の課題を解決す ることが可能である。即ち、トランジスタの構成のために集積化、小型化が可能であり 、トランジスタ自身が増幅器として機能すると共に小さ!/、流路を形成することができる ため、従来よりも少量のサンプルや試薬での分析が可能となる。
実施例
[0443] 以下、本発明について、実施例を示してより更に詳細に説明するが、本発明は以 下の実施例に限定されるものではなぐその要旨を逸脱しない範囲において、任意 に変形して実施することができる。また、以下の実施例の説明においては図面を用い るが、その図面の対応する部分の符号は、以下の説明中においてはカツコ書き { < >書き)で示す。
[0444] [実施例 1]
[1.センサの作製]
(基板の準備)
n—型 Si(100)基板を、体積比で硫酸:過酸ィ匕水素 =4 : 1となるよう混合した酸に 5
分間浸して表面を酸化した後、流水で 5分間すすぎ、その次に体積比でフッ化水素 酸:純水 = 1: 4となるように混合した酸で酸ィ匕膜を除去し、最後に流水で 5分間すす ぎ Si基板表面を洗浄した。洗浄した Si基板表面を酸ィ匕炉を用いて 1100°C、 30分間 、酸素流量 3LZmin.の条件で熱酸化し、厚さ約 lOOnmの SiOを絶縁膜として成
2
膜した。
[0445] (チャネルの形成)
続いて、絶縁層表面に、以下のようにしてチャネルを形成した。図 21 (a)〜図 21 (c )は、いずれも本実施例におけるチャネルの形成方法を説明するための模式的な断 面図である。なお、符号 801は基板を表わし、符合 802は絶縁層を表わす。
まず、図 21 (a)に示すように、絶縁層 < 802>表面にカーボンナノチューブ成長触 媒を形成するために、フォトリソグラフィ一法によりフォトレジストく 803 >をパターニン グした。即ち、絶縁層く 802 >上に、へキサメチルジシラザン(HMDS)を 500rpm, 10秒間、 4000rpm, 30秒間の条件でスピンコートし、その上にフォトレジスト(シプレ ィ 'ファーイースト社製 microposit S1818)く 803 >を同条件でスピンコートした。
[0446] スピンコートした後、 Si基板く 801 >をホットプレート上に置き、 90°C, 1分間の条 件でベータした。ベータ後、モノクロ口ベンゼン中にフォトレジスト < 803 >をコートし た Si基板く 801 >を 5分間浸し、窒素ブローで乾燥させた後、オーブンに入れ 85°C , 5分間の条件でベータした。ベータ後、ァライナーを用い触媒パターンを露光し、現 像液 {クラリアント社製 AZ300MIFデベロッパー(2. 38%) }中で 4分間現像した後 、流水で 3分間リンスし、窒素ブローで乾燥させた。
[0447] 次に、図 21 (b)に示すように、上記のようにフォトレジストく 803 >をパターユングし た Si基板く 801 >上に、 EB真空蒸着機を用いて Si、 Moおよび Fe触媒く 804 >を 、厚さが SiZMoZFe=100AZl00AZ30A (lA = 10_ 10m)となるよう、蒸着レ -MA/sec.で蒸着した。
蒸着後、図 21 (c)に示すように、アセトンを煮沸しながらリフトオフし、アセトン、エタ ノール、流水の順に各 3分間試料を洗浄し、窒素ブローで乾燥させた。
[0448] 図 22は本実施例においてカーボンナノチューブく 806 >を形成する工程を説明 する図である。この図 22に示すように、触媒く 804 >をパターユングした Si基板く 8
01 >を CVD炉く 805 >に設置し、 Arを用 、てバブリングしたエタノールを 750ccZ min.および水素を 500ccZmin.で流しながら 900°C, 20分間の条件で、チャネル となるカーボンナノチューブく 806 >を成長させた。この際、昇温および降温は Arを lOOOcc/min.で流しながら行なった。なお、以下の説明において、カーボンナノチ ユーブで形成されたチャネルは、カーボンナノチューブと同一の符号 < 806 >で示 すこととする。
[0449] (ソース電極、ドレイン電極、及びサイドゲート電極の形成)
図 23 (a)〜図 23 (c)は、いずれも本実施例における検出デバイス部(トランジスタ 部)の形成方法を説明するための模式的な断面図である。図 23 (a)に示すように、力 一ボンナノチューブく 806 >の成長後、ソース電極く 807 >、ドレイン電極く 808 > 、及び、サイドゲート電極く 809 > (図 26参照)をそれぞれ作製するために、再度前 述したフォトリソグラフィ一法により、 Si基板く 801 >上にフォトレジストく 803 >をパ ターニングした。
[0450] パターユング後、図 23 (b)に示すように、 EB蒸着により、 Tiおよび Auの順に TiZA u= 300AZ3000A、Tiの蒸着レートカ^). 5A/sec.、 Auの蒸着レートが 5AZs ec.の条件で、 Si基板く 801 >〖こソース電極く 807 >、ドレイン電極く 808 >、及び サイドゲート電極く 809 > (図 26参照)を蒸着した。
蒸着した後、図 23 (c)に示すように、前述と同様に、アセトンを煮沸しながらリフトォ フし、アセトン、エタノール、流水の順に各 3分間試料を洗浄し、窒素ブローで乾燥さ せた。
[0451] ソース電極く 807 >、ドレイン電極く 808 >、及びサイドゲート電極く 809 >をパタ 一ユングした後、素子を保護するために、 Si基板く 801 >表面〖こ HMDSを 500rpm , 10秒間、 4000rpm, 30秒間の条件でスピンコートし、その上に前述したフォトレジ ストく 803 >を同条件でスピンコートした。その次に、オーブンにて 110°C、 30分間 の条件でフォトレジストを焼き固め素子保護膜 (図示省略)を形成した。
[0452] (バックゲート電極の作製)
Si基板く 801 >裏面に意図せず付着していた SiO膜く 802 > (図示省略)を RIE
2
(リアクティブ 'イオン ·エッチング)装置を用いてドライエッチングし除去した。このとき
、使用したエツチャントは SFで、 RF出力 100Wのプラズマ中で 6分間エッチングを
6
行なった。裏面の SiO膜く 802 >を除去した後、 EB蒸着により Ptおよび Auの順に
2
Pt/Au= 300/2000 A, Ptの蒸着レートが 0. 5AZ分間、 Auの蒸着レートが 5 A Z分間の条件で、 Si基板く 801 >にバックゲート電極く 810>を蒸着した。その結 果、図 24のようになった。なお、図 24は、本実施例において検出用感知ゲート (感知 用ゲート)であるバックゲートく 810 >を形成した基板く 801 >を説明するための模 式的な断面図である。
[0453] (チャネル保護層の形成)
次に Si基板く 801 >表面に形成した素子保護膜を、煮沸したアセトン、アセトン、 エタノール、流水の順に各 3分間洗浄し、除去した。次に、カーボンナノチューブく 8 06 >を保護するために、ソース電極く 807 >、ドレイン電極く 808 >、及びサイドゲ ート電極く 809 >をパターユングする際のフォトリソグラフィ一法と同様にして、フォト レジストく 803 >を素子表面のソース電極く 807 >、ドレイン電極く 808 >、及びサ イドゲート電極く 809 >以外の部分にパターユングしチャネル保護層く 803 >とした 。以上の工程を経て完成したカーボンナノチューブ 電界効果トランジスタ(以下適 宜、「CNT—FET」という)の模式的な断面図を図 25に示し、概略図を図 26に示す。 なお、図 26にお 、てチャネル保護層く 803 >は二点鎖線で示す。
[0454] [2.センサを用いた特¾測定]
(特性測定例 1)
[1.センサの作製]にて作製した CNT—FETを用いて、以下の手法により、抗体 固定ィ匕前後の特性測定を行なった。
ノックゲート電極く 810>に、酢酸バッファー溶液で希釈した濃度 100 [ gZmL ]のマウス IgG抗体 (特定物質)を 50 μ L滴下し、湿度 90%の湿潤箱で約 15分間反 応させ、純水で表面を洗浄し、抗体の固定ィ匕を行なった。固定ィ匕の結果、図 27のよ うにバックゲート電極く 810 >に特定物質として上記 IgG抗体く 811 >が固定された 。なお、図 27は特定物質である IgG抗体く 811 >を固定ィ匕した状態の本実施例の C NT— FETの概要を模式的に示す図であり、チャネル保護層 < 803 >は二点鎖線 で示す。また、 IgG抗体く 811 >は実際には非常に微小で目視できるものではない
力 ここでは説明のために図示した。
[0455] CNT— FETの電気特性評価は、 Agilent社製 4156C半導体パラメータアナライ ザ一を用いて行なった。抗体を固定化する前後で電気特性の 1種である伝達特性( V -I 特性)を測定し、測定値を抗体固定ィ匕の前後で比較することで行なった。そ
SG SD
の測定結果を図 28に示す。このとき、サイドゲート電圧 V =—40
SG 〜40V (0. 8Vス テツプ)でスイープさせ、その各点においてソース電圧 V =OV、ドレイン電圧 V =— s D
1〜1V (0. 02Vステップ)をスイープさせた時にソース電極'ドレイン電極間に流れ る電流(ソースドレイン電流) I A)を測定した。なお、図 28にお 、てソースドレイ
SD
ン電流が負の領域のグラフが V =— 1. OVにおける測定結果を示し、ソースドレイ
SD
ン電流が正の領域のグラフが V = + 1. OVにおける測定結果を示す。
SD
[0456] 図 28のソースドレイン電流が 5 μ Αの部分に注目すると、抗体固定ィ匕後のサイドゲ ート電圧は、固定ィ匕前のサイドゲート電圧と比較して +47Vと非常に大きく変化して いた。この測定結果から、抗体固定ィ匕前後で CNT—FETの伝達特性が極めて大き く変化し、バックゲート表面近傍で起こる抗体固定ィ匕による相互作用を直接測定がで きることがわ力つた。このことから、本発明によるセンサーが極めて高感度の化学物質 検出能力を有していることが示され、検出対象物質 特定物質間の相互作用の検 出に利用できることが推察される。
[0457] (特性測定例 2)
[1.センサの作製]と同様に作製した CNT— FETを用いて、相互作用として抗原 —抗体反応の感知を行なった。この際、トランジスタ特性としてソース一ドレイン電流 電圧特性及び伝達特性を採用し、抗原—抗体反応の前後で前記のトランジスタ特性 をそれぞれ比較することで、感知を行なった。
[0458] 図 29は、特性測定例 2で用いた測定系 (分析装置)の要部構成を示す模式的な概 要図である。なお、図 29において示した a— MIgG及び MIgGは、実際には非常に 微小で目視できるものではないが、ここでは説明のために図示した。図 29に示すよう に、作製した CNT— FETのバックゲート(検出用感知ゲート)にマウス IgG抗体 (MIg G)を特定物質として固定ィ匕した。次に、この CNT— FETのバックゲートを、 pH7. 4 のリン酸緩衝液 (PBS) 400 Lが充填された反応場セルに浸し、ソース—ドレイン電
流電圧特性および伝達特性を測定した。
[0459] 続、て、 AgZAgClZ飽和 KC1からなる参照電極 (電圧印加ゲート: RE)を用いて バックゲートの電圧の制御を行った。 次に濃度 500 gZmLの anti—マウス IgG抗体(a— MIgG)を 400 Lを反応場 セル内に滴下した。滴下してから 50分後に再度ソース ·ドレイン電流電圧特性および 伝達特性を測定した。
なお、測定時の条件は、温度 25°C、湿度 30%、ゲート電圧の印加並びにソース'ド レイン電流電圧特性及び伝達特性の測定には、半導体パラメータアナライザー (HP 4156 ;アジレント社製)を用いた。
[0460] 図 30に anti マウス IgG抗体滴下前後での、ソース'ドレイン電圧電流特性の変化 を示す。なお、ノックゲートに印加する電圧 (V )は OVとした。また、図 30において、 I
D
( μ Α)は CNT— FETのソース電極とドレイン電極との間で流れる電流の大きさを
SD
示し、 V (V)は CNT—FETのソース電極とドレイン電極との間の電圧差の大きさを
SD
示す。図 30の楕円で囲んだ部分など力も分力るように、滴下後に電流の絶対値が矢 印で示すように増加して 、ることがわかる。
[0461] また、図 31は滴下前後での伝達特性の変化を示す。なお、ドレイン電極の電圧 (V
)は 1V、ソース電極の電圧 (V )は OVとして測定を行なった。また、図 31におい
D S
て、 I (; z A)は CNT— FETのソース電極とドレイン電極との間で流れる電流の大き
SD
さを示し、 V (V)は電極 (RE)からバックゲートに印加した電圧の大きさを示す。図 3
G
1から、 anti マウス IgG滴下後にしきい電圧 (I が急激に変化する付近の Vの値
SD G
で、チャネルのスイッチングが起こる電圧のことを指す。ここでは、 I = 0. 5 μ Αのと
SD
きの Vを表わす)は正側へ IVと大きく変化していることがみてとれる。これは、反応
G
場セル内の溶液中で負の電荷を有する anti マウス IgGが特異的にバックゲート(検 出用感知ゲート)に固定ィ匕されたマウス IgGと結合したためであると考えられる。これ により、本実施例の CNT— FETを用いたセンサユニットが極めて高感度の化学物質 検出能力を有していることが示され、他の検出対象物質 特定物質間の相互作用の 検出にも利用できることが推察される。
[0462] [実施例 2]
[1.センサの作製]
「(基盤の準備)」の工程において行なう熱酸ィ匕の時間を 5時間とし、その結果成膜 される SiOの絶縁膜の厚さを約 300nmとし、また、「(ソース電極、ドレイン電極、及
2
びサイドゲート電極の形成)」の工程にぉ 、て Tiの代わりに Crを用い、 Auの蒸着速 度を 2AZsec.とし、また、「(バックゲート電極の作製)」の工程において Ptの代わり に Tiを用い、また、チャネル保護層く 803 >及びサイドゲート電極く 809 >を形成し なカゝつた以外は、実施例 1と同様にして、 CNT— FETを作製した。作製した CNT— FETの概略図を図 32に示す。なお、図 32において図 27と同様の符号で示す部分 は、同様のものを表わす。
[0463] [1.センサの作製]にて作製した CNT—FETを用いて、以下の手法により、抗体 固定ィ匕前後の特性測定を行なった。
また、抗体 (特定物質)には anti— PSA抗体 (以下適宜「a— PSA」という)を用いた 。さらに、 a— PSAの固定化は、以下に述べる方法により行なった。図 33は、この a— PSAの固定化方法を示す模式図である。図 33に示すように、ソース電極く 807>、 ドレイン電極く 808 >及びカーボンナノチューブく 806 >を含むチャネル部に 100 μ
のせ、湿潤雰囲気で 1時間保持した。そ の後、超純水を流しながら 5min.以上洗浄した。次に、窒素ブローにより水分を取り 除き、真空デシケータ内で一晩乾燥させた。この結果、 a— PSA溶液をのせた部分 に a—PSAが固定化され、これにより、カーボンナノチューブく 806 >表面全体が特 定物質である a— PSAが固定された感知部位となった。なお、図 33において示した a PSAは、実際には非常に微小で目視できるものではないが、ここでは説明のため に図示した。
[0464] CNT— FETの電気特性評価は、 Agilent社製 4156C半導体パラメータアナライ ザ一を用いて行なった。また、測定の操作は、図 34に示す測定系(分析装置)を構 成し、以下のようにして行なった。図 34に示すように、 CNT— FETの抗体を固定化 したチャネル部にシリコーンでゥエルを作り、チャネル部を 0. 01Mのリン酸緩衝液( 以下適宜、「PBS」という)に浸した。また、電気特性の測定としては、ソース電極を 0 Vとし、ドレイン電極に 0. IV、ノックゲート電極に 0Vを連続印加し、その際のソース'
ドレイン間電流 I を時間の関数として測定した。さらに、検出対象物質である抗原に
SD
はブタ血清アルブミン (以下、 PSA)を用い、所定の濃度の PSA溶液を適宜ゥエルに 滴下して、滴下後のソース'ドレイン間電流 I を測定することにより検出を行なうよう
SD
にした。なお、図 34において示した a— PSA及び PSAは、実際には非常に微小で目 視できるものではないが、ここでは説明のために図示した。
[0465] 図 35に、 PSA抗原を滴下した時の、 I の時間変化について示す。
SD
測定開始から 160秒後、 の 0. OIM PBS溶液を滴下したが、 I に大きな変
SD
化が見られなカゝつた。
また、測定開始力も 425秒後、ゥエル内の PSA濃度が 15. 8pgZmLとなるように P SA溶液を滴下すると I が約 0. 06 A減少した。
SD
さらに、測定開始から 570秒後、ゥエル内の PSA濃度が 149. lpgZmLとなるよう に PSA溶液を滴下すると、 PBS溶液滴下直後の状態に比べて I が約 0. 15 A減
SD
少した。
[0466] ここで観測された PSA溶液滴下後の I の減少は、検出対象物質である PSAと特
SD
定物質である a— PSAとの相互作用を CNTチャネルく 806 >が感知することにより、 CNT—FETの特性が変化したことにより生じたものと考えられる。このことから、本実 施例の分析装置を用いれば、 15. 8pgZmLという極めて低濃度の PSAを高感度に 検出できることが確認された。
[0467] [実施例 3 :流路の形成]
以下、反応場セルに流路を形成する方法の実施例を示して流路の形成方法につ いて具体的に説明を行なうが、流路形成方法は以下の方法に限定されるものではな ぐ任意の方法を採用することができる。
[0468] 4インチシリコンウェハー(フルゥチ化学社製)にフォトレジスト NanoXP SU— 8 (5 0) (MicroChem Corporation社製)をスピンコートした後、加熱溶媒除去を 30分 間行ない、室温に冷却した後に、フォトフィルムマスク (フアルコム社製)を介して紫外 線露光を行なった。この際に用いたフォトフィルムマスクには、反応場セルの流路の パターンがシリコンウェハー上に転写されるように形成されている。また、前記のパタ ーンは、流路が幅 0. 5mmのスリット上の内部流路に分けられるように形成されている
[0469] 露光後にアフターベータを 30分間行ない、引き続いてデベロッパー(Nano XP
SU-8 Developer, MicroChem Corporation社製)により 15分間現像し、最後 にイソプロピルアルコール及び水で洗浄を行なった。これにより、シリコンウェハー上 に、厚み 90 /z mのフォトレジストの層として、流路のパターン(図 36のパターンく 901 A >参照)が形成された。
さらに、東レ 'ダウコーユング社製のシリコーンエラストマ一 PDMS (ポリジメチルシロ キサン) Sylgardl84キットを用いて本剤—硬化剤比を 10 : 1として攪拌後、真空下で 脱気を— 630Torr, 15分で行なった。
[0470] 図 36は、流路形成方法の工程を説明するための模式的な斜視図である。この図 3 6に示すように、表面に流路のパターンが形成された上記シリコンウェハー < 901 > に、厚み lmmの PMMA製の U字形状の型 < 902>と、厚み lmmの榭脂平板 < 9 03 >とを重ねエラストマ一の充填部分を形成し、充填部分の開放部から上記エラスト マーを充填後、 80°C、 3時間で硬化させた。硬化後に、エラストマ一をシリコンウェハ 一く 901 >及び U字形状の型く 902>力 剥がした。これにより、上記のパターンの 形状に合わせて凹部 (この凹部が後に流路になる)が形成されたエラストマ一の基板 が得られた。
[0471] その後、パターンが形成された凹部に対応した部分をシート状流路部分として切り 取った。これにより、エラストマ一の基板に流路(凹部)が形成された反応場セルを得 た。(図 37の反応場セルく 904>参照)。
図 37は、反応場セルユニットの模式的な分解斜視図である。図 37に示すように、切 り取った反応場セルく 904 >を、感知部 < 905A >を有する基板く 905 >と組み合 わせることにより、スリット状構造を有するパターンが形成された反応場セルユニットを 完成させた。なお、流路部分の深さは前記流路のパターンく 901A>の厚みを 90 mとしたので、得られた反応場セルユニットの流路の深さも 90 mに形成された。
[0472] 次に、送液システム説明を説明する。形成された反応場セルユニットは、図 37に示 すように、流路上流端部に 1つの孔(注入口)く 904A>が形成され、蓋部の下流端 部に 1つの孔 (排出口)く 904B>が形成された流路を有するようにした。そこで、注
入口 < 904A>に、コネクタ,チューブを介して送液ポンプ(例えば、シリンジポンプ) を接続し、また、排出口く 904B>は、コネクタ,チューブを介して廃液タンクに接続 した。
このような送液システムにおいて、上記の送液ポンプを作動させることにより、液体 検体を注入ロカ 流路内に注入させると、排出ロカ 検体を排出できた。
[0473] [実施例 4]
[1.センサの作製]
(基板の準備)
R面のサファイア基板を、アセトン、エタノールの順にそれぞれに浸し、各 3分間超 音波洗浄を行なった後、純水の流水で 3分間すすぎ、窒素ブローで乾燥させた。そ の後、水分を飛ばすために、 110°Cのオーブンで 15分間べ一キングを行なった。
[0474] (チャネルの形成)
続いて、以下の方法によりサファイア基板表面に CNTの成長触媒を作製した。図 3 8 (a)〜図 38 (c)は、 V、ずれも本実施例におけるチャネルの形成方法を説明するた めの模式的な断面図である。
まず、フォトリソグラフィ一法を用いて CNTく 1001〉(図 38 (b)参照)を架橋させた い場所にフォトレジストをパター-ングした。フォトリソグラフィ一は次のように行なった まず、サファイア基板く 1002 > (図 38 (a)参照)上に、へキサメチルジシラザンを 5 OOrpmで 10秒間、 4000rpmで 30秒間の条件でスピンコートし、その上にフォトレジ スト(シプレイ'ファーイースト社製 microposit S1818)を同条件でスピンコートし た。
[0475] スピンコートした後、ホットプレート上にサファイア基板く 1002〉を置き、 90°C, 1 分間の条件でベータした。ベータ後、モノクロ口ベンゼン中にフォトレジストをコートし たサファイア基板く 1002〉を 5分間浸し、窒素ブローで乾燥させた後、オーブンに 入れ 85°C、 5分間の条件でベータした。ベータ後、ァライナー (露光機)を用い触媒 パターンを露光し、現像液(クラリアント社製 AZ300MIFデベロッパー(2. 38体積 %) )中で 3分間現像した後、流水で 3分間リンスし、窒素ブローで乾燥させた。
[0476] フォトレジストをパターユングしたサファイア基板く 1002 >上に、電子ビーム(EB) 真空蒸着法を用いてシリコン、モリブデンおよび鉄の順に、それぞれ 10nm、 10nm、 30nmの膜厚で成膜し、触媒とした。
次に、煮沸したアセトンにサファイア基板く 1002〉を浸しながらリフトオフを行なつ た。
次に、リフトオフをしたサファイア基板く 1002〉をアセトン、エタノールの順にそれ ぞれに浸し、各 3分間超音波洗浄を行なった後、純水の流水で 3分間すすぎ、窒素 ブローで乾燥させ触媒く 1003 >をパターユングした(図 38 (a) )。
[0477] 触媒く 1003 >をパターユングしたサファイア基板く 1002 >を炉に設置し、ァルゴ ンガスを用いてパブリングしたエタノールを 750mLZmin.及び水素ガスを 500mL /min.で流しながら 900°C、 10分間の条件で化学気相堆積 (CVD)法により CNT く 1001〉を触媒く 1003〉間に成長させた(図 38 (b) )。なお、昇温および降温は、 アルゴンガスを lOOOmLZmin.で流しながら行なった。
[0478] (ソース'ドレイン電極の作製)
次に、 CNTく 1001 >の両端にソース電極く 1004 >およびドレイン電極く 1005 >を作製するために、上述したフォトリソグラフィ一法によりフォトレジストをパターニン グした。
パターユング後、 EB真空蒸着法により、チタンおよび白金の順にそれぞれ 10nm、 90nmの膜厚で成膜した。煮沸したアセトンに試料を浸しながらリフトオフし、次に、リ フトオフをした試料をアセトン、エタノールの順にそれぞれに浸し、各 3分間超音波洗 浄を行なった後、純水の流水で 3分間すすぎ、窒素ブローで乾燥させ、ソース電極 < 1004 >およびドレイン電極く 1005 >を作製した(図 38 (c) )。ソース電極く 1004 >とドレイン電極く 1005 >との最短間隔は 4 mであった。また、図 38 (c)には示し ていないが、ソース電極く 1004 >及びドレイン電極く 1005 >はそれぞれ CNTの チャネルく 1001〉から引出されており、また、それぞれコンタクト用パッドを有してい る。なお、コンタクト用パッドとは、電極配線の先端にあるプローブを接触させるため の 1辺が 150 mの正方形の電極(パッド)を指す。
[0479] (窒化シリコンによる絶縁膜の成膜)
窒化シリコン絶縁膜の形成に用いた装置の要部構成を、図 39に模式的に示す。窒 素化合物である窒化シリコンの成膜は、図 39に示すように、石英炉< 1006>中に 上記のサファイア基板く 1002〉を設置して熱 CVD法を用いて行なった。サファイア 基板く 1002〉は抵抗加熱ヒータを備える回転式のステージく 1007〉上に設置し た。成膜はアルゴンガスで希釈した 0. 3体積0 /0モノシランガスを 50mLZmin. 、アン モ-ァガスを lOOOmLZmin.、及び、窒素ガスを 2000mLZmin.で流しながら、 大気圧下で 800°C、 5分間でステージく 1007〉を回転させながら行なった。昇温お よび降温は、窒素ガスを 2000mLZmin.で流しながら行なった。得られた窒化シリ コン絶縁膜く 1008>の膜厚は 40nmであった。窒化シリコン絶縁膜く 1008 >を成 膜したサファイア基板く 1002〉の模式的な断面図を図 40に示す。
[0480] (トップゲート電極の作製)
次に、以下の方法により、前述したサファイア基板く 1002〉のチャネルく 1001〉 の直上の窒化シリコン絶縁膜く 1008 >の表面〖こ、トップゲート電極く 1009 >を作 製した。
前述したフォトリソグラフィ一法と同様にして、窒化シリコン絶縁膜く 1008〉表面に 塗布したレジストをパターユングした。次に、 EB真空蒸着法により、チタンおよび金の 順にそれぞれ 10nm、 lOOnmの膜厚で成膜した。煮沸したアセトンにサファイア基板 く 1002〉を浸しながらレジストをリフトオフし、次に、リフトオフをした後のサファイア 基板く 1002〉をアセトン、エタノールの順にそれぞれに浸し、各 3分間超音波洗浄 を行なった後、純水の流水で 3分間すすぎ、窒素ブローで乾燥させ、トップゲート電 極く 1009 >を作製した。トップゲート電極く 1009 >も、ソース電極く 1004 >及び ドレイン電極く 1005 >と同様に、チャネルく 1001 >から引出した構造をしておりコ ンタクト用パッドを有している。ただし、トップゲート電極く 1009〉とチャネルく 1001 >との間には窒化シリコン絶縁膜く 1008〉が存在しているため、チャネルく 1001 >とトップゲート電極く 1009 >とは絶縁されて!、る。
[0481] (コンタクト用ホールの作製)
次に、前述した引出されたソース電極く 1004 >及びドレイン電極く 1005 >のコン タクトパッド上の窒化シリコン絶縁膜く 1008〉に 1辺が 100 mの正方形をしたコン
タクト用(配線接続用)のホール (孔) < 1010〉(図 41参照)を作製するため、上述し たフォトリソグラフィ一法を用いて窒化シリコン絶縁膜く 1008〉表面にコンタクト用の ホールく 1010〉をレジストでパターユングした。具体的には、窒化シリコン絶縁膜く 1008 >の表面にフォトレジストをスピンコートし、次いで、ホールく 1010>となる部 分のレジストをパター-ングにより除去した。オーブンにて 110°C、 30分間の条件で フォトレジストをベータした。反応性イオンエッチング (RIE)装置を用いてドライエッチ ングし、レジストを除去した部分の窒化シリコン絶縁膜く 1008〉を除去した。このとき 、使用したエツチャントは六フッ化硫黄ガスで、 RF出力 100W、チャンバ一内圧力は 4. 5Paのプラズマ中で 5分間エッチングを行なった。
[0482] (バックゲート電極の作製)
コンタクトホールく 1010〉を作製した後、 EB真空蒸着法によりサファイア基板く 1 002 >裏面にチタンおよび金の順にそれぞれ 10nm、 lOOnmの膜厚で成膜し、バッ クゲート電極く 1011〉を作製した。
その後、サファイア基板く 1002〉を煮沸したアセトンで 5分間、さらにアセトン、ェ タノールの順にそれぞれに浸し、各 3分間超音波洗浄を行なった後、純水の流水で 3 分間すすぎ、窒素ブローで乾燥させ、コンタクト用ホールく 1010>のパターンを有 するレジスト層を除去した。
[0483] (レジスト保護層の作製)
トップゲート電極く 1009 >、ソース電極く 1004 >及びドレイン電極く 1005 >の コンタクトパッド上以外の部分の素子表面を保護する目的で、前述と同様のフォトリソ グラフィ一法を用いてレジストく 1012>をパターユングした。このようにしてトップゲ ート電極く 1009 >のコンタクトパッド上、ソース電極く 1004 >のコンタクトパット上、 及び、ドレイン電極く 1005 >のコンタクトパッド上にそれぞれホール(ホールく 101 0>以外は図示省略)を形成し、他の素子表面をレジストで保護した。次に、オーブ ンにて 120°C、 1時間の条件でフォトレジストをベータし硬化させた。
以上の工程により作製した窒化シリコンゲート絶縁膜く 1008 >を有するトップゲー ト型 CNT—FETセンサーの模式的な上面図を図 41に示す。また、図 41の A—A, 面で切った模式的な断面図を図 42に示す。なお、図 41では、説明のため、 CNT—
FETセンサーは、図 38 (a)〜図 40、図 42とは異なる寸法で示す。
[0484] [2.特性測定]
図 43は、本実施例の特性測定で用いた測定系 (分析装置)の要部構成を示す模 式的な概要図である。なお、図 43において示した PSAは、実際には非常に微小で 目視できるものではないが、ここでは説明のために図示した。また、図 43では、説明 のため、 CNT— FETセンサーは、図 38〜図 42とは異なる寸法で示す。
図 43に示すように、測定は、レジストで保護した上記のトップゲート型 CNT— FET センサー上にシリコーンでゥエルを作り、トップゲート電極のコンタクトホールを通じて トップゲート電極表面を pH7. 4の 10mMのリン酸緩衝液(PB)に浸して行なった。電 気特性は、ソース電極とドレイン電極との電位差 (V )を 0. IVとし、ノックゲート電
DS
極の電圧 (V )を 0Vとし、また、銀 Z塩化銀参照電極 (R. E. )を用い PBを介してト
BGS
ップゲート電極にトップゲート電圧 (V )として 0Vの一定電圧を印加し、ソース電極
TGS
とドレイン電極との間に流れる電流 (I )
DSを時間の関数として測定した。なお、各電圧 の印加及び測定は、 Agilent社製 4156A半導体パラメータアナライザーを用いて行 なった。
[0485] タンパク質の一種であるブタ血清アルブミン(PSA)を用い、 PSAの PB溶液を適宜 ゥエルに滴下した。図 44に PSAを滴下した時の I の時間変化について示す。
DS
時刻 180sで、 10 Lの同濃度の PBを滴下した力 I に大きな変化が見られなか
SD
つた o
時刻 300sにゥエル内の PSA濃度が 0· 3 μ gZmLになるように PSAを滴下すると I
D
が時刻 1200sにおいて約 1. 5nA減少した。
s
[0486] PBを滴下しても I に変化がなぐ PSAを滴下した後減少したことから、この I の減
DS DS
少は pH7. 4で負電荷を有する PSAがトップゲート電極上に吸着したことによるもの であると考えられる。この結果から、本実施例で作製したセンサーが、高感度な化学 物質検出能力を有していることが示された。
[0487] [実施例 5]
[1.センサの作製]
(基板の準備)
実施例 1の「 (基板の準備)」と同様の操作を行な ヽ、 n—型シリコン単結晶(100)基 板の表面に酸ィ匕シリコンを絶縁膜として成膜した。
[0488] (チャネルの形成)
触媒として成膜したシリコン、モリブデン及び鉄の膜厚をそれぞれ 10nm、 lOnm及 び 30nmとし、フォトレジストのリフトオフ後の基板の洗浄操作を、アセトン、エタノール の順にそれぞれに浸し、各 3分間超音波洗浄を行なった後に純水の流水で 3分間す すぐようにし、 CVD法による CNTの成長の時間を 10分間とした他は実施例 1の「(チ ャネルの形成)」と同様の操作を行な 、、基板上に CNTのチャネルを形成した。
[0489] (ソース'ドレイン電極の作製)
次に、 CNTの両端にソース電極及びドレイン電極を作製するために、上述したフォ トリソグラフィー法によりフォトレジストをパターユングした。
パター-ング後、 EB真空蒸着法により、クロム及び金の順にそれぞれ 20nm、 200 nmの膜厚で成膜した。
[0490] 図 45 (a) ,図 45 (b)は、 、ずれも本実施例における電極作製の様子を説明するた めの模式的な断面図である。なお、図 45 (a) ,図 45 (b)において、符号 1101は CN Tのチャネルを表わし、符合 1102は基板を表わし、符合 1003は触媒を表わし、符 号 1104は酸価シリコンの絶縁膜を表わす。
煮沸したアセトンに基板く 1102〉を浸しながらリフトオフし、次に、リフトオフをした 後の基板く 1102〉をアセトン、エタノールの順にそれぞれに浸し、各 3分間超音波 洗浄を行なった後、純水の流水で 3分間すすぎ、窒素ブローで乾燥させ、ソース電極 < 1105 >及びドレイン電極 < 1106 >を作製した(図 45 (a) )。なお、ソース電極 < 1 105 >とドレイン電極く 1106 >との最短間隔は 4 mであった。また、図 45 (a)には 示して 、な 、が、ソース電極く 1105 >及びドレイン電極く 1106 >はそれぞれ CNT のチャネルく 1101〉から引出されており、また、それぞれコンタクト用パッドを有して いる。なお、本実施例で用いたコンタクト用パッドは、実施例 4で用いたものと同様の ものである。
[0491] ソース電極く 1105 >及びドレイン電極く 1106 >のパターユング後、素子を保護 するために基板く 1102>表面にへキサメチルジシラザンを 500rpmで 10秒間、 40
OOrpmで 30秒間の条件でスピンコートし、その上に前述したフォトレジストを同条件 でスピンコートした。その次に、オーブンにて 110°C、 30分間の条件でフォトレジスト をベータし、素子保護用のレジスト膜 (仮保護膜)を形成した。
[0492] (バックゲート電極の作製)
基板く 1102〉の裏面の酸化シリコンの絶縁膜く 1104〉を、反応性イオンエッチ ング (RIE)装置を用いてドライエッチングし除去した。このとき、使用したエツチャント は六フッ化硫黄ガスで、 RF出力 100W、チャンバ一内圧力は 4. 5Paのプラズマ中で 6分間エッチングを行なった。
[0493] 裏面の酸化シリコンの絶縁膜く 1104〉を除去した後、基板く 1102〉の裏面に、 EB真空蒸着法により、チタン及び金の順に、それぞれ 10nm、 lOOnmの膜厚で成 膜し、ノックゲート電極く 1107〉を作製した。
次に、素子表面に形成した仮保護膜を、煮沸したアセトンで 5分間、さらにアセトン 、エタノールの順に、各 3分間超音波洗浄により除去した後、純水の流水で 3分間す すぎ、窒素ブローで乾燥させた(図 45 (b) )。
[0494] (窒化シリコン膜の成膜)
成膜に用いたモノシランガスの濃度を 3体積%とし、その流速を 20mLZmin.とし た他は、実施例 4の「(窒化シリコン膜の成膜)」と同様にして、上記の基板く 1102〉 に対して、窒化シリコン膜く 1108〉の成膜を行なった。得られた窒化シリコンの膜厚 は、 270nmであった。窒化シリコンを成膜した基板く 1102〉の模式的な断面図を 図 46に示す。
[0495] (コンタクト用ホールの作製)
次に、前述したソース電極く 1005 >及びドレイン電極く 1106 >のコンタクトパッド 上の窒化シリコン絶縁膜く 1108〉にコンタクト用(配線接続用)のホール (孔)を作 製するため、フォトリソグラフィ一法を用いて窒化シリコンの保護膜く 1108 >の表面 に 1辺が 100 mの正方形をしたコンタクト用のホール(図示省略)をフォトレジストで パター-ングした。具体的には、窒化シリコンの保護膜く 1108〉の表面にフォトレジ ストをスピンコートし、次いで、ホールとなる部分のレジストをパターユングにより除去し た。その後、オーブンにて 110°C、 30分間の条件でフォトレジストをベータした。続い
て、「(4)バックゲートの作製」と同様にして、 RIEを用いてソース電極く 1105 >及び ドレイン電極く 1106 >上の窒化シリコンの絶縁膜く 1108 >をエッチングし、コンタ タト用のホール(図示省略)を作製した。
[0496] (トップゲート電極の作製)
次に、実施例 4の「(トップゲート電極の作製)」と同様にして、上記の基板く 1102 >のチャネルく 1101 >直上の窒化シリコン絶縁膜く 1108 >表面に、トップゲート 電極く 1109 >を作製した。このトップゲート電極く 1109 >もソース電極く 1105 > 及びドレイン電極く 1106 >と同様に、チャネルく 1101 >から引出した構造をして おりコンタクト用パッドを有している。ただし、トップゲート電極く 1009 >とチャネルく 1001 >との間には窒化シリコン絶縁膜く 1008 >が存在して!/、るため、チャネルく 1 001 >とトップゲート電極く 1009 >とは絶縁されて!、る。
[0497] (レジスト保護層の作製)
実施例 4の「(レジスト保護層の作製)」と同様にして、トップゲート電極く 1109 >、 ソース電極く 1105 >及びドレイン電極く 1106 >のコンタクトパッド上以外の部分に レジスト保護層く 1110 >を形成した。
以上の工程により作製した窒化シリコンゲート絶縁膜く 1108 >を有するトップゲー ト型 CNT—FETセンサーの模式的な上面図は図 41と同様になる。なお、図 41にお いて、トップゲート電極く 1109 >上に設けたホールは、符号 1111で示す。また、ソ ース電極く 1105 >及びドレイン電極く 1106 >のコンタクトパッド上に形成したコン タクトホールの図示は省略する。さらに、本実施例の CNT—FETセンサーについて 、図 41の A— A'面で切った模式的な断面図は、図 47のようになる。
[0498] [2.特性測定]
図 48は、本実施例の特性測定で用いた測定系 (分析装置)の要部構成を示す模 式的な概要図である。なお、図 48において示した RSA、 PSA及び a— PSAは、実際 には非常に微小で目視できるものではないが、ここでは説明のために図示した。また 、図 48では、説明のため、 CNT—FETセンサーは、図 45〜図 47とは異なる寸法で 示す。
[0499] 図 48に示すように、測定は上記の CNT—FETセンサー上にシリコーンでゥエルを
作り、トップゲート電極のコンタクトホールを通じてトップゲート電極表面を ρΗ7. 4の 1 OmMのリン酸緩衝液(PB)に浸して行なった。電気特性は、ソース電極とドレイン電 極との電位差 (V )を 0. 5Vとし、バックゲート電極の電圧 (V )を 0Vとし、また、銀
DS BGS
Z塩化銀参照電極 (R. E. )を用い PBを介してトップゲート電極にトップゲート電圧( V )を 0Vの一定電圧を印加し、ソース電極とドレイン電極との間に流れる電流(I
TGS DS
)を時間の関数として測定した。なお、各電圧の印加及び測定は、 Agilent社製 415 6A半導体パラメータアナライザーを用いて行なった。
[0500] タンパク質には抗原としてブタ血清アルブミン (PSA)と、 PSAと相互作用する抗体 である抗ブタ血清アルブミン(anti—PSA, a— PSA)と、 a— PSAとは相互作用しな いゥサギ血清アルブミン (RSA)とを用いた。タンパク質は全て PBを溶媒とする溶液 を用いた。
濃度 lmgZmLの a— PSA溶液をトップゲート電極上に滴下した後、湿潤箱内で 1 時間養生し、その後、純水ですすいだ。これにより、トップゲート電極へ物理吸着法 により a— PSAの固定化を行なった。
その後、 PSA及び RSAそれぞれタンパク質溶液を、ピペットを用いて適宜ゥエルに 滴下した。
[0501] 図 49に I の時間変化について示す。
DS
時刻 250sで、 10 μ Lの同濃度の PBを滴下した力 I に大きな変化が見られなか
SD
つた o
時刻 900sでゥエル内の RSA濃度が 14 μ gZmLになるように RSA溶液を滴下した 力 に大きな変化が見られな力つた。
DS
時刻 1800sでゥエル内の PSA濃度が 1. 3ngZmLとなるように PSA溶液を滴下し たところ、 I 減少し始めた。
DS
時刻 2700sでゥヱル内の PSA濃度が 12ngZmLとなるように PSA溶液を滴下した ところ、さら〖こ I 減少し、 1800s力ら 4000sで I カ 6nA減少した。
DS DS
[0502] PBおよび RSAを滴下しても I に大きな変化がなぐ PSA溶液を滴下した後 I の
DS DS
減少が見られたことから、この I の減少は ρΗ7· 4で負電荷を有する PSAが a— PS
DS
Aと相互作用した結果であると考えられる。この結果から、本実施例で作製したセン
サ一が、高感度な化学物質検出能力を有していることが示された。
[0503] [実施例 4, 5に対する考察]
上記の実施例 4, 5は、本発明者らの鋭意検討の結果、一般に CNTを被覆する形 で形成することが困難であった絶縁膜を形成できたのみならず、 CNT上に極めて近 接して、金属又はそれと同程度の導電率を有する材料を設置することを可能ならしめ たことにより、その近接した金属等をトップゲート電極として機能させることに成功した ものである。
[0504] このことは、抗体等の検体を CNTに直接接触させて 、た素子構造に比べ、検出感 度を高感度に維持したまま、極めて安定に感知部を作製できるという利点をもたらす 。さらに、感知部を CNTから独立して作製し、し力る後に導電性の材料で感知部と C NTとを電気的に接続するという素子構造をも可能ならしめる。したがって、本技術を 用いれば、感知部を FETから独立して構成するという新規な素子構造を実現するこ とができ、し力も多数の感知部を集積した素子構造をも容易に実現できると 、う利点 も有する。
産業上の利用可能性
[0505] 本発明は産業上の広い分野で任意に用いることができ、例えば、医療、資源開発、 生物分析、化学分析、環境、食品分析等の分野において広く用いることができる。
[0506] 本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れるこ となく様々な変更が可能であることは当業者に明らかである。
なお、本願は、 2004年 9月 3日付で出願された日本特許出願 (特願 2004— 2576
98)に基づいており、その全体が引用により援用される。